外伝のせました!
レイフォン無双が書きたくて、我慢できずに書いてしまいました^-^;
バカみたいな題名ですが、読んでやってください!
そんなこんなで、ちょっと間を空けてしまいましたが、第九話です!
ご指摘、ご感想、ご意見などなどお待ちしております!
アドバイスください!
「なあ、レイフォン明日の小隊戦見にいくだろ?いっしょに行こうぜ」
朝一番にそう言ってきたエドの顔には胡散臭いほどに清清しい笑顔が張り付いていた。その上随分と顔の距離が近い。理由は分からないが、とにかくレイフォンを誘いたいと言う必死さは伝わってくる。
「なんでまた急に?昨日まではそんな素振りなかったじゃねえか」
小隊戦を見に行くどころか、エドとレイフォンの間では武芸科のことすらほとんど話題にあがらない。レイフォンは興味なく、エドも武芸者は偉そうだからという理由であまり好きではないのだ。お互いになんとなくそれを了承している。それゆえにエドが急に小隊戦に誘う理由がわからなかった。
「いや、実はな、昨日ミィちゃんに誘われたんだよ!明日一緒に行こうって!だから、な!頼むよぉ」
「ミィちゃん?あ、ああミィフィのことか、デートなら二人で行けばいいじゃねえか。と言うか、おい何時の間にミィちゃんなんて呼ぶようになったんだ?」
ミィちゃんと言う聞きなれない呼称に一瞬思考が止まったレイフォンだが、すぐに最近エドと仲のいいミィフィのことだと気付く。ただ、エドから聞くと違和感があるために脳が反応できなかったのだ。それにしてもエドがミィフィとそこまで親密に成っているなどと想像もしなかったため、未だに驚きが抜け切っていない。
「こ、ここ最近だよ!レイフォンあんまり学校来ないから知らないだけだよ!そ、それよりミィちゃんたち3人でくるらしいから、俺1人じゃつらいんだ。だから頼むよ!」
言われて恥ずかしくなったのか早口でまくし立てるエド。言ってることは事実で、レイフォンが知らないのはここ数日学校をよくサボるから、あんまり接する機会がなかっただけなのだ。
「そういうことか。でも俺小隊戦なんて興味ねぇんだよなぁ」
学校をサボってる話は意図的にスルーして、レイフォンはニヤリとエドの方へと悪意に満ちた笑顔を向けた。付いてきて欲しかったら報酬を寄越せとその笑顔がどんな言葉よりも雄弁に語っていた。
「分かったよ!こんどまた飯奢るからそれでいいだろ!?たく、お前金持ちなんだから、何も必要ねえだろ!」
「ははは、人から奢ってもらう飯ほど旨いものはないからな」
そう、レイフォンは爽やかに、天使のような無邪気な笑みを浮かべた。
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「さあ!ついに、ついに、ついに、ついに、ついに!皆さんお待ちかね……!今期初の小隊戦がやってまいりました!今回ではどんな素晴らしい戦いを見せてくれるのでしょうか!?それではまず、対戦カードから……」
野戦グラウンド。森、草原、岩場など多々のエリアを持つ。土地面積ではツェルニ最大の建築物だ。用途は主に武芸者の訓練や試合であり、武芸科での大規模な演習以外では基本的に少隊員が使っている施設である。その野戦グラウンドの一辺には万単位の客を収容できる観客席が設けられており、そこで司会のハイテンションな良く通る声が隅々まで響き、少々煩い。
「いやぁ~、さすがは小隊戦、人が一杯だね!もう席全部埋まってるんじゃないかな?早めに来ておいて良かったね!」
だが、レイフォンにとってはテンションではその司会にも負けてないいんじゃないかと思えるほど騒がしいやつがすぐ近くにいるため、あまり気にならないのだ。
今日、小隊戦は人が多いからと言う理由で登校日よりも早く起こされ、女子の甲高い声が余計に頭に響くため、レイフォンは早々に来たことを後悔していた。
「そうだな、こんなに混むなんて思わなかったよ。ミィちゃんに教えて貰わなかった入れなかったかもしれないな。ありがとうミィちゃん」
そしてレイフォンが来る原因を作ったエドはすぐ前で女とイチャイチャしていた。さっきから似合わないセリフばかり吐いていて、聞いてるレイフォンが嫌になるほどだが当人たちは気にならないらしい。
「つき合わせて悪いな、レイフォン」
隣のナルキがレイフォンに声をかける。そのまた隣にはメイシェンが居り、人ごみが苦手なのかナルキの服の端を掴んでいる。どうやら彼女らもイチャイチャしている友人に呆れているらしい。
「いや、後からエドで楽しむから大丈夫だ」
こうして、エドのサイフは空前絶後の大ピンチに陥ったのである。
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シャーニッド・エリプトンは自ら所属している小隊に割り当てられた控え室で考え事をしていた。
自分たちの試合が刻一刻と迫ってきている。
第17小隊はニーナが作った物ではあるが、実際のところカリアンが居なければ成立することはあり得なかっただろう小隊だ。おまけにカリアンにとってはレイフォンの為の受け皿にするための物だった。つまり、現状では利用価値がほぼ無に等しい。試合で、負けが続けばカリアンは擁護してくれず、解散を余儀なくされるだろう。つまり崖っぷちに立たされているのだ。
ほとんど人数合わせで新しく入ってきた3年のアレンくんとは、未だ連携もぎこちなく、息が合っているとはいえない。その上アレンくんは緊張で顔真っ青、フェリちゃんはやる気がない、と実際戦力として数えられるのは俺とニーナぐらい。
──はっ、泣きたくなるほどに問題点しか見当たらねぇなあ。
どうやら人間、此処まで逆境に追い込まれると少し笑いがこみ上げてくるらしい。
でも、そんな事は今更だ、と気を引き締めなおす。元からこうなる事は分かっていたのだから。それに、第10小隊をやめた時より、少なくとも状況は好転している。一応小隊に所属しているんだ。
例え偽りに塗り固められた物だろうと、あの誓いは守る。そう決めた。
ここまで来たら、もう他人に頼ってちゃだめだろ。
──舞台はちゃんと整ってんだ、ならばあとは、やれるだけをやるしかないだろ?なぁ、ディン。
『続は、第17小隊対第16小隊の試合です。両隊位置について下さい』
気分が高揚しているのを感じながら、立ち上がる。もはや迷いはない。迷うほどの選択肢もない。ならば、最善を求めて進むだけだ。
「よし、行くか!」
そう言って立ち上がる。
──背水の陣ってのも、なかなか悪くはねぇな。
▼
「おい、起きろレイフォン。」
観客席の一角で惰眠を貪るレイフォンをナルキが起こそうとしていた。
試合が始まった直後あたりから、レイフォンは夢の世界へと旅立っていた。
前々から武芸に興味が薄いのだろうと思っていた。事実武芸科の授業にもあまり出てこない。いや、武芸以外の授業もサボりがちだからそれは関係ないかもしれないが、とにかく積極的ではないのだ。
そもそも小隊戦で寝るなど武芸者としてあるまじき姿なのだが、無理やり連れて来た手前、強くも言えず、目の前でいちゃつくエドとミィを見てるのが嫌というのも理由の一つだろうと思って放って置いたのだ。
「っ……ん、あ~もう帰るのか?」
それでも流石に寝起きでいきなり帰りたがるのはどうかと思う。
このままでは、果たして無事に卒業できるのだろうかと、面倒見のいい性格のナルキはついついダメ人間のレイフォンを心配してしまうようだ。それを聞くとどうせ金はあるから大丈夫と返ってくるのだが、それでは何かが駄目な気がする。上手くは言えないが常識的にだめだろう。
「いや、エリプトン先輩の試合だぞ、知り合いだろ」
だから、幾ら武芸に興味が無くても、知り合いの試合ぐらいは見るべきだろう。そしてこれを見て少しはやる気を出してくれればいいのだが、と思う。
ナルキは苦労性のようだ。
「あぁ、別に知り合いっていうほどでもないけどなぁ。ふわぁぁ」
しかしどうやらナルキの思いが届くことはないらしい。レイフォンは依然と興味なさそうで、眠そうで、おまけに欠伸までかましているのだ。
それを見てナルキは心の中でため息をつくばかりだった。
パーン
試合開始を告げるピストル音が鳴り響く。
「行くぞ!」
それとともに第17小隊のアレンとニーナが敵陣に向かって走り出したのが野戦グラウンドの大型スクリーンの一つに映されている。
野戦グラウンドは面積が広大なため武芸者でもなければ何が起こっているのか全く見えないのだ。そのためグラウンドの各地にはカメラが仕掛けられておりそれを通してスクリーンで実況中継される。スクリーンは複数個あり、隠れている隊員以外は何をしているのかが分かる仕組みだ。
「レイフォンはどっちが勝つと思う?」
スクリーンではなく剄で強化した視力で試合を見ながらナルキはレイフォンに尋ねる。寝かせないためだ。
「どうって言われてもなぁ、まだまともに戦ってないし……。あ、そういえば事前の賭けじゃあ16小隊のが圧倒的に倍率高かったから16小隊じゃねえか?」
レイフォンに武芸者をしての見解を聞きたかったナルキだが、帰ってきたのは身も蓋もない答えで突っ込む気力も沸いてこない。
そうこうしている内に試合に進展があったようだ。17小隊のニーナとアレンは16小隊の陣地すぐ手前まで来たていたのだが、目の前に煙がもくもくと立ち上っている。おそらく目くらましのトラップだろう。先ほどまで16小隊の陣地には5人全員いたのだが、今はもう2人しかおらず、2人は何処にいるか分からないシャーニッドからフラッグを守るための武芸者と念移操者だろう、しかし他の3人は何処にも見当たらない。
やがて、土煙に変化が起きた。渦を巻き煙から3つの影が飛び出す。16小隊の3人だ。影のうち、2つはニーナに向かい1つはアレンの方へと向かっていき、ぶつかる。
カキンッ!
錬金鋼同士のぶつかる音がマイクを通して会場に響き、アレンとニーナは吹き飛ばされた。16小隊は旋剄によるスピードを生かした連携がウリだ。
速さとは重さと同義であり、旋剄のスピードによる奇襲を避け切れなければ吹き飛ばされるのは道理である。当然16小隊の3人は追撃する。
パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!
しかし其れは突如、連続で鳴り響く銃声により遮られた。おまけに3人の内1人はまともに銃弾を受けた様で倒れ、銃声はなおも続く。
パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!
シャーニッドが木陰から現れ両手に持った黒い鈍い光沢を持つゴツイ少銃を乱射しながら現れ、16小隊の残り2人へと疾走する。そこへ吹き飛ばされながらも体勢を立て直したニーナとアレンが続く。
つまり最初から17小隊の作戦通りだった。罠にかけ、奇襲を成功させたと思った16小隊だったが、その実罠にかけられていたのだ。奇襲を破られ、そのまま3対2のはずが2対3へと形勢を逆転され、更に勢いも衰えてしまった16小隊の2人に勝ち目はなく、フラッグを守っている武芸者も、もはや間に合わない。
勝敗が決した瞬間だった。
▼
「いやぁ、すごかったね、シャーニッド先輩!もう負けちゃう!って思った瞬間に現れて一瞬で試合ひっくり返しちゃうなんてカッコ良すぎるわ!まるで王子様みたい!ファンになっちゃいそう!!」
小隊戦終了後5人でレストランに来たレイフォンたちだが、ミィフィが17小隊の試合、と言うよりはシャーニッドに感動したらしく、ツェルニに入学してから持ち前の情報収集能力によって集められたシャーニッドの個人情報を只管に暴露していた。そして個人情報がひと段落すると、小隊戦の時の素晴らしさ語りだす。もうコレで3回目だ、とレイフォンはうんざりしていた。
そのレイフォンよりもうんざりしているのが隣に座っているエドである。彼はシャーニッドへの嫉妬に顔を真っ赤にしていて、その丸い顔と相まってまるでトマトみたいだ。そのうち膨らんで爆発しそうで怖いなと、レイフォンは思った。
結局小隊戦はエドにとって、サイフのピンチを招き、更に意中の人との距離を開けてくれただけだったと後で気付き大いに後悔した。
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深夜
小隊戦での興奮から冷め、寝静まった都市を眺めながらレイフォンは独り酒を飲んでいた。今彼が居るのははツェルニで一番高い場所、生徒会塔の頂上、ツェルニの旗が掲げられている所である。
既に待ちきれないのか、体が、心が、頸が歓喜と興奮を伝えてくる。
──俺も随分と人間から離れたものだ
と独りごちる。
間もなく訪れるだろう戦場に思いを馳せながら、また一口酒を仰ぐ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ウォ───ンウォ───ンウォ───ンウォ───ンウォ───ン
轟音とともに襲い来る振動と、耳をつんざくような都市の悲鳴が聞こえ
開戦の狼煙があがった。
アレンくんですが、ただの人数あわせです^-^;
特に活躍することもありません
特に背景もありません
特に必殺技もありません
特に個性もありません
期待していた方はごめんなさい!
まあでも、正直なところ
これからの展開何も決まってないからもしかしたら活躍するかもね!