あれから王国へと帰還した俺は、早速アルティミアの元へと赴いた。
<UBM>2体と、あとついでに【勇者】も連れてきての直談判。
最初こそ頭を抱えていたが、戦力が増える分には問題ないと切り替えたアルティミアは追加された2体の<UBM>も”トーナメント“の賞品として追加。
元々は十日だったはずの予定は、十二日にまで引き延ばされた。
結果、後からルール改定を知らせて参加者が増えた……ということは実のところなかったりする。
まぁ残りの二日は
で、今は”トーナメント“当日。
ギデオンには”トーナメント“目当ての<マスター>がズラズラと揃っていた。
皆が皆、”トーナメント“に勝利して賞品の<UBM>を求めている。実際には勝てるのかはまた別の話だろうが。
そもそも抽選があるので参加できるのかも不明。
なおその参加者の中には<MDQB>の魔天シャワーも含まれている。唯一勝ち残れそうなのがシャワーくらいだから参加するのも彼女だけで、他三人は応援に集中するらしい。
ちなみに俺は参加しない。
俺は強いのでこれ以上の戦力増強は不要で、そのくらいなら他の相性の良い<マスター>の戦力を増やしたほうが良い。
アルティミアとしては信頼の置ける<デス・ピリオド>の戦力を底上げしたいと思っているだろう。
俺としてもその意見には賛成。
実際、俺のカバネも入っていたとはいえ【獣王】を倒してるのはデカいからな。
「それでは行ってきます!」
「……行てら」
「頑張ってくださいね」
「期待してる」
『頑張ってくるガメー』
”トーナメント“が始まり、シャワーは闘技場へと向かっていった。
目当ては一日目の【鬼面仏心 ササゲ】という<UBM>。確か推定で与ダメージ比例範囲回復……だったか。
パーティで戦闘を行うシャワーの<エンブリオ>とは相性が良さそうだ。削ってもHPが回復すれば、一向に倒れることはない。
一撃で倒される、という想定を除いてだが。
まぁそもそも決闘だとシャワーはパーティ枠は使えないのでステータスの暴力は使えないという欠点があるが……それはそれで、策は考えてあるようだ。なお俺はその内容を知らない。
具体的にどのような戦法を取るのか知らないが、きっと大抵の相手は踏み潰せるだけのものは用意しているのだろう。
実質的に<エンブリオ>と神話級武具が封印されてるからジョブのみの戦闘となるはずだ。
シャワーがどれだけ勝ち進められるか。あるいは優勝までいけるのか。
そこはまぁ、運次第なところがある。
流石に誰と当たって誰と戦うのかなんて当日にならないとわからない仕様になってるしな。
『お、始まったガメ』
「理不尽な相手に当たらないといいけど」
おうなんだ百々目、俺のことじっと見つめて。俺が理不尽だとでも?
いや理不尽だったな、すまん。
それはともかく早速シャワーの決闘が始まる。
時間も押してるのか第四回戦までは早送りで行うようで、相手とシャワーが対面してすぐに試合が始まり……そしてすぐに試合は終わった。
恐らく結界内時間で十秒弱。こちらから見ても二秒も経過しているかどうかの時間。
……躊躇ないな。
『ちなみにどんな装備作ったガメ?』
「まず固定値で上がる装備品を。合計すれば一万ずつSTRやAGI、ENDが上昇します。でも使ってから三分ほどで壊れますね」
「あと、一つの合計ステータスを三倍にするアクセサリーが三つ。それとMPの貯蔵アクセサリーが一つ」
「……これで勝つる」
『あー……』
まぁそれは、うん。
相手が悪かったな、としか言えない。
圧倒的なステータスの差で押し潰しに来たかぁ。
シャワーは生産職だし、勝ち進むとしたならこれしかなかったとは言え、される方からすればたまったものではなかったろうなぁ。
なんて思っていればシャワーは退いて次の選手の決闘が始まる。
次にシャワーが出てくるのはもう少し先になるだろう。
結界内の時間を加速させてるから、長ければ十分くらいか?
選手同士の相性次第で諸々変わるだろうが大体そのくらいになるはずだ。
逆にシャワーのようにあっさり決着がつくのもいるだろうから絶対ではない。
「……来た」
「あ、本当ですね」
少し思案していればすぐにシャワーの出番が来た。
最初の四回戦はいわば予選。サクサク進んでいくのは当然で……
『あ』
「え、どしたの」
「……相手」
「えっと、次の相手は……あっ」
見つめる先。
見知った顔が見えた。
……顔隠されてるけども。
その装備は特徴的だから、一度見たら忘れようもない。
鬼の手甲。
屍の足甲。
漆黒のマント。
そして漆黒の大剣。
「わぁ、有名人ですね」
『ここで当たるかぁ』
「……こわ」
「がんばれー」
多分もうお察しだろうが─────
シャワーの次の相手は、”
うーんここで当たって欲しくはなかったなぁ。
☆☆☆☆☆☆☆
相対する二人の<マスター>。
一人は”不屈“レイ・スターリング。密やかに暗黒騎死とか呼ばれてる絵面が暗黒面な善良な<マスター>。
こんな見た目でも善良なのである。例え初見では怖がられるとしても、である。
もう一人は”
”
相対しているレイもまた、相手がそんな異名を持つとは知らない。しかし今回の決闘では”
だから魔天シャワーはステータスで押し潰すか……あるいは
「それでは、よろしくお願いします!」
「あぁ、こちらこそ」
互いに言葉を交わし、決闘が始まる時間を待つ。
レイは煌玉馬に乗り。
シャワーはプラプラと手を揺らしている。
そして─────刻限。
決闘が、始まった。
レイが煌玉馬に乗って空へと飛び立つ中、シャワーは装備スキルを発動させた。
「《戦血之闘衣》全解放。《オーバーフィジカルリング》、《パワー》《ガード》《スピード》」
《戦血之闘衣》。
シャワーが着用している赤を基調とした短期決戦身体強化衣装。発動すれば装備部位ごとにステータスが加算され、合計で三つのステータスに一万ずつ加算される。
ただし装備スキルを使用してから三分で効果は切れて装備は破壊される。
《オーバーフィジカルリング》。
同じくシャワーの装備している指輪型のアクセサリー。使用すれば確定で壊れるがSTR、AGI、ENDの合計ステータスをそれぞれ三倍にする。
ただし使用してから三分後に効果は切れる。
これで戦うための準備を終えたシャワーは上を見上げる。
鬼の手甲の一つから黒い瘴気を放出する姿が見え、
シャワーは
「っ」
「久しぶりにやりましたけど、案外覚えてるものですね」
手慰みに風の球体状に圧縮した瘴気を手で転がしていたシャワーは、続いて振り注いだ火炎放射も同じように風で逸らした。
シャワーのMP消費は問題ない。低出力で節約して使えば相手のMP消費のほうが早く、先にあちらが尽きる。
こちらの世界とあちらの世界は異なる法則があるが、似通った部分はあるので
レイの保有する特典武具の一つが無力化されたとなれば、次に移る行動は限られている。
降りるか、また次の攻撃を空中から行うか。
「さて、そろそろでしょうか」
見据える先、レイは……その姿を消していた。
いや、より正確には空中には黒い球体がある。
シャワーはこの技を見るのは初見であるため何をしてくるのか分からないが、見れば
「圧縮してますね。ということは解放されたら危なそうですから……じゃあこうしましょう!」
まだ圧縮が完全ではない今のうちに外部から衝撃を与えて崩す。
そう考えて両手を球体へと向けて伸ばし、
「
圧縮魔言。
その火は漆黒の球体へと接触し─────大きく爆ぜた。
結界内の空中を全て覆い尽くすほどの爆発。
この爆風ならば圧縮途中であった球体が爆ぜても相殺できる。
そう考えての行動。
だが終わってはいない。
シャワーの目は、未だに彼の
そして、シャワーの見つめる先。
「──《シャイニング・ディスペアー》!」
片腕に黒い砲身を身に纏ったレイが見える。
球体は囮。
本命は特典武具による必殺。
光ったということは、つまり光による攻撃。
見た限りでも間違いはなく、高まったAGIにより放たれる前ならば考え行動する時間はあり。
「
瞬間、放たれる光の光線。
それは文字通り光の速さでシャワーへと向かい─────
そのまま、
「イェーイ、大勝利でーす!」
噂に名高い”不屈“レイ・スターリング。
それを無名の<マスター>が、完封と言っても過言ではない状態で勝利するという形で、二回戦は終了した。
■▼
「……なぁ兄貴。俺どうやって死んだんだ?」
『簡単に纏めると
「もしかして、《シャイニング・ディスペアー》を?」
『ああ。結界内に鏡が形成されて、光を何度か反射させてレイにぶつけてた』
「見事にカウンターを喰らったわけか。……兄貴、俺は夜まで時間があるからレベル上げにでも行ってくる」
『おう。曲がった心を叩き直して来ると良いクマ』
「ああ。じゃあ行ってくる」
『……ジョブや<エンブリオ>のスキルでのカウンター、ってわけでもなさそうだな。何か違和感がある。オールドポンドに聞けばわかるか……?』
(◎n◎)<シャワーの術はGoogle翻訳に任せました。
<魔天シャワー
(◎n◎)<リアルでも同じようなことをしてきます。
(◎n◎)<ちなみにログインしてから最初の方は、
「出来そうですけどゲームですしやめておきましょう!」
(◎n◎)<ということで現実での技を使っては来なかったけど、オールドポンドと出会ってからは『使ってもいい』のだと考え、使うようになった。
(◎n◎)<いずれジャンル違いになる■■。それが