コガラシと幽奈が出て行ってから数時間が経ち夜の帳が降り始めた頃、千紗希は御風呂から上がると髪を拭きながら自室に入るとベッドに座り込む。
「はぁ・・・。冬空君に、悪い事しちゃったかな・・・?せっかく引き受けてくれたのに・・・。美空君も、御外に出てったきり帰ってこないし・・・。冬空君と一緒に、帰っちゃったのかなぁ・・・。」
そう言いながら、溜息を吐く千紗希。コガラシを追い出した事に関してはまだいい。ただ、陽葵に関しては初めて会った時に助けてもらい今回も手伝いを申し出てくれたために胸中複雑なのだ。
「美空君には、助けてもらったのに・・・。まだ、何も御返しできてないよ・・・。」
そう呟く彼女の脳裏に浮かぶのは、高校入学の為に必要な文房具などを買いに行った帰り道の事だった。
近くのスーパーだし、特に何も起こらないだろうと慢心しながら大型商業施設に行ったあの日・・・。日用品を買い替えるだけだから、直ぐに帰れるだろうと思っていた千紗希だったが、買い物を終えて帰ろうとすると小学校の頃に仲の良かった友達と思いがけない再会を果たし、数時間の間話し込んでしまった。
そして、そろそろ帰らねばと友達に別れを告げ商業施設を出たのだが、すっかり話し込んでしまった為か空はすっかり暗くなっており人通りも少なくなっていた。
しかし、どうせ十数分ほど家に到着するから大丈夫と思っていた彼女だったが、運悪く通りすがりの男性にぶつかってしまった。しかも運が悪い事にぶつかった相手は、ベロベロに酔っぱらった中年風のサラリーマンだった。
そして、そんなサラリーマンは酒臭い息を吐きながら千紗希に向かって暴言を吐いてきたのだ。
『おいおい、ねーちゃん!よそ見してんじゃねぇよ!!危ないだろうが!!』
『あっ!す、すみません・・・。』
『謝って済むとでも思ってんのか!・・・お?』
そう怒鳴り声を上げていた酔っ払いだったが、千紗希のとある一点を見つめると突然下卑た笑みを向けてくる。そんな酔っ払いの視線の先にあったのは、高校生にしては膨らみが有る千紗希の豊かな胸部だ。
『へぇ・・・。最近のガキにしちゃぁ、随分とデカいもん持ってんなぁ~。』
そんな酔っ払いの言葉に、千紗希は全身に鳥肌が立つ感覚に陥ってしまう。
何故ならその高校生離れした発育の良いプロポーションの所為で、昔から千紗希は男性の目線に晒されてきた。そして、その事を女子に相談しても自意識過剰と笑われてしまい、ずっと一人で抱え込んできたのだ。
そして、そんな過去を経た所為か千紗希は今でも男性の下劣な視線に恐怖心を抱いてしまう。そして、現在進行形でその視線に晒されている千紗希は恐怖に震えるしかなかった。彼が現れるまでは・・・。
千紗希が断っているにも拘らず酔っ払いが千紗希の腕を掴み、その悍ましい感触に彼女がギュッと目を瞑り涙を流しそうになった瞬間である!!
突然酔っ払いの肩部付近に、ニョキっと指が生えるとチョイチョイと酔っ払いの肩を叩いたのだ!!そして、次に聞こえたのは緊迫した状況に似合わない、鈴音の様な、淀んだ空気を浄化してしまうような声だった
『あのー。すみません。その子嫌がってますよ~。』
(え・・・?)
そんな声に恐る恐る目を開けると、酔っ払いの身体に隠れていた影がヒョコっと姿を現した。そして、そこに居たのは千紗希とほぼ同じくらいの身長の子・・・陽葵だった。
パッチリとした黄緑色の瞳に、フワリと風に吹かれて揺れる薄茶色のミディアムヘア。そんな可愛らしい見た目をした陽葵が現れると、酔っ払いは呆気にとられると千紗希に向けていた様な嫌らしい笑みを浮かべながら、突然現れた陽葵に話し掛け始めた。そんな様子を見守っていた千紗希だったが、突然酔っ払いが怒鳴り声を上げると陽葵に暴行を加えようとしたのだ!!
『あ、危ない!!』
そう叫んで、陽葵に逃げる様に言おうとした千紗希だったが・・・。次の瞬間、あれだけ騒いでいた酔っ払いが電池の切れたロボットの様に倒れてしまったのだ。
(え・・・?な、何が起こったの?)
そう戸惑っていた千紗希だったが、陽葵が彼女に歩み寄ると少しだけ緊張してしまう。しかし、そんな彼が下心が一切なさそうな柔らかな笑みを浮かべると、自然に千紗希の緊張感は薄れていったのだ。まるで、魔法に掛かったかのように。
だが、その後の事はあまり覚えていない。気が付くと千紗希は自宅に帰ってきており、ベッドに倒れ込んでいたのだった。
『あの子・・・。物凄く優しい子だったなぁ・・・。おっきな御買い物袋持ってたし、もしかして湯煙高校に通う予定の子なのかな?また会えたら良いな・・・。』
そう言いながらベッドから起き上がると、新しく新調した筆記用具を筆箱の中に詰めていく千紗希。そんな彼女は、明日の入学式に向けて床に就いたのだったが・・・。まさか、次の日早々に予想外の形で再会するとは夢にも思わなかった。
そして、更に驚いたのが陽葵が男子生徒の制服を着ていた事だった。つまり、陽葵は男であるにもかかわらず自分に一切下心を向けたり見返りを求めたりせずに助けてくれたのだ!!
初めてだった。男の子なのにもかかわらず、自分に一切下心の無い目線を向けてきた人は。自分に、見返りを求めずに助けてくれた男の子は・・・。
その事を思い出しながら、千紗希はベッドの中で膝を抱えて寝転がる。
「美空君に、悪い事しちゃったなぁ・・・。明日、学校で謝っとかないと・・・。でも、冬空君はしょうがないよ・・・。そもそも、あそこに幽奈さんが居た証拠なんてどこにも無いし、もしかしたら殴るだけしか能力がないって言ってたのも嘘で、本当はあんな風に浮かび上がる能力があったのかもしれないし・・・!悪気が無かったとしても、あんな事されたら誰だって・・・!」
そう呟きながら憤慨すると、少しは落ち着いたのかボーっと自室に置いているぬいぐるみ達に目を遣る。そんなぬいぐるみ達は、今のところは動いていない。しかし・・・。
「・・・今晩も、この子達勝手に動いたりするのかな・・・?まだ、何も解決してないんだよね。」
そんなぬいぐるみを見ながら、千紗希は陽葵の発言を思い出す。呪力を悪用し、非術師に害を加える呪詛師と呼ばれる存在が何故か千紗希のぬいぐるみをすり替えてまで、自分に危害を加えようとしている事を。そして、妖怪と呼ばれる存在も何故かそれに加担している事も。
「アタシ、恨まれるような事してないのに・・・。」
そう呟いていると、突然カタカタと棚の上に設置されていたぬいぐるみが揺れ動き始めると、バッと千紗希に襲いかかってくる!そして、千紗希の服をビリビリと破き始めた!!
「え・・・!?や、やだ!止めてよ、皆!なんで、こんな事・・・!?誰か・・・!」
そう助けを求めた次の瞬間、彼女に襲い掛かっているぬいぐるみにそっと手が添えられる。
「陰陽操術、瑞光打・・・。」
そう唱える柔らかな声が響くと、手を添えられたぬいぐるみはまるで敵意を無くしたかの様に機能を停止させる。
「おらぁっ!!」
そして別の襲いかかってきたぬいぐるみも、突如現れた鉄拳により見事に沈む。
そう。そこに居たのは、数時間前に出ていったはずの陽葵とコガラシだった。
「み、美空君・・・?冬空君・・・?な、なんで・・・。」
そんな彼等に質問を投げかける千紗希に、安否を確認しようとした陽葵だったが殆ど裸の千紗希を見て顔を真っ赤にすると、自分が羽織っていた白い術師の羽織りを手渡す。
「宮崎さん、大丈夫だった・・・!?あ・・・!と、取り敢えずこれを着て!」
「え・・・?あ!う、うん!」
「よ、よし!コガラシ君、そっちはどう?」
そう言いながら振り向いた陽葵の目線の先では、最後の一体に拳骨を食らわせたコガラシがサムズアップする。
「おぅ!こっちも、全部片付いたぜ!」
「了解!宮崎さん、取り敢えず御洋服を直してあげたいけど、犯人探しが先だから寒いだろうけど取り敢えず来て!」
「う、うん!って、きゃっ!」
そんな陽葵の言葉に頷いた千紗希だったが、彼に御姫様抱っこされると悲鳴をあげる。そして、陽葵もそんな彼女に謝罪をしつつコガラシに呼び掛ける。
「ごめんね!このまま掴まって!コガラシ君も、しっかり付いてきて!多分、呪力の残穢を辿った先に幽奈さんも居るはずだから!」
「あぁ、分かった!」
そうすると、陽葵は陽脈調律で宮崎家のベランダから遥か高くに跳躍する。そして、空を蹴るように三次元的な動きをしながら夜空を跳躍する。まるで、空気の面を捉えて動いてるかのように。
そんな非現実的な動きに、千紗希はギュッと反射的に陽葵に抱きついてしまう。そんな彼女の身体的接触に、陽葵の顔に熱が昇りそうになるが、なんとか耐えて安心させるように笑いかける。
「大丈夫だよ。全部、僕達が解決するからね。」
そう笑顔を向けながら、力強く宣言する陽葵。そんな彼の純真で柔らかな笑顔は、あの時と同じだった。酔っ払いから、自分を助けてくれたあの時と・・・。
「う、うんっ!」
だからこそ、千紗希は安心できる。たとえ彼が苦手な男の子であろうと、迷わず手を取る事が出来るのだった。
そして、数分後・・・。呪力の残穢と霊気を伝える霊視線と呼ばれる物を辿っていた彼等は、人気の無い公園に辿り着いた。
するとそこには、宙に浮いている幽奈と対峙するかの様に佇むフードを被った人間が居た。
「宮崎さん、直ぐに終わらせるから待っててね。・・・まさか、逃げも隠れもせずに堂々としてるとはね。」
そう言いながら姫抱きしていた千紗希をそっと降ろすと、陽葵とコガラシはフードを被った人物に目を向ける。
「コガラシ君。あれは、呪詛師じゃないよ。呪力が感じられないから。」
「みてぇだな・・・。テメーだな?宮崎のぬいぐるみ動かして、何のつもりだ!?」
そう問い詰めるコガラシに続くように、帳を降ろした陽葵も術式を展開しながらも柔らかい笑みを浮かべつつ距離を詰める。
「なるべく手荒な真似は、こっちもしたくないの。だから、大人しく御縄についてくれない?」
「そ、そうですよ!3対1ですよ!大人しく御縄についた方が・・・。」
しかし、そんな彼らの言葉を嘲笑するかの様にフードを被った人物は、葉っぱを投げつけてきた!
「ふん。少々、霊能力と呪術が扱えるからって調子に乗るなよ・・・。僕の術は、それだけじゃない!」
すると、投げつけた葉っぱが爆発するとそこには二本の角に鋭い牙を生やした、筋骨隆々の巨大な鬼の様な怪物が現れた!
「な、何これ・・・。」
「葉っぱが・・・怪物に?」
そう唖然とする千紗希と幽奈を、陽の結界で護りつつも陽葵も少しだけ眉を寄せる。
「やれ・・・。」
そうフードを被った男が言うと、鬼の怪物はコガラシ目掛けて攻撃を加えようとする!
「に、逃げてください!コガラシさん!」
そう呼びかけた幽奈だったが・・・。そんな彼女の心配は、必要なかった。何故ならコガラシは、ワンパンで鬼の怪物を倒してしまったからである。
「わー・・・。やっぱり、強いねコガラシ君。」
そう感心する陽葵だったが、そんな彼とは対称的にフードを被った男は慌てたように声をあげる。
「・・・はい?お・・・御前、今何を?」
「殴っただけだが?」
「殴っ・・・!?」
「もう一度聞くぞ。大人しく御縄について、訳を話さねぇか?」
「だっ、誰が御前なんかに!」
そう言いながら、辛うじて虚勢を張るフードの男だがそんな彼にコガラシは、更なる霊力をぶつける。
「へぇ・・・?」
「あ、えと・・・。」
「俺はまぁ、良いけどよ。分かってるよな・・・?今度は、葉っぱだけじゃ済まねーぞ。」
そう拳を握り威嚇をするコガラシ。そんな彼に怯えたのか、回れ右をして逃げようとしたフードの男だったが、彼の目の前には拳を呪力で光らせる陽葵が居た。
「逃げ場は無いよ・・・。大人しく、御縄についてくれるよね?」
そうにこやかに笑いつつも、全身から溢れんばかりの呪力を立ち登らせる陽葵。そんな呪力に充てられたのか、公園に潜んでいた野鳥達が一斉に逃げ始める!
そんな両者の圧倒的な霊力と呪力に、本能的な恐怖を覚えたのか身体の震えが止まらず、思わずへたり込んでしまった犯人は・・・。
「ご、ごめんなさいぃぃぃ!」
そう謝ると同時、ドロンという音と煙が立ち上りそれが消えるとそこに居たのは・・・。先程よりも小さくなった男・・・。いや、女の子であった!更に特徴的なのは、彼女の頭に真ん丸な狸の耳が、そして背中付近にはモフモフしていそうな尻尾が生えていたのだ!
「は・・・?」
「え・・・?女の子?」
「あ、謝るから許してぇぇぇ・・・。」
そう呆然とする陽葵達だったが、狸の女の子の目が潤み涙を流し始めると慌てて駆け寄ったのだった。
そうして数分後、陽葵に抱かれ彼の胸の中でスンスン鼻を鳴らしながら泣きじゃくっていた狸の女の子は、だいぶ落ち着いたのかまともに話せるほどに回復していた。
そんな彼女は、ベンチに座った陽葵の膝の上に座りながら自己紹介を始める。
「ボクの名前は、信楽こゆず。去年、化け狸の里からやって来たの。」
「化け狸の里なんてあるんだ。」
そうポツリと呟く陽葵に頷くと、狸の少女・・・こゆずは更に詳しく説明をする。
「うん。人間には、あまり知られてないけど・・・。ボクら化け狸の一族は五歳前後で自然と人間に近い姿に成長するんだけど、そしたら葉っぱを使った色んな妖術・・・葉札術を勉強して十歳になったら里を離れて人間として1人で生きなきゃならない掟なの。」
「そんな・・・!十歳なんて、まだ子供なのに・・・!」
そう驚く幽奈だったが、そんな彼女のリアクションにこゆずは首を振る。
「狸は1歳でもう十分大人なんだよ!ボクも本当なら、ちゃんと大人の人間に変化して、人間社会に溶け込まなきゃいけないんだけど・・・。ボク変化の術が苦手で、さっきもマフラーの下は狸の顔になっちゃってたんだ。かといって 元の姿のままじゃ大人扱いされなくて何もできないし・・・。」
そうしょんぼりした顔になるこゆずに、陽葵は同情するように膝の上に居る彼女の頭を撫でる。
「なんと言うか・・・。狸社会も大変なんだね。」
「どう見ても、小学生だもんな。」
そう呟く陽葵とコガラシの言葉にコクリと頷くこゆず。そんな彼女は、チラッチラッと千紗希を見ながら話し続ける。
「うん・・・。もうずっと住む所も無くて、山の上の廃寺に寝泊まりしてて・・・。元々、狸だからその辺りは全然平気なんだけど、でもやっぱり化け狸の一族のくせに、そんなんじゃダメだって思って・・・。そんな時に千紗希ちゃんを見掛けて・・・、ぬいぐるみに葉札を仕込んで千紗希ちゃんの事を研究してたの。」
「へ・・・研究!?アタシを!?」
そんな言葉にそれが原因で、こんな騒動に発展したのかと陽葵とコガラシは納得する。
「どうせ変化するなら千紗希ちゃんみたいな可愛い子に成りたいって思って・・・、それに千紗希ちゃんはボクに足りないものを持ってるし!」
「足りない物・・・?」
そんなこゆずの言葉に、千紗希だけでは無く陽葵とコガラシに幽奈までもが首を傾げる。
「ボク・・・、おっぱいが足りないの・・・。」
その言葉に、その場に居た四人・・・。特に陽葵は、顔を真っ赤にしてしまう。
「ボク・・・大人の女性っぽさに一番大切なのは、おっぱいだと思うの!ボクだって、おっぱいさえあればきっと・・・!」
「そ、そうなんだ・・・。」
共感性羞恥のせいで、本来なら今すぐにでも帰りたい衝動に襲われる陽葵だが、こゆず自身真剣に悩んでいるのを見るとコメントし辛いようだ。
「それで・・・今日霊能力者と呪術師が来て、もうおしまいだって思ったんだ。・・・だから、最後にもう一度だけ千紗希ちゃんのおっぱいを見ておきたくて・・・、それであんな無理矢理・・・。酷い事しちゃってごめんね・・・。千紗希ちゃん・・・。ごめんね・・・。」
そんなこゆずを見た千紗希は、一瞬だけ複雑な気持ちになる。確かに、この子にも悪気が無かったとはいえ、沢山怖い思いをしたのは事実だ。
けれども・・・。やり方は不純であったが、人間社会に溶け込もうと必死に頑張ってきたのは見て取れる。独りぼっちで誰にも頼れない中、必死にこの子は生きてきたのだ。
それ故に、千紗希は怒りをぶつけるなどは出来なかった。
「い・・・。いいよ、いいよもう。」
「え・・・?」
「そんな事情があったなら・・・、アタシなんかの胸で良ければ・・・。い・・・いつでも見せてあげるし!?」
「ほ、本当!?」
「うん!」
そんな千紗希の優しさに感激したのか、陽葵の膝から降りたこゆずはヨタヨタと歩き、千紗希にギュッと抱きついたのだ。
そんな微笑ましい空気が流れる中、陽葵は何かを思い出すとこゆずに問いを投げかける。
「そういえば、こゆずちゃん!」
「どうしたの?」
「こゆずちゃん、もしかして僕以外の呪術師に会ったりしなかった!?」
「え?あ、そういえば御人形を動かすコツとかを一緒に考えてくれた呪術師が居たよ。その人に頼まれて、夜中にこっそり千紗希ちゃんの御部屋に入って、千紗希ちゃんの御人形と呪術師の御人形をすり替えたり・・・。」
次の瞬間、陽葵の全身が総毛立つと千紗希とこゆずに駆け寄り、二人を突き飛ばす!
「二人共!危ない!」
「え!?きゃっ!」
「わぁっ!?」
そしてそんな二人が居た場所に、突然極太のビームのような物が通過し、直線上にある公園の木を丸焦げにしたのだ!
「な!大丈夫か!?陽葵!」
そう駆け寄るコガラシだったが、次の瞬間足を止めてしまう。何故なら、陽葵の身体からとてつもない濃度の呪力が立ち上っていたからだ。
「コガラシ君、幽奈さん・・・。二人を御願い・・・。」
「どうしたんだ・・・っ!?まさかっ!」
「そのまさかだよ・・・。まさか、このタイミングで来るなんて・・・。」
そう呟く陽葵の目の前には、数体の人型ロボットの様な傀儡を従えている男が立っていたのだった。