パッチワークとハートの私   作:月日は花客

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麦わらチームの口調マジわからん……エミュ下手だったらすいません。





報告14:宅配

 

 あわ、あわ、あわ。

 なんだかシャボン玉に船が包まれて、海中に潜ってしまいました……。

 どこかで機を見計らって外に出ようとしてたのに、これでは逃げ道が無いです……。

 

 しかも、乗ってしまったのは海賊船。自衛手段の無い私とジョーシーにはあまりにも過酷……。さ、さっそく金ボタンを壊す必要が出てきてしまったのでしょうか?

 ですが、お話を影から聞いてみるとなんだか愉快な方達のようです。それに、なんだか人かも怪しい風貌をした者も複数います。

 アノマリー……ではなさそうですが、能力者というやつでしょうか。

 

 コソコソと荷物の中で観察していると、ジョーシーが暇になったかのように「ニャアー」と鳴いてしまいました。

 

「猫の声?」

「まさか、迷い込んじゃったまま連れてきちゃったの!?」

「……ルフィ、お前の荷物の中から聞こえたぞ」

「えー!? おれのカバン中には弁当しか入ってない筈だぞー?」

 

 あばば、困ります! 蓋を開けられてしまうと、ぎゅうぎゅうに隠れてたせいであっという間に飛び出してしまいます!

 コロンと出てきた私とジョーシーに、海賊の人たちは数秒、無言になった後……

 

「ひ、人だぁあああああ!?」

 

 叫びました。

 

 耳がキーンてします。

 わ、私はジョーシーをなんとかエプロンのポケットに詰めて、敵意が無いことを示すメモを書きます。

 酒場で会ったお姉さんとお兄さんは、見覚えのある顔により驚いているようでした。

 

「貴女、酒場にいた……」

「オイオイ、なんでルフィの荷物から出てくんだ!? シャボンディ諸島に居たはずだろ!?」

「アラ、かわいいネコちゃんね」

「なー、なんでおれの荷物にいたんだ? 弁当食ってないよな?」

 

 口々に話しかけられて、どれに返したらいいのか混乱してしまいます。

 ひ、ひとまず密航確認! 死! とはならなくて良かった……。

 私は、お友達の猫が荷物の中に入り込んでしまって、それをなんとかしようとしたら、諸島内で争いが始まり、結果的に船に乗る事になってしまったと説明します。

 それに、オレンジのお姉さんや金髪のお兄さんは納得したような顔をしました。

 

「随分海賊が騒いでたからな、最後の方には海軍も来てたし」

「怖がらないで、みんな怒ってないわ」

 

 黒髪のお姉さんが頭を撫でてくれます。とりあえず、敵意がないことと対話が成功して一安心です。

 ですが、ジョーシーがまた、ぬるりとポケットから出て荷物を漁り始めてしまいました。

 やっぱり中に何かあるんですか? ジョーシー、落ち着いて……。

 

「なんだぁあの猫、下半身が無いぞ」

「悪魔の実でも食べたんでしょうか? ですが可愛らしいですねぇ」

「コラネコー!! おれの弁当だぞ!」

 

 ジョーシーはガサガサと荷物の中に潜ったと思ったら、ある平たい箱を頭に乗せて戻ってきました。

 それは、ごく普通のダンボール製のピザボックスに見えます。ですが、私はそれに覚えがありました。

 ジョーシーはご機嫌にそれの箱を開けば、Sサイズの、チーズがたっぷりと乗った暖かいピザが、中に()()()のでした。

 

「ピザだ」

「あら、チーズのいい香り。でもルフィが頼むには珍しいメニューね」

「つまり、その猫はピザを食べたくて、うちの船長の荷物に潜り込んだってことか?」

 

 海賊の皆さんはこれをただのピザボックスと思っているようですが、確実にこれはSCP-458です。“はてしないピザボックス”です。

 ジョーシーがこれをSCPと認識して潜り込んだかはわかりませんが、どうやら船長さんの荷物の中に紛れ込んでいた様子。どこで誰が入れたのかを考えるのは、あまり意味のないことと感じます。

 

 私は、今まさによだれを垂らしながらそのピザにがっつこうとするジョーシーを抱き上げ、ピザボックスを閉じました。

 ジョーシーから不満げな声が上がりますが、あのチーズの量は確実に貴女の健康に異常をきたします。貴女の存在しない下半身の内臓を私が治せるかは未知なのですから、チーズは駄目、です。

 

「食わせないのか? うまそーなピザだったのに」

「猫に大量のチーズは毒なんだ! ピザ生地も、消化不良を引き起こすかもしれないから、あげちゃダメだぞ!」

「おれもピザ食う!!」

 

 私がジョーシーをポケットの詰め込んでいる間に、船長さんがピザボックスを開けてしまいました。

 案の定中身が変わり、大量のサラミにソーセージ、チョリソーやベーコンなどのお肉が乗せられた、ビッグサイズのピザが出てきます。

 船長さんは大喜びでそのピザにかぶりつきましたが、他の面々は首を傾げます。

 

「中身、変わったよな?」

「今度は明らかにルフィ好みのトッピングね」

「不思議ピザボックスか?」

「うんめぇ〜! 生地の中にも肉入ってら!!」

 

 パクパクとあっという間にピザを食べ終えた船長さん。なかなかのサイズで、お肉も重いものが多かったはずなのに、ペロリです。

 食いしん坊さんなのですね、と笑いつつ、私はこっそり金ボタンでSCPの発見と、危険性は無しの通信を送りました。

 

「もう一枚出ねぇかな!」

「いやいやいや、そんなうめぇ話が」

「出た〜〜!!」

「マジかよ……なんだこのピザボックス」

 

 流石は財団職員さんたちをだらけさせる力を持ったピザボックスと言いましょうか。リピートも完璧です。

 ただ、その……ちょっと話が脱線していますので、私は船長さんがピザを取り出した後、SCP-458を手元に回収しました。

 金髪のお兄さんが、興味深げに首を傾けます。

 

「お嬢ちゃんはそれが何か知ってるのかい?」

[改めて勝手に乗船してしまい、申し訳ありません。はい、こちらは名称“はてしないピザボックス”。触れた人の潜在的な好みに合わせた、最適なピザを生成する不思議なピザボックスです]

 

 SCPという名称は伏せて、簡単に説明します。ピザボックスは持ち主の体重を増加させる危険性はありますが、それ以外はただピザを出してくれるだけですから。

 

「貴女の名前を聞いていなかったわね。そのネコちゃんも」

[私は“パッチワークのハートがあるクマ”、または“カイロス”と申します。こちらは“半身猫のジョーシー”]

 

 数字で表記できない以上、作品名で自分を表すしかありません。私たちは個体名のようなものが存在するSCPですが、ものによっては苦労しそうですね。

 質問者の黒髪のお姉さんは、ジョーシーに挨拶をしましたが、チーズを目の前で取られたジョーシーは機嫌が悪いのか、気怠げにポケットに埋まってしまいました。

 

「悪意があって船に乗り込んだワケじゃねーのはわかったがヨゥ、この船は魚人島行きだ、悪いがしばらく海上にはでれねぇぞ」

 

 なんだかサイボーグ? 機械人間? の男の人がそう言いました。正直、さっきまでのシャボンディ諸島は荒れ放題争い放題だったので、危険度で言えばここの方がマシなのでしょうが……。

 やはりご迷惑をおかけしますと、頭を下げました。

 

「いやいや、君が気にすることじゃないさ。そういえば、ナミさんとウソップはこの娘のことを知ってるみたいだったが」

「シャボンディの酒場でね、ニセルフィが撃った人を庇ったのよ、この子」

「へぇ、度胸あるじゃねぇか」

 

 刀を三本も持ったお兄さんが、ニヤリと笑います。お姉さんには危ないからやっちゃダメよ、と怒られましたが。

 と、ここで、船長さんがグン! と首を伸ばしてピザボックスに顔を寄せました。なんだかゴムみたいに体が伸びてます。これが能力者の力なんでしょうね。驚きはしましたが……。

 

「なー! もう一枚! もう一枚くれ!」

「話が進まねぇだろ、カイロスちゃんも困ってる」

「すっっげぇ美味かったんだよあのピザ!! 食べてもまた新しく出てくるんだろ? じゃあいくら食べても問題ねーじゃねーか!」

「後でおれがクソうめぇピザ作ってやっから」

「サンジのピザもうめぇ! シシシ!!」

 

 その言葉に満足したのか、船長さんはピザボックスから離れました。やはり相当の食いしん坊のようです。金髪のお兄さんは、お料理が得意なのでしょうか。

 

「カイロスちゃん、うちのバカがごめんね。後でわたしが叱っておくから」

「事故で乗っちまったのならしゃーないしな。取り敢えず魚人島までは一緒してくれ」

 

 お鼻の長いお兄さんにそう言われ、頷きます。

 海の中はとても綺麗ですが、船の中はピザの匂いで包まれています。うーんジャンキー。

 乗船許可や優しい対応に感謝を伝え、私はピザボックスを金髪のお兄さんに渡します。これは無害ですから、不思議なピザボックスとして扱うくらいは、財団の方も許してくれるでしょう。

 

「良いのかい? これ、お嬢ちゃんのものじゃないのか」

[私はその効果を知っていますが、持ち主ではありません。良ければ、しばらくは皆さんでご利用ください]

「へぇ、開けてみろよサンジ」

 

 取り敢えず私の自己紹介は済んだので、ピザボックスをお貸しします。私はまだハンバーグの満足感が舌に残っている気がするので、皆さんでどうぞ。

 

 船長さんの様子で気になっていたのか、海賊の皆さんがわらわらとピザボックスに集まりました。船長さんは押さえつけられていましたが……。

 中でも、金髪のお兄さんのピザは本人にとってとても懐かしいものだったのか、随分と味わって食べているようでした。

 ばらてぃえ? の味がしたそうです。

 食材については、やはりまだよく分かんないです。

 

 皆さんがピザを楽しむ中、チーズを食べられなかったジョーシーだけが、不満げに鳴くのでした。







◇好きなピザはマルゲリータ娘
乗ってしまった船は愉快な麦わら海賊団でした!
取り敢えずピザを貢いだ。船長の扱いとしては正解。
団のカースト最上位のナミの好感度を稼いでいたので警戒はすぐ解けた。あと本人にびっくりするほど威圧感が無い。
ここから始まる海底探索、海系SCPは危険度が高いやつが多いぞ! 大丈夫か!?


☆麦わらの一味のそれぞれのピザ☆
ルフィ:ありとあらゆる肉のトッピングが乗っているビッグサイズ。
ゾロ:和風明太子。海苔も乗ってて酒に合う。
ナミ:柑橘系ソースがかけられた豪華食材ピザ。
サンジ:バラティエで提供してた海鮮ピザ。
ウソップ:野菜系に飾り切りされたサラミのピザ。
チョッパー:蜂蜜やチーズのかけられたスイーツ寄りピザ。
フランキー:バーベキューソースのコーラと相性抜群ピザ。
ロビン:バジル系のシンプルSサイズピザ。
ブルック:過去ルンバー海賊団のコックが作っていた海鮮ピザ。
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