最高傑作を退学に出来るわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)   作:三次創作()

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2話:中学校

 

 

 

「今日から中学校、だな」

「楽しみ~~」

「まぁまぁかな」

 

 

春の朝。俺たちはいつも通り質素な朝ご飯を食べながら、今日からの生活に思いを馳せる。三人暮らしを始めてから今日で約一週間、言いつけ通り、今日からは中学校に通うことになってる。楽しみでもあるけど、若干の不安は残るな。

 

 

「友達できるかな」

「一夏に? まさか、そんなわけないだろ」

「拓也にも出来なそうだけどね」

「僕はいらないからいいんだよ」

「負け惜しみ~」

 

 

いつもの朝。いつもの光景。今日も一夏と拓也がやいやいと言い合っているけど、これにも慣れたものだ。今までは一日で話せる時間も少なかったけど、今は誰かに止められることもない。実力が低下するのを防ぐためにある程度の勉強と運動はしているけど、それもホワイトルームにいた頃に比べれば子供の散歩と同レベルだし。

 

 

 

 

「で、どこだっけ?」

「ここから徒歩十五分くらいのとこにある埼玉市立○○中学校」

「あのデカいとこか」

 

 

今俺たちが住んでいるのは埼玉の田舎だ。辺鄙って程じゃないけど、都会ではない。別にいいし、人が多いよりはマシだけどね。

 

 

 

 

 

支給された制服に身を包んで、中学校までの道のりを歩く。つい一週間前まで世間を知らなかったのに、今じゃ普通の中学生だ。どこか感慨深さを感じつつ、同時に高揚もしている。一体、どんな人がいるんだろうか。教師はどんな人だろう。校舎の中はどうなってるんだろうか。

 

学校に到着すると、とりあえず職員室に呼ばれた。どうやら、俺たちは転校してきたという設定になってるらしい。問題は明らかにホワイトルーム関係者っぽい奴も同じタイミングで転勤してきたことだ。自由にさせろや。

 

 

「あー、君たちが転校生ね。はいはい、よろしく~」

 

 

担任の先生というヤツが出てきたと思ったら軽そうな奴だった。名前は木村、どこにでもいそうだから、覚えていられる自信はない。俺の頭の容量はもう一杯一杯だからな。

 

 

「よろしく」

「拓也敬語」

「いるか?」

「いる」

「よろしく、お願いします」

 

 

軽そうな感じでこられたからか、拓也から印象は悪いらしい。まぁ、仕方ないよな。拓也って自分と俺たち以外の人間嫌いそうだし。っていうか、綾小路清隆と直接会ったりしたら殴りかかりそうで怖い。俺が止めよう(使命感)

 

 

「名前は、えっと…………八神拓也くんと、真弓綾斗くん。それと、天沢一夏さんね。親?っていうか、上からの命令で君たち全員同じクラス、俺のとこに入ることになってるから、よろしくね。とりあえずこの後の朝のHRで自己紹介、よろ」

 

 

自己紹介、か。確かに、スマホで調べた感じ定番だとは知っていたけど、緊張するな。世間知らずなこと言ってバレたりしたらまずいし、無難にやり過ごそう。不安なヤツが約二名いるけど、カバーはできない。自己責任ってやつだな。

 

 

 

 

「不安?」

「いや、全然」

 

 

隣を歩く一夏が俺の顔を覗き込みながら訊いてきたため、当然強がる。本当は結構不安だったりするけど、女子の前でそんな素振りを見せることはしない。ダサいし、そもそも拓也に笑われちまうっつの。

 

 

「僕も全然余裕だね」

「ホントかな~~?」

「名前を言うだけだろ。一瞬じゃないか」

「趣味? とかも、相場はいうって書いてあったぞ」

「それネットの情報だろ。僕たちには僕たちのやり方がある」

「…………そう、だな。やりたいようにやってみるか」

 

 

どうせ、長くても一年とかでホワイトルームに戻るんだ。別に、ここでの人間関係なんてどうでもいいな。いつか別れると分かっているのに他人と関わる気にはなれない。一夏や拓也は、この先も生き残るって信じてるし。

 

 

 

教室の前まで行くと、先生に待つように言われた。それと驚いたのが、教師は全員スーツを着ていることだ。研究者たちは白衣だったから、どこも同じようなものだと思ってたんだけど。やっぱり、本職が研究者だからなのかもな。クソったれめ。

 

 

「──────三人とも、入って来い」

 

 

先程聞いた男の声が聞こえ、俺たちは教室に足を踏み入れる。タイルは正方形の木目状。細工がしてあるのか、床は何処か綺麗に光っていてツルツルだ。嫌いじゃないけど、好きでもないな。全然違うのに、ホワイトルームを思い出す。

 

 

「じゃあ、自己紹介頼んだよ」

「はい」

「は~~い」

「言われるまでもない」

 

 

な?やっぱり、拓也は別格だ。俺たちよりあらゆる面で劣っていると言っても大人なのにしっかりとタメ口。そして、相手の顔を見ることすらなかったぞ。変人だと思われてそうだ。ざまーみろ。

 

 

「誰から行く?」

「拓也からでいいんじゃね」

「じゃあ僕から行く」

 

 

コソコソ声で話し合った結果、拓也から自己紹介をカマす流れになった。やっぱり心配だけど、もしハブられたりしても、俺たちがいるしな。三人で一つ、こういうのなんて言うんだっけ。…………ミツイチ? 語呂悪いな。

 

 

「─────名前は八神拓也。趣味は…………自己研鑽。以上」

 

 

それだけ言うと拓也は口を閉じた。しかも、「僕はしっかりやったぞ」みたいな顔で俺と一夏を見てくる。いやいや、お前ふざけんなよ? 何場を荒らしたまま撤退してんだよ。このあと俺たちもやるんですけど?

 

前方からは「顔カッコいい」「なんか無愛想」「クール系ってやつ?」と色々な声が飛び交っている。時々知らない単語があるけど、多分貶されてるんだろう。ざまーみろ。

 

 

「えーと、こんにちは。東京の中学校から転校してきた、真弓綾斗です。趣味は読書とか運動ですかね。色々やってます。さっきの拓也と、横にいる一夏とは同じ中学校だったんですけど、色々あってこっちに来ました。よろしく」

 

 

俺は設定資料で知っていた内容に触れつつ、自己紹介を済ませる。そもそも俺たちは苗字も違うのに一緒に同じタイミングで同じクラスに移籍してきた怪しい奴らだ。普通の中学生がそこまで考えるかは知らないけど、布石は打っておいて損はないだろう。

 

 

「ナイス綾斗」

「頑張れよ一夏」

 

 

俺たちは教卓の下で拳を合わせる。そのまま一夏の番になるわけだが、それだけで視線の流れが分かった。自己紹介を興味なさそうに聞いていた男子の視線も、思い切り一夏に向いたからだ。やはり、異性に人気が出そうという俺の予想は当たっていたわけだ。

 

 

「えーと、天沢一夏です、よろしくね。趣味は…………勉強、かな?一応拓也と綾斗とは親友だけど、友達は欲しいので話しかけてくれたら嬉しいです」

 

「はい、お疲れ様~。つーわけで、みんなコイツラと仲良くしてやれ。それと、席は窓際の一番後ろ二つと、窓際の奥から二番目に用意してあるから、そこ座れ」

 

 

のうのうとしゃしゃりでてきた教師によって、朝のHRは終わりを迎えた。あの男は不埒そうだから、行動に注意しておかないとな。生徒に手出してそうだし。

 

 

 

 

 

 

席には、俺と拓也が並んで座り、俺の前に一夏が座ることになった。別に誰も希望はなかったので即席で適当に決めたけど、割といい席だ。まずどうせ簡単だと確定してる授業をサボれるし、寝れる。もう中学校の範囲なんて六年前にくらいには終わらせてるし、やる意味もない。最早、復習にすらなんないし。

 

 

 

因みにこのあと男女問わず一夏と俺が話しかけられまくった所為で、拓也が舌打ちしていたのは別の話だ。

 

 




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