【完結】ぬ〜べ〜ご立派様   作:烏何故なくの

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3話 喰らわないと生きていけない(#21 餓鬼魂&#27 宇宙人、童守町に現る!)

 

「ぐぉおぉぉお———っ!! 何か食わせろはら減った———ッッ!!」

 

「だ…誰よあれ?!」「秀一くんだって……」

 

 6時間目の体育の時間。

 5-3組の入り口に、生徒が集まっていた。

 

 生徒の視線の先には、ミイラのように痩せこけた秀一が椅子に縛り付けられていた。

 普段の品のある顔からは想像できない、亡者のような顔で騒いでいる。

 

(早く追い出してやらねば……)

 

 ぬ〜べ〜は給食の残りを机の上に置き、匂いを秀一に嗅がせる。

 

 腹が減ったと暴れ回る秀一だったが、しばらくするとホタルのような光が口から溢れ出し、給食の残りに向かう。

 それと共に秀一の様子が元に戻っていく。

 

「あっ……これは……?!」

「大丈夫か? これは餓鬼魂と言ってな、食欲だけの低級霊なのさ」

 

 ぬ〜べ〜がうじゃうじゃと集まって給食の残りを貪る餓鬼魂を見ながら、秀一に声をかける。

 

 餓鬼魂は膨れた腹と骸骨のような頭をした、手のひらに収まるくらいの小人の姿をしていた。

 それが一つの塊になって、給食に食らいついている。

 

「げっ、せ、先生っ、早く鬼の手で殺して〜〜〜っ!!」

「そうはいかん。こいつらはワシの夕餉じゃ」

「え、えっ……?!」

 

 餓鬼魂の気色悪さに怯える秀一に、部屋の奥に待機していた緑色のスライムがぬるりと現れた。

 

 灰耶は給食に近づきゆっくりと体を大きくすると、広がった口で容器ごと餓鬼魂を丸呑みにしてしまった。

 

 「げふ。たまにはボアするのもええもんじゃ」

 

 給食の容器を吐き出し、ゆっくりと縮んでいく灰耶。

 容器の中に餓鬼魂が綺麗さっぱりいないことが、秀一に灰耶が餓鬼魂を捕食したことを理解させた。

 唖然とする秀一にぬ〜べ〜が補足する。

 

「……秀一。実はな、喰奴と呼ばれる霊能の持ち主は、妖怪を定期的に喰わないと本当に悪魔になってしまう。だから俺は学校に灰耶を連れてきて、一緒に除霊をさせている」

 

「灰耶くんは……つ、辛くないの?」

 

 考える間もなく飛び出た言葉。

 秀一は美食家を自称し、気に入らないものは直ぐに捨ててしまう。

 だから、「食べるものを選べない人生」というのは想像もできなかった。

 

「メシなんて作業じゃ、どうでもええ」

 

 吐き捨てるように言った灰耶に、ぬ〜べ〜が困った顔をする。

 

「おいおい、俺のメシも適当に作ってるわけじゃないだろう? そんな言い方をしなくても……」

「昨日お主に卵かけご飯食わせたじゃろ。丁寧に作ってるとは言えん」

「ちゃんと美味かったぞ? ……さ、秀一。給食の残りはまだあるからな」

 

 ぬ〜べ〜の言葉を聞きながら、秀一はゆっくり給食を食べ始める。

 餓鬼魂に腹をすかされていて念願の食事だったが、灰耶の言葉が頭から離れなかった。

 

 

 

 (#27)

 

 

 

「……教師がこんなことしてええんか?」

「俺の目の届かないところでされるよりかはいいだろう」

 

 20時過ぎの肌寒い風が灰耶の肌を撫でる。

 学校の屋上では、ぬ〜べ〜が秀一と手を繋いで念を込めていた。

 

 曰く、宇宙人と交流するためのチャネリングらしい。

 うさんくさいものを見る視線の灰耶に、秀一が説明をする。

 

「僕はこの前、ぬ〜べ〜の霊水晶を持ち出してチャネリングを行ったんだが、クリッターという妖怪を呼び出してしまってね」

「とんでもねぇヤンチャボーイじゃ……」

「まあそれはいいんだ。それで僕は初めからぬ〜べ〜に頼ることにした。もしまた妖怪が来たら……」

 

 秀一の背後には、様々な食器や調味料が置いてあった。

 

「灰耶くんのディナーにしよう。良質な塩から秘伝のガラムマサラまで持ってきたんだ」

「え〜? 妖怪相手に塩振るのか?」

「まあいいじゃないか。どうせ妖怪を食わないといけないんだから……。宇宙人が来るまで、色々試してみようぜ」

 

 あまり乗り気ではない灰耶とは対照的に、ぬ〜べ〜は妖怪の調理に積極的だ。

 

「宇宙人が来るより美味い妖怪に出会える方が確率は高いだろ?」

「一言余計だよ!」

 

 ぬ〜べ〜の言葉に文句を言いながらも、秀一はチャネリングに集中する。

 

 宇宙人と交信する会は、三週間に一度のペースで灰耶がぬ〜べ〜から卒業するまで続けられた。

 

 

 

 

 

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