剣一つあれば良い   作:オルフェイス

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(◎n◎)<愛闘祭はここまでになります。


月日を経て、愛闘祭 2

 

 それはテレジアを抱えながら歩いていた時のことだった。

 

 

『ん? あれは……』

 

 

 歩く中で見知った顔を見つけ、その隣にいる見知らぬ少年に視線を移してアルティミアに聞いていた話を思い出す。

 そういえばエリザベートと黄河の第三皇子との婚姻関係を進めていたな、と。

 その第三皇子が()()だとは聞いてなかったが……アルティミアも知らなかったと見るべきだろうな。

 

 

「あれは、エリザベート姉さまね。デートの途中かしら」

『みたいだな。邪魔しちゃアレだしさっさと退散するガメー』

 

 

 とりあえず回れ右して道を変えようと動き出して……その前に再び見知った顔を見つけたのでそちらに近づいた。

 あちらも既にこちらのことは確認していたらしく驚きや動揺はない。

 ないが、少し頬が引き攣ってた。主にテレジアの方を見て。

 

 

『よっすリリアーナ。私服姿とは珍しいガメー』

「オールドポンドさん……本当に、連れてきていたのですね」

 

 

 リリアーナの向く先にはテレジアがいる。

 心なしかこちらに向いたリリアーナの視線には何とも言えない複雑な感情が含まれているように見えた。

 そんなリリアーナを他所に彼女と一緒にいた二人の女に目を向ける。

 一人は黒スーツ。もう一人は青白い肌の幼女。どちらも<マスター>だが二人とも心当たりのある人物だった。

 

 

「どちら様で?」

「知り合いみたいだな」

「あぁ、こちらはオールドポンドさんで……それでこちらの方は」

 

 

 一度言葉を止まるリリアーナ。言って良いものか、と逡巡したのだろう。

 しかし二人の方を一度見て、もう一度こちらに振り向き言葉を続けた。

 

 

「第三王女、テレジア様です」

「へぇ、第三……え、王女?」

「マジかよ」

 

 

 驚愕した様子でテレジアの方を見る二人、もとい【絶影】と【尸解仙】。

 暫くこちらを見たあと、3人で円を作ってヒソヒソと喋りだした。

 

 

「なんで第三王女がこんなところにいるんですかっ!?」

「そうだよ。第三王女は病弱って話じゃなかったのか?」

「いえ、病弱であるというのは正しくて……今回はそこのオールドポンドさんが連れてきたみたいなんです。対策にあのドレスと対殺菌・無菌用の結界アクセサリーを装備させている、とは聞いていますが」

「ドレス……確かに市販ではないようですが、これは、……っ!」

「なあ。オレの《鑑定眼》でも見れないんだが、そっちは?」

「ボクも見えません。え、なんですかこのドレス」

「私にも詳しいことは……でも、超級職の<マスター>が作り上げた特典武具に匹敵するドレス、と伺っています」

「なるほど。いえ、本題はそこではなくて……良いんですか? ギデオンに王国の王族全員が集まってることになってますけど」

「良くはありません。ですが、アルティミア様は本人もお強く護衛がおられ、エリザベート様も同じく私達が周囲を見守っています。そしてテレジア様には……オールドポンドさんがいますから」

「……? このカメがそんなに強いのか?」

「ええ。彼は王国の……<超級>の一人ですから」

 

 

『なんか悪いことをした気分ガメ』

 

 

 話し合っているところを見るとなんだか申し訳なくなってくる。

 これはその場を離れたほうが良いだろうか、とも思ったが、自分から話しかけておいて離れるのもあれだからやめておくことにした。

 リリアーナが話し終わるのを待ち、一応エリザベートの方に視線を向けておく。

 あ、仮面を選んでる。

 ……血は争えない、ということだろうか。アルティミアも仮面つけてたし。

 そうやって見つめていると……第三皇子の視線がこちらに向き、少しだけ顔を傾けさせ礼をしたように見えた。

 すぐに顔をエリザベートの方に戻したが……なるほど?

 

 

『気付いてたのか。まぁ当然か?』

「あなた?」

『いや、なんでもないガメ』

 

 

 ……ん? なんか今おかしなことが起こったような気がする。

 はて、何がおかしかったのか……

 

 

「お待たせしました、オールドポンドさん」

『ん、あぁ待ってないガメー。それで、結局そっちはエリザベートの護衛ガメ?』

「はい。オールドポンドさんは……」

『見てわかる通り、テレジアとデートガメ』

「……その、テレジア様を悲しませないでくださいね?」

『なんでそうなった?』

 

 

 勿論悲しませるつもりなんてないんだが?

 テレジアにぎゅっとされながらそんなことを思う。

 

 

『あぁ、そろそろエリザベートも動くみたいだしそっち優先するガメ。俺達は別の場所に行くガメ』

「わかりました。それで……いえ、少し待ってください」

『?』

 

 

 何かを思い出したかのように耳元に口に近づけてきたので、耳を傾ける。

 

 

「そちらのマリーさんから聞いたのですが、ギデオンに新たな<超級>が来るそうで……出来れば気にかけてもらっても良いですか?」

『ギデオン呪われてたりする?』

「そのようなことは……ない、はずです」

 

 

 リリアーナは歯切れ悪く呟くが、ここ最近で色々起こりすぎだと思うぞ。

 フランクリンの他にも二匹の【竜王】が侵入してきたりしたそうだし、今度は次の<超級>とか……なんなら【獣王】もいる。

 また事件が起こりそうだが……最悪俺が斬るか。

 

 

『ま、事情はわかったガメ。見つけたら気にしておくガメ』

「ありがとうございます。それで、彼女の容姿なのですが」

『いや、そこは大丈夫ガメ。()()()()()()。ほら、早く動いたほうが良いガメ』

「……すみません。それでは!」

 

 

 リリアーナ達が移動したエリザベートたちを追いかけていったのを見送り、別の場所へと移動するため歩き出す。

 <超級>はリソースが多いから、見たらそいつが超級なのかどうかはわかる。

 とりあえず女だっていうのはわかったから、それを目印に見つければ良い。

 あぁいや、ちゃんとデートにも集中するからそんな寂しそうに見ないでくれ。罪悪感がすごい。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 ─────で、あれからテレジアとのデートを続けていたわけだが……正直なところ、ただ歩いていただけで見つけることはないだろうと思っていた。

 ギデオンは愛闘祭の真っ最中。つまりそれだけ多くの人がいる。

 その中で特定の人物と出会える可能性など、決して多くはない。

 もし見つけるとしても、それは事件が起きたタイミングでのことになるだろう。

 

 そう思っていたのだが……うん。

 

 

『見つけちまったなぁ』

 

 

 見つめる先には見知らぬ人物が一人と一体、そして見知った人物が二人と一体いた。

 レイ・スターリングと<エンブリオ>のネメシス。

 フィガロ。

 そして知らない人物は……視てわかる<超級>のリソース量。それに付き従う少年、アポストルの<エンブリオ>。

 そんな中でフィガロと女性が親しげに話している。

 少なくとも心配するようなことにはならなそうに見えた。

 まあ暴れられたとしても、アレならどうとでもなる。

 その上でどうするのか。

 放っておくのか。はたまた干渉するのか。

 

 

「はむ」

『……ま、考えるまでもないか』

 

 

 屋台で買ったクレープのようなものを食べているテレジアを見て、態々危険に首を突っ込む真似をする必要もないとすぐに考える。

 それにフィガロもいるようだし、俺がこの場にいなくてもなんとかするだろう。

 シュウは【獣王】に対応しているだろうが、無理だったとしても迅羽がいるからな。【剣王】は……何処にいるのか俺は知らないが。

 

 

「はい」

『ん? あー、んむ』

 

 

 差し出されたクレープを食べ、甘い味が口に広がる。

 生クリームにイチゴ、あとチョコのスタンダードな味。俺もリアルで食べたことはある。

 ただ、その時よりも甘い気がする。

 こっちの世界の料理はあっちよりも美味しいものばかりだけど、なんか違うというか……さて、何が違うのか。

 視た感じだとリアルとは材料が違うだけだし……うーん?

 

 

「あの人が、リリアーナの言っていた<超級>?」

『そうみたいだな。今はフィガロがいるみたいだし……というかかなり親密みたいだから、多分何もしないのが正解』

「じゃあ、もう少し回りましょう? 私は今日だけだから」

『勿論ガメー』

 

 

 愛闘祭は1日だけ。

 それは話し合って決めていたことだ。

 それ以上は、外面的にも内面的にも面倒なことになる。

 ……これでテレジアが楽しんでくれたのなら良いのだが。

 

 そんな風に思いながら、止めていた足を動かした。

 

 

 ■▼

 

 

 そうやって1日を終えて王都に帰還。

 そのため俺は二日目はギデオンにはおられず……ギデオンで発生した【狂王】の暴走については全く関与することがなかったのだった。

 

 

 




(◎n◎)<ちなむとハンニャはテレジアがあーんしてたのを見てフィガロにもしてあげたいと思ってる。やった。


>テレジア
(◎n◎)<頑張ってグイグイ行った。

>【■■】
(◎n◎)<すくすく成長中。
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