「……ごめんなさい、もう一度言ってもらえるかしら」
『アルティミア、特典武具獲りに行かんガメ?』
「あぁそう、聞き間違いじゃなかったのね」
それはフランクリンの起こしたギデオンでの事件から少し経った時のこと。
俺はアルティミアに特典武具を獲りに行こうと誘っていた。
「分かっているとは思うけど、今の私には【アルター】がないの」
『うん。
「それは……そうね。ありがたいことではあるわ。でも都合良く私に合ったスキルを持つ<UBM>がいるのかしら」
アルティミアの懸念は尤もだ。
都合良くアルティミアに適したスキルを持つ<UBM>がいるとは限らない。
それならそれでハンドメイドの武器を探せば良いとなるかもしれないが、アルティミアの武器に対しての理想は元々が【アルター】であることもあって相応に高い。
無理難題と言っても良い。
うちの<MDQB>もほぼ衣服専門みたいなところがあるから武器は作れないので駄目だし、知り合いに良い武器職人がいない。
じゃあやっぱり特典武具だろうとなるわけだが……実のところ心当たりはある。
『良い感じのがいるからそっちはどうかと思ってるガメ』
「そんな<UBM>がいるの?」
驚いた様子で聞いてくるアルティミアに肯定で頷く。
『おう。
「ちょっと待ってちょうだい」
なんか止められてしまった。
頭痛でも堪えるように頭を押さえている。
「<マスター>……いえ、あなたなら、確かに<神話級>が相手でも相性が悪くない限り苦戦はしないでしょうね。でも、何度も言うけど今の私には【アルター】はないのよ」
『ふっふっふ、俺が何の策もなしに誘うと思っていたガメ? ちゃんと解決策があるガメ! というわけでカモーン』
「はーい! 呼ばれて参りました魔天シャワーです!」
扉の前で待機させていたシャワーを呼び出す。相変わらずノリが良いので二人でイェーイと手を叩く。
「……誰か連れてきたとは知っていたけど、彼女は?」
『うちの生産チームガメ。テレジアに送ったドレスの製作者の一人ガメ』
「あのドレスの? あなたが……」
「あ、違います! 作ったのは私じゃなくて百々目ちゃんで、私達はサポートです」
『まぁどっちにしろ製作者の一人ではあるからそこはいいガメ。兎も角シャワーがいれば<UBM>討伐における問題は解決するガメ』
そう言いながら目的の<UBM>の名前、等級、スキルなどの情報を載せた紙をアルティミアに手渡す。
手に取った紙の内容を見て……そして顔を顰めた。
「確かにスキルは【アルター】と似て、特典武具になれば以前と似た戦い方ができるわね。けど、とてもじゃないけど今の私じゃ……いえ、【アルター】があっても倒せるかわからない相手じゃないかしら」
アルティミアはそう推測し、断言した。
まぁ、確かに今の状態ならアルティミアの敵う相手ではないだろう。
今回の目当てとなる<UBM>は、兎に角攻撃性能が高い。一度でも攻撃を食らえば一撃で死亡するだろう。
俺でも【だぶるかのん】に加えて《ダメージ軽減》系の装備スキルがないと当たれば
『それを解決するのがシャワーの<エンブリオ>ガメ。このシナジーで神話級のMVPをシャワーが取ったこともあるガメ』
「……そう、本気なのね」
『そりゃあもちろん』
アルティミアはこちらを見つめ……少し息を吐くと、
「わかったわ。でも日程はこちらで決めて良いかしら?」
そう言って承諾した。
『こっちは良いけど、シャワーは大丈夫ガメ?』
「先に教えてもらえれば予定は空けておきます!」
『そういうことみたいだから、その時はよろしくガメ』
「ええ。お願いね」
そういうわけで少しアルティミアと日程を決めて二日後ということで決まって解散。その日はテレジアと会話して過ごし、二日後にアルティミアとシャワーを連れて<UBM>討伐に向かった─────
☆☆☆☆☆☆☆
の、だが。
討伐に向かった直後に何処ぞのクラン総出で交渉されてしまい、結局別の<UBM>を討伐することになってしまった。
『すまん』
「謝らなくて良いわ。目当てとは違うけど、こちらもこちらで私には良さそうだもの」
『そう言ってもらえると助かるガメー』
……個人的には【キル・キル・バ】を見てみたかったんだがなぁ。
アルティミアが良いと言うならと、そこのクランから教えてもらった<UBM>に向かって移動中である。
『お、そろそろ見えてきたガメ』
歩く先に見えるのは、大きな山。
─────
<UBM>としての名前は【兆振象 ダアシャン・ダ・ディアオシャン】。
まごう事なき神話級である。
山みたいにデカいと言われるだけあってメートル換算だと軽く一〇〇は優に越している。
越しているが……なんともまあ斬りやすそうなことで。
『じゃ、早速頼むガメ』
「わかったわ」
既に、パーティは組んでいる。
攻撃力、スキル、ステータス。
共有するべきものは既に共有されている。
アルティミアが予備の剣を持ち、それを振り上げ……降ろす。
たったそれだけの一連の動作。
【兆振象 ダアシャン・ダ・ディアオシャン】は、真っ二つに斬り裂かれた。
「……話には聞いていたけど、凄まじいわね」
「スポンサーのおかげで、私達全員が特典武具を持ってるんですよ! 凄いですよね!」
「えぇ、本当に」
「あ! ちなみになんですけど、あっちのドレスってどうなってますか? 皆気になってたので」
「ドレス……テレジアの物ね。そうね、特に変な話は……いえ、一つあったわね」
「ほうほう?」
「───目を離すと、勝手に動くらしいわ」
「勝手に動く」
「ええ、勝手に」
「……」
「……何かしたかしら?」
「いえ、私達は仕込んでません! なんで動くんでしょうね……?」
「そう」
「私は魂とか込めてないはずなんですけど……うーん、この世界って無機物から魂が自動発生とかするんですか?」
「え、いえ、そんなことはない……ごめんなさい、私はそういった知識は持ち合わせていなくて」
「そーですかぁ。わかりました! 帰って皆と相談してみます!」
「お願いね。………?」
(そういえば、さっき妙なことを言っていたような……気のせいかしら)
<【兆振象圧縮遺骸 ダアシャン・ダ・ディアオシャン】
(◎n◎)<特典素材になって百々目に加工された。
(◎n◎)<なんで武器じゃなくて特典素材になったのか分からなかったけど、最終的に作られた『武器』を見て『これは剣だ』になった。
(◎n◎)<元々持っていたスキルに加えて協力者のスキルも足して出来る限り【アルター】に近づけた逸品。
(◎n◎)<でも百々目は裁縫で剣を造るのに苦労したので「もうこういうのは勘弁してほしい」と思ってる。
<クラン
(◎n◎)<頑張ってオールドポンドたちを説得した。
(◎n◎)<正体は推して知るべし。
<シャワー
(◎n◎)<本当に何もしてない。
(◎n◎)<ので皆と相談したけど『害はないはず』で意見は一致した。