最高傑作を退学に出来るわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) 作:三次創作()
少し時は進み、今日は俺たちの入学する日だ。高育は東京湾上の埋立地にあるからバスで向かうことになる。まぁ、その前に電車などで東京に行かないといけないわけだけど。
「ようやくだな」
「楽しみだね」
「そうだな。先が楽しみだ」
ネガティブになるようなことは、決して口にしない。あくまで、新生活を夢見る普通の高校生でいよう。
高度育成高等学校とは、現内閣総理大臣である鬼島が打ち出した政策の一つだ。目的は、日本の将来を支える若者を育成すること。そのため、高育には莫大な金がかけられ、また入学すれば三年間敷地から出てこれないという特性を持つ。まぁ、その敷地が六十万平米を越えるから、デメリットにならないわけだけど。
綾小路篤臣は鬼島と対立してると思うんだけど、その相手の高校に息子が逃げ込んで、自分の施設の成功例たちも解き放つってどんな心情だよ。メンタル強すぎだろ。
バスと電車を利用しながら高育に到着するまでに、約三時間もかかった。主に県を跨いでの移動が久しぶりだったのが要因だが、東京が混みすぎてるのも悪かった気がするな。
結果、かなり余裕をもって家を出たのにもかかわらず、現在時刻は八時十分。集合までにあと二十分しか残されていない。間に合うかもしれないが、完全に出遅れたな。
「クラス分けどうなるかな」
「全員分かれてるといいんだけど…………」
「最悪同じでも何とかなるだろ」
そんな会話をしながら、道に沿って進む。大きな校門もあったけど、時間が迫っているため凄さは迫力に浸る時間はなかった。まぁ、あっても時間を割いてたかは別だけど。
「あたしAクラスじゃん」
「僕はBだ」
「俺は…………Dクラスだな」
掲示板に表記されているクラス分けを見た結果、見事全員違うクラスに配属されていた。俺がDクラスに配属されたのは、多分故意に身体能力を低く見せたからだろう。それだけでD送りってのは酷いと思うけどな。
「とりあえず、ここで別れよう」
「そだね。じゃあ、あたし先行くよ」
「次は僕だ」
一先ずここから先は分かれて行動することにした。あまり一緒にいると怪しまれるし、監視カメラがある以上、事情を知らない教師に変に怪しまれるのも望ましくない。
二人と別れてから『1-D』というプレートの掲げられた教室に入る。するとまず目に留まるのは、設備の目新しさだろう。床も壁も綺麗で、流石国営といった感じ。しかし、反して生徒たちには少し嫌な予感がしてくる。大柄で人相の悪い男もいるし、それ以外の者も軒並みどこか欠けているような印象を持つ。
暫く与えられた席に座して待っていると、三十代程度と思われるスーツを来た男性が入ってきた。状況から考えるに、彼がこのクラスの担任だと思っていいだろう。俺は話を聞くため、耳を傾けた。
「新入生の諸君、俺はこの一年Dクラスの担任を務めることになった司馬克典だ。この学校に来てすぐだが、よろしく頼む。早速だが、まずはこの学校について説明をしよう」
俺は暫くこの男を観察して、ある結論を出した。それは、少なくとも『WR関係者』だと言うこと。まず体つきだが、スーツで隠しているつもりかもしれないが、普通の成人男性の筋肉じゃない。適切に管理されている、極められた肉体を持っている。そして、俺たちと同時期にここに来たというのも少々話が出来すぎている。コイツじゃなくても、他に数年務めてる教師はいる筈だからな。
それから彼が話した内容は、事前に聞いていたものと同じだった。三年間の外出・外部との接触の禁止。寮生活の強制、そして生徒を実力で測るという文言。どれも聞き飽きてきた。
「──────そして最後に、この学校が導入している独自の『S-システム』についての説明をしようか。お前たちに与えられている学生証端末には、既に八万という額のポイントが振り込まれている。このポイントは1ポイントで1円の価値を持ち、あらゆることに利用可能だ」
ポイント制度、か。これも、事前に聞いていた通りの内容だ。確か、去年は十万ポイントだった筈だが。何故下げられたんだろう。
「まぁ、ここまでは毎年恒例の話だな。だが、お前たちにはこれからもっと大事な話をする。お前たちはDクラスに配属されているが、実はA~Dまでの生徒は、実力順に振り分けられている。つまり、お前たちは一番下だな」
へぇ…………これも話すのか。いや、話さざるを得ない状況にあるのか。意図は知らないが、今後の展開を考えるうえで、ここからの話は重要になってきそうだな。
「で、学校が謳っている進学率・就職率共に100%という褒賞は、Aクラスで卒業した者にしか与えられない」
そこから話されたのは、この学校での裏のルール殆どだった。まず特別試験と言う名のイベントの存在、それにクラスポイントというポイントの数値が変動することで、クラスが変わると言う事実。それら全てが、想定内でしかなかった。まぁ、どうでもいいが。
「例年ではこれらは五月の始めに言うわけだが、今日言ったのには理由がある。それは、四日後に、その特別試験の内容を伝えるからだ。だから、心の準備をしておけ、話は以上だ」
それだけ言うと、司馬は教室を出て行った。同時に、教室に驚きや不安の声が満ちる。だが、それをたった一人の生徒が沈めることになる。
「─────おい。ギャアギャアうるせえぞ、猿共」
大きな声を出しながら席を立ち上がったのは、薄い金色の髪を持つガタイのいい男子生徒。その見た目の凶悪さから、男女問わず全員が押し黙った。
「司馬の言ってたことが本当なら、お前らは学年最底辺のクソってことだろ。俺がクラスを率いてやるから、雑魚は全員黙って言うこと聞けや」
荒ぶる男から吐き出されるのは、暴君の如き言葉の数々。自信もその最底辺のクラスに入れられたというのに、その自覚がまるでないのは見ていて面白いな。見た目通り、脳味噌まで筋肉で出来ているのかもしれない。脳筋っていうのは、コイツのためにある言葉なんだろうな。多分。
「そんな一方的な主張が通るとでも?」
「あ? 誰だてめぇ」
「あなたこそ、クラス云々の前に名乗ったらどうですか」
男の次に立ち上がったのは、金色の髪を腰あたりまで伸ばした美少女といった言葉が似合う女子生徒。目の色が綺麗だというのが第一印象だけど、あの男に意見を言える度胸は素晴らしいものがある。
「俺は宝泉和臣だ。てめぇは?」
「七瀬翼です」
「そうか。んじゃてめぇは面白ぇから勘弁してやる。他の奴は黙って従え」
そんな二人の会話を聞き流しながら、俺は司馬の話を思い返していた。特別試験というイベントやその他の情報も、まぁ想定内ではある。だが宝泉や七瀬といった人物の登場は完全に想定外だ。
──────さて、まずは特別試験の内容次第と言ったところだな。
原作では新1-Dの初日は不明だけど、大方こんな感じだと予想
宝泉はビジュだけでモブを黙らせれるのが強すぎる