剣一つあれば良い   作:オルフェイス

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帰還

 

 【断竜王】との戦いを終えたオールドポンドは自身のデスペナルティが明けてすぐにログインし、テレジアに会う約束を果たすために足を運んだ。

 普通、例え自由を謳われるマスターであったとしても国の王女に気軽に会いに行くなど不可能……

 なのだが、彼女の父である国王エルドルがこれまた気軽に許可した。もちろんそんなことをオールドポンドは知らない。

 

 知っているのは、父にお願いしたテレジアだけである。

 

 

『いやぁ、中々にハードな日々だったガメ』

「大変だったみたいね」

 

 

 挨拶もそこそこに、何があったのかを座って話し出したオールドポンドの言葉に耳を傾けるテレジア(■神)

 ちなみに、この時になってようやくオールドポンドが既に超級職に就いていたことを知って驚愕していた。それが【剣神】であることも。

 しかし、と。テレジアは首を傾げた。

 超級職のことではなく、UBMのことで。

 

 

 (……そんな頻繁に遭遇するものだったかしら?)

 

 

 そう内心で疑問に思いながらも、しかし疑うことはない。

 嘘をつく理由はないとテレジアは考えていたし、それに信じたいという気持ちがあったから。

 それより驚くのは、神話級UBMを倒したという事実だった。

 

 

『これがその特典武具ガメ』

 

 

 オールドポンドが見せたのは飾り気のないペンダント。

 その効力は本人曰く『情報を遮断するらしいガメ。正確には無効化するわけではないけど、相手に送られる情報を遮断して渡さない、らしいガメ』とのこと。

 仮に今のオールドポンドに《看破》を使っても、発動はできるし防がれもしないがステータスは表示されない、という結果になるという。

 

 

(神話級UBMの単独討伐……【覇王】や先々代【龍帝】、あとは姉さまなら、可能でしょうね)

 

 

 超級職中最高難易度の就職条件をクリアした、恐らく歴代最強のティアンである【覇王】。

 その【覇王】と渡り合い、数々の武勇を残す先々代【龍帝】。

 世界最強の聖剣を保有する、生まれながらの超級職である姉。

 

 現状知りうる中で、三人も神話級というUBMの中でも怪物に分類されるモンスターを倒せる者はいた。

 しかし、そもそも前者二人は600年以上前の人物で現世にはいない。姉に至っては確実に勝てるとは言えず、最終奥義を使わなくてはならないと考えると前者二人に劣る。

 

 たった三人しか、テレジアの知る限りで単独で神話級を倒せる逸材はいない。今の時代で神話級討伐を、しかも単独で成し遂げられる者がどれだけいるのか。むしろいない可能性のほうが高いとテレジアは思っていた。

 

 それを成し遂げたオールドポンドは、確かにテレジアの望んだ強者だった。

 

 

「神話級なんて、歴史に名が残るくらい凄いことよ」

『うーん、素直に喜べないガメ。最後は《ラスト・スタンド》頼りだったガメ』

「そうかしら? マスターだもの、それも踏まえての勝利だと思うわ」

 

 

 しかし、オールドポンドは納得していなさそうで唸っていた。

 しばらく唸っているのを見つめていたテレジアだったが、ふと思い出したように口を開いた。

 

 

「ところで、<修羅の奈落>はどうだった?」

『ん? あぁ、とりあえず欲しいものは手に入ったガメ』

 

 

 よっこらせ、とオールドポンドは立ち上がり。

 自身の右手にエンブリオを呼び出した。

 無骨な形をした、金とも銀とも取れる色合いの剣。

 テレジアが近い印象を感じたのは、姉の保有する原始の聖剣。

 とはいえアレに比べたら目の前の剣は流石に劣る。

 かつての■■職()が作り出した、文字通り■■級の剣である世界最強の聖剣と比べれば、どんな武器も劣って見える。

 そしてどれだけ優れた武器であろうと、エンブリオである以上は自身を殺すには至らない。

 

 ─────だと、言うのに。

 

 テレジアは、テレジアに宿る【■神】は既に動き出していた。

 【■神】の危険を感じ取り、相手を殺さんとする。

 【■神】の機能である自動迎撃が周囲の非生物の物体(オブジェクト)を眷属へと変性させ、蠢き、オールドポンドへ襲い掛かる。

 そこにテレジアの意思はない。

 ただ【■神】であるテレジアを守るべく造られ、生み出され、外敵を排除する。

 

 そうして生み出された無数のモンスターは、

 

 

『邪魔だガメ』

 

 

 妨害も許されず、一刀のもと斬り裂かれた。

 ─────()()()()()()

 

 

「え?」

 

 

 思わず声が漏れ、テレシアは自身の身体を見下ろした。

 確かに刃が通り過ぎたことを実感した。

 異物に対しての無敵化が機能して防がれたのではない。それなら剣は弾かれるか、あるいは肌で止まる。

 オールドポンドを見れば、確かに剣は振り抜かれた姿勢のまま止まっている。

 

 

『……よし』

 

 

 短く呟いて座り込み、じっと自身の剣を見つめる。

 

 

『流石は<超級エンブリオ>。おかげで上手く斬れたガメ』

 

 

 そう口にすると剣を紋章の中におさめ、テレジアの方を見る。

 テレジアは、ただ困惑と混乱で何を言い出せば良いのか分からなくなっていた。

 何をされたのか。

 何をしたのか。

 その答えは、オールドポンド本人の口から放たれた。

 

 

『とりあえずジョブは()()()ガメ。まぁ時間経過で修復されるし、リソースも霧散してレベルは0になるガメ』

「─────」

 

 

 それは。

 嘘みたいだと、テレジアは感じた。

 しかし……確かに真実なのだと理解できた。

 レベルが感覚的に分からない。

 一度は生み出されたはずの眷属が増えることがない。

 そして、

 

 

「私、は……【邪神】、なの」

『……予想以上に物騒な名前が出てきたガメ。【邪神(ジ・イーヴィル)】て……』

 

 

 ─────口から出されるはずの偽装は、もう消え去っていた。

 不安要素がなくなったわけではない。

 【邪神】はいずれ修復され、レベルが再び上がって<終焉>に至る可能性は残ったままだ。

 けれど。

 希望が見えたのだ。

 

 死ななくてはならないと、テレジアは常々思っていた。

 世界のため、そして愛する家族のために。

 死ぬ必要がある。どうしようもないことだと諦めていた。

 

 でも、彼がいれば、死ななくても良いかもしれない。

 

 

『え、あ、ちょっ、泣いちゃった!? ど、どうしよ、なんか泣き止ませる方法……そんなの俺知らん!』

 

 

 狼狽えるオールドポンドに何か声をかけようとして、上手くいかない。

 感情の濁流が押し寄せて、言葉が出てこない。

 瞳から涙が溢れ、流れて、落ちていく。

 もし、何か一つ言葉として出すのなら。

 

 ありがとう。

 

 ただそれだけなのだと。

 テレジアは、泣き続けた。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 ここに今、世界の道は大きく分岐した。

 世界が滅びる道の可能性が減り。

 逆に世界が存続する可能性の道が増えた。

 

 世界を管理する者にとっては好ましい状況となり。

 世界を存続させたい者、世界に潜む復讐者たちはそれを知らず。

 世界を滅ぼしたい者は歯軋りを立てて憎しみを募らせる。

 世界をなんとなくで左右させる導き手は昼寝中。

 世界を観察し楽しむ者は、大いに爆笑した。

 

 なんであれ、結末は未だに定まらず。

 可能性は無限に広がっている。

 しかし確かに、世界にとって好転したことは事実であり、それは多くの者にとって好ましいもので。

 

 だからこそ。

 世界を滅ぼしたい者は、策謀を巡らせる。

 一刻も早く、世界から解放されたいがために。

 

 尤も。

 それを最新に近い【剣神】が許すかどうかは、また別の話だが。

 

 

 




 テレジア・C・アルター
L%・■■■■■■■■□□
 オールドポンド
?%・■■■■□□□□□□


【質実剛剣 グラム】
TYPE∶エルダーアームズ 到達形態∶VII
能力特性∶性能特化
スキル∶?
ステータス補正∶なし
装備補正∶攻撃力???万


n◎)<ヌッ

(◎n◎)<ニョキ

(◎n◎)<超級には【断竜王】倒したあとに到達してたよ。

(◎n◎)<あとストック尽きたから、しばらく投稿することはないよ。

(◎n◎)<何か聞きたいことがあれば活動報告にコメントしてね。

(◎n◎)ノ

グラムの必殺スキル

  • 我が剣に曇りなし
  • 剣一つあれば良い
  • 神剣
  • 一剣万象
  • 剣の理
  • 全なる一刀
  • そんなものはない
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