最高傑作を退学に出来るわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)   作:三次創作()

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前に似たような話を読んで面白くて一話以降貯めてたんだけど、気付いたらなくなってた
ので、展開を大幅に変えつつ綾小路清隆退学を達成させたいです

初投稿だから読みづらかったらごめんなさい
指摘してくれれば、直す努力は惜しみません


プロローグ:終わる日常

 

 

 

──────ホワイトルーム。

 

そんな単語を、皆は知っているだろうか。一見何の変哲もない英単語の羅列だが、実態はもっと悲惨なものだ。そこは、名の通り一面が白い壁に覆われた実験施設である。

 

掲げる目標は、「凡人の遺伝子から天才を作ること」。

 

 

そして──────

 

 

 

 

「──────綾斗、どうしたの?」

 

 

隣に座る女の子が、俺の顔を覗き込む。身の丈に合った白衣を纏う彼女の後ろには、今日も今日とて白い壁。

 

 

そう。

 

──────俺、真弓綾斗もこの実験施設の被験者である。

 

 

「何でもない。考え事してただけだ」

「そ。もうすぐ自由時間だし、頑張ろうね」

「ああ。まだ、脱落したくはないからな」

 

 

 

ホワイトルームでは、日ごとにスケジュールが完璧に管理されている。朝から夕方までは休憩を挟みながら勉学に励み、夜には肉体の錬成を行う。食事は一日三食で餓死することはないものの、栄養素とバランスしか考えられていないため質素で味気ない。その上、定期的に行われる実力を確かめる試験で一定以下の点数を獲れば『脱落』となる。因みに、脱落してから帰ってきた者は一人もいない。

 

 

「綾斗は大丈夫でしょ。成績ずっとTOPじゃん」

「同率だけどな。そういう一夏も、今は三位固定だろ」

 

 

今話しているのは、同世代の天沢一夏だ。赤い髪をツインテールでまとめ、純真的な笑みが特徴的な女の子。こんな腐った研究施設にいなければ、異性からの人気は凄かったんだろう。

 

 

「綾斗と拓也には及ばないよ。本気でやってるのに追いつける気しないし」

「俺だって、追いつける気はしないさ」

「誰に?」

「聞かなくても分かるだろ」

 

 

俺が本気を出しても、勝てないと思ってしまう相手。今まで、この十数年間死力を尽くして努力してきても追いつけない相手。

 

それは──────

 

 

「…………無理だよ。‘‘綾小路清隆’’には、誰も勝てない」

「だな。正直、あれが凡人ならほとんどの人間は昆虫以下のゴミ虫だ。才能以前、遺伝子レベルで負けてるって思わないと、流石にメンタルがな」

 

 

『綾小路清隆』。

 

それは、俺たちの一つ上の世代の生き残りだ。‘‘魔の4期生’’と呼ばれている、この施設の創始者である綾小路篤臣が直接指導した唯一の代。そして、綾小路清隆がその世代の唯一の生き残りだ。

 

今まで、どんな好成績を収めても研究者らの言うことは同じだった。『一年前の綾小路清隆はもっと凄かった』『綾小路清隆のような人間になれ』『綾小路清隆を見習え』。正直、耳に胼胝ができるかと思ったものだ。

 

 

 

 

「最高傑作の話なんてするなよ。気分が悪ぃ」

 

 

一夏とは反対の方向から、機嫌が悪そうな声がする。といっても、コイツはこれが平常運転だから心配はいらない。

 

 

「そう言うなよ拓也。恨むのも憧れるのも自由だろ?」

「僕はそういう話をしてるんじゃない。そもそも綾斗は僕を超すためにまずは努力をしたらどうだ」

「いっつも俺と同点だからお前も俺のこと超せてないだろ」

 

 

今俺と言い合っているのは八神拓也。俺と同率で5期生の成績TOPの男だ。少しはねた茶髪と幼さの残る顔が特徴的だが、そのビジュアルと反して言うことは結構えげつない。特に、最高傑作に対しての悪口は覚醒してる。

 

 

「どうせ今日も明日も変わらない毎日、せめて与えられた考える自由くらいは享受しようぜ」

「だね」

「ふんっ。下らないな」

 

 

これも、いつも通りの日常。左右に座る彼らと下らない話をして、それで脱落しないように頑張る。綾小路清隆になんて、勝てなくたっていい。

 

ただ、この俺にとっての普通が続いてくれれば…………

 

 

 

 

 

そんなことを思っていたある日。突如、俺たちに驚きのニュースが伝えられた。

 

 

 

「────ホワイトルームは、暫く活動を停止することになった」

 

 

研究者の一人が、ある朝突然そんなことを言ってきた。生気のない無機質な部屋の真っ白なベッドで寝ていた俺は、衝撃のあまり開いた口が塞がらなかった。何故ならそれは、一時的とはいえこの施設からの解放を意味するからだ。

 

 

「先生にとって不足の事態が起きた。急遽ではあるが、これも社会経験とするため、お前たちには一般常識とコミュニケーション能力を鍛えてもらうことになる」

 

 

集められた生き残りの5期生に告げられたのは、そんな言葉だった。だがそれは、恐らく言外の宣告だろう。暗に言われているのだ、「知識・技術の分野で綾小路清隆に勝てるとは期待してない」と。それに腹が立ったのか、拓也が殺気を放つ。だが、研究者がそれを相手にすることはない。彼らから見れば、俺たちは意思のない獅子の人形だ。

 

 

「これから、不確定だがWRの営業が再開するまで、お前たちにはそれぞれ一般人として生活を送ってもらう。生活に直接関与することはないが、監視はつけるから余計なことは考えるなよ」

 

 

これを機にホワイトルームから逃げようとしても無駄ってことか。まぁ、それは最初から期待してない。そもそも、こんだけの非人道的な研究を行っていてこれまでに明確な損害を受けてない時点で、何らかの権力によって守られているだろうことは想像がつく。その上、綾小路篤臣は元政治家。正直、逃げても日本国内なら絶対に捕まる自信がある。しかも俺たちはまだ十三歳だから、一人で海外に逃亡することも叶わない。所詮、俺たちは生涯コイツらの実験用モルモットでしかないのだろう。

 

 

「それと、綾斗、拓也。お前たちには個別で話があるからと綾小路先生が呼んでいる。すぐに来い」

 

 

そして何故かのお呼び出し。今までの人生で、綾小路篤臣と話したことはない。ガラス越しに見たことはあっても、直接言葉を交わすのは初めてだ。拓也も同じだからか、少し緊張している素振りを見せる。

 

 

「緊張してる?」

「黙れ綾斗」

「俺もだし。っていうか、一般人の生活って楽しみじゃない?」

 

 

珍しく多少の小言が許された俺たちは、会話に花を咲かせる()。今まで俗世のものには関わってこなかったため、かなり楽しみにしている自分がいた。だってそうだろ?お菓子や、アイスを食べれるかもしれない。知識としては知っていても、味わったことのないものにはやはり興味が沸くな。

 

 

「そんなことより僕は綾斗との勝負にケリをつけたいんだ。そして、さっさと綾小路清隆を超える」

「綾小路清隆、ねぇ…………」

 

 

正直、未だに綾小路清隆を超えるとか言えるのは拓也の凄い所だ。前に一度、俺たち5期生で綾小路清隆がカリキュラムをこなしているところを観察する機会があった。その際に、俺は、いや俺以外も多くの者が思い知ったのだ。

 

 

「ああ、コイツには勝てない」と。

 

 

それ程までに、綾小路清隆という存在は凄かった。俺たちが死に物狂いで突破したカリキュラムよりも数段難易度の高いカリキュラムを、平然と突破するのだ。そして、特に喜ぶ感情も見られない。まるで、それが当たり前だとでも言わんばかりに。

 

 

「──────ついたぞ、この部屋だ。まずは綾斗から、入れ。決して無礼のないように」

「はい。分かりました」

 

 

研究者の一人に促され、俺は部屋に入る。久しぶりに、こっちのフロアに来たな。ずっとモルモットの飼育部屋にいたため、人間の住む場所には中々慣れない。

 

 

 

「─────失礼します。真弓綾斗です」

「入れ」

 

 

初めて聞く厳格な声に驚きつつ、俺は部屋のドアを押し開ける。視線の先、部屋の奥には大きな椅子に腰かける大人が一人。目つきは悪く、犯罪者と言われても納得できる人相だ。

 

 

「単刀直入に訊く。お前は、綾小路清隆をどう思っている?」

 

 

いきなり、意味不明な質問をされた。しかし、意味不明だったのは最初だけで、俺はすぐにその意味を理解する。これは、試されているわけだ。なら、出す答は決まっている。

 

 

「追いつき、追い越すべき目標です」

 

 

研究者、そして綾小路篤臣が俺たち5期生に綾小路清隆の存在を視認させたのには、理由がある。それは、綾小路清隆が研究者が生み出した架空の人物ではなく、実在する人間だと証明すること。そして、少し上の階段に立つ『超えれる』目標と認識させることだ。

 

 

「そうは見えないな。香椎の話では、お前からは綾小路清隆に対する感情が何も見えないと報告されている。同期の八神拓也は、微量ながらも対抗心を見せているというのに」

「それは自分の知る範疇ではないですから。感情の起伏が小さいため、観測が難しいのではないでしょうか」

「…………そうか。話は終わりだ、もういい」

「ありがとうございました」

 

 

なんとか乗り切ったな。あそこでもし「綾小路清隆?どうでもいいわ」とか言ってたら、何されるか分かったものじゃない。もしかしたら、強制的に脱落させられていたかもしれない。それに、拓也の憎悪が綾小路清隆にだけ向くことを阻止するために俺も頑張って拓也に成績を並ばしたとバレても面倒くさい。もともと凡人の奴が精一杯やってんだから、それだけで我慢しろや。

 

 

「どうだった」

「ただ綾小路清隆をどう思ってるか訊かれただけ」

「そうか」

 

拓也との質素な会話を済ませると、俺は廊下の壁に背を委ねる。これから先、一般人の生活か。研究者の口ぶりから各々一人暮らしだろうし、頑張らないとな。っていうか、生活費とかは貰えるんだろうか。まだ未成年だし年齢で言えば中学生だから、バイトは無理だしな。

 

 

数分経つと、拓也が出てきた。しかし、その顔は部屋に入る前に比べてかなり沈んでいる。久しぶりに見る、拓也の顔だ。俺は心配になり、覗き込む。しかし、体調不良というわけではなさそうだ。

 

 

「どうした拓也。何かあったのか?」

「さっきの奴が言ってた一般人の生活ってあったろ」

「ああ」

「あれ、僕と綾斗と一夏で3人暮らしらしい」

「──────マジで?」

 

 




自分が見つけられないだけの機械音痴だったら申し訳ない
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