───”トーナメント“十日目が終わり、本来ならば想定されておらずあるはずのない十一日、十二日目。
しかしこの世界線では開催されている。他ならぬ【
古代伝説級最上位と、神話級の枠組みを超えた<イレギュラー>の二体を賞品とした戦い。
負ければ当然ながら賞品は得られず、勝ったところで勝てるかどうかも怪しいレベルの<UBM>たち。
他の”トーナメント“の賞品として出ていた<UBM>と比べても出てくる情報が多いためにこぞって……美少女という情報が出た十二日目には特に<マスター>が集中した。
そうして始まった第十一回目の”トーナメント“。
「うぉぉぉ!! 覚悟しろレイ・スターリングゥゥゥゥゥ!!」
「この恨み、晴らさでおくべきか ……!」
「お前が泣くまでっ、殴るのをやめないっ」
「いけっ、全員でタコ殴りじゃーい!」
「俺ここまで恨まれるようなことしたかっ!?」
『男の嫉妬だのぅ』
「あ、私はそういうのないけど袋叩きには賛成なので参加するからね」
「──武装展開」
「あっ」
「いっ」
「うっ」
「えっ」
「……えっ?」
「お前そこは『おっ』だろぐわぁぁぁぁぁ!!」
「オーナーの分まで俺たちが頑張るぞ!」
『おぉ!』
「……ところでお前たちのところのオーナーは何処に行った?」
「え? あーそれは、」
「この妻子持ちのデンドロリア充がぁ! てめぇらで憂さ晴らししてやんよぉ!」
「まだ何も言ってないだろうがっ!?」
今、
☆☆☆☆☆☆☆
一日目から十日目までに”トーナメント“に参加し、しかし惜しくも勝者となれず敗れてしまった<マスター>たちを拾い上げるための、変則的”トーナメント“。
それが十一日と十二日の”トーナメント“だった。
敗者復活戦とでも言うべき今回のバトルロワイヤルでは、他の”トーナメント“と比べてもあまりに人数が多いために複数人でのバトルロワイヤルとすることが決定され、更には結界内の時間加速も使い急速に行われた。
この十一日目に参加した有力候補は、【伏姫】、【氷王】、【傾国】、【暗殺王】等、超級職以外だと”不屈“等、多くの参加者がこちらを選んだ。
反対に十二日目は神話級という強大な存在であるためか参加者は少なく、有力となるのは元カルディナ所属、現<デス・ピリオド>に所属した【殲滅王】と【絶影】のみという結果だった。
ちなみに十一日目のベストバウトはどういう巡り合わせか揃ってしまった全参加超級職たちによる、後に《大乱闘超級職決戦》と呼ばれることになる激しい乱戦だったりする。
そうして激しい戦いの末に決まった勝者は、
十一日目∶【
となった。
さらっと参戦して超級職が一人しかいなくなった最終戦で勝利をもぎ取っていた魔天シャワーであった。
多くの参加者は敗北して<UBM>を逃したことに落胆していたが、魔天シャワーの言葉によって状況が変わった。
「私達が売ってる商品を高く買ってくれた人は一緒に挑戦できるようにしますよ! なんと先着五名様です!」
これによりこぞって多くの参加者が魔天シャワー、もとい<MDQB>の超高級品を求めて買い物競争が始まった。ちなみに発案者はQである。中々あくどいことを考えたことに少し引いた2人(魔天シャワーを除く)に、当人はVサインで返していた。
なおそれはそれとして挑戦権とは別に商品を買いたいという者は多くいたため商品を買い占めた者や、一目惚れした服を購入するのに全財産に近いお金を費やした【堕天騎士】もいたりした。
そうして集められた参加者による<UBM>討伐が数日後に行われることとなった。
なお参加者には意図せず購入金額ランキング5位以内に入った【堕天騎士】や同じく意図はしてなかったがそれはそれとして目当てのアクセサリーを買い占めた【破壊王】、また同じく意図はしてないが良さそうだったり恋人に送れそうな装備がいくつかあったので購入した【超闘士】、そして今回は意図的に高い商品を購入した【女教皇】など、ビッグネームばかりが参戦することになった。
ちなみに最後の一人は【傾国】キャサリン金剛。超上質なメイド服を見つけたので四着分+予備も含めて購入したそうな。
参加者が決まった段階で全員の予定のすり合わせを行い、いざ始まった闘技場での<UBM>討伐。
その戦いは……思わぬ予想外を呼び起こしつつ、繰り広げられた。
■▼
【剣神】オールドポンドの手で闘技場中央に運び込まれた全長五メテルほどの白箱。
その材質がどういうものなのかを知る者は、身内である魔天シャワーしかいない。
しかしその性質が珠と非常に似通っているものであるということは見ればある程度は理解できた。
オールドポンドが闘技場から出て、カウントダウンが始まった。
シュウは第一形態の大砲を構え。
フィガロは鈍い身体ではあるが、恋人の助けにより以前よりも共に戦えるようになった身体で武器を両手に持ち。
キャサリン金剛は出来る限りフィガロの方を見ず見られないようにして四大冥土と呼ばれる従魔を全員展開。
ジュリエットは空へと飛び空中から攻撃できるようにして。
扶桑月夜は影を展開、いつでもデバフを掛けられるように備えた。
魔天シャワーは全員をパーティに加えてステータスを跳ね上げておき。
『点火!』
そして、合図が来た。
<UBM>が解き放たれたと同時にそれぞれが動き出す。
まず動いたのはジュリエット、続いてキャサリン金剛。彼女たちは空中と地上という両面から攻撃を行い、
共有加算されたステータスで、この場にいる全員が超音速機動の領域に立っている。
それでもなお、この<UBM>はこの中で一番
土煙が姿を覆っていたが、すぐに攻撃を避けた<UBM>の姿が見えてきた。
四足の獣。赤い体毛。赤い角の、鹿。
それが【純斉窮煉 ディアー・ドォーン】……純粋性能型の古代伝説級だった。
その性質は単純明快。
素の高ステータスと、時間経過及び肉体消耗による肉体強化。
その暴威は、すぐにそれぞれの参加者へと振り注いだ。
まず優先して狙われたのは扶桑月夜。
古代伝説級のステータスで駆ける【ディアー・ドォーン】は、しかし月夜の圧縮デバフによりAGIを六分の一にされて亜音速程度にまで下げられた。
これならばステータスの共有加算で強化されたAGIを有する月夜は攻撃を当てられる前に避けることができる。
そしてAGIが下がったということは、避けるのも至難となったということでもある。
フィガロの鎖による自動攻撃とジュリエットの闇魔法が放たれ、続けて四大冥土の遠距離攻撃も加わった。
亜音速程度となった【ディアー・ドォーン】にはこれを避ける術はなく、回避を続けながらも攻撃を食らい、消耗していく。
消耗していき……【ディアー・ドォーン】は次第に
(強くなっとるなぁ。HPが削れたのが理由やろか)
(ステータスが高くなってるな。あの雌狐のデバフがあって
月夜とシュウは互いに似たことを考え、それぞれが出来ることをする。
月夜はデバフを維持し。
シュウは見ているだけでは不味いと【ディアー・ドォーン】に接近する。第一形態では誤って倒しかねないため今は装備から外している。もとよりシュウは他の者たちに特典武具を渡して全体を強化しようとしていたのだから。
削っていき、時間経過と損耗でステータスが上昇していく。
狙っていた月夜をターゲットから外し、地上にいて狙いやすいフィガロへと駆け出す。本能的にこちらが一番
それ故、フィガロはパーティという不馴れな戦場と自身の欠陥を突かれて最初の脱落者となり……同時に
『GYUOOOO!!』
肉体が変化する。
リソースが増す。
倒したことで得た経験値が、一定地点を超える。
<UBM>【純斉窮煉 ディアー・ドォーン】は……フィガロを倒したことで
今はもう古代伝説級ではない───神話級<UBM>。
伝説を超えた神話へと、足を踏み入れた。
その後。
【ディアー・ドォーン】は戦闘を継続。
【傾国】【女教皇】を殺害、【堕天騎士】はHP全損後最終奥義で一矢報い、魔天シャワーが【ディアー・ドォーン】を固定。
最後は【破壊王】の第一形態による超攻撃力で破砕され、特典武具はシュウ・スターリングの手に渡ることとなった。
【純斉窮煉 ディアー・ドォーン】
(◎n◎)<三巨頭+準<超級>を相手に善戦どころか大半を殺害してみせた極極まった方の純粋性能型。
(◎n◎)<古代伝説級だったのに戦闘途中で神話級に進化。ステータスやスキルが強化されて余計手がつけられなくなった。
(◎n◎)<まだ練習したてで準<超級>未満でしかなかったフィガロもあっさり敗北。一人だったら勝ってた。
(◎n◎)<ステータスは時間経過とHP消耗で上がるフィガロ+【グローリア】みたいなやつだが、肉体再生がない分のリソースは時間経過に費やされた感じ。
(◎n◎)<HPも【グローリア】ほどじゃないが高いので死亡寸前は最大HPの70%ほどは残していたがクマニーサンの第一形態で頭を吹き飛ばされた。
(◎n◎)<……ちなみに特性は肉体強化なので『ついでに』ステータスが上がってただけで他の項目も上昇してた。ステータスで言えばLUKやMP、SPが上がらない。
(◎n◎)<それと、【ディアー・ドォーン】は着ぐるみ補正から逃れたようです。