剣一つあれば良い   作:オルフェイス

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(◎n◎)<本編はまだだけど、外伝だけは出来ちゃったので折角だし投稿。

(◎n◎)<主人公はオールドポンドだけど、それとは別のマスターの話


幕間・レジェンダリア出身マスターの日誌

 

『◯月■日』

 

 

 <Infinite Dendrogram>っていうVRゲームを買ってもらった。

 ゲームにはあまり興味はなかったけど、時間経過が現実の3倍というから、効率的に学習ができるかもと思いプレイし始めた。

 

 遊びに来たわけではないのでキャラクリエイトは適当に……とはいえ身元がバレる心配も考えて身長や顔は変えてログインした。

 

 どうせ何処で学習しようと関係ないから、場所は一番ファンタジーと言えるレジェンダリアを選んだ。

 友人がレジェンダリアで遊んでいるらしい、というのも選んだ理由の一つ。

 

 正直、今では後悔してる。

 

 初日だからって散々過ぎる。エンブリオが目覚める時間も得られずにデスペナルティになった。

 

 ……今日はここまでにしておこう。デスペナルティで一日ログインできないし、そもそも学習に忙しくて時間がないから。

 

 いつ時間が取れるのかわからないが、その時に考えよう。

 

 

『◎月□日』

 

 

 数日後にログインしてたら場所が変わっていた。

 困惑したが、そこに在中していた管理AI……確かレドキングだったか……に話を聞くと、とうやらここは監獄というらしい。

 

 犯罪者なマスターが死亡したらここに放り込まれる、とのこと。

 

 罪を犯したつもりなどなく、なぜこんなところにいるのか理解できなかった。

 

 しかし他にも犯罪者……囚人がいたので話を聞いてみるとなんとなくだがどうしてここにいるのか分かってきた。

 

 つまり知らぬ間に国であるレジェンダリアの法を破って、それで犯罪者として扱われてしまった、ということらしい。

 レジェンダリアの法律なんて知るはずがないので、どう足掻いても詰んでいた。

 

 まぁ過ぎたことは仕方がないと諦めるしかない。

 

 そもそもここには学習をしに来たのだから、場所が変わろうと関係ない。

 

 さて、まずは紙とペンを探さなくてはならないだろう。まずはそこからだ。

 

 あぁそれと、ログインしたらエンブリオが孵化していた。

 

 【乗数機関 アンプリファイア】

 

 テリトリーのエンブリオだった。

 保有するスキルは《上々乗々》。

 効果はログインしていない時間に応じて獲得する経験値とアイテムドロップを増加させる。

 現状、最大三倍になるらしい。

 

 ……今のところジョブに就くつもりはないから、宝の持ち腐れだけど。

 

 今はとりあえず学習だ。

 

 

『▲月◆日』

 

 

 暫く変わりない日々を続けていた。

 時間が空けばデンドロにログインして学習をする。

 監獄にログインした時にお金は貰えたから買えるだけのペンと紙で書き進める日々。

 

 最初に来た時に話を聞いて話すようになった人からはゲームらしいことをしたらと心配されたけど、ゲームをしに来たわけじゃないから有難迷惑。

 

 ……だったんだけど、親に咎められた。

 

 「そんなに根を詰めなくて良いから」とのことで、ゲームの中での学習は禁止になった。

 

 でも、そうしたら何をすれば良いんだろう。

 

 エンブリオは順調に成長してきて第三位階。スキルは一つのままだけど効力は増している。

 

 とりあえず友人に話を聞いてみて、何をするのか考えてみた。

 

 結論から言うとジョブに就いてレベルを上げることになった。

 エンブリオの能力も話し、ドロップ増加があるなら戦闘系だろうと言われた。

 

 ログインできる時間は限られているだろうし、その辺りはエンブリオのデメリットともマッチしてるから問題はない。

 

 でも、戦闘系となれば当然戦わなくてはならない。

 

 ……どんなジョブにすれば良いんだろう。

 

 

『◯月▲日』

 

 

 【弓手(アーチャー)】から始めることにした。

 

 リアルとほぼ同じ、どころか違いがわからないくらい似すぎているから、きっとモンスターと相対した時に近すぎると戦えなくなると思ったから、遠くから戦える【弓手】にした。

 

 それでやってみてわかったけど、【弓手】はお金が掛かる。

 

 原因は矢が消耗品であること。一度尽きたら補充しに戻らないといけないし、それでいて攻撃力もそれほど高くないし、稼ぐのには時間の掛かるジョブだと思う。つまり初心者向けじゃない。

 

 けどアンプリファイアがあるおかげで一体ごとの経験値は多いし、何よりドロップアイテムが多いから初日は黒字。ジョブも一日でMAXになった。

 

 多分、この調子でいけば最大レベルだという500までそう時間は掛からないと思う。

 

 この調子でやってみよう。

 

 

『◇月◎日』

 

 

 暫く期間が空いてしまった。日記を書く期間が。

 

 今ではエンブリオは第六位階まで到達してレベルも早々に500に到達した。お金も……この監獄でしか使えないジェイルリルというらしい……大量のドロップアイテムを売り払ったことで豊富にある。

 

 戦闘にも慣れてきて、一緒にパーティを組む相手もできた。

 

 できた、けど……今、無性に生産職をやってみたい気持ちがある。

 

 素材が沢山あるものだから、やろうと思えば幾らでもやれると思う。

 

 自分で素材を得たりするのは難しくなるけど、それも自分で装備を整えてステータス特化の装備を作れれば、案外いけるのではないかと思っている。

 

 と言っても、自分でも何の生産職になりたいのか決まっていない。

 

 でもどうせ経験値を貯めるのは苦労しないし、気軽にジョブリセットしても良いかもしれない。

 

 アンプリファイアの最大倍率も、今では経験値とドロップ両方が一〇〇倍にまでなっている。

 

 生産職は外に出なくてもジョブクエストをクリアすれば良い。アンプリファイアで一〇〇倍になるから、一度に100回もクエストをクリアするようなもの。

 

 レベルのことは考えずに色々なジョブをやってみよう。

 

 

『◀月▼日』

 

 

 あれから色々なジョブを付けたり消したりしている。

 

 【料理人】【鍛冶師】【農家】【錬金術師】【戦像職人】【薬剤師】etc

 

 レベルはアンプリファイアのおかげですぐに上がるから気にせず付け外しして、色々と試している。スキルレベルは下がるけど、そこはもう気にしても仕方がない。

 

 【戦像職人】でゴーレムを作って【彫金師】で刻んだりとか。

 【農家】で薬草を育てて【薬剤師】で作るとか。

 

 やってて気付いたけど、自分は戦闘よりも生産の方が向いてるし楽しい。

 

 今は【鎧職人】に【彫金師】を主に、あとは諸々を試している。

 

 ステータス特化の装備も作れたので素材を集めるのにも苦労しない。

 

 案外、天職なのかもしれない。

 

 

『△月■日』

 

 

 今、着ぐるみを作るのに嵌ってる。

 

 着ぐるみは全身鎧装備に分類されるらしく、これを装備すると両手の武器枠とアクセサリー5枠以外の全てが埋まるため、好まれていない装備らしい。

 

 でも作りたいから作る。

 

 全ての装備枠を埋めるだけあって、一つの装備に沢山のスキルやステータス強化を盛り込むことができる。

 

 とはいえ着ぐるみを作るのに何が一番適しているのか分からないから、いくつか付け外しを繰り返している。

 

 今の段階の最高傑作は、状態異常に特化させてステータスの補正がないから、ステータスに特化した着ぐるみを作りたい。

 

 着ぐるみというのだから使うのは金属だけじゃなくてモンスター素材に、植物素材……兎に角色々な素材がいる。

 

 こういうところで、アンプリファイアのドロップ増加には助けられる。

 

 空き時間を練り出して、装備作成に尽力しよう。

 

 

『?月!日』

 

 

 超級職の就職条件を満たしたので就いた。

 

 名前は【棄却王(キング・オブ・クイット)】。系統なし超級職らしい。

 

 レベルを上げてみた感じでは、上昇ステータスは生産職以上、戦闘職未満といったところ。でもレベル上限がなくていくらでも上げれるのはアンプリファイアとの相性が良い。

 これで素材を取りに行くのが格段に楽になる。

 

 【棄却王】の保有するスキルは二つだけ。

 

 一つが奥義《パスト・リサイクル》。その効果は、自身が最大まで上げてリセットしたジョブのスキルを保有できる。

 もう一つが最終奥義《フューチャー・リリース》。使用するとジョブレベルが徐々に下がっていく代わりに減ったレベルに応じてステータスが上昇していく。持続時間はレベルによって変わるけど、レベルが0になると途端に上昇したステータスは消えてしまう。

 

 多分最終奥義は使うことはないだろうけど、奥義だけでもそれなりに……ううん、かなり使える。

 

 これなら捨てざるを得なかった生産系のジョブや、それどころか戦闘系スキルも拾い上げることができる。

 

 ……とはいえ、ログインできる時間はこれまで通り限られているけど。

 

 よし。

 

 最高の着ぐるみを、作ってみせる。

 

 

『Ⅻ月U日』

 

 

 前回の日記から暫くして。

 アンプリファイアが<超級エンブリオ>に進化した。

 

 これで名実ともに、<超級(スペリオル)>になった……ということでいいのかな。

 

 超級に進化してもアンプリファイアのスキルは変わらない。倍率が変わって、必殺スキルになって名前が変わったくらいだ。

 

 《倍増器官(アンプリファイア)》。これが今のアンプリファイアのスキル。

 

 最大は獲得経験値とアイテムドロップ増加、両方の倍率が()()()()()

 

 凄い倍率だけど、特化型ってこういう極まった部分を持つものらしい。

 

 アンプリファイアの場合はデメリットも合わせた上でこの倍率だ。

 

 おかげで【棄却王】のジョブレベルは1000を超えて今もなお止まることを知らない。ステータスも相応に高くなっている。

 

 そして着ぐるみだけど、今のところ最高とまでは行かないけどそれなりに良いものが作れてる。

 

 ステータス特化にもできるし、状態異常耐性特化、逆に状態異常攻撃特化とか、色々だ。

 

 とはいえ所詮は上級職が限度で、流石に超級職に及ぶような着ぐるみは、自分のだけしか作れていない。それも、ほぼ偶然の産物で再現性がない。

 

 今の目標は別の生産系超級職を取得して着ぐるみを次の段階へ推し進めること。

 

 目指せ可愛くて強い着ぐるみ!

 

 

 




『タクティカル・スマート』

(◎n◎)<日記の主の名前。

(◎n◎)<年齢的には小学生ほど。

(◎n◎)<フウタとは一度も遭遇してない。

(◎n◎)<デンドロをゲームとして遊んでたら着ぐるみに嵌って牢獄内で流行させ、変則的な『牢獄の着ぐるみ担当』になった。

(◎n◎)<本人も着るし周りにも売って着せる。


【乗数機関 アンプリファイア】

(◎n◎)<経験値とドロップの倍増に特化したエンブリオ。

(◎n◎)<閣下とは違ってスキルが必殺スキル一つしかない分、スキルの効力は高い。ドロップ増加にも割り振ってるからステータス補正は低いけど。

(◎n◎)<ちなみにお察しの方もいると思うけど、条件や効果がネタロウに似てる。必要以上にログインしてないと持続時間が伸びる。

グラムの必殺スキル

  • 我が剣に曇りなし
  • 剣一つあれば良い
  • 神剣
  • 一剣万象
  • 剣の理
  • 全なる一刀
  • そんなものはない
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