剣一つあれば良い   作:オルフェイス

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(◎n◎)<戦争、開始です。


第一次騎鋼戦争・軍と軍

 

 その戦争は、後に第一次騎鋼戦争と称されることになる。

 本来ならばアルター王国に所属する<超級>が全員不参加という圧倒的不利な状態から始まるはずだった戦争。

 勝利するのはドライフ皇国で、王国はあまりにも多くの人材を失うことになる。

 例えここで王国が勝利したとしても得られるものはなく、無駄に資源と命が消費される。

 勝っても負けても王国には利がない。そんな戦争だった。

 

 しかし、既に未来は変わっている。

 王国が勝っても得られるものがないのは変わりないが、王国に参加する戦力が違う。

 特殊超級職【聖剣姫】の参加。

 新たに<超級>となった【剣王】。

 【聖剣姫】の依頼、説得により参戦することとなった<超級>【超闘士】。

 そして<超級>に匹敵する戦力を有する広域制圧型の魔天シャワー。

 これらの戦力の参戦が決定されたことで、戦争の結末はわからなくなってきている。

 

 もしかしたら王国が勝つ……そんな未来も、あり得るかもしれない。

 だが、戦力が増えたことで変わるのは何も王国だけではない。

 ドライフ皇国もまた、相手によってその対応を変えてきている。

 

 特に皇王ラインハルトは、参戦している【聖剣姫】の捕縛を優先する。

 皇王の心、感情、想い。その全てを知るならば至って当然の行動。

 【聖剣姫】アルティミアは、戦争の真っ只中で親友である【衝神】クラウディアと戦いを繰り広げることとなる。

 

 ────しかし、その前に。

 

 ()()()による衝突が、始まっていた。

 

 

 

▼◀▼◀▼◀

 

 

 

 その男、皇国所属の<超級>の一人である“矛盾数式”ローガン・ゴッドハルトは高揚していた。

 皇国と王国による戦争。それは<Infinite Dendrogram> のサービスが始まってから初の超大型イベント。

 

 彼はそれを楽しみにしていた。

 

 ローガンは所謂<遊戯派>と称される<マスター>の一人。この世界をゲームであると認識している。

 ローガンの視界から見える光景も現実視ではなく2D仕様。この世界を生きるティアンも、所詮はNPCとしか認識していない。

 だから、ローガンはこれからやろうとしていることに何の罪悪感を抱くこともない。ローガンにとっては所詮はゲームでしかなく、それが当然のことだと思っているのだから。

 

 話は変わるが、ローガンのジョブとエンブリオはそれぞれ【魔将軍(ヘル・ジェネラル)】と【技巧改竄 ルンペルシュティルツヒェン】という名である。

 それぞれの特性は、【魔将軍】がコスト還元による配下となる悪魔のインスタント召喚。

 そして【ルンペルシュティルツヒェン】はジョブスキルの数値改竄。必殺スキルならば十カ所を十倍にすることができる。

 本来ならば費用対効果が偏り、効率の悪い【魔将軍】のインスタント召喚を【ルンペルシュティルツヒェン】は高効率の召喚へと改竄することができるというシナジーを両者で発揮している。

 

 だからローガンは、亜竜級一体分のコストで約二〇〇〇体分の悪魔を呼び出すことができる。

 

 今回の戦争では、さらに多くの亜竜級の悪魔を呼び出せる。それだけのコストとなる予算を皇国からは渡されている。

 故に、ローガンは三〇〇〇を優に越す悪魔を召喚し、全軍を出撃させた。

 実際、それだけで数の暴力として成立する以上、それ以上の策を練る必要がない。数が減れば、渡されたコストを使いさらに増やせば事足りる。

 自身はただ、配下の悪魔たちがNPCを蹂躙する様を見ているだけで良い。

 

 ─────()()()()()()()

 

 

「なんだ、これはっ!?」

 

 

 ローガンは叫ぶ。

 彼の視界の先には、到底あり得てはならない光景が写し出されていた。

 ローガン本人が追加した亜竜級悪魔が六〇〇〇と、

 

 それを()()()()()()()()()()()()()()()()()()が、ローガンには見えていた。

 

 その数はローガンが追加した悪魔たちよりもはるかに少ない。精々が一〇〇〇に達する程度。

 六倍の戦力差がありながら、一方的に倒されているのは悪魔の方だった。

 否、六倍などという戦力差ではない。

 ローガンは知らない。そのゴーレムたちのステータスなど。

 六倍以上の戦力差は、むしろ悪魔たちに当て嵌まっていることに。

 

 

「っ……! 《コール・デヴィル・ギーガナイトォォ》!!」

 

 

 ローガンは呼び出す悪魔を変えた。

 それは【魔将軍】の召喚できる伝説級の悪魔。とはいえそれはステータスが、という話でしかなく、扱いは伝説級モンスターと変わりない。

 そして単体では伝説級<UBM>に劣る悪魔だが……それも数を揃えれば話は変わってくる。

 

 

「《コール・デヴィル・ギーガナイト》!《コール・デヴィル・ギーガナイト》!」

 

 

 次々とローガンは悪魔を召喚する。それに応じてコストも消費されていくが、与えられた予算を随時贄として捧げることで維持している。

 その数は、既に数十を越している。

 伝説級悪魔【ギーガナイト】はステータスが伝説級と同等。普通なら、これだけの伝説級悪魔の群れを呼び出されれば蹂躙されるのは相対する方となる。

 

 ()()()()()()()()

 

 身長は二メートル強で、分厚い金属鎧で全身を覆い、兜のスリットからは蟲の脚らしきものが幾つも覗く。そんな容姿をした【ギーガナイト】たちが、迫るゴーレムを撃退せんと大剣と大盾を構え、

 

 まるで紙切れのように、【ギーガナイト】たちはゴーレムに弾き飛ばされ殴り殺される。

 

 

「は?」

 

 

 そんな間抜けな声がローガンの最期の言葉だった。

 超々音速を超える速度で、一瞬の内にローガンの【救命のブローチ】を破壊し即座にその命すら奪い取った。

 

 こうしてあまりにも呆気なく<超級>であるローガンは戦争からリタイアすることとなり……その直後に、ゴーレムたちに魔法と砲弾の数々が振り注いだ。

 あるゴーレムは回避し、あるゴーレムは防御態勢を取り……そしてあるゴーレムは、魔法か砲弾によって()()()()()

 

 ゴーレム……魔天シャワーがパーティに編成したモンスターたちは、【ヒヨクレンリ】の共有加算がなければ非常に弱いモンスターだ。

 度々行われるモンスター討伐で成長しステータスが上がれど、本質的なステータスの低さは変えられない。

 

 約1000体近くのゴーレムは、総計すればそれぞれSTR、AGIが二〇万オーバー。ENDに至っては二〇〇万オーバーにまで達しつつある。

 しかし……そのH()P()は、本来の強さと同じ程度にしか有していない。HPの共有まではされていない。

 もしHPも共有すれば、死にづらくはなるかもしれないが仮に1体に攻撃が集中し一気に削られることになればそのまま全員がHP全損によって死亡しかねない。

 だからHPの共有をすることがない。

 故に、防御力無視や固定ダメージによる攻撃が来れば、脆くも崩れ去る。

 そしてその数を減らすことになれば共有加算する相手も減るということになり、ステータスは減少することになる。

 

 しかしそれでもゴーレムたちのステータスは強大。

 

 完全に倒される前に、多くの戦果を叩き出す。

 万を超える戦力を無力化・打倒し、ゴーレムたちは完全に沈黙する。

 <超級>ではない戦力が、これほどの戦果を挙げたのは凄まじいことだ。

 

 戦争の形勢が、一気に王国に傾くくらいには凄まじく。

 だからこそ、皇国もまた死力を尽くしてくる。

 

 ローガンが倒されたのであれば、出てくるのは次の<超級>。

 初手で王国側の超級職【大賢者】の魔法を打ち砕き、殺害してみせた者。

 後の”物理最強“、【獣王】である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、それと相対することとなる相手も、既に決まっている。

 

 

「じゃあ、やろうか」

 

 

 その者の名前は、フィガロ。

 王国の決闘王者、【超闘士】フィガロ。

 

 獣と武。両者の戦いが始まろうとしていた。




(◎n◎)<閣下はすぐ死ぬ。慈悲はない。そして【大賢者】ナレ死。

<獣と武
(◎n◎)<オールドポンドがいなければ王国最強だった男と物理的に最強クラスが、次回ぶつかる。
(◎n◎)<色々疑問が生じてるだろうけど、それは次に説明します。
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