「SCP-2295の能力は我々に有用なものだが、現在の財団では君を安全に保護できる確証が無い。非常に情けないことだが、今、君たちを収容することはできない」
BKさんが悔いを込めた現状を吐き出しました。
Keterクラスは、危険なものが大半で本気の財団でもなかなか手を焼く存在です。他のオブジェクトクラスも、油断できるかと言われるとそんな事はなく……というか、私やジョーシーのような完全無害のSCPの方が少ないんですよね、恐ろしいことに。
切り札となりうる強力なものもありますが、それを使うことが無いようにするのが最善ですし……。
K-クラスシナリオとか、ほんと、ヤバいですからね、これ。
ぶっちゃけ、厄介な敵対SCPと海賊なら、海賊の方が……マシ、というか……。
戦力が足りないなら個人の戦闘能力が高いこの世界の武人を集めればとも一瞬考えましたが、よくよく考えるとそういう人たちって大抵海賊か海軍ですし、財団の理念に従うようには思えません。
記憶処理剤で洗脳……いや、それは倫理委員会が許可するかな……。
まぁどれだけ物理戦闘能力が高くても、ミーム汚染で簡単に使い物にならなくなったりしますし……下手に外部に財団のことをバラすよりは、内々で対応した方が安定してるんでしょうね。
余裕が無い中、我々無力なSCPの安全を優先してくださる事はありがたいですが、財団の状況、本当に大丈夫なんでしょうか……?
「じわじわとであるが、地球での博士やエージェントの記憶を持った人物も集まりつつある。特別収容プロトコルのデータもある程度再編してあるから、今が山場……と言ったところか」
[記憶を持った人物?]
「ああ、この世界で生まれる存在の中には、ちらほらと、財団職員時代の記憶を持った者が現れるらしい。そういった者たちを集めるため、ダミープロトコルによって表向きはただの研究職募集のチラシを撒いている。財団職員なら必ず気づく仕掛けをつけて、な」
ふむふむ、転生のようなシステムで、職員の皆さんは増えているようです。中には幼少期は覚えてなくとも、何かしらの出来事で急に思い出す事例もあるようなので、潜在的に財団の意識を持っている人は結構多いのかもしれません。
インペルダウン? という施設からDクラス職員を大量にゲットできるので、Dクラスには困っていないそうです。
[そんな事ができるとは。もしかして、財団の記憶を持つ人の中には、天竜人もいたのですか? とてもラッキーですね]
天竜人は、この世界では神と同等レベルの権力を持つ人のことです。なんだか、不思議な見た目と不思議な口調をしているそうです。
基本的に、遠くで見かけたらすぐにその場から離れろと商人さんたちは言ってました。逆らったら殺されるので、関わらないのが吉だそうで。奴隷がステータスなんて思想らしいです、怖いですね。
奴隷を買い、虐待する天竜人と、死刑囚を買い、死ぬ事が確定している実験に放り込む財団。どちらが残虐で冷酷なのかは、ちょっとわかんないですけど。
まぁ、財団の方が……有益なデータは取っているので、まだ……?
あ、いや、SCP-2193……うん……。やめましょうか、この話。
天竜人の話を出した時、BKさんは明らかに、何か、頭痛を抑えるようにこめかみに手を当てました。
なんだか、この世界のエージェントさんはすごく苦労しているそうです。ジョーシーがすり寄ると、サングラス越しに疲れた表情が少し和らいだ気もします。
「天竜人
[随分と心労を溜め込んでいるようですね。おすすめの紅茶などご紹介しましょうか?]
「いや……これも仕事だからな、うん」
財団が天竜人と関わっている事は本当らしいですが、なんだか、それに関してもラッキーでは収まらない事情がある様子。
なんだか、その様子に若干、予想がついてしまいそうな……。
「天竜人のひとりに、素敵な首飾りを贈らせていただいたのさ。白色金に大粒のルビー、煌びやかなダイアモンドが散りばめられた、一目で超高級品とわかる代物だ。その御方は、嬉々としてその首飾りを着けてくださったよ」
「……」
あの、あの人が、天竜人。いえ、厳密にはご本人が天竜人ではなく、その身体が天竜人なのでしょうが……。
あの人に天竜人レベルの地位と権限を与えて、本当に良かったんですか??
禁止リストに、何百回目かの追加項目が増えそうなのですが、大丈夫なんですか? ほんとに?
いやしかし、権力ピラミッドでもほぼ頂点にある天竜人との繋がりは財団的には絶対に欲しい者でしょうし、それが財団関係者ならより安心ですよね。
そう考えると、あー、最善……なんでしょうか。いや、うん、まぁ。……ね!
ええと……インペルダウンという刑務所から囚人を引っ張ってこれるのも、天竜人権限なんですかね。便利ですけど、
外せば人格は元に戻りますが……戻す気、無いですよね。たぶん。
[お疲れ様です……]
「……ありがとう。沁みるな、裏表の無い労りは。はぁ、悪魔の実をミックスジュースにした場合、なんの能力を得られるか、なんて許可できるわけないでしょう……」
BKさんが顔を両手で覆ってしまいました。お労しい。
というか、BKさんってもしかして割と偉い人ですか? ブライト博士がいるのっておそらく聖地マリージョアですよね、え、入場許可得てるんですかね。
天竜人の事情とか私知りませんけど。
[財団は悪魔の実をどうお考えで?]
「ん? ああ……この世界特有のものらしいから、発見したものは回収しているが実験は行なっていない。実験でDクラス職員に食べさせるのもリスクが高いからな、まだ静観だ」
[確かに、この世界は不思議な現象や生物も多いですね]
それがSCPか、SCPではないか……分類するのにも大きく時間がかかりそうなほど、この世界には特徴的な存在が多い。
音を記録できる貝とか、どうなってるんでしょうね、あれ。この世界の人は当たり前のように使ってますけど。
「話が逸れたな。それでだ、SCP-2295。君には、現在財団が確保できていないSCPを探し、報告してほしい」
[それはつまり、外に出て行動して良いと?]
「こちらとしても苦肉の策ではある。しかし、君は人に害意を示さず、また明確な意思疎通が可能だ。このまま旅を続けて、ジョーシーの様に財団が確認できていなかったSCPを、見つけ次第こちらに連絡をしたり、一時保管を頼みたい」
なるほど、外部捜索員としてのお仕事でしょうか。
安全性を買われているのは、嬉しいですね。私は人を治したい。そのために旅をする。その間に見つけたSCPを財団に報告する。
特に不満も無い、良い条件と思います。
[通信手段は如何に?]
「こちらのほうで、準備させてもらった。ピン式だが、耳に刺してしまっても良いだろうか」
[かまいません]
ぬいぐるみの身体の性質は変わっていないのか、私は痛みに鈍感です。なんせ綿の身体ですし。
治療のためには自分の身体を素材とすることもありますから、その度に痛覚が機能していたらあんまりですよね。
触覚はあるんですけど、おそらく殴られても痛みというより衝撃を感じる、みたいな。
金色のボタンの様なピンズを、BKさんは私の耳に取り付けました。
ジョーシーには首輪式のようです。緑のレザーがキュートですね。
「それは我々との通信機であり、また君の危険を感知するためのものでもある。SCPを見つけた際は必ず連絡を。また、自身の破壊や危機を感じた場合、それを破壊すれば私たちの元に君の位置情報や危機アラートが繋がれる」
ふむふむ、命の危険が迫った時は、壊せば財団の方が駆けつけてくれるそうです。
なんだか心強いですが……収容と管理に必死な財団さんは私の救助に人員を割いて大丈夫なんでしょうか……?
「保護もまた、我々の重要な理念だ。この世界は治安が最悪だが、間違いなく収容施設よりは安全だろう。何かあったら躊躇わず壊して欲しい」
[感謝します、ミスターBK。その仕事、受けさせていただきます]
「協力感謝する。しかし、君が悪意を持って人に害を与えた場合や、意図的に財団やミーム汚染の流布を行なった場合、我々は即座に確保に移る。忘れない様に」
[肝に銘じます]
財団はその仕事内容や収容しているSCPの都合上、表舞台には出ていけません。
それはこの世界でも変わらず、世情が地球より乱れている以上情報規制はより重要です。
なんせ、中には悪用すれば世界を獲れるものもありますからね。
海軍、海賊、政府に天竜人。どれに渡っても、ろくな結末にならないでしょう。
いや、バリバリSCPに関与している人が一名天竜人の中にいるんですけどね。あの場所、じきに実験で消し飛ばされそうで恐ろしいです。
聖地マリージョアには絶対に近寄らない。これ、大切。
「危険度の高いものは速やかに回収しに行くが、害のないSCPはそのまま管理を任せるかもしれない。そこに関しては、都度連絡するので頼む」
[そのSCPを人に害を与えない範囲で利用する事は?]
「許可しよう。ただし、財団のことやSCPの存在は隠してくれ。記憶処理剤も未だ余裕のある数を用意できていないからな」
また、私が誰かを異常性を使って治すことも認められました。ガッツポーズです。
過程こそ不可解ですが、人を治すことに変わりはありませんから。すでに何人もこの力を使ってしまっていますし、財団の存在なんかは明かしてないので、セーフかと。
とにかく、私は引き続き旅ができて、人を治すことができます!
「我々も、早急にこの逼迫した状態から脱せるよう最善を尽くすつもりだ。旅の成功を願う」
[私からも、過労で倒れるなんてことに気をつけて、応援を送らせていただきます]
「恐怖していた時代に逆戻りしてはならない。どうか、幸運を」
[ええ、幸運を]
死にゆくものに……というのは、少しこの場では似合いませんからね。
財団の人たちもまた、銀の弾丸と言うのなら。
私は、それが貫いていった存在に、向き合いましょう。それがどんな人であれ、銀の裁ち鋏はその罪ごと断ち切り、再度立ち上がる力をもたらすでしょう。
そうして彼らは立ち上がった。もう一度!
その一歩目が、いつか次の弾丸になるかもしれないから。
仕事というやるべき事が明確になった今、シャボンディ諸島のシャボン玉が、より光を反射して虹色を煌めかせたように見えました。
◇職を得たパッチワーク
この度SCP捜索&保護係に。
しかし本人の戦闘能力はゼロ! どうなることやら。
一応、本編とTaleで出てくるSCPの危険度は分けます。
つまりTaleの方では人(主にDクラス)が死にます。やっぱ怖いスねSCPは。
本編ではそこまで危険度が高く無いものや癒し系のSCPを積極的に取り上げていこうかなと。温度差。
次の話からワンピの原作沿いになってきます。
ここまでで原作キャラがモモンガとローしかいねぇ!!
私一人での知識には限界があるので、登場させて欲しいSCPを募集してみることにしました。
必ず出すとは限りませんが、資料提供ついでにおすすめのSCPを教えてくださると喜びます。
ちなみに作者はSCP-2295とSCP-348です。
https://marshmallow-qa.com/ilpwsmttzut0dgc?t=q7OTml&utm_medium=url_text&utm_source=promotion
他SCPの擬人化について。※擬人化した場合仲間になります。
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主人公だけでいい。
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他のSCPも一部擬人化する。
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危険度の高いやつを擬人化する。
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危険度の低いやつを擬人化する。