最高傑作を退学に出来るわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)   作:三次創作()

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6話:脅迫、若しくは交渉

 

 

「──────で、何の用だ? 一年生」

 

 

俺の目の前には今、南雲雅がいる。彼は現在の生徒会長であり、同時に三年Aクラスのリーダーでもある優秀な人物だ。まぁ、イレギュラーを除けばの話だけど。

 

そんな彼に会いに来たのには、当然理由がある。だけど、本来の目的を察知されるわけにはいかない。だから、ここではあくまで立場の差を明確にするために動く。

 

 

「一年生、一年坊ってOAAで名前出たんですから、全員分くらい覚えましょうよ。俺の名前は真弓綾斗、以後お見知りおきを」

「生憎、興味のない奴の名前を覚えるのは脳のリソースの無駄なんでな。で、さっさと目的を話せよ。じゃないと生徒会室から叩き出すぜ?」

 

まだ、南雲は自分が優位だと思い込んでいる。俺が何も重要なことを言ってないから仕方ないことなんだけど、この後どんな顔をするのかと思うと、少し面白い。

 

 

 

「──────南雲生徒会長はさ、人にしちゃいけないことってあると思います?」

 

 

俺はこの後の会話へと自然に繋げるため、どうでもいいことを聞く。まぁ、月城からコイツの人柄を聞いた時点で答えなんて知っているようなものだけど、一応耳に通すとしようか。

 

 

「あるだろ。意味もなく人に暴力を振るったりしちゃいけないって義務教育で習わなかったのか?それと、なんでこんな下らねぇ質問をしやがる」

 

 

義務教育、か。南雲は煽りのつもりで言ってるんだろうけど、俺にだけクリティカルヒットしてくるのは面白い。確かに俺は義務教育を全部パスしてるからな。代わりにもっと高度な教育を叩き込まれているわけだけど。

 

 

 

 

「────ほかにもあるでしょ? 例えばさ…………女子生徒に売春行為を強制したり、とか」

「あ?」

 

 

俺の一言で、場の空気が凍り付いた。仕方ないことだ、なんせ、俺は現三年生たちの闇に片足どころか両足突っ込んだわけだから。でも、これも目的のためにはやむを得ない。

 

 

「俺がそんなこと、するわけねぇだろ。生徒会長だぞ?」

「でも、噂聞いちゃいましたし。それに、三年生は一枚岩じゃない、あなたが陥落するのを今か今かと待ち望んでいる人もいるのでは?」

「だから?んなもん、全て権力と金で捻じ伏せられるんだよ。一年生には何もできない。聞かなかったことにしてやるから、失せろよ」

「…………あまり、あんたの話に付き合う気はない。今から言う俺が望む条件を飲むか飲まないか、一秒以内に答えろ。いいな?」

 

 

いい加減南雲の声を聞いているのも飽きたので、俺は会話を終わらせに行く。南雲は実力を備えてはいるが、それだけであり人望はない。事実、生徒会に所属している桐山はコイツに反逆の意思を向けている。加えて、側近でお気に入りの朝比奈にも見放されそうになっている始末。だから、コイツの犯罪の証拠なんていくらでも集められる。

 

 

「──────いいか? 黙って2100万ポイントかき集めろ。二年生から巻き上げても良いし、ギャンブルでもいい。二日後までに集めて俺に渡せ。出来るか?」

 

 

そう、俺の目的はコイツを脅して金を毟り取ること。別に、ここのルールが変わっていたらボコボコにしてカツアゲでもいいけど、高育じゃそれはご法度だ。だから、俺は交渉と言う手段を択んだ。

 

 

「2100万?!いきなりできるわけねぇだろ、そんなん!」

「出来る出来ないじゃない、やるんだよ。それとも、ヤッた奴らと一緒に仲良く退学するか?証拠なんて、一瞬で集められるんだよ。それと、もし被害者に何かしてみろ。あんたをこの学校のルールに則って徹底的にぶっ壊してやるからさ」

 

 

いつまでもこのアホに構っていられない。それに、ここまで強気に出ているのも、用が済んだら捨てるためだ。それに、俺はあたかもこれから証拠を集めるように話しているが、実は現在進行形で三年生女子生徒相手の証拠集めが行われている最中だ。

 

──────俺が話を付けた、高円寺六助によって。

 

 

「…………はっ、強気なのは良いことだが、残念だったな。俺が緘口令を敷けば全員の口を塞げるんだ。お前が証拠を集めれることはない。だから当然、金も払わない」

 

 

俺よりも強気な態度を崩さない南雲。しかし、その顔ももうすぐ歪むことになるだろう。現在時刻は十八時半。学校での授業後のSHRが終わってから既に約二時間が経過している。よって、そろそろ集めきれるはずだ。

 

 

「──────あ、来た来た」

 

 

そのとき、俺のスマホが震えた。チャットアプリを使って音声データを送ってきたらしい。相手は当然、高円寺六助。ついでに桐山からも同じようなものが送られてきた。

 

 

「何が来たってんだ」

「あんたを退学に出来る証拠」

 

 

俺はあえてスマホの画面を南雲に見せつける。そこには、昨日今日の高円寺とのやり取りが記録されていた。彼を協力させるのには苦労したけど、三年生の女子相手に証拠云々となると、一年生は勿論、二年生も当然厳しい。だけど、桐山は表立って動けない、そこで目を付けたのが「唯我独尊」という言葉が似合う2-Dの高円寺六助だったわけだ。彼は入学当時から上級生女生徒とのコミュニケーションが散見され、駒として扱うには丁度いい存在だった。

 

 

「…………脅しか? 一年の分際で、この俺を。生徒会長であるこの俺を脅すのか?」

「恨むなら、金と権力でしか人の心を支配できない哀れな自分を恨んでくれ。人をものとしてしか見れないあんたじゃ、人の心は理解できなかっただけだ」

 

「…………三日後まで、だったな」

「ああ。それまでに、2100万用意しろ。そしたら、お前の前で証拠を消す。契約だ」

「…………チッ、他の奴らもだろうな?」

「ああ。そこは約束するさ。あんたは黙って金を積んでくれればいい」

 

 

…………所詮、この程度か。元々、綾小路清隆以外は雑魚だと思って入学したけど、正直ここまで歯ごたえがないとは思ってもみなかった。三年生の王様だとか言うから期待したのに、月城も嘘つきだな。

 

 

 

 

 

 

 

「─────ああ。そうか。ならいい、ただ気をつけろよ」

「分かってるよ。直接会うのは、避けるからさ」

 

 

自室。俺は一夏と電話を繋いでいた。内容は昨日から聞かされていた、宝泉和臣の策に乗るというものだ。昨日時点で綾小路清隆・堀北鈴音・須藤健と接触。今日その須藤健とペアを組むかどうかの試験を綾小路清隆の部屋で料理チェックと言う名の元実行。見事、彼に『凶器』となるものを購入させることに成功したらしい。

 

 

「でも、あたしもやっぱり上手く行かないと思うな」

「だろうな。一夏がナイフを盗み出すまではいいが、その後の宝泉の手腕じゃ最高傑作を騙せるとは思えない」

 

 

一夏から聞いた宝泉の計画は次の通りだ。まず、一夏が綾小路と接触し、凶器となるペティナイフを購入させる。次に、綾小路が料理したことで彼の指紋の付着したペティナイフを密かに回収。そして宝泉に譲渡する。その後、綾小路と接触し、宝泉がペティナイフで自身の身体を傷付けることで綾小路を傷害事件の加害者として退学に追い込む。

 

 

「そういえば、綾斗は組むペア決まってるっけ?」

「いや、決まってないな。宝泉が五十万ポイント以上の金を積まれたら組んでもいいと言ってるけど、それ以外は組むなと言われてる」

「大丈夫なわけ? あたしはもう須藤先輩と組んじゃったけどさ」

「俺の心配はいらない。いざとなったら全クラスが俺の学力を欲しがってる。拓也も、既に上位を狙うために頭いい奴と組んだしな」

「そ。とりあえず、あたしはこのまま乗っかっていいんでしょ?」

「ああ。続けてくれて構わない。その方が、色々と好都合だからな」

 

 

拓也とは、事前に話してある。内容は、綾小路清隆の退学については俺が片付けるから任せて欲しいというもの。表向きの理由は拓也に汚れ仕事をして欲しくない、成果を挙げておきたいだけど、本音は違う。まず拓也が最高傑作を退学にさせるとなると、方法が一切予測できない。それに、そこまで恨んでいないアイツに任せるよりも、俺の方が確実だと思うからだ。

 

 

さて、後は宝泉の作戦が上手く行くことを祈るだけだ。




因みに、どうやって高円寺に協力させたのかは次話で出します
って言っても、彼が動く理由なんて数少ないから分かるかもだけど
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