剣一つあれば良い   作:オルフェイス

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(◎n◎)<お察しの方もいると思いますが。
(◎n◎)<二体目です。


蒼、紅、兵器

 

【<UBM>【魚核猟 ハント・フィッシャー】が討伐されました】

【MVPを選出します】

【【■■】がMVPに選出されました】

【【■■】にMVP特典【猟魚機雷 ハント・フィッシャー】を贈与します】

 

【<UBM>【再接穫粘 モアクロープ】が討伐されました】

【MVPを選出します】

【【Q・デモンストランドム】がMVPに選出されました】

【【Q・デモンストランドム】にMVP特典【再穫鉢 モアクロープ】を贈与します】

 

【<UBM>【過丹煌潜 シヤーチ・プラーミヤ】が討伐されました】

【MVPを選出します】

【【百々目】がMVPに選出されました】

【【百々目】にMVP特典【火荷煌線 シヤーチ・プラーミヤ】を贈与します】

 

【<UBM>【拡超竜 エクステンダー】が討伐されました】

【MVPを選出します】

【【魔天シャワー】がMVPに選出されました】

【【魔天シャワー】にMVP特典【軍拡器 エクステンダー】を贈与します】

 

 

 

『イェーイ、特典武具ザクザクデビー』

「えっと、こんなので良いんでしょうか……?」

「……同意」

「持ち得る全てで勝ち取ったんですから実力です!」

 

 

 あれから数ヶ月後。

 場所は海。

 具体的に言うと<四海>と呼ばれる、グランバロアの海域。

 俺は四人を連れ、以前に約束していた特典武具取得のためにUBMを狩って回っていた。

 なぜ海なのかと言うと、地上と比べても海のほうが強力なUBMが多数いるのと、あと競争相手が少ないから。

 

 予想は的中して、誰の邪魔も入ることなく全員分の特典武具を獲得することに成功している。

 中にはこの海域に生息している個体ではなく空から来襲してきたUBMもいたが、それも返り討ちにした。

 

 

「リャールもおつかれさまです!」

『キュルル♪』

 

 

 シャワーは船を引いている海竜……リャールの頭を撫でて褒める。

 海竜のリャール。海に出るということで新しく購入したシャワーの従魔である。

 王国で需要が薄いためか品揃えは少なかったのだが、なんとか揃えているところへ向かい、シャワーは一目見た瞬間に「この子にします!」と即決。お金はあったので即金で買い求めた、という経緯だ。

 ステータスも亜竜級で低いが、従属キャパシティも決して多くない生産職であったシャワーはキャパシティ内に収めきれなかったためパーティ枠で運用している。いや、シャワーのエンブリオを考えればむしろキャパシティに入れるよりも適切だったか。

 

 

「でも、こんな方法でも特典武具って取れるんだね」

『相手のHPを単独で削りきればMVPになるのは当然デビ』

「普通なら出来ない……んでしょうけどね……ふぅ」

 

 

 チラリと、顔色を悪くしているブックの視線がリャールの頭を撫でるシャワーに向けられる。彼女も視線に気付くと胸を張って『フゥン』と聞こえてきそうな無言で主張してくる。

 実際、全体のMVPはと言えば、間違いなくシャワーになる。

 改めて説明すると魔天シャワーの<エンブリオ>である【共遍結理 ヒヨクレンリ】の特性は共有。一度に共有出来る数は単一機能であるためか第六形態の時点で六と多く共有範囲も広いが、共有できるのはパーティ枠に入っている存在に限定される。

 そして、必殺スキル《遍く心に繋がりを(ヒヨクレンリ)》によって加算も付け足されるようになっている。

 

 これによって、例えば俺がパーティに入るだけで全員に一〇〇〇万オーバーの攻撃力が加算される。というか実際、そうやって攻撃力の暴力でUBMを倒している。

 とはいえ攻撃力だけでは攻撃が届かないので《剣撃張離》や《断刻》も追加して剣を振るわせれば大概一撃で終わる。終わった。

 続けて百々目の《至縫》。裁縫をしている間はAGIが増加、リャールとAGIを共有することで超音速で移動が可能。

 つまり超攻撃力で一撃必殺、さらには超音速機動可能な従魔で移動できるというシナジーが噛み合わさった編成である。

 

 まぁ速く動きすぎると船の耐久がガリガリ削れるので移動中は緩やかに進ませているが。

 

 

『んじゃ、どうするデビ? もっとUBM狩るデビ?』

「私はやめておきたいですかね……その、体調的に」

「……船酔い?」

『あー、じゃあ今日のところは終わりにするデビー』

「わかりました! リャール、陸の方にお願いします!」

『キュルル!』

「あ」

 

 

 シャワーの掛け声にリャールは反応して反転、陸へと向かうように()()()()()で移動を始める。

 百々目の『それは不味いのでは』という声も聞き届くにはあまりに遅かった。

 ここで超音速のGを受けようものなら、顔を悪くしていたブックの体調はさらに悪化し……

 

 

「■■■■ッ!?」

『ちょっ、ストーップ!』

「あ、吐いた」

「リャールっ、止まって(Halt)!」

『キュルッ!?』

「どうどう……」

 

 

 ブックは海上にゲ(ピー)を吐き出した。

 気持ち悪そうにしているブックの背中を百々目が撫で……いや、どうどうを使うのは違……今はいいか。

 シャワーの言葉を受けてリャールは緊急停止。今度はゆっくりと海を進み始めた。

 アイテムボックスの中に何が船酔いに効くようなポーションあるいは薬でもなかったかと考え出し……ふと、遠くから近付く大きな白い影に気付く。

 

 それは、恐らく鯨。白い鯨。

 背中には無数の砲台。見方によっては船のようにも見える。

 その砲台が今、こちらへ向けられ、

 

 

『ちょっと今それどころじゃないから』

 

 

 砲撃される前に、砲身と()()()を切断。そして()()した。

 ちょっと急いだので何のスキルを斬ったのかは分からないが、最低限時間があれば良い。

 

 

「……ログアウトする?」

「ぅ……そう、します」

 

 

 口を押さえて気持ち悪そうにしていたブックは、よろよろと手を上げると、その場から姿を消した。

 今頃ベッドの上で呻いている頃だろう。場合によってはデンドロ内で起こったことも引きずるからな。

 そしてあの様子だと、戻るのは日を跨ぐことになりそうだと思いながら残った三人と視線を合わせる。

 考えていることは一緒のようだった。

 

 

『このまま全員ログアウトしちゃうデビ?』

「そうですね。ブックさんもいなくなっちゃいましたし……あぁリャール、怒ってないですよ。仕方ないですから」

「……では、お先」

「おつかれー。じゃあスポンサー、私もこの辺で」

『おう、またデビ』

「二人ともお疲れさまでーす! じゃあ私も帰りますね!」

 

 

 Q、百々目、シャワーがログアウトしてその場を去る。次にログインしたときはこの場ではなく王国のセーブポイントに集合することだろう。

 全員が消えたのを確認したあと俺もログアウトし、再びログインし直して王国へ帰還したのだった。

 

 

 ……あの時斬った白鯨のこともド忘れして。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 痛みが、ある。

 激痛。しかし慣れた痛みだ。

 癒える傷だ。

 そのはずだった。

 ()()()()

 治せない。

 水で全てを再構成しても、その傷は残り続けている。

 できるのは精々、これ以上血が流れないように傷口を覆うことだけ。

 屈辱だった。

 報復しようとした。

 しかし混乱から回復して攻撃しようとした時には、既にその姿は消えていた。

 怒りが残った。

 故に、()()は怒りを別の人間へぶつけることに決めた。

 傷は残っているが、その程度で自身が死ぬことはない。

 攻撃を集中されても良いように傷口は装甲で頑丈にした。

 他の部位ならいつでも水で再構成できる。

 ()()は……【双胴白鯨 モビーディック・ツイン】と呼ばれる<SUBM>は、そのようなことを思いながら最も人の多い場所……グランバロアへと突き進む。

 

 しかし……【モビーディック・ツイン】は知らない。

 自身の第二スキルが()()()、機能を停止していることを。

 ─────向かう先で、自身を殺す者たちに遭遇することも。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

【<SUBM>【双胴白鯨 モビーディック・ツイン】が討伐されました】

【MVPを選出します】

【【オールドポンド】【醤油抗菌】【ゼタ】がMVPに選出されました】

【【オールドポンド】に【紅海鯨艦 モビーディック・レッド】を贈与します】

 

 

『ん?』

 

 

 そして。

 オールドポンドが癒えない傷を与え、スキルを斬ったことで功績として数えられ、MVPの一人に数えられた。

 世界で初めての、二つの超級武具の所有者となったオールドポンド。

 それを成した当の本人は、ただ困惑しながらウインドウを見ていた。

 

 




【紅海鯨艦 モビーディック・レッド】
(◎n◎)<デカい。
(◎n◎)<推定【モビーディック・ツイン】と同等の大きさ。
(◎n◎)<そしてその分だけ盛られている。
(◎n◎)<具体的には第二スキルと、あとオールドポンドが操縦しなくても動かせるように知性が搭載されている。



【猟魚機雷 ハント・フィッシャー】
(◎n◎)<伝説級。
(◎n◎)<特典武具は、簡単に言うと追跡する機雷。
(◎n◎)<生前は水中から追跡する核爆発並みの威力の爆弾を撃ってくるやつだった。
(◎n◎)<威力だけなら神話級にも通じるし水球は速度はあるけど、口から一発ずつしか撃てず射程も500m程度で、チャージも必要だった。
(◎n◎)<なので気付いたオールドポンドがブックに指示して剣を水中に突き刺させて倒した。


【再穫鉢 モアクロープ】
(◎n◎)<伝説級
(◎n◎)<スライムのUBM。
(◎n◎)<海上で襲ったモンスターのドロップアイテムを溶かしながらプカプカ浮いていたら先手で斬られてHPが全損、死亡した。
(◎n◎)<特典武具は植木鉢。
(◎n◎)<植物ならどんな状態でも刺せば成長する。ただし純粋な状態のリソースが必要でそれ以外を受け付けない。
(◎n◎)<今は少し残っていた枝の残骸を突き刺して育てる予定。


【火荷煌線 シヤーチ・プラーミヤ】
(◎n◎)<古代伝説級。
(◎n◎)<“エラー”の一種。
(◎n◎)<水中で隠れ潜みながら海中から届く光を吸収し、さらに動力炉からの魔力も注ぎ込んで神話級金属をも融解させるレーザーを複数かつ細かく放てた。
(◎n◎)<……んだけど、海中から放たれたレーザーは全部オールドポンドが斬って防いで、通用しないと見ると海上に姿を現して水による減衰が発生しない場所からレーザーを放とうとしたけどその前に指示した通りに剣を振った百々目に倒された。
(◎n◎)<特典武具はガーディアンにアジャストした大きさで全方位レーザー攻撃が可能。でも無制御なため使うと超高熱で焼かれる。
(◎n◎)<百々目は必殺スキルで高いENDと高熱への耐性を得て克服可能。


【軍拡器 エクステンダー】
(◎n◎)<神話級。
(◎n◎)<生前は空中から来襲してきたやつ。でも強い。
(◎n◎)<なんでもかんでも拡張してくるのでニュートラルな無下限術式みたいなことをしてきたし、攻撃もオールドポンドみたいに広げてきたし、攻撃対象の拡張とかもできた。
(◎n◎)<オールドポンドなら普通に斬り殺せたけど、シャワーだと斬り方がわからないので攻撃が届くまでに避けられた。
(◎n◎)<でも雪だるま装備に変更してHPを減らし、攻撃力を上げたことで拡張に関係なく斬れるようになったので死んだ。
(◎n◎)<特典武具はスキル特化でステータス補正もなし。
(◎n◎)<そのスキルも枠を拡張する、というもの。ぶっちゃけシャワーの<エンブリオ>と相性が良すぎる。
(◎n◎)<これを手に入れたおかげで準備さえ済ませれば<超級>上位にも食い込めるようになった。

グラムの必殺スキル

  • 我が剣に曇りなし
  • 剣一つあれば良い
  • 神剣
  • 一剣万象
  • 剣の理
  • 全なる一刀
  • そんなものはない
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