崩壊した世界で   作:社畜戦隊サラリーマン

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可愛い四話だと思った?
残念!
普通の四話だよ。



四話

 

マイクロバスを出て、橋に向かう人々とは反対に、堤防を降りて住宅地へ向かう俺達。

これから向かう順は既に立地から近い順と決めている。

まずは東の家に向かって歩いているが、外観が無事な家もあれば、窓が割れたり血痕が残っていたり、奴らの食べ残しも散見された。

略奪とか、そこまでの暴徒はいないみたいなので純粋にゾンビになった奴らに襲われたり、外で噛まれた奴が家に逃げ込んだ後に家族を襲ったり。

何体か頭部を破られてる死体があるのは、誰かが俺達のように応戦した結果でもあるわけだ。

もはやこの住宅街の道を歩いている生者は俺達以外見られなかった。

おそらくは籠城している人間もいる。

雨戸も閉められ、中には玄関先に車を停めて物理的に奴らが入りにくいようにしている家もある。

そういう家は備蓄とかあったりそもそも逃げられないと判断したりの差はあれど、事態が治るまで籠城を決めた者たちだろう。

それ以外の人達で生きているものは、皆守ってくれる存在がいるであろう警察署などを求めて川向こうに行こうと逃げたのだと推測される。

 

「思ったより奴らがいませんね」

「あぁ、生きた人達が逃げるのを追ってったんだろ」

「……ここからでも微かにクラクションの音とか聞こえるものね」

 

橋の方では規制され、向こう側へと渡れない事に怒号が飛び交っていた。

渋滞に焦れたものが車のクラクションを鳴らしているのも見たし、なんなら確かに耳をすませればその音が聞こえてくる。

 

「でも私たちには都合がいいよね」

「うん」

 

二木や一条が言うように、この状況は家族の安否確認のために動き回る俺たちにとっては都合がいい。

勝手に騒いで奴らの気を引いてくれる人達がいるのだから。

……その人達の中に仲間達の家族がいないとも限らないのだが、そのことにまでは思い至っていないようなので黙っておく。

全速力で走っても、俺はともかく他のメンバーが持たないため、軽い駆け足程度の速度で移動する。

場所は近い順に回ると決めたため、今は東の実家を目指している。

時折、民家の2階の窓から視線を感じる。

カーテンの隙間などから覗いてる目が見えたりもした。

原作に描写が少ないだけで、発生当日から日が立たない間は籠城して生き残っていた人間は思ったより多かったのかもしれない。

そんな人間達は主人公達を助ける余裕なんてなかっただろうし、逆もまたしかり。

互いに余裕がなく、かつ接触もない以上はいないも同然なわけだ。

 

「こ、この先の、あの青い屋根の家です」

 

ほーん。ええ家やん。

庭こそないが、二階建てで十分でかいな。

駐車場スペースは空だ。

 

「父さんは平日だし、仕事に行くのに車使ってたから」

 

なるほどね。

いるとしたら専業主婦の母親と同居してる祖母ってわけね。

見た感じ窓が割れたりはしていない。

玄関のドアノブを回してみるが、鍵がかかっていた。

合鍵は軒先に置いてる植木鉢の下って、隠し場所ありきたりすぎぃ。

さて、耳を澄ませても家の中で何か動きがあるようには感じないが、油断せず慎重にドアを開けた。

 

「……誰もいない」

 

何かあればすぐに逃げられるよう、土足で家の中にあがる。

一室一室クリアニングしていくものの、どこにも人はいなかった。

見つけたのは冷蔵庫の扉に貼ってある手書きのメモだった。

 

『卓造へ

 お母さんとおばあちゃんは近所の人が避難先の小学校に行くというの

 で、一緒に避難させてもらうことになったから安心して。

 貴方は貴方の身を第一に考えなさい。

 お父さんとは携帯がつながらなくて連絡が取れてません。

 もしお父さんと連絡ついたら、小学校に来るように伝えて。

 きっと無事だと信じています』

 

「良かった……お母さん生きてる!」

 

これだけメモ残す時間があったなら、まぁ逃げ出せる余裕はあったのかもな。

父親の方は希望が少ないが、原作描写がちゃんとある前に終わってしまったからなんとも言えないけれど小学校に関しては辿り着けていれば大丈夫かもしれない。

原作の避難先の小学校って、たぶん川向こうの小学校なんよな。

この町には二つの小学校があるわけで、現在いるこの場所から近いのは川よりこちら側にある。

……んー、あー。

向こうの小学校に避難したんだったらいいよね!

まぁ、そっちも何かトラブルが起きたっぽい描写の後、原作が止まったからどうなったかはわからないんだけど。

どっちに避難できていたとしても、無事とは断言できない。

余計な事言わんとこ。

 

「トイレ借りていいか?」

「はい。あ、冷蔵庫にジュースとかあると思うんで好きに飲んじゃってください」

「おーサンキュー。皆もトイレ行っとけよ。こっから先まともなトイレ行けるとは限らんからな」

 

セクハラになるかもしれんが、日を経つごとに無理になっていくだろう。

男ならその辺でできるが、女子には難しいだろうし。

女子三名が恥ずかしがりながらも順番に用を足してる間、台所を物色させてもらう。

東が部屋から持ってきたリュックに、あるだけの缶詰やカップ麺などをつめる。

よし、全員小便済ませたな!次行くぞ!

 

「言い方」

 

一条が睨んでくるが無視だ無視。

 

 

 

 

 

 

時間はバスを出て30分ほど。

次は二木の家か。

リュックは東に持たせて出発した。

二木と一条の家は、今の住宅街を抜けて県道を跨いだ先にある団地とのこと。

二人は同じ団地に住む幼稚園からの幼馴染だとか。

団地、という言い方から複数の棟があるのだろうし、さぞかしたくさんいるのだろうなぁ、奴らが。

エレベーターは死亡フラグだから使用禁止と決めている。

この状況で使いたいというやつはいないだろうけどな。

 

「あー?」

 

県道に差し掛かったあたりで、生きている人間に絡まれた。

普通に素通りしたかったのだが、流石に5人で道路を横断していれば相手からは目につくわけで。

「可愛いJKいるじゃん」とこちらに声をかけてきたのは二人組のヤンキーだった。

 

「おいおい、よく見たらそこにいるのはあの時のニンジャ野郎じゃねぇか⁉︎」

「へっ、今度こそぶち殺してそこの女も貰おうか‼︎」

 

金髪とスキンヘッドの二人組という、べたべたな二人組がにやにやと笑いながらポケットからナイフを取り出した。

威嚇というか、示威的な意味としてかバタフライナイフでチャカチャカと音を鳴らせて遊ばせている。

個人的には無意味というか、日本刀のような切れ味が望めない上にあんな小さな刃渡りのナイフで耐久性を捨てた実用性の無さは、持ってて楽しいおもちゃとしか思えない。

 

「せ、先輩のお知り合いで?」

「んにゃ、知らねー」

 

でも台詞的には向こうは俺の事知ってるみたいだし、たぶんかつてボコった奴の中にいたんだろう。

 

「……どこまでも舐めた野郎だな」

 

あ、なんかキレてそう。

 

「あー、なんだ。そこの金髪とおハゲくん。俺達は今時間が無いから見逃したげるからさ、早くどっか行きな?ね?」

「っくそが‼︎本当にどこまでも舐め腐りやがって!」

「死ねやぁ!」

 

んー、まぁ、忠告はしたからな?

ナイフを持ってこちらにかかってくるという、日本語に訳すと「私は貴方に殺意を抱いています」となる行動で俺の忠告を無視された。

だもんで、俺も日本語に訳すと「今晩の味噌汁の具はワカメが良いです」となる行動で返答した。

要するに、バールを手放すと、金髪のナイフによる突きを払って、無防備になった脇腹に抜き手を突き刺す。この時、相手の肋骨の位置を見抜いて隙間を縫うようにして内臓にダメージを与えるのがキモである。

「ホワタァ!」とカラテチョップで手首の骨を砕き悶絶している間に、今度はハゲの側頭部に回し蹴りを叩き込む。

あとは騒いだから通りの向こうから奴らが来てるんでね。

手早くヤンキー二人の両足の足首を折ります。

餅つきの要領でね、こう、バールを振り下ろしてね?

あとは両肩の関節を外します。

はいこれで制圧完了、勝手に痛みで騒いでくれてるデコイの完成ですね。

よーし、いくぞお前らー。

 

「ひぃ、まっ、待って!置いてかないで!」

「あぁああ、俺達が悪かったから、た、たすけ……」

 

うん、即落ち2コマ的展開いいね。

仕方ないから助けてあげよう。

その辺の車の屋根の上に二人を放り投げる。

運が良ければ生きてるでしょう。

既に奴らとは10メートル程の距離まで来ているから難しいけど。

せめて俺達が道路向こう側行くまでせいぜい頑張ってなー。

喚き散らす二人組を放置して俺達5人は走った。

 

「やだ、嫌だぁああ⁉︎」

「来るな、来るなああ!」

 

時間は数分ロスしたが、まぁお陰でよい囮役になってくれたしええやろ。

 

 

 

県道を渡り切って数分で団地の入り口にたどり着いた。

あちこちに奴らが食い残したと思われる、人体の一部が落ちている。

壁や地面に血痕も見られるが、歩いている奴らは見られない。

無事な人は部屋に閉じこもっているのだろう。

奴らになったものは外へと生者を求めて出ていったと思われる。

二木の家がA棟の203らしい。

静かに音を立てないよう慎重に動く。

道路と違って階段や廊下で奴らに挟まれれば逃げ場がないからな。

203は扉が半開きになっていた。

ドアノブには、べったりと手形の血痕。

 

「……お母さん……お父さん……」

 

結果として、二木の家には誰もいなかった。

だが、東の家のような無事な可能性があるとは思えなかった。

部屋の中は荒れていた。

窓やテレビも割れ、まるで何かに投げつけたかのような物の散乱の仕方。

致死量としか思えない血溜まりが残っている。

その血溜まりの中には、人間の耳が一つ落ちていた。

床も踏み荒らされ、赤い足跡が至る所に見られる。

 

「う、ぐす……」

 

泣き出しそうなのを堪えているのか、目尻に涙を溜めながらも、二木は大声で泣き喚くようなことはしなかった。

 

「偉いぞ」

 

俺は彼女の頭を撫でる。

もし部屋の中が荒れていなければ、他の3人はここで待機させて、一条の家へは俺と彼女の二人だけで向かうのも良いと思っていたのだが……

この部屋に今の二木を置いていくのはなんだか駄目なような気がした。

一条も、家族の死がほぼ確定したであろう状態ではどう慰めてよいかわからないのか、いつもべったりな二木に寄り添えず戸惑っていた。

次は自分も同じかもしれないと思うと、下手に声をかけられないのかもしれない。

なまじ東の家で家族が無事かもしれないという希望が見えた直後なだけに、その落胆は大きいだろう。

時間が許すのであれば、落ち着くまでいくらでも胸を貸してやるのもやぶさかでは無いが、いかんせんその時間的余裕は今の俺たちには無い。

時計を見ればマイクロバスを出てから一時間と10分ほど。

約束の二時間まで残り50分を切っている。

 

「泣くのは後だ。次は一条の家を確かめるぞ」

 

その後なら俺の胸でもちん◯でも好きなだけ貸してやろう。

涙ぐむ彼女の手を取って立ち上がらせ、移動を開始した。

 

 

 

 

 

扉を開けた先、廊下には奴らの姿はない。

しかし、廊下から見える隣の棟との間には何体か歩いているのが見えた。

ここはA棟。

一条の家は二つ隣のC棟の305号室。

危険を排除する意味では、俺一人で隅々まで掃除してからの行動が一番安全ではあるが、そんなことをしている時間はない。

5人全員で音を立てないよう、しかしできるだけ早く移動する。

建物の間隔はざっくり10メートルほど。

建造物の奥行きが20メートルもないことから、AからCまでは50メートルもない。

高校生の足ならば、全力でなくとも軽い駆け足で20秒もかからない。

流石に無音というわけにもいかず、数体の奴らが反応してこちらを向くが、歩き出す前に俺が五寸釘を投擲して沈黙させる。

だがそのせいで辿り着く頃にはもう残弾が残り少なくなってしまった。

何処かで手裏剣代わりになるような投擲物を補充しないとなぁ。

 

「あー」

「うぅー」

 

階段前に辿り着くと、のろのろとした速度で上の階から奴らが折りてきていた。

バールを奴らの頭部に振り下ろして倒すのは簡単なものの、さして広くも無い階段に奴らの遺体が転がって正直邪魔だ。

ここに来るまでにも散々倒してきたので、最早女子達もゾンビを目の前で倒したくらいでは悲鳴をあげなくなっていた。

まだ事態が始まってから数時間しか経過していないが、それだけ濃密な経験をしているということだろう。

しかし、A棟は廊下や階段にはほとんど奴らがいなかったのに対し、まだまだ対処できる数ではあるものの、C棟はそれなりに奴らがいる。

これはもしかしたらどこかの部屋に生存者がいて、音を立てるために集まっているのかも知れない。

いくら俺達が音を極力立てないようにしたとしても、流石に無音というわけにはいかない。

倒した奴らが階段を転げ落ちたりすればそれなりに音がするわけで。

 

「うわ、後ろからもきた!」

「東、後は任せるぞ!走れ‼︎」

 

3階に到着し、階段から廊下へ入ったところ。

廊下にも4体ほどの奴らが見えたと思ったら、最後尾の東から声があがった。

今登ってきた階段から奴らが姿を見せた。

上の階からも下の階からも来たらしい。

それなりに広い場所ならいざ知らず、こんな人が二人並ぶだけで塞がるような通路ではさすがにまずい。

明らかにこちらをロックオンしている奴らを前にして、最早音を気にしている場合ではない。

全速力で走り、通り過ぎる際に廊下にいる奴はバールで塀の外へと殴り飛ばす。

率先して305号室の前に辿り着くと、扉を開けようとするも開かない。

くっそ鍵かかってやがる!

 

「一条鍵は⁉︎」

「あ、ありません!」

 

たぶん学校に置いてきた鞄の中なんだろう。

仕方なく隣の304号室のドアノブに飛びつくと、開いた!

勢いよく扉を開いてお邪魔しまーすと挨拶しながら中から出てきたおっさんゾンビを出会い頭に蹴り飛ばす。

ヤクザキックで室内に吹き飛んだ奴の頭部へ、片方のバールを投擲して頭部を柘榴のように破壊する。

 

「入れ!中の確認はまだだ、気をつけろ!」

 

入り口でメンバー全員が入るまで扉を死守。

バタバタと駆け込んでいく面々が無事に入ったのを確認してから扉を閉めた。

 

「きゃあ⁉︎」

「危ない‼︎」

 

部屋の中から悲鳴があがる。

見ると、南原が尻餅をついていて、彼女を庇うようにして立つ東の腕に奴らが噛み付いている。

どうやら部屋の奥から現れた奴が南原を襲い、それを東が庇ったようだ。

 

「くっそぉ!」

 

片手で持ったバットで東がそいつの頭部へと攻撃する。

不安定な体勢からの一撃では倒せなかったようだが、怯んだように口を離した相手に東、一条、二木が持っている得物を振り下ろしてねトドメを指していた。

 

「だ、大丈夫なの卓造?」

「あぁ、腕に教科書巻いてて助かった……」

 

はぁはぁと息を荒げつつも、南原の不安の声に笑顔で応える東。

噛まれた腕の、制服の袖をめくる。

保健室で集まったメンバーと同じように、彼の腕には教科書をガムテープで巻きつけた簡易な防具を装備されていた。

紙というのは一枚ではもろくとも、何枚も重ねると固くなる。

死んでいるために脳のリミッターが外れているゾンビとなった奴らの噛む力でも、200ページを超える教科書を噛みちぎるまでには至らなかった。

外してみれば腕は赤くなっており、もしかしたら骨にヒビが入っているかもしれないが、傷は無い。

これなら感染の可能性はないだろう。

 

「よくやった東」

 

バリケードを作りながら褒める。

鉄製の扉だし、日本の玄関扉って基本的に外開きだからアメリカのドラマみたいに破られる事は少ないんだよな。

木製だったり、古い家屋で引き戸ならダメだけど。

内側にいるやつが招き入れるような馬鹿なことをしない限りは、こうやって閉じてバリケードも作ってやれば一応引きこもるだけなら安全地帯は作りやすい。

問題はどう出るかだが。

とりあえず、部屋に転がった奴らの死体を一つの部屋に放り込んで片付ける。

視界にずっとあっても気分の良いものではないからだ。

四人を安全を一応確保できたこの場に残して、俺一人で隣を見てくる。

幸い、目的の一条の家はこの部屋の隣。

バルコニーは火災時に破って逃げやすいような作りの仕切りで分かれているだけだ。

 

「私も行きます!」

 

当然、一条は同行を希望するだろう。

連れて行かないとは言ってない。

ただ、俺一人が先に見に行ってから、安全を確保してから連れていく。

 

「でも、もし私の家族が奴らになってたら……先輩はきっと私が行く前に殺しちゃうでしょう?」

「…………わかった」

 

なんだ、わかってるじゃん。

既に死んでいる奴らにトドメを刺すことを「殺しちゃう」と表現することに少しの危うさを感じつつ、相手が家族なのであればそうなるのかとも思う。

仕方なく二人で一緒に行くことにした。

残りはここで待機、何か使えそうなものを探せ。OK?

バルコニーの仕切りは壊すと、もし向こうに奴らがいた場合の妨害にならないためそのまま。

仕切りの下の隙間から覗く限り、誰かの足とか見えないし気配もない。

少なくとも隣のバルコニーには誰もいないようだ。

落ちないように気をつけながら身を乗り出して渡る。

俺に取っては簡単な事だが、普通の女子高生にはさぞかし怖い事だろう。

足を踏み外せばここは3階なので、落ちれば普通に死ぬ確率が高い。

自分も行くと勇んだはいいものの、足がすくんでいるのが見てとれた。

仕方ない一条を背中におんぶして行くことに。

 

「ほらほら、俺の手で支えられないんだからもっと密着して。足も俺の胴にしがみつけって」

 

うむ、密着状態。

しかし悲しいかな、背中には女性的な膨らみを感じさせる柔らかさは微々たるものだった。

ぱっと見は少しは膨らみがあるように見えたんだけどなぁ。

痩せててくびれてるからそう見えたのもあるのかも。

バールは今は一本だけ。

空いた手で壁を掴みながらするりと渡る。

時間があるならもう少しこの状況を楽しんでもいいが、こんなものの数秒で終わる事で時間をかけていても変に思われる。

早々に彼女を下ろす。

バルコニーから中を覗くと、カーテンが閉められていて中の様子は見えない。

カーテンの隙間からは照明はついているのがわかる。

バルコニーに出入りするための窓は鍵がかかっていた。

試しに窓をコンコンと叩くも反応無し。

 

「……開けるぞ?」

「……」

 

小さな声で一条に確認すると、彼女は無言で頷いた。

鍵の近くの窓ガラスにハンカチを当て、バールでゆっくり力をかけて突くようにすると、小さな音をたててガラスに穴が空いた。

 

「……良し」

 

数秒待っても反応はないことから、鍵を開けて中に入る。

リビングは特に荒らされた様子は見られなかった。

だが、最早嗅ぎなれた血の臭いが部屋に充満している。

リビングから廊下に出れば、すぐに理由がわかった。

 

「……ァ……ゥァ……」

「……あ、あぁ……お母さん……?」

 

一条が絶望した表情で見つめる先。

そこには、全身のほとんどを食い尽くされ、下顎の無くなった顔と右腕だけが原型のない上半身とかろうじて繋がっている女性。

脳が破壊されていないためか、このような状態でも奴らへと転化して微かに動いている。

 

「あぁ……やだ、嫌だ!お母さん⁉︎」

 

涙が溢れ、目の前の状況を拒絶するように頭を抱える一条。

流石にここまでボロボロに食い尽くされた姿は想定外だっただろう。

噛まれて奴らになっているかも、死んでいるかも、とここにくるまでに考えていても、この姿は彼女の最悪として想定していた姿よりも酷かったに違いない。

しかし悲しんでいる時間は与えてやれない。

 

「どうする?やっぱり俺がするか?」

「……いえ、私がします。娘の私がしなくちゃ」

 

台所から持ってきた包丁で彼女は介錯することに決めたようだ。

俺のバールを貸してやって殴るのが早いとは思うが、ここまで損壊している母親を、これ以上にぐちゃぐちゃにしたくはなかったのだと思う。

 

「お母さん……ごめんね」

 

そして、今までありがとう。

そう言って彼女は、母だったものの額に包丁を突き立てた。

 

 

 

 




チンピラ1
金髪のチャラ男。
バタフライナイフをチャラチャラ回して威嚇するのが趣味。
今のは二代目のナイフ。
一代目は通りすがりのニンジャに盗まれた。
ニンジャが嫌い?つまり貴様は日本男児ではないな!

チンピラ2
ハゲのヤンキー。
金髪とよくつるんでて、俺たちはいつだって最強だったとかぬかしてたけどニンジャにボコられた人。
ニンジャが嫌い?つまり貴様は日本男児ではないな!


東卓造
今回家族が無事な可能性が出てきた(無事とはいってない)
彼女を奴らから救い、何体か奴らも倒して俺ってやるやんけと自信がついてきた。

南原直美
今回何も役にたってない。
卓造と一緒にいたいからついてきただけ。
あたしの彼氏サイコーじゃんと惚気てる。


一条の家
母親は誰かに食われていたが、その犯人は不在。
鍵がかかっており密室。
まぁ単にまだ調べてない部屋があるだけ
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