剣一つあれば良い   作:オルフェイス

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(◎n◎)<今章、開幕。


第二部二章【■■■■】
備え


 

 王国を襲ったテロ。

 そして王国と皇国の講和会議破綻から、デンドロ時間で三日。

 とりあえずアルティミアは無事だった。

 カバネはよく働いてくれたらしく、ステータスお化けの【獣王】を相手にして死ぬことなく勝利目前まで迫ったらしい。

 とはいえ本人曰く「一人じゃ勝てなかった」と言わしめるほどに【獣王】は強敵だったようで、装備していたカバネ専用の白無垢はボロボロになり、ホロビマルの兜も破壊されて何処かに行った。

 何処に? と言われると何処に行ったのかはカバネにも分からないそうだ。丁度頭を潰された時に消えたらしいので。

 多分ホロビマル()()が持ち帰ったのだと思われる。

 あいつの目的は何なのか……それは、今は分からないだろう。

 

 ちなみにボロボロになった白無垢こと【白無垢乙女(ラ・ピュセル)】は<MDQB>の四人が修繕している。アップデートも組み込むとか言ってたな、そういえば。

 

 あと、マイナス部分もあったがプラスとなった部分もある。

 あの場にいた<マスター>たちのスキルの数々。

 それをラーニングできたことがプラスと言える。

 カバネはあまりに多く得たスキルを前に頭を悩ませている。

 装備のストックを踏まえてもなお欲しいスキルが多すぎるらしい。

 そこら辺は本人に上手く考えてもらうしかないので、俺からは何とも。

 

 あぁそれと、久しぶりにインテグラと会った。

 いやまぁ久しぶりというのは正確には違うのだが、直接会って話したのは事実だし、間違ってはない。

 てっきり最後まで引っ込んでいるのかと思ったが、方針を変えたらしく表に出てきた。

 しかし、最初にファーストコンタクトしたのが俺で良かったのだろうか。しかも丁度テレジアと一緒にいる時に訪れてきたからテレジアは少し不貞腐れていた。というかじっとりとインテグラを見てた気がする。インテグラ本人は困惑してたが……

 

 俺はもうその場にいないので、仲裁とかはできない。

 その場に、というか()()()()()()()()

 じゃあ何処にいるのかと言うと、目的地もなく進んでいた。

 王国で開催される”トーナメント“までには王国に帰還するつもりだ。

 ちなみになぜこんな時期に王国の外へ出向いているのかと言う扉と、話せば長くなる。

 長くなるが、それでも一言で言うならば、

 

 ”トーナメント“で<UBM>が賞品にされるようだから、俺も<UBM>を獲ってこようと思った。

 

 と、そういうことだ。

 今は【モビーディック・レッド】で海域を進んでる。

 あぁ、獲ってくると言っても、俺が新しい特典武具を手に入れようとしているわけじゃない。

 <UBM>を捕獲して、”トーナメント“の賞品()しようと思っているのだ。

 とはいえあまり時間はない。

 ”トーナメント“開催まで、現実時間であと六日。デンドロ換算でも十八日。余裕を持って<UBM>を引き渡したいから、使える時間はその半分ほどか。

 決して猶予が長い訳では無い時間内に<UBM>を見つけ、捕獲する。まぁ、出来ない訳じゃない。

 ()()()()()()()()()

 海域で見つけたわけじゃなく、海域を回ろうとしているタイミングで遭遇したのでそのまま()()()

 先々代【龍帝】によって封印されたという<UBM>の入った『珠』を見せてもらったことがあるが、あれの劣化版なら再現は難しくはない。

 封じられても生存が可能で、サイズは本来の<UBM>から変わらず、なおかつ<UBM>の能力を使うことはできない。

 そういった条件でなら、簡単に封じて持ってこれる。

 

 

『まぁどれだけ集められるのかは賭けだガメー』

 

 

 正直、一匹でも捕まえられたなら御の字、程度に考えていたので早速一匹捕まえられたのは僥倖だった。

 目標は高く設定したいので三匹。そして一匹は既に捕まえているので残り二匹を九日間で見つけだす。

 海域だけじゃ心許ないので、レジェンダリアだったりカルディナとかにも行くつもりだ。ちなみに黄河や天地は行くにも帰るにも遠すぎるので除外。

 どうやって探したものかと、【モビーディック・レッド】の機嫌の良さそうな鳴き声を聞きながら海域を進む。

 そろそろレジェンダリアを過ぎてカルディナの海域に差し掛かろうとしている。

 つまり<南海>、だったか。

 ……でも<南海>って【屍要塞】事件でモンスターが駆逐されたって話だったよな。おかげで脅威となるモンスターも少ないとか。

 目当ての<UBM>はいなさそうだが……あぁいや、むしろモンスターが少ないから出てくる可能性もあるか。

 脅威がいないってことは、つまり住みやすいってことだし。

 そうして探していたわけだが……

 

 なんだろう。なんか見つけた。

 人型で、海に浮かんでプカプカしてるやつ。

 それだけ聞いたら前に倒した<UBM>と似てるかもしれないが、人型な時点で違うし……何なら周りとか見ていなくて鼻歌とか歌ってる。

 

 

 

『〜♫』

『……』

 

 

 見える名前は【龍寓歌媛 シング】

 名前からして歌ってそうだなってわかる。というか実際に歌ってる。

 そのままスーッと近づいても反応なし。

 いや、船で影ができるとようやく目を開いてこっちを見上げていた。

 

 

『(*・ω・)ン?』

 

 

 おいなんだその顔文字どうなってんだ。

 

 

『……』

『……』

 

 

 なんか現実を信じられなくて目をゴシゴシしだしたぞ。

 モンスターの姿か? これが……

 こいつ、よくここまで生きてこれたな……むしろ心配になってくるんだが……

 そうしてじっと見てきた【シング】は、ようやく現実に気付くと、

 

 

『(๑º ㅿº)ハッ!!』

 

 

 だからその顔文字どうやって……あぁもういいや。

 バタバタしだして、逃げようとしていた。

 ステータスは高いようなのだが、如何せん警戒心が薄すぎたし戦闘意欲が無さすぎる。というかパニクって大量の水飛沫上げるだけで逃げられてない。

 潜って逃げようとする前に装備を【グレイテスト・コア】の着ぐるみに変更し、魔力の鎖で雁字搦めにして引っ張り上げてキャッチ。

 

 

『╰(°ㅂ。)╯』

 

 

 【シング】は目をグルグルさせて俺に抱えられている。

 モンスターだが、見た目は美少女である。龍の鱗の生えた少女、みたいな。

 人化とかした様子も視られないし、これが素の姿なのだろう。

 流石に良心が痛む気がするが、しかし<UBM>なので目を回している隙にこのまま捕獲。

 《竜王気》が【シング】を包み込み、人型サイズの白箱が完成、と。

 これで二匹目。

 ”トーナメント“の賞品にしたら倒されてしまうだろうが……うん、まぁ俺がやらなくても他のモンスターか<マスター>に倒されてたと思うし、運が悪かったと思ってほしい。

 

 

 

 

 

 ……でもこいつリソースを視るに<()()()()()()>だよなぁ……

 なんでこんなあっさり捕まったんだ……?

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 あれからかれこれ八日。

 流石にあれ以降、<UBM>を見つけることはできていない。

 まぁそう簡単に見つかるようならユニークだなんて名前はつけられないか。

 

 カルディナ、それにレジェンダリアと探して回ったが、それでも見つからないものは見つからない。

 <南海>でも【シング】を除いて見つかることはなく、精々残っていたモンスターが少数。

 残念ながら時間も迫ってきていたので、今は【モビーディック・レッド】に乗って帰ろうとしている。

 

 ちなみにだが、()()が増えた。

 

 

『本当にレジェンダリアじゃなくて良いガメ? 絶賛戦争中けどガメ』

「はい。それで構いません」

 

 

 念のため聞いておけば、彼は迷うことなく頷いた。

 <南海>を通って<西海>へ。

 その途中で見つけ、紆余曲折あり船に乗せることになった。

 天地から来たようで旅をして回っているそうだ。

 そこで今はレジェンダリアに向かうつもりだったと聞いてそこで降ろそうとしたのだが、俺の目的地が王国と聞くとそちらへ降りたいと言われたので、今は寄らずに王国を目指している。

 

 

『んで、どのあたりに降りたいとかあるガメ?』

「いえ、そこは決めてません。着いてから回ろうと」

『なるほど』

 

 

 イベントのあるギデオンに行くのか。

 はたまた関係ない場所を見て回るのか。

 その辺りは分からないが……少なくとも分かることもある。

 彼に危険を及ぼせる相手は少ないだろう、という事実。

 

 このティアンの青年なら、それこそ相性が悪くない限り<()()>でも倒すだろう、と。

 

 

「それまではよろしくお願いします」

『おうおう、ちゃんと到着させるガメー』

 

 

 【勇者(ヒーロー)】草薙刀理。

 それが、目の前の青年の名前だった。

 

 




<草薙刀理
(◎n◎)<出てきました【勇者】

(◎n◎)<生存に成功したようです。


<【龍寓歌媛 シング】
(◎n◎)<神話級、<イレギュラー>の<UBM>。

(◎n◎)<ステータスで一番高いのはLUK、次にDEX。HPよりもMPとSPが多いタイプ。

(◎n◎)<多重技巧型であり、広域制圧型であり、広域殲滅型。

(◎n◎)<……なんだけど、実のところ<UBM>になった時点で神話級で、その後のレベルアップも他者を一切害さずに成長した様々な陣営から見てもイレギュラー。

(◎n◎)<議長とかは邪魔だと思ってるし、管理AI側としては有用なので討伐されないよう誘導し管理してた。
でも他者を害する意思が薄いため<SUBM>には選出されなかった。

(◎n◎)<モンスター化する前は古龍人で、超級職【歌姫】に就いていたりする。

(◎n◎)<ちなみにティアン時代は成人前には合計レベル3000オーバーに達していた。

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