剣一つあれば良い   作:オルフェイス

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(◎n◎)<さて
(◎n◎)<グローリアのお話です。

(◎n◎)<それと総合評価が2000オーバーになりました。感謝。


極竜……

 

 

「……流石に間に合わないか」

 

 

 ポツリと呟かれた声が、静寂の個室に吸い込まれる。

 いつもの自室。

 過去の教科書、ベッド、机、タンス、ゲーム器、そして画面を光らせているパソコン。

 閲覧しているパソコンの画面には……とある文字があった。

 そこには、

 

 『アルター王国に<SUBM>【三極竜 グローリア】来襲!』

 

 そう、書かれていた。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

『ここから戻るとなると、どう足掻いても間に合いそうにはないガメー』

 

 

 デンドロにログインし、その事実を噛み締める。

 <SUBM>【三極竜 グローリア】。

 それがどの程度の強さで、かつて対峙した【一騎当千 グレイテスト・ワン】と、どう違うのか。

 俺なら、例え相手との相性が最悪であってもデスペナ覚悟なら倒すのは不可能ではないだろう。

 しかしそれはあくまで相対することが出来たなら、の話。

 今そこにいない俺では、どう足掻いても【グローリア】と戦うことはない。

 

 

『王国北西ルニングス公爵領は生存者を出さずに全滅。そしてクレーミルもまた同様に壊滅させられた、か』

 

 

 既に、【グローリア】による被害は出ていた。

 <SUBM>と対峙したのは過去に二回。

 その二回とも、俺が矢面に立つことはなかった。

 【グレイテスト・ワン】は介入によって手伝うだけに留まり。

 【モビーディック・ツイン】はそもそもいつの間にか終わっていたし介入していた。

 この【グローリア】は、そもそも戦うことすらできそうにない。

 だが、今の段階でも分かっていることがある。

 このまま進めば王都アルテアに衝突し……王都に住むティアンは皆殺しにされるだろうことは、確実だ。

 いや、このまま倒せなければ王国の外にまで被害は増え続けるかもしれない。

 

 

『【大賢者】、ラングレイさんじゃ無理。アルティミアならワンチャンある……けど、良くて相打ち。テレジアは論外だ』

 

 

 俺の知る有名どころのティアンを挙げて、しかし全員が【グローリア】に敵わないだろうという嫌な確信があった。

 その確信は、既に載せられている【()()()()()()()()()()()によるものだった。

 

 

『極光、一定レベル以下を即死させる結界、ステータス上昇、さらには推定で復活機能付き。しかも追い詰められればさらに強くなるときた』

 

 

 極光。口から神話級金属をも溶かすであろう熱量のブレスを放つ。さらには増えた傷口からも光を吐き出し周囲を蹂躙する。

 即死結界。一定レベル以下の存在は必ず即死させられる。推測ではレベル499以下、追い詰められれば500、1000と増えていく可能性あり。

 ステータス上昇。HPの低下に応じてステータスが上昇。神話級のステータスからさらに上昇するとなれば、とんでもない化け物が生まれることだろう。

 そして一番の問題が、復活機能。尻尾を自切し、そこから肉体を再生させられる。早ければ一日と経過せずに復活する可能性が高い。

 ……恐らく、この考察を載せた人物は一度【グローリア】を()()()のだろう。そうでなければ復活が推測できるとは到底思えない。

 

 

『十中八九シュウだろうなぁ』

 

 

 考察を載せた人物に、俺は既に当たりをつけていた。

 考察を見る限り規格外過ぎる【グローリア】の情報を考察、推測、解体、暴露できるのは、俺の知ってる限りではシュウ以外にいなかった。

 

 

『考察を載せてるってことはシュウでも倒せなかった……いや、倒せたけどほぼ相打ちになった』

 

 

 それによって倒しきれずに推定・尻尾からの復活を許してしまった、と。

 仮にデスペナを食らったとなればシュウが戻ってくるまで三日は掛かる。

 その間にグローリアは復活し、侵攻を再開していた。

 考察が載せられた時間から逆算すると……恐らくシュウのデスペナ時間は過ぎて復活している頃だろうか。

 しかし……その間に次の大きな被害が出てしまっている。

 クレーミルの壊滅は、シュウのデスペナ中に起こったことだった。

 

 

『俺が行ければ良かったんだけどな』

 

 

 現在は【モビーディック・レッド】に乗って海から回り、最大戦速で向かっている。

 だとしても【モビーディック・レッド】の速度では、【グローリア】が王都に辿り着くまでに間に合わない。

 もし誰も、【グローリア】の侵攻を止められなければ……最終的にテレジアが【グローリア】とぶつかることになるだろう。

 

 そうなれば、恐らく()()()()()()()

 

 テレジアは【邪神】であり、<マスター>及びモンスター相手には無敵だ。どんな存在であれ、対象内なら殺しようがない。

 しかし例外もある。

 俺の《断刻》、【破壊王】の《破壊権限》などのように概念に干渉、破壊することができるスキルがあればテレジアの無敵は破れる。

 

 そして【グローリア】には、即死がある。

 

 俺の《断刻》は攻撃力以下であればなんであれ斬れる。

 【グローリア】もまた同じように、レベルがあり一定以下ならどんな生き物も殺せる。

 【グローリア】の即死は、俺や【破壊王】と同じような概念系のスキルであると俺は考えている。

 例え最初は効かなかったとしても、【グローリア】が追い詰められれば結界の出力も増し……いずれテレジアに牙を届かせるだろう。

 間に合うかどうか。

 【グローリア】が俺が到着する前に倒されてくれるかどうか。

 これに関しては、もう祈るしかない。

 

 

『……頼んだぞ、シュウ』

 

 

 そんなことを呟き、信じるしかなかった。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

「カメさん、つらそう」

「うん。辛いんだと思う。何もできないなんて、きっと初めてのことだから」

「……」

「……」

「……おねえちゃん、きっとだいじょうぶだよね……?」

「大丈夫。きっと無事でいてくれる」

「カバネちゃん」

「王国には、彼以外にも<マスター>がいる。あなたのお姉ちゃんも、お父さんも、きっと無事でいてくれるから。だから、泣かないで」

「……うん」

 

「……都合良く今代だけが死ぬ、なんてことになってくれたなら良いんだけど」

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 俺の心配は、杞憂に終わってくれた。

 【グローリア】は倒された。

 <アルター王国三巨頭>と呼ばれるようになった【破壊王】、【超闘士】、【女教皇】によるものだという。

 【超闘士】の名前はフィガロと言うらしいから、多分【破壊王】がシュウなのだろう。いつの間に超級職、しかも【破壊王】になっていたのか。

 巨大ロボットになって戦ったとかなんとか、【破壊王】の噂に関しては聞くことも多い。

 とはいえその正体については全く情報が出てこなかったようなので、上手く隠しているらしい。

 

 

「本当、王都にまで【グローリア】が来なくて良かった。マジでシュウには助けられた」

「そうね。おかげで私も終わらなくて済んだわ」

「最悪の事態は免れた感じだな」

 

 

 そして俺は、テレジアの部屋に来訪して二人きりで過ごしていた。

 ここに来る前、一度シュウが先に来ていたらしい。どうやらタイミング悪くシュウとすれ違いになったようで既にその姿はない。

 また会って礼を言える機会があれば良いが、と思いながらテレジアの入れてくれた紅茶を一口。

 紅茶は普段は飲まないのだが、美味しいと思う。多分。

 コップを下ろして人心地つくと、

 

 

「……テレジアが死ななくて、良かった」

 

 

 心の奥底から絞り出すように呟いた。

 俺にはティアンの知り合いが少ない。

 王城のティアン、【大賢者】にラングレイさん、あとは国王エルドルに、アルティミアとエリザベート。それにミリアーヌとリリアーナ。そしてテレジア。

 ……数えてみれば案外多いか。

 数は兎も角、【グローリア】が到来していれば全員死んでいた事には間違いない。

 だから……本当に安心していた。

 死なないでいてくれたことに、ホッとしている。

 

 

「……」

「テレジア?」

 

 

 テレジアが無言でじっとこちらを見つめてくると、静かに近寄り懐に入り込み、抱きついてきた。

 彼女を見下ろし、何を言ったものか、何をしたものかと悩んでいると、先にテレジアの呟きが聞こえてきた。

 

 

「……私も。あなたと別れることにならなくて、良かったわ」

 

 

 その言葉に、俺は何も言えなかった。

 別れ。

 もしそうなるなら、それは<Infinite Dendrogram>というゲームが終わる時だ。

 その別れは、良いものであって欲しい。

 未来がどうなるのか分からないとしても、俺はそう思うし、そうしたい。

 だから死別なんてさせない。

 テレジアは死なせない。殺させない。

 ()()()()()()─────

 

 

「……? どうしたの?」

「あ、いや。なんでもないガメー。ちょっと気を逸らしてたガメー」

「口調が戻ってるわ」

「まぁまぁまぁまぁ」

 

 

 誤魔化すように、ついテレジアの頭を撫でる。

 彼女は心地良さそうに俺の手に頭を委ね目を細め、追求はやめてくれた。

 ……こんな時間が、ずっと続いてほしいものだ。

 

 そう思いながら、俺はテレジアの頭をゆっくりと撫で続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なお途中でカバネが出てきてテレジアと喧嘩になってしまい大惨事になってたりする。

 





(◎n◎)<まず結論から言うと
(◎n◎)<今回の【グローリア】で原作と変わったのは三つです。
(◎n◎)<それは、
①【グローリア】と【破壊王】の初回遭遇&相打ち、そして復活。
②【グローリア】の情報が出回ることによるクレーミルの住民の避難による生存。
③【グローリア】との最終決戦の<超級>たちの戦う順番。
 です。

(◎n◎)<詳しいことは省きますが、③に関してはゼクスは変わりません。
(◎n◎)<超級武具に変化はあるのかどうかについては内緒です。実のところ現段階では決まってませんので……
(◎n◎)<あぁ、ちなみに。
(◎n◎)<【グローリア】によって<超級>は増えました。


(◎n◎)<なお、オールドポンドが王国にいなかったこと、そしてなぜすぐに帰れなかったのかと言いますと
(◎n◎)<とある子を連れて、クエストのためにグランバロアに行ってたからです。
(◎n◎)<セーブポイントを更新したタイミングで管理AIが【グローリア】を投下したので、遅れることになりました。

グラムの必殺スキル

  • 我が剣に曇りなし
  • 剣一つあれば良い
  • 神剣
  • 一剣万象
  • 剣の理
  • 全なる一刀
  • そんなものはない
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