剣一つあれば良い   作:オルフェイス

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(◎n◎)<はじめての<マスター>交流


クリスマス、出会いは唐突

 

 現実の時期は既に寒く、具体的に言うとクリスマス当日。

 今日も今日とてモンスター狩りをしてレベル上げをしているオールドポンドこと俺です。

 テレジアへのプレゼントのために素材集めと生産職とのツテを探している最中なのだが、素材はともかくツテが中々に手に入らない。

 というより俺の求める水準が高すぎるのが原因だろう。わかってるけど、拘りたいんだよなぁ。

 

 今は素材集めの一環でサンタを殺してる。サンタというのは語弊でも何でもなく、正真正銘サンタである。

 

 ただし……なんか増殖した。

 

 いや最初は増殖とかしなかったのだ。赤い服をしたサンタ擬きがトナカイに似たモンスターでソリを引かせ、白い袋からプレゼントの箱を投げつけ爆破してくる……そんなモンスターが沢山いただけで。

 なのに、なぜか途中から()()()し始めたんだよなぁ。共食いと言うか、共殺しか。

 

 俺はただサンタを追いかけ回して狩っていたのだが、追いかけていたサンタの1体が他のサンタに目をつけて攻撃、撃破を繰り返した。

 

 そしてそれらが繰り返し行われた結果……

 

 

『【殖福爆魔 プレゼント・フレア】ね』

 

 

 見事にUBMに進化していた。

 

 俺の見ている先でトナカイを操りソリに乗り、空中から下にいる<マスター>に向かって爆発するプレゼントを爆撃機の如く投下している【プレゼント・フレア】の姿。

 しかも一部のプレゼントが爆発せずにサンタになって他の<マスター>を襲っているというおまけ付き。

 でも俺を見たら逃げる。生存本能かな。

 

 別に距離は届くし倒しても良いんだが……今の【プレゼント・フレア】って結構HPが削れてるんだよ。

 とあるパーティの奮闘によるものなのだが、邪魔するのも悪いかなと思って手出しは控えていた。

 

 一人はジェムを投げ、一人はガードナーのエンブリオで爆発する前のプレゼントを弾いて、一人は銃を撃って、一人は魔法を放ってる。

 

 【プレゼント・フレア】が推定逸話級だからというのもあるが、上手く噛み合ってる。

 ジェムの人はダメージリソースが高いし、ガードナー持ちは防御に徹してる。魔法職の人は小さく細かな魔法でジェムを当てるように誘導してるし、特に最後の銃の人は落ちてくるプレゼントを撃って誘爆させながら【プレゼント・フレア】を狙い撃っている。発生したサンタも逐一対処しているので崩れる様子ない。

 

 しかもあの動きの速さを見るに、恐らく全員……

 

 

『お?』

 

 

 と、【プレゼント・フレア】の苛立ちが頂点に達したか、悪魔のような形相で袋から巨大プレゼントを取り出した。明らかに威力が高そう。しかもトナカイを操ってソリを上に向かって移動させている。

 

 真っ直ぐ上には行けないのか螺旋を描くように登っている。高く登っているせいでこれでは攻撃が届か、

 

 

『あ』

 

 

 銃の人が巨大プレゼントを撃ち抜いた。

 次の瞬間、空中で爆発。季節外れの花火が上がり、空中から残骸と肉片が散らばり落ちていく。

 これで終わった……と言うわけではないようで。

 巨大なものが落下した音が響くと、落下地点から傷ついた【プレゼント・フレア】が這い出てきた。

 怒り心頭、という様子だ。悪魔のような……というか恐らく種族は悪魔な気がする。そんな奴がボロボロのプレゼント袋を背負ってブンブン振り回している。

 時に地面に叩きつけ……叩きつけられた場所が()()()

 緊張した様子で見ていたパーティの雰囲気が凍りつく。

 まぁ、あのパーティにはそれをされたら嫌だろうな。

 

 

『内部にあっても爆発が起きる……爆発で袋が壊れることはない、と』

 

 

 つまり遠距離しかやってこないと思っていたら近距離もやれた、という感じ。

 チクチク削ろうと長期戦を望んでいたが、接近してくることがわかって短期決戦にするしかなくなった。

 銃の人ではダメージが足りないし恐らく防がれる。

 ジェムや魔法はダメージとしては足りてるが、【プレゼント・フレア】のHPを死ぬ前に削りきれるか不明。

 残りのガードナー持ちは、そもそものガードナーの運用目的が戦闘ではないので不向き。

 

 そして、全員がジョブの大半を()()()で埋めている。

 つまり戦闘要員ではない。ステータスが低い。戦闘技術も低い。

 【プレゼント・フレア】が走り出す。

 残りHPは……だいたい二割弱か。

 

 

『これなら、盗る心配もないガメ』

 

 

 瞬間、グラムを振り抜いて【プレゼント・フレア】の首を斬った。すぐに首は地面に転がり、光の塵となってその姿は消えていき、

 

 【<UBM>【殖福爆魔 プレゼント・フレア】が討伐されました】

【MVPを選出します】

【【魔天シャワー】がMVPに選出されました】

【【魔天シャワー】にMVP特典【複殖袋 プレゼント・フレア】を贈与します】

 

 アナウンスが鳴り響き、予定通りMVP特典はあちらのパーティが手に入れたようだった。

 辺りを見渡し、周囲にモンスターはいないようなのでその場を離れようとして、

 

 

「あの!」

 

 

 大きな声が響き、つい振り返る。

 視線の先にはこちらに向かって走ってくる、袋を担いだ少女の姿が……

 

 

「すみませんカメさん! 私たちの支援者(スポンサー)になってください!」

『おっと思わぬ一言来たガメ?』

 

 

 そんな、予想外を言い放たれた。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

「どうも! 私は魔天シャワーと言います! 気軽にシャワーちゃんと呼んでください!」

百々目(どどめ)です」

「……Q・デモンストランドム」

■■(ブラックボックス)です。皆からはブックと呼ばれています。あなたのお名前は?」

『オールドポンドガメ。よろしくガメー』

 

 

 所変わって、話を聞くために適当なカフェにやってきたオールドポンドたち。

 彼女たちのパーティは4人。

 雰囲気明るめ、【高位魔石職人(ハイ・ジェムマイスター)】魔天シャワー。

 眼鏡クール、【裁縫職人(ソーイングマイスター)】百々目。

 無口な目隠れ、【高位冶金錬金術師(ハイ・メタラジカルアルケミスト)】Q・デモンストランドム。

 パーティの纏め役、【高位彫金師(ハイ・エングレイバー)】■■ことブック。

 

 以上、【プレゼント・フレア】を撃破した四名の生産職である。

 ちなみに戦闘方法はシャワーがジェム、百々目がガードナー、Qが魔法、ブックが銃である。

 

 

『それで、スポンサーってどういう意味ガメ?』

 

 

 オールドポンドは本題に入るべく早速切り出していく。

 四人は互いに目を見合わせ、纏め役であるブックが語り出した。

 

 

「端的に言うと、我々にはお金がありません。お金を稼ぐ手段もありません。そして、良い物を作るだけの素材もありません」

「いやぁ、私たちのパーティ、一点物を作るのには向いてるんですけど……沢山売り出したりとか、そういうのには向いてなくてですね。生産職なのに戦闘職の真似事してるんですよね! これが全く稼げないのです!」

『んー、戦闘に関しては、【プレゼント・フレア】とは中々良い勝負してたと思うガメ?』

「……運」

「相手が遠距離がメインで爆発さえ避ければ良かった時は、確かに勝負にはなってた。けど、近づかれてたら爆殺されてた。戦う相手が良かっただけ」

 

 

 四人がそれぞれ意見を話す。

 オールドポンドはそれを聞きながら『さて、どうしたものやら』と考え始めた。

 正直な所、オールドポンドとしては渡りに船と言って良い申し出ではあった。

 テレジアへのプレゼントのため、良い装備品を作れる生産職とのツテというのは喉から手が出るほど欲しい。それも、恐らくフリーの生産職であれば尚更に。

 考えれば考えるほど断る理由もないように思えた。

 

 なのでまず腕前、というか出来上がりを見てから判断するかと結論付けた。

 

 

『じゃあ素材渡すから何か作ってほしいガメ』

「作る物は自由、ということで良いですか?」

『そういうことで良いガメ。じゃあ、ほい』

「……アイテムボックス?」

 

 

 ことりと、指輪型のアイテムボックスをテーブルの上に置く。

 

 

『このアイテムボックスの中にあるモノは全部使って良いから、よろしくガメ』

「いいの?」

『騙されてるとは考えてないし、その程度ならまた集め直せば済むから何の問題もないガメ。好きに使うガメ。というか満タンなのが他にもいくつもあるから在庫処分とも言えるガメ』

「「「「……」」」」

 

 

 じっとアイテムボックスを見つめていた四人は、一斉に後ろを向き小声で作戦会議を始めた。オールドポンドは『仲良いな』と思いながら見つめている。

 

 

「信じても良いのでしょうか? こちらに都合が良すぎて怪しく見えます」

「……反応なし」

「《真偽鑑定》で反応がないなら、良いと思う。まさか【詐欺師】でもないだろうし」

「大丈夫ですよ! 私、自慢ですが人を間違えない直感はあります!」

「既知」

 

 

 四人は暫く話し合うと、会議を終えてオールドポンドに向き直った。

 

 

「それでは、このアイテムボックスは預かります。中身を拝見しても?」

『どうぞどうぞ』

 

 

 許可を得たブックは、アイテムボックスから一つずつ取り出していく。

 最初に出たのは……拳大の神話級金属(ヒヒイロカネ)だった。

 思わず無言になるブック。他の三人も視線は神話級金属に集中していた。

 次のアイテムを取り出す。今度は宝櫃で、名前は【植樹王の宝櫃】。

 【アフォレスト・キング・ゴーレム】というモンスターからドロップする宝櫃で、等級で言えば純竜級のモンスター。彼女たちでも知ってるモンスターだった。

 そして次々と出てくる高級アイテムの数々に、途中からはブックも手を止めてむしろ出したアイテムを収めていく。

 

 

『もう良いガメ?』

「ええ……充分すぎるほど理解しました」

 

 

 ブックは席を立ち、他の三人も立ち上がる。

 

 

「明日……現実(リアル)の明日までには作製します。オールドポンドさん、出来上がったものはどちらに持っていけば良いでしょうか。それと明日のご予定は……?」

『明日は何もないガメ。出来上がったらうちの家兼倉庫に持ってきてほしいガメ。俺はそこで待機してるガメ』

「ではそちらに。また明日、お伺いします。それでは……行きましょうか、皆さん」

「ブックちゃん張り切ってますね!」

「……腕、鳴る」

「久しぶりだから。張り切るよね」

 

 

 オールドポンドは四人が立ち去るのを確認すると、ウィンドウを開いて時間を確認する。

 

 

『時間あるし、また狩りに行くガメ』

 

 

 そう呟き、カフェの代金を支払ってから店を出て、狩場へと向かった。

 

 ちなみに向かっている最中に今日はクリスマスイベントでサンタが出たのだということを思い出したが、戻っても再ポップしていなかったのでまぁいいかと考え、狩りを再開した。

 

 

 

 

 

 

 そして、翌日。

 

 

「……完成」

『Qか。他の三人はどうしたガメ?』

「……就寝。私、楽だったから」

『なるほど。それでこれが』

「……どうぞ」

『確認させてもらうガメー。ふむふむ、これは……』

 

 

『いいな、これ』

「!」

『俺が求められてるスポンサーを果たせるかどうかわからないけど、それでも良ければこちらからお願いしたいガメ』

「……喜ぶ」

『じゃあ今日から宜しく頼むガメ』

 

 

 

 




【MDQB・K(キグルミ)E(エクストラ)
 魔天シャワー、百々目、Q・デモンストランドム、■■によって合作された逸品。
 渡されたアイテムボックス内の()()()()()()()()()()()()作成された着ぐるみ。なお着ぐるみなのはオールドポンドが本人が着ぐるみを着ていたため。
 四人の今出せる全力と必殺スキルを使って製作したため、性能は特典武具に匹敵する。
・装備防御力+一〇〇〇〇
・STR+100%
・END+100%
・AGI+100%
・装備スキル《忌死快征(ファイナル・オーダー)


(◎n◎)<必殺スキル+エンブリオのシナジー×素材のコスト

(◎n◎)<大量に素材を溜め込んでたアイテムボックスを手渡したオールドポンドのおかげで性能が跳ね上がった。

(◎n◎)<具体的な内容は次回で。

グラムの必殺スキル

  • 我が剣に曇りなし
  • 剣一つあれば良い
  • 神剣
  • 一剣万象
  • 剣の理
  • 全なる一刀
  • そんなものはない
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