『そういうわけなんで、なんか強くなれそうな場所とか知らんガメ?』
「なにがそういうわけなのかわからないけど、もっときくべきひとはほかにいるとおもうわ」
『……言われてみればそうだな』
あれから1週間。
俺は彼女、テレジアに会いに来ていた。
後日シュウに聞いてみたらあの日、あの場所にいたあの子はテレジア・
で、俺か今いる国の名前はアルター王国。テレジアの苗字もアルター。
つまりテレジアは王国の王女である。第三王女だそうな。そんな大物が特殊超級職(恐らく)で、しかも誘拐されていたというのだから驚きだ。生産職なのだろうか。
さて、俺はテレジアの中にあるものを斬ると目標を定めたわけだが、そのためにひとまずレベルを上げることにした。
それが一番手っ取り早く力をつける方法だったからだ。
今は超級職以外のジョブをカンストさせて合計レベル500になり、今は超級職のレベルを上げているところ。
……なのは良いのだが、少し問題があった。
レベルだけ上げても俺の求めるものには届かない、と気付いたのである。
レベル上げも必要だが、それ以上に強敵が欲しい。斬るのに苦戦するような、あるいは考えさせられるような敵が欲しかった。
だから聞きに行った。
訪ねてみるとなぜかスムーズにテレジアと会えたのは少し誤算だった。てっきり王女と言うくらいだから会うには時間が掛かるか……あるいは門番払いされると思っていたのだ。
そんなテレジアは、なんか大きな齧歯類に乗っている。多分ペット。
「わたしはそとにどんなばしょがあるのか、ほんでしかしらないわ」
『まぁ話聞く限り箱入り娘って感じだガメ』
「じっさいそうだもの。でも、それならなんできいたのかしら」
『テレジアなら知ってそうだと思ったガメ。ただの勘ガメ』
実際、それしか理由がない。
テレジアなら知ってそうだ、と思った。本当にただそれだけだ。一桁年齢の幼女に何を期待してるのか、という話でもあるが。
でも、間違ってはいないと思う。
「……わたしのしってることでいいなら、きく?」
『是非ともお願いするガメ』
テレジアが教えてくれる感じになったので座って聞く姿勢に。
「つよくなれそうなばしょ、というけど、どういったことをもとめているの?」
『レベルは戦っていけば上がるからとりあえず猛者と殺り合いたいガメ。ダンジョン的なものを求めるガメ。あと無限湧きしてくれるとありがたいガメ』
「それなら……」
テレジアは少し考え出した。
知ってそうだ、とは思いこそしたが、実際この子は何処まで知っているのだろう。
そういった懸念はすぐに消え去った。
「<神造ダンジョン>」
感じ取ったのは、雰囲気。
何かしらの単語を呟き、その喋り方は先程の幼い子供のようでない。
数々を経験してきた、大人びた雰囲気のそれだった。
「<淫魔の宮><貧富の墳墓><飢餓の山脈><悋気の水底><安寧の流刑地><修羅の奈落><優越の天空城>……そして<墓標迷宮>。この中で一番あなたの要望に適しているのは、<修羅の奈落>かしら」
『どんな場所ガメ?』
「『過去に戦いで死んだ者達』をシルエットとして配置してあるの。超級職も含まれていて、あなたの言う無限湧きもするわ」
『そいつは良さそうガメ。それって何処にあるガメ?』
「天地よ」
『うーん出戻り確定ガメ』
仕方ねぇ。テレジアが言うのだから一番俺の求めるものがあるだろう。
じゃあ行くしかない。行って武者修行……でいいのか?
まぁとにかくレッツゴーだ。
『助かったガメ。早速行ってみることにするガメ』
「やくにたてたのなら、よかったわ」
『……』
雰囲気が元の……最初のそれに戻り、俺は無言になった。
テレジアは不思議そうに首を傾げ、見つめてくる。
「どうしたの?」
『んー……これ言っていいのか迷うガメ。いや言うか』
「?」
なんか踏み込み過ぎるか、とも考えた。
人には触ってほしくない部分もあるし、テレジアにもそういうのはきっとあるのだろう。
でも今は言うことにした。
『隠したりしなくても大丈夫だぞ』
「─────いいの?」
『おう』
「……私が【■神】でも?」
聞き取りづらく、隠されている。実際そうなのだろう。
しかし……なるほど。
ざっくりとだが、わかった。
『俺のジョブと似た名前してるガメな?』
「……え」
『どしたガメ』
なんだろうな。
ありえないものを見た、という顔で。
そして、とても嬉しそうに見える。
「…………少し、言葉に迷うわ」
『なんか悪口言われる兆候だったりするガメ?』
「いえ、そういうことではないの。絶対、それは違うから……ごめんなさい、少し待って」
『お、おう』
テレジアは胸を押さえ、落ち着かせようと深呼吸していた。
しばし時間を経て、テレジアは顔を上げた。
「混乱したけど、もう大丈夫」
『それなら良かったガメー』
「……いつ頃、天地に行くの?」
『テレジアと話し終わったらすぐに行く予定ガメ。どのくらい滞在するのかはまだ未定ガメ』
「…………そう、なの」
間を置き、呟かれる。
何処か寂しそうに見える、気がする。
勘違い……とかではないだろう。多分。
このくらいの年齢なら、自由に遊び回っている時期だ。愛されてはいても、家族とは違う親しい他者に飢えている、のかもしれない。
絆されやすいのか、それとも別の理由か。
だが、なんであれ言うべきことがある。
俺は立ち上がり、テレジアに向け、
『また会いに来るガメ』
ちゃんとテレジアに会いに行く、と。
そう告げた。
「……、えぇ、待ってるわ」
少しの間を経てから返答が返ってきた。
彼女が今何を考えているのかは、わからない。
わからないが、今はこれでいい。
俺は足を進め、テレシアの部屋から出た。
……さて。
『行くか、天地』
できることなら、最短で欲しいものが手に入ると良いが、と。そう思いながら。
☆☆☆☆☆☆☆
そうして。
結構な時間が掛けて天地に到着し、<修羅の奈落>の場所を探すのに1日。
そして<修羅の奈落>に入り、迫る敵を斬り殺すこと
ちなみにこの<修羅の奈落>、普通に他のティアンもいたしマスターもいるし、普通にティアンやマスター、さらにはモンスターとも三つ巴ならぬ四つ巴になる機会が多数あった。
まぁ挑まれたのなら仕方ないと上記したように斬り殺しているわけだが。
テレジアが言っていた通り、ここは俺に適した修行場だった。ティアンもマスターもモンスターも、こちらの都合に関係なく襲い来る。
それに対処していけば自然とどうやれば良いのかも分かってくる。身体の動かし方も、剣の使い方も、
正直に言うと、とても楽しい。
自然と笑みが零れ、今も迫り来るモンスターを殺すべく剣を振るい……
伸ばされた射程によって斬り殺したモンスターの内、妙な手応えを感じた。
ゆっくりと流れる時間の中、見てみれば斬り裂かれたモンスターが上下に分かれているように見える。妙な手応えと思わしきものは既に死んでいるように見える。
現に切り裂かれたはずのモンスターはすぐに身体を再生、斬られたことなどなかったかのように、別のモンスターの姿へと変えて襲い来る。
『だろうな』
完全に仕留めきれてないと確信していたが故にすぐに反撃を繰り出し、迫るモンスターの首を刎ねた。
首が宙を舞い、モンスターの身体が地面に倒れ、そのすぐ後に頭部が地面に落下し……すぐに光の塵となって消え去った。
【<UBM>【重面層 レイヤー・マスクド】が討伐されました】
【MVPを選出します】
【【オールドポンド】がMVPに選出されました】
【【オールドポンド】にMVP特典【すーぱーきぐるみしりーず れいやー・ますくど】を贈与します】
先ほどの個体はUBMだったらしい。
最初に出くわした時は何なのか知らなかったが、調べていく内にユニークボスモンスターの略称であり、とても強いが倒せば特典武具というものが貰えるモンスターであるということは分かっている。
しかし、今の俺に喜びはそこまでない。
『うーん、これで3体目ガメー』
実のところ、アルター王国から天地に行くまでの道中で合計2体のUBMと遭遇し、倒していた。
一体は伝説級。もう一体は古代伝説級のUBMだった。お陰で時間を食ったし然程珍しさを感じていない。
伝説級は兎も角、古代伝説級には苦戦させられた。純粋に素早く、それでいて軽いくせに
と、
『させないガメー』
超級職シルエットが最終奥義を繰り出そうとしていたので、先んじて首を刎ねる。
他にもその隙を突かんと超級職が迫る。速さからして前衛型速度特化だろう。
先を読んで斬る。次は魔法が来る。炎属性、クリムゾンスフィアじゃなくて別の炎。多分炎属性の超級職か。
MPを剣に
時に逸らし、流し、弾き、切り裂く。
『そろそろ湧いてもおかしくないはず……お、出たガメ』
モンスターを倒していると目当ての敵が現れた。
そいつはなんとも魔王らしい姿をしていた。
なんとも厨二心が擽られそうであり、悪役として出てきそうな風貌。
【
『じゃ、
そんな敵を相手に、俺は剣で斬り掛かった。
そうして修行を続け、さらに三日。
【重面層 レイヤー・マスクド】
自身の身体に層を作り、その表面にステータスやスキルをコピーした姿を写し、さらに一度殺されても層を脱ぐことでダメージや状態異常を外層に押し付け復活するモンスターだった。
本来なら古代伝説級も狙えたモンスターだったが、なんとなく察知したオールドポンドに2度瞬殺された。
着ぐるみになってからは一日一度、自壊することで全回復復活するようになった。
他のUBMは
伝説級【戒律武猿 シャツァン】
古代伝説級【重落堕鳥 クレーター・フォール】
両方とも着ぐるみではない特典武具になった。
ちなみにクレーター・フォールは鳥じゃない。
【死子幼蕾 シシカバネ】
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グラムの必殺スキル
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我が剣に曇りなし
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剣一つあれば良い
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神剣
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一剣万象
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剣の理
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全なる一刀
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そんなものはない