王都での抗争が繰り広げられている中。
講和会議においても争いは発生していた。
本来ならば皇国と王国、両者の争いを止めるための会議。どちらの国にとっても、この会議が重要な分岐点となったことは間違いなく。
しかし、皇国……皇王の思惑は違っていた。
彼女は愛する人の為に戦った。
彼女は世界のために殺そうとした。
そしてそのことを王国の者が知ることはなく……それ故に、講和会議は破綻してしまった。
最初から、彼女の思惑通りに。
☆☆☆☆☆☆☆
「──クラウディアッ!」
「──アルティミア!」
両者は激突する。
互いに異なる煌玉馬を駆り、空中で剣と槍が打ち合う。
戦争での戦いと同じ、しかし前とは決定的に異なる決闘。
その戦いは、互いが王となってからの戦いで。
その戦いには、空を駆ける馬があり。
その戦いでは、アルティミアはクラウディアの真実を知った。
互いの煌玉馬、【
片方の【白銀之風】は彼女の想い人であるレイからの借り物ではあったが、むしろ借りたおかげでクラウディアとの戦いを対等に進めることができた。
そんなアルティミアだが、去り際にレイへオールドポンドから借り受けた指輪をレイに手渡したので「実質プレゼント交換」「帰ったら想いを伝えてみようか」などと思って悩んだりしてるが、今は関係ないので置いておく。
そして両者の手には、それぞれ特典武具が握られている。
【ドリムローグ】、そして【兆剣糸 ダアシャン・ダ・ディアオシャン】。
【
【兆剣糸】の
【兆剣糸】による振動が糸とその周辺を
<MDQB>の手によって付与された【剣神】の《断刻》により、著しく下がった事象は全て斬り裂かれる。とはいえ、それも【アルター】に及ぶほどではない。
防御面においては【アルター】を上回り、しかし慣れぬ剣ではクラウディアに届かせるには足りない。
クラウディアもまた新たに用意された特典武具を前に攻めあぐね、下手をすれば斬り裂かれるのは自身であるためそもそも近づけない。
この均衡が崩れるのは、もう少し先のこと─────
☆☆☆☆☆☆☆
巨大。その一言に尽きる。
一言で言えば、怪獣VSロボットという大決戦が行われていた。
そしてそれを見る、一人の<超級>。
「思っていたよりも
Mr.フランクリン。生産系の超級職である
怪獣こと【怪獣女王 レヴィアタン】
ロボットこと【戦神艦 バルドル】の必殺スキルを使った【破壊王】シュウ・スターリング。
互いに積極的に攻め合わない状況が作られている中、明らかに優勢なのは
「ま、流石のレヴィアタンも
そう呟くフランクリンの先。
レヴィアタンには、片腕がなかった。
初手のシュウとレヴィアタンの激突時に、シュウのバルドルの拳が攻撃を仕掛けた片腕を逆に粉砕したのだ。
傷こそ特典武具で塞がり継続ダメージもないが、片腕がないことでの戦闘の劣勢は避けられない。
今は攻め込まず距離をとっているからこそ保たれているようなものだった。
しかし、フランクリンは考える。
(しかし、どうやってレヴィアタンの腕を……【破壊王】の必殺スキルは推測するにそこまでSTRを上げるものでもないはず)
不可解だった。
レヴィアタンのENDは23万オーバー。対して必殺スキル使用時のバルドルのSTRは36万オーバー。
レヴィアタンよりも高いが、レヴィアタンの膨大なHPを考えれば一撃で片腕を粉砕するには足りない。
フランクリンから見えるシュウの保有スキルにも、急激にSTRや攻撃力を上げるものはなかった。
「一体、どういう原理なのかねぇ」
場合によっては
─────フランクリンやレヴィアタンは知らないことだが、シュウがレヴィアタンの腕を粉砕したスキルは、本来ならば
それでも自爆せずに戦闘を繰り広げることが可能なのは……本来ならいるはずもなかった【
そのスキルは、別名
シュウの、【破壊王】の最終奥義。
その名は【
それがレヴィアタンの腕を……そしてかつての【グローリア】すらも破壊した力の正体。
レヴィアタンとシュウ・スターリング。
均衡を保っていたこの戦場が崩れるのもまた、もう少し先のこととなる。
☆☆☆☆☆☆☆
小さくも最大の獣、【獣王】ベヘモット。
期間は他と比べれば僅かながら、多くの危機を打倒し<超級>すらも打破したことのあるレイ・スターリング率いる<デス・ピリオド>。
それと【女教皇】扶桑月夜と【暗殺王】月影永仕郎。
“物理最強”と称される最強の一角を担うベヘモットと<デス・ピリオド>+αの戦いは苛烈を極めた。
まず、メンバーの一人であるルーク・ホームズが落とされた。
しかしルークの置いた布石によってレイはスキルを発動し、ベヘモットと同等のAGIを獲得。
それぞれのメンバーが勝利のために動き、ついにはベヘモットの動きを抑えレイの保有する特典武具による必殺の一撃を放つ─────
だが、そこで【獣王】は終わらない。
元々、彼女の想定では【超闘士】はともかく、【剣王】の参戦の方を危惧していた。
圧倒されたステータス。
かつて倒された経験。
その事から、彼女は一つの特典武具を新たに取得していた。
逸話級特典武具【倍々半々 バイハーフ】。
その効果は、自身を対象に倍にするか半分にする。
この特典武具を使い、ベヘモットは自身の現在のステータスを一つ、2倍にした。
ソレに加えて、彼女は別の切り札も切った。
彼女の保有する超級武具を、その身に纏ったのだ。
そこからの形勢は、圧倒的に<デス・ピリオド>が不利になった。
自身を縛った超重力の空間を翼の無重力で無効化し。
口から放つ熱光線が仲間の一人を消し飛ばし。
─────その時点でレイはアルティミアから隠れて渡されていた指輪を投げ、その者は現れた。
『【獣王】、【絶影】、【暗殺王】、【女教皇】、確認候』
「ふふ」
白無垢を身に纏い、そしてそれとはあまりに不釣り合いな兜を被り刀を握った幼き少女の形をした<UBM>、【白邪姫 シシカバネ】。
圧倒的過ぎるステータスを誇ってしまっているベヘモットを相手にして、なお笑みを浮かべる。
シシカバネの参戦により、戦いはより苛烈となっていく。
レイのカウンター、隠れて機を伺っていた【絶影】の必殺スキルにより超級金属の鎧にはヒビが入り、追い討ちのシシカバネの攻撃が金属を砕く。
しかし【絶影】、【暗殺王】は死亡、レイの呼び出した【瘴焔姫】は戦闘継続が困難となり、そして【シシカバネ】は暴れに暴れ回った末に頭部を兜ごと砕かれ倒れ伏した。
だが、無駄ではない。
間違いなくベヘモットを削り、追い詰めていた。
最後はレイと【女教皇】のみとなり……レイは最期のラストアタックを仕掛け、その両腕を破壊した末に死亡した。
<デス・ピリオド>と、【獣王】の戦い。
これにて、決着─────
『……!』
直接的な戦闘力を持たない【女教皇】の他にもう一人、動く者がベヘモットの目に写った。
その姿はボロボロだった。
白い衣装は薄汚れ、血で染まっている。
頭を砕かれながらも、その身体は歩みを止めない。
「あー……アンデッドやったんや」
頭を砕かれたくらいではシシカバネは戦闘を止めない。
あまりに人に近く、それ故にアンデッドであるという可能性が頭から抜け落ちていたベヘモットからすれば絶対絶命のピンチだった。
腕は砕かれ、超級武具は破壊された。
【バイハーフ】は再使用時間が短い代わりに一度に使える時間が短く、既に効果は消えて使い物にならない。
対してシシカバネは、既に頭を修復しつつあった。
更には扶桑月夜の援護も加われば敗北は濃厚。
手負いの自分と、戦闘に支障がない神話級。
これで勝てると思うほどベヘモットは自惚れてはおらず……そしてなにより、遠目に見えた翡翠の軌跡。
ベヘモットは思案し、彼女の親友であるクラウディアとの間に予め決めておいた誓約書を、アイテムボックスから取り出した。
☆☆☆☆☆☆☆
こうして場は動いた。
【獣王】は誓約書を扶桑月夜の(悪巧みも含めた)条件も飲まざるを得ず、代わりにクラウディアの治癒を記載。
一度はレイが死んだことで【白銀之風】も消え負けかけたアルティミアは、駆けつけてくれた【黄金之雷霆】の助けもあってクラウディアに勝利。
そしてレヴィアタンもベヘモットの誓約書により戦闘を停止し離脱、シュウは途中から加わってきたフランクリン特製のモンスターを相手にして終始優勢を維持し、相手モンスターは離脱。
王国は国宝を取り戻した勝利。
しかし講和が成立することはなく……戦いはまだ終わらない。
クラウディアは、新たな形の戦争を王国に、アルティミアに宣言した。
次の舞台は、王国と皇国の戦争。
第二次騎鋼戦争……またの名を<トライ・フラッグス>。
それが王国と皇国の、最後の戦いの舞台となる。
<【兆剣糸 ダアシャン・ダ・ディアオシャン】
(◎n◎)<振動で空間ごと揺らして物理的硬度とか強度とか無視して削ってくる。
(◎n◎)<それに加えて規格外技術で付与された《断刻》によって大概のものは斬れる。
(◎n◎)<流石に【アルター】には劣るけど。
<【破壊王】の最終奥義
(◎n◎)<説明文見た時に『これいけるな?』って思ったからやった。
<【倍々半々 バイハーフ】
(◎n◎)<ベヘモットの盛ったオリジナル要素。
(◎n◎)<ステータスがさらに大きくなる。
(◎n◎)<ちなみにレヴィアタンと一緒に使う時が一番強い。
(◎n◎)<何がと言うと回数が増える。
(◎n◎)<……ちなみに最初は全ステータスだったけどナーフした(ベヘモットが使ったら強すぎるので)
<【試製滅丸星兜】
(◎n◎)<壊れたからどっか行った。