剣一つあれば良い   作:オルフェイス

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(◎n◎)<原作時間、到着です。

(◎n◎)<それと今更ですが、UAが10万を超え、総合評価が三千に近づきつつあります。ありがとうございます。

(◎n◎)<とりあえず評価者百人を目指して頑張ろうと思います。


交差

 

 <Infinite Dendrogram>

 それは無限の可能性を謳ったゲーム。

 2043年7月15日に発売されたダイブ型VRMMOであり、今までのVRの常識を覆した前人未到のゲーム。

 五感を完璧に再現した完全なるリアリティ、全世界総人口がログイン可能な単一サーバー、現実世界の3倍もの速度の時間……などなど、数え上げればキリがない。

 

 そして<Infinite Dendrogram>にログインしたプレイヤーはこの世界に存在する人間と変わりない思考を有するNPC、ティアンと交流することができ、プレイヤーは皆<マスター>と呼ばれる。

 現実との差が殆どない、限りなく本物に近しいゲーム。それが<Infinite Dendrogram>である。

 少なくとも大半のプレイヤー……<マスター>はそう思っている。

 

 さて、そんな<マスター>だが、ある種の特権のようなものを与えられている。

 特権……というよりは、<Infinite Dendrogram>という世界を生きるために必要な力と言うのが正しいか。

 その力の名前は<エンブリオ>。<マスター>だけに与えられる力。

 人のパーソナルと経験を読み取り成長し、その<マスター>だけの<エンブリオ>へと変わるオンリーワンしか存在しない唯一無二、無限の可能性。

 運営……<Infinite Dendrogram>を作り出した管理AIたちの目的こそが<エンブリオ>であるが、それを知る者は極少数。

 <マスター>及び<Infinite Dendrogram>の住民たち含めて。

 

 人とは千差万別。

 怒る者、悲しむ者、楽しむ者、求める者、戦う者、作る者、壊す者、直す者、否定する者、肯定する者─────そこに限りはない。

 ただ楽しむために世界を引っ掻き回す者もいれば、復讐のために全てを費やす者もいる。

 守るために戦う者もいれば、ただ闘争を求めて戦う者がいる。

 滅ぼす者もいれば、それを止める者もいる。

 <マスター>も、それは変わらない。

 ゲームと思って遊ぶ者がいる。

 現実と認識して生きる者がいる。

 逃げ場を求めて来る者がいる。

 全てを終わらせるために来る者がいる。

 求めるモノのために足掻く者がいる。

 知るために来る者がいる。

 悲劇を防ぐために、抗う者がいる。

 

 これは<Infinite Dendrogram>。

 <マスター>は、何をしても自由であることを認められている。

 だから犯罪をする者もいる。それを止める者もいる。

 言ってしまえば、なんでもありだ。

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 今あるこの世界は、そのように作り変えられてきたのだから。

 

 これは、この物語は。

 剣を振るう者(オールドポンド)の物語であり。

 そして、この世界を生きる者たちの物語である。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

『おー、初めて来たけどこっちもこっちで人が多いガメー』

 

 

 第一次騎鋼戦争が一旦の休戦を迎えてざっくり数ヶ月ほど。

 俺は決闘都市と称されるギデオンへやってきていた。

 理由は色々あるが、なんでもイベントがあるらしいので折角だからと向かった次第。

 なんでも<超級>同士での決闘が繰り広げられるらしい。

 片方は王国の決闘王者【超闘士】フィガロ。

 対するは黄河の決闘ランキング二位【尸解仙】迅羽。

 どちらも俺はどのように戦うかなど知らないので、楽しみではある。

 ちなみに今回は一人だ。

 本当なら知り合いを誘いたかったのだが、尽く都合が悪かったので単独でギデオンに来ていた。

 テレジアは立場と建前から誘えないし、そもそも俺には知り合いが少なく誘える相手がいない。ブックたちいつもの四人組……<MDQB>もそれぞれリアルとゲーム、それぞれの都合でここにはいない。

 それと、一部の製作品に名付けられているのと同じ名前をパーティ名にしたらしく、俺も今後は四人を表す時は<MDQB>と呼ぶつもりだ。

 まあそれはともかくとして。

 

 

『時間まで結構あるガメー。何して時間を潰すか迷うガメー』

 

 

 待ち合わせの時間には余裕を持たせて集まる主義である俺、じゃあ今度はどうやって時間になるまで待っていようか、と考える。

 モンスター狩り……するのは難しいだろうなぁ。今はイベントがあるし<マスター>も集まってるってことは周辺にモンスターが狩り尽くされていなくなってるだろうし。

 装備品とか掘り出し物を探す……のも、正直あまり。<MDQB>の四人がいるおかげで目が肥えすぎてるし、その辺りで困ったことないしなぁ。

 

 

『とりあえず歩いて観光でもするガメー』

 

 

 そういうわけなので、ギデオンを歩くことにした。

 

 

『……ん?』

 

 

 というところで、ひとまず中央市場を通って色々回ろうとしたところで、人集りが見えた。

 具体的に言うと沢山の子供達と、それらに群がられる一人ならぬ一匹の見覚えのある熊シルエット。

 

 

『おおぅ、大人気クマー! 気分は来日スタークマー!』

 

 

 久しぶりに見た気がする俺の着ぐるみ道の先達、シュウ・スターリングであった。

 あと頭にヤマアラシ的な姿をした<マスター>が乗っかってる。こちらも見覚えがある。確か【グレイテスト・ワン】の時の……二人とも知り合いだったらしい。

 久しぶりだし話しかけようと声を上げようとして、その前に声をかけた人物がいたので一旦止まる。

 ついでに装備も変えて久しく着てなかった【ますくど・れいやー】にチェンジ。不審者感が増したが、初見で誰かとはわかるま……いやシュウならわかるか。

 

 

『ふむふむ、なるほど?』

 

 

 盗み聞きしてるようで悪いが、話を聞く限りではリアルで兄弟の模様。名前はレイ・スターリング、と。こっちでも名前が名字だけとはいえ被るとか珍しいな?

 うーん。

 よし。

 

 

『家族で仲良く話してるみたいだし、また今度にするクロ』

 

 

 くるりと翻しその場を後にする。

 会うのは久しぶりになるが、会う機会は今回が最後ではない。

 会いたければ、また会いに来れば良いしなんなら探す。

 そんなわけで別の場所に行こうと足を動かし……シュウが散らばらせた子供達がこっちに集まってきて群がり始めた。

 

 

『あーれー』

 

 

 こんな真っ黒なのに集まるとは、度胸あるなこのちびっ子ズ。普通なら不審者で色々と職質とかされそうだけど。

 ……いや普通に周囲の大人に注意されてたな。熊の着ぐるみとは違って真っ黒な着ぐるみもどきを着た不審人物だもんな。

 多分<マスター>だろうとは思われているようなのでギリギリ捕まるようなことはないみたいだけど。

 

 

『ま、こうやって時間潰すのもアリかもクロ』

 

 

 こうして俺は足元に群がり、登ってくる子供達の相手をしてイベントまでの時間を潰すのであった。まる。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

『んー、気を遣わせちまったクマー』

「兄貴?」

『いや、なんでもないクマー。ちょっと知り合いが遠くに見えたから気になっただけクマー』

「もしや、あの黒い着ぐるみか?」

『おっ、ネメシスちゃん鋭いクマー』

「……なぁ、兄貴。もしかしてあの着ぐるみ着てる人……」

『おう。俺の知ってる着ぐるみとは違うけど、普段から着ぐるみを使ってる<マスター>の一人クマー』

「類は友を呼ぶ、か」

『……ある意味間違ってないな。俺のせいで口調が移ったみたいだし』

「着ぐるみ感染症……?」

『流石にそれは心外クマ!』

 

 

 




(◎n◎)<とりあえず最初期の<超級激突>から始めました。
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