剣一つあれば良い   作:オルフェイス

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(◎n◎)<一つ飛んで五。
(◎n◎)<四は情報が出てないのと、五は当てやすかったので。
(◎n◎)<でも短いです。ろくに書けなかったですなぁ……


五行、兜

 

『……』

『……』

「……何してるの?」

『わからん。なんか睨み合ってるガメ』

 

 

 色々あって、場所は海上。

 目の前にいる鎧……鎧武者。

 ()を被った三メートルほどの大きさだ。

 それでいて中身がない。恐らく分類としてはエレメンタルと思われる。

 

 こいつに遭遇したのは、久々に天地に向かおうと【モビーディック・レッド】で航海していた時のことだ。

 海上を進んでいた【モビーディック・レッド】の船体に何かが衝突。衝突した何かこと【ホロビマル】はそのまま船の上にまで這い上がり、こう言った。

 

 

『我が武具を欲する者はいるか。

 欲する者は我に挑め。

 残るは兜、大弓と大長刀、そしてこの大鎧である。

 我は<すぺりおる・ゆにいく・ぼす・もんすたあ>。

 【五行滅尽 ホロビマル】である』

 

 

 と。

 そう言ったきり、鎧武者……【ホロビマル】は沈黙を保っている。

 俺もどうしたものかと頭を悩ませている。

 そうしていたらなぜか睨み合いになっていた。

 ……なんでこうなった?

 

 

『……』

『……』

 

 

 少し考える。

 <SUBM>。こいつは確かにそう名乗った。

 嘘ではないのだろう。かといって事実でもない。

 こいつが()()ではないのは見たらわかる。

 だから倒しても特典武具を手に入れることはないだろう。

 

 

『まぁそれはそれガメ』

 

 

 とりあえず戦ってみるかとグラムを紋章から出して構える。

 そして【ホロビマル】もまた構え……構え?

 いや構えてないなこれ。

 【ホロビマル】は……片手を出して掌を見せていた。

 そして、

 

 

()()()()()()()。所望』

 

 

 と、こんなことを言われた。

 周囲が沈黙に包まれ、海の音だけが聞こえてくる。

 カバネに顔を向け、カバネからは首を横に振られた。

 改めて【ホロビマル】に顔を戻し、全く動く気配がないのを見て、息を吐く。

 

 

『……あー、【剣神(ザ・ソード)】ガメ』

『──確認候』

 

 

 自身のジョブ名を名乗り、ようやく【ホロビマル】は武器を構え始めた。

 その手に持つのは大長刀。

 それを振るわんと一歩踏み出し、

 

 次の瞬間には俺の攻撃を感知して大長刀で防御を試みる。も、グラムの斬撃で防御ごとその身体を両断された。

 ガタンガランと二つに別れた鎧が甲板に倒れる。

 念のため落ちた【ホロビマル】の上半身と下半身を上下に斬り裂いて四つに斬り分けておく。

 

 

「わー、おーばーきる」

『でもないんだよな、これが』

「?」

 

 

 見ろ、とばかりに【ホロビマル】を指差す。

 あっさりと終わってしまった戦い。

 指差す先には【ホロビマル】の四つに別れた鎧。

 ()()()()()()

 カバネがそれに気付くのと、次の異変が起こるのはほぼ同時だった。

 斬られたはずの【ホロビマル】が、元の状態へと戻り五体満足で立ち上がる。

 そして兜を取ると、差し出してきた。

 

 

『よくぞ我を倒した。この武具は御主のものである』

 

 

 暫く兜を見つめ、取り敢えず受け取る。

 戦国風の兜。ウインドウを見てみて……使えないとは言わないが、メイン装備にはしないな、という感想だった。

 防御力に関しては【だぶるかのん】で事足りるし、この《奇醜殺し(アンチ・ステルス)》という装備スキルは、奇襲に対しては滅法強いのだろうが……では俺に必要なのか、と言われると……うーん、と唸る。

 なのでカバネに渡した。

 カバネは兜……【試製滅丸星兜】を受け取ると、少し両手で回して観察し、兜を被った。

 結果、白無垢衣装を着て兜を被った少女の完成、と。

 なんだこれ、属性だけてんこ盛りにしました感あるんだけど。

 

 

「とても良いけど、服に合わない」

『そこは我慢してほしいガメ』

 

 

 どうやら装備スキルに関しては気に入ったらしく、メイン装備とするようである。気に入ってくれたのなら何より。

 

 そうこうしている内に【ホロビマル】は甲板を歩き、端へと手をかけているのが見えた。

 何をするのかと思い様子を伺う。

 【ホロビマル】は……そのまま船から飛び降りた。

 

 

『「え」』

 

 

 ザヴァーン、と音が鳴る。

 慌てて近づき下を見れば、海を進んでいく【ホロビマル】の姿があった。

 【モビーディック・レッド】から遠ざかるように離れていく【ホロビマル】に、俺はもうなんとも言えなかった。

 

 

「私も戦いたかったのに」

『あー……それはそうガメ』

 

 

 カバネから呟かれた言葉に、俺も思わず頷いた。

 正直、グラムを使わず神話級金属製剣で戦ってみたかった。

 少なくともグラムで戦うよりも、はるかに難敵だったであろうことは間違いない。

 技量も相応に高そうだし、惜しいことをしたかもしれない。

 

 ……あぁいや、あるいは。

 

 

『だからこそ、かもな』

「?」

 

 

 不思議そうにこっちを見てくるカバネに、俺は思う。

 あるいは【ホロビマル】は、カバネとの交戦を()()()ために態々船を降りたのではないか、と。

 確信はない。

 ただ、あり得そうだとは思った。

 鎧を通して見える、リソースの先。

 【ホロビマル】の本体。奴がどのような<SUBM>であるのか。

 それ次第では【ホロビマル】がカバネとの交戦を避ける理由が、あったのかもしれない。

 ……まぁ、既にいなくなってしまった以上は考えても仕方のないことではある。

 

 

『気を取り直して、レッツゴー天地ガメー』

「おー」

『〜♪』

 

 

 カバネと拳を掲げ、あと【モビーディック・レッド】の機嫌の良さそうな鳴き声を聞きながら船を進ませる。

 その後は他の何かと遭遇することはなく、天地へと到着したのだった。

 

 ちなみに天地に辿り着いて早々に内戦が勃発していて、他の<超級>と戦うことになったりしたが……機会があれば、語ることもあるだろう。

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 兜は歴代最強の【剣神】オールドポンドに、そして彼に従う元【■■】に渡された。

 

 ここで起きたタイムパラドックスは、主に二つ。

 

 兜の持ち主と、【ホロビマル】と【()()】の未遭遇。

 それは【勇者】の弱体化を意味し……そして同時に、【勇者】の生存の確率が上がることを示していた。

 

 

 




<【ホロビマル】
(●_●)<ノーコメント。
(◎n◎)<だ、そうです。

<試製滅丸星兜
(◎n◎)<シシカバネの生存能力が上昇しました。
(◎n◎)<【勇者】の生存能力が減少しました。
(◎n◎)<【勇者】の運命力が変動しました。
(◎n◎)<多分これで、【疫病王】との遭遇確率が一気に減少します。
(◎n◎)<そもそも辿り着けなくなるので……

グラムの必殺スキル

  • 我が剣に曇りなし
  • 剣一つあれば良い
  • 神剣
  • 一剣万象
  • 剣の理
  • 全なる一刀
  • そんなものはない
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