(◎n◎)<あと気付くのが遅れたけど推薦が書かれてたよ。
(◎n◎)<黒薙神楽さん、ありがとう。
比較的平穏な日々が続いている。
この前エリザベートにSP操作を教えて、それをテレジアが知ってからツンとした態度を取られて困ってしまったが、しばらく親身になって接していたら機嫌を直してくれた。
【永遠】の成長も続き、スキルもいくつか解放されている。テレジアによるとレベルは二桁に達してはいないそうだ。大量殺戮や争いごとが起こっていないからだろう。
俺は俺で素材や資金集めに奔走している。あの四人が使いそうな素材を片っ端からアイテムボックスが埋まるまで狩りを続けている。
とはいえそんなことをしていたら生態系が崩壊するので、主に<墓標迷宮>で素材を得ている。
あそこは<修羅の奈落>とは違った意味で修行の場所にも適しているし、それに素材が美味しい。拾ったドロップ武器はQに渡してリソースに変換してもらったりで無駄がない。
というか百々目に直接リソースを流してレベル上げにも使えるなどで、百々目はかなり高レベルになっていた。おかげで作ってもらっている装備は全て高品質に仕上げられる。
まぁ兎に角、素材を集めてお金を集めて四人に与えて作ってもらう、ということを繰り返していたのだが、今は少し王都を探索している。
「つぎはね、あっち!」
『カメカメー』
俺は今、肩に幼女を乗せて探索していた。
なんでそんなことをしているのかと言えば、<墓標迷宮>に行こうとしたところでこの幼女がしがみついていたことに気付いたからである。
……油断していなかった、などとは言わないが、しがみつかれるほど接近を許すとは思わなかった。悪意や敵意がなかったのが一番の理由だろうが、この子の潜り込む才能もかなりのものだ。
何処となくエリザベートを思い出させ、なんとなくこの幼女を肩に乗せて王都を探索することになった。
特に目的地などなく、ふらふら行ったり来たりと繰り返す。
「もぐもぐ」
『中々悪くないガメ』
串肉を食べて進んだり。
『ほほう』
「おっきなトラさん!」
<マスター>に引き連れられる虎の従属モンスターを見たり。
「むにゃむにゃ」
『寝ちまったガメ』
疲れて眠った幼女を肩に乗せて歩いたり。
「あっちいきたい!」
『はいはいガメー』
起きた幼女が指を差して行き先を決めたり。
多分、今までないくらいゆるりと過ごした気がする。
誰とも戦わずに過ごすなどいつぶりだろうか。
まぁ何をしても良いのが<マスター>なのだが。
そうして歩き回っていたわけだが、ふと今更なことを思い出した。
『ところで、お嬢ちゃんの名前は何ガメ?』
俺は名前を尋ねていなかった。
気付けば接近を許し、肩に乗って歩いていたものだからスルーしていた。
幼女はキョトンとした様子でこちらの顔を覗き込み、器用に肩から地面に降り立つ。
「わたしね、ミリアーヌ・グランドリアっていうの! カメさんのおなまえは?」
『俺は……長いからカメさんで良いガメ』
オールドポンドなんて、この幼女からしたら長い名前だろう。いやまぁミリアーヌ・グランドリアもフルネームで長いが、名前として考えたら俺のほうが長い名前だ。
なので今呼ばれた呼び方で良いと肯定すれば「じゃあもっといろんなところいこ!」と元気に喋って再び俺によじ登り始め、肩に座った。心なしか自慢げ。何処か既視感を覚える。
と、今度は反対の肩に重さが乗った。顔を向けば真っ白な少女が座っている。
「わあっ!」
『……何やってるガメ、シシカバネ』
指輪から出てきたらしく、俺の肩を占領してしまった。
突然現れたものだからミリアーヌが驚き落ちそうになり、咄嗟に彼女は俺の頭にしがみついて落ちるのを免れる。
シシカバネも、俺の頭を掴んで離さない。何処か対抗意識があるように思える。
……ちなみに言っておくが、俺はロリコンではないからな?
「ねぇねぇ、おなまえは?」
ミリアーヌがシシカバネに話しかけるが、ツンとした態度で全く気にかけていない。
悩んだ様子でミリアーヌがこちらに視線を向けてくるが、残念ながら俺にはどうしようもないのである。
どうしたものかと顔を巡らせ、お菓子を売っている店を見つけた。どうせだから買ってこようとミリアーヌとシシカバネを降ろし、
『ちょっと買ってくるから待っててほしいガメ』
「うん!」
「ん」
二人とも返事を……シシカバネは返事と言って良いのかわからないが、ともかく返事をしてくれたので早速お菓子を買いに行く。
どうやら綿あめのようである。フワフワな見た目だ、ミリアーヌからは喜ばれる……と思う。折角出しシシカバネの分も買ってこよう。
そう思い両手に綿あめを手にして戻ってきたのだが。
「カバネちゃんはなにがすき?」
「そういうのは、わからない」
「そうなの? わたしはねー」
なんかいつの間にか親しい感じを醸し出していた。
俺が綿あめを取りに行ってる間に何があったというのか。シシカバネのことをカバネちゃんと呼んでるし、かなり気難しい方だと思っていたんだが……
まぁ仲良くしている分には、良いか。
『おまたせガメー。綿あめガメー』
「ふわふわ!」
「べっとりしてる」
各々感想を言って綿あめを受け取り、食べ始める。
……そういえばシシカバネにこうやって食べ物を渡すのは初めてか。
あんまり表情を変えていないが、悪くないと思っているのは見てたらわかった。
今後、食べる時はシシカバネとも一緒に食べるようにしよう。
そう思いながら、美味しそうに食べる二人を見守った。
☆☆☆☆☆☆☆
『そろそろ帰る時間じゃないガメ?』
夕方が近づいてくる頃、俺はミリアーヌに問いかけた。
「もっとあそびたい……」
「帰らないと怒られるよ」
「うぅ……うん、わかった」
残念そうにしながらも、シシカバネの言葉に渋々立ち上がる。
寂しそうなミリアーヌに、シシカバネがチラリとこちらを見上げてくる。
実際に話した期間は短いながら、シシカバネはミリアーヌのことを大切に思い始めているらしい。
それはミリアーヌ本人の性格故か、それとも二人の相性が良かったのか、その辺りは定かではない。
どうしたものかと考え、なんとなくアイテムボックスからそれを取り出した。
『お近づきの印に、って言うには遅いが、これをあげるガメ』
「? これなぁに?」
渡したのはエリザベートに贈ったものと同じく、テレジアへのプレゼントのために用意した試作品。
と言っても性能は然程強くはない。
一日一度、致命傷をなかったことにする。
そういう効果がある。これだけなら【救命のブローチ】と変わりないと思うかもしれないが、ブローチと異なるのはこれは身代わりをしても壊れないこと。
ブローチは確率さえ当たらなければ何度でも耐えきれるが、コレは一度当たればそれでおしまい。
そのため【救命のブローチ】の方が色々利便性があるとしてテレジアには渡せなかった装備だ。
まぁ【永遠】でアクセサリー枠が埋まってるし、さらにはコレもアクセサリー三枠潰すので、色々噛み合わずアップグレードもされなかった。
しかし、ミリアーヌに渡すには丁度良いと言えるだろう。
『これは【ミラクルブローチ】と言うガメ。御守り、のようなものガメ』
「そうなの? ありがとう!」
明るく笑って嬉しそうにしてくれた。寂しさは消えたらしく、ホッとする。
ミリアーヌは一人で帰るらしく、こちらに最後まで笑顔で手を振って、「またねー!」と言いながら走り去っていった。
暫く手を振り返し、今日は折角だからこのまま休もうと拠点……倉庫だった家を四人に魔改造された……に帰ろうと振り返ると、肩に重みが。
シシカバネが乗ったらしいと気づき、俺はそのまま歩き出す。
『楽しかったか?』
俺はシシカバネにそう問いかけた。
位置的に顔は見れなかったが、少し間を空けて「……少し」と素直じゃない言葉が返ってきた。
『素直じゃないガメー』
「むっ」
『叩くな叩くな』
ポコポコ……というには強すぎるSTRで叩いてくる。おかげで少し着ぐるみが凹む。
『ま、きっとまた会えるガメ』
「……うん」
シシカバネは、少し寂しそうにしていた。
そんな顔をするということも、俺は初めて知った。
今日は特に何もしなかった日だが、得るものはあった良い日だと言えるだろう。
少なくとも俺はそう信じている。
「……あのね」
『どうしたガメ?』
「今度から、カバネって呼んで」
『唐突ガメ。でもわかったガメ、カバネ』
「……うん」
唐突な要望に応えると、シシカバネ……カバネはぎゅっと俺の顔に抱きつく。
それがどういう思いで告げられ、行われたことなのか。
それがわかるのは、もっと先の話になる。
(◎n◎)<呼び方を変えて欲しくなったのはミリアーヌの影響です。
(◎n◎)<ミリアーヌは彼女が初めてオールドポンド以外で影響を与えられた人物になります。
(◎n◎)<友達になったのもミリアーヌが初めてです。
(◎n◎)<なんでそんなに仲良くなれたのかと言うと
(◎n◎)<『なんとなく』です。
(◎n◎)<ちなみにオールドポンドとは『なんとなく』惹かれて遭遇しました。
【ミラクルブローチ】
(◎n◎)<ほぼ【救命のブローチ】と同じ。
(◎n◎)<でも【救命のブローチ】とは違うから
(◎n◎)<同時に装備しても先に【ミラクルブローチ】が消耗される。
(◎n◎)<つまり最低二回致命を防げる。
グラムの必殺スキル
-
我が剣に曇りなし
-
剣一つあれば良い
-
神剣
-
一剣万象
-
剣の理
-
全なる一刀
-
そんなものはない