またしても何も知らない狩人さん〜異能バトルよりパンチラが危ない〜   作:概ね右翼

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第八話 狩人は絶賛迷子中

「久しぶりだなァ、雨宮」

 

「ヒェ」

 

 小さな悲鳴が漏れたが、私は悪くない。むしろ、学園に響き渡るほどの悲鳴を、ここまで抑えた私を褒めてほしい。

 矢井ちゃんに案内されて来た超常現象捜査部の部室は、思っていたよりもずっと質素だった。長机にパイプ椅子がいくつか並び、壁には申し訳程度の掲示物、隅には書類の束とファイル箱。普通の文化部と言われれば、まあ普通の文化部だ。

 

 ……だけど。

 

 黒鉄先輩が座っている椅子だけは、パイプ椅子じゃない。なんかこう、妙に豪華そうな革製の椅子だ。

 

 何あれ。

 なんで一人だけ社長みたいな椅子? 

 他の部員、可哀想じゃない? 

 

 いや、この人、謎の施設に謎の大穴を開けてたからな……。

 そう考えると妥当どころか足りなく感じてくる。

 

 ちょっと崇めたほうがいいかな? 

 

 黒鉄様万歳!! 

 

 ……いや、撤回。触らぬ神に祟りなし。私は平穏に生きたい。少なくとも、今日という日を無事に帰宅したい。

 

 そんな黒鉄様が、包帯の隙間からこちらを座りながら器用に見下して、話しかけてくる。

 

「おいおいおい、失礼な新入部員だな……せっかくオレ直々に歓迎してやってんのによ」

 

 正直、私あなたのことトラウマなんですよ。

 狩人さんの間に割って入って睨まれた時なんて、めちゃくちゃ怖かったですからね。ほんの少しだけチビったし。

 

 ……バレてないよね? 

 

「だ、大丈夫だよ雨宮さん」

 隣から、矢井ちゃんがそっとフォローを入れてくれる。

 この安心感。やっぱ矢井ちゃんは天使だ。

 

「黒鉄先輩は、いい人だから………………たぶん」

 

「おい矢井、たぶんとはなんだ。オレは部長だぞ」

 あなたが部長なのか……

 

「黒鉄先輩、あまり雨宮を怖がらせないでください」

 ちょっと困った感じの声が背後から聞こえた。

 

 振り返ると、そこに立っていたのは、見慣れたポニーテール──鷹見先輩だ。

 

「なんだ鷹見。来てたのか」

 

「今来たとこです」

 

 鷹見先輩は部室の中へ入り、パイプ椅子に座る。私たちも座るように促された。

 とりあえず、黒鉄先輩の隣は怖いから、矢井ちゃんの隣に座る。

 

「ま、新入部員も来たことだし、自己紹介でもするか」

 黒鉄先輩は椅子に深く腰掛けたまま言う。

 

「し、新入部員?」

 思わず聞き返すと、黒鉄先輩がきょとんとした顔で、「そうだが?」と、言う。

 

「ゑゑ!? いや待て待て待て!? 

 ちょ、ちょっと待って下さい! 私まだ入部するって決めてませんよ!?」

 

「細けェこと気にすんなって」

 

「いや細かくないです! 高校生活に関わる重大事項です! 

 とゆうかここの部活が何をするのかすら、全く知らないんですけど!!」

 

「そういやァ言ってなかったな。超常現象捜査部。たいそうな名前がついているが、別に大した事はない。ただ、異常が出たら出動、なけりゃダベる。それだけだ」

 

「異常……?」

 いや、その異常が怖いんじゃないですか。

 

「異常と言っても異能力者関係や影化者*1の対処といったのが常だが、基本は学園の問題を対処している」

 鷹見先輩が、説明不足の黒鉄先輩に代わって補足してくれる。

 この部活、あんな化け物と戦うのがデフォかよ。……え、普通に怖い。

 

「あ、ですが出動がなければ、部室で書類整理とか報告書をまとめたりするだけですよ」

 矢井ちゃん……出動があったら危険って事じゃないか。

 

「まあ」

 鷹見先輩が間に入るように口を開いた。

「正式な入部は、もちろん本人の意思次第だ」

 

 ……お? 

 

「ただ、今は“仮所属“みたいなもの

 残念ながら、これはすでに決まったことだ」

 

 仮所属……いや、完全に私の逃げ道ないやん。とゆうかすでに決まっとるんかい。

 

「危険な現場に新人は出さない。現場の対応は、先輩や私。雨宮は矢井と一緒に記録や同行のみになる」

 鷹見先輩はきっぱりと言った。

 それは少し安心……いや、安心なのか? “同行のみ”って言ったよね? 記録係が現場に同行する時点で、もうそれ危険なのでは? 

 

「とはいえだ」

 黒鉄先輩が何か思いついたように言った。

 

「お前には召喚獣──狩人がいる。問題ねェだろ」

 

「いや、別に狩人さんは私の召喚獣じゃありませんよ!?」

 反射で突っ込む。

 

「ただの同居人です!」

 

「公式には召喚獣だ」

 

「公式が勝手に言っているだけじゃないですか!?」

 嫌な予感が、確信に変わる。

 

 黒鉄先輩が口角を上げる。

「お前が入部すりゃ、狩人も自動で入部だ」

 

「オプション扱い!? ちょっと待って下さい! 

 というか、狩人さん今この場にいませんよね!?!」

 

「後で説明すればいい」

 黒鉄先輩はあっさりと言った。

 

「いやダメでしょ!?」

 

「説明と説得は、雨宮。お前に任せる」

 

 全く……狩人さんがいないのに勝手に決めたら駄目でしょうに。

 

 それに、私は狩人さんとこの学校で薔薇色の青春(何色?)を送るつもりだと言うのに。

 

 ……ん? 待てよ……

 

 ここで、私の脳内にある計算式が瞬時に組み上がる。

 

(私が入部すれば、狩人さんも入部する。

 つまり、私と狩人さんが学園で一緒にいる時間も増える……。

 もしかしたら、もしかしたら、あんなことやこんなことも……)

 

「グヘっ グヘヘ」

 

「おい鷹見、なんか雨宮が気持ち悪い笑い方してるんだが」

「私に言われても困りますよ……」

 

「ヨシ。私! 超常現象捜査部に入部します!!」

 私も異常に困っている人を助けたいという正義感が溢れてきた。決してやましい気持ちからの入部では無い。

 

「おお。絶対、欲望に塗れた入部なんだろうが……改めて歓迎してやるよ」

 

 決して私は欲望ではなく正義感に駆られて入部を決意した。

 

 

 ────ー

 

「おー、やっとるかい?」

 

 気だるげな声。白衣。ダウナーな雰囲気。

 私は見覚えがあった。──白石さんだ。病院で、転校の話を淡々と告げてきた、あのしっかりした大人の女性。

 

 黒鉄先輩は、私が「先生っぽい人が来た!」と身構えるより早く、いつもの調子で声をかけた。

 

「ん? どうした白石、なんでお前まで学校にいるんだよ?」

 

 ……タメ口!? 

 いや、え? 先生に!? ていうか白石さん、絶対年上だし、絶対偉い人側だし、絶対こういう場で怒るタイプの大人なのに! 

 

 ツッコミたい。

「先輩、口きき方……」って言いたい。

 

 でも──黒鉄先輩だしなぁ。

 

 あの時の、あの破壊。

 理屈も常識も置き去りにして“全部終わらせた”みたいな、あの光景を思い出すと、口が勝手に閉じる。

 

 白石さんは黒鉄先輩の態度に怒りもしない。呆れもしない。むしろ疲れたように一度だけ息を吐いた。完全に慣れている。

 

「あー……黒鉄、お前途中で会議抜け出したもんな。知らないのか」

 

「会議? あー……」

 

 白石さんは淡々と続ける。

 

「率直に言うなら、左遷された」

 

「左遷? どこに」

 

「ここだ」

 

「は?」

 

 黒鉄先輩の「は?」が、あまりにも素で、あまりにも失礼で、私は思わず矢井ちゃんを見る。矢井ちゃんは困ったように笑っていた。……この部の平常運転らしい。

 

 白石さんは白衣のポケットに手を突っ込んだまま、事務的に告げた。

 

「今日から超常現象捜査部の顧問となった、白石だ。私のことは白石先生と呼ぶように」

 

 顧問!? 

 先生!? 

 病院の先生じゃなくて!? 学校の!? 

 

 私は驚きで固まったが、黒鉄先輩はなぜか吹き出した。

 

「ぷっ……ははっ。左遷ってマジかよ。お前、偉い連中に嫌われたなぁ」

 

「誰のせいだと思ってる」

 

 白石先生は即答した。

 即答すぎて、逆に仲の良さを感じてしまうくらいだ。

 

「えー? オレのせいかぁ?」

 

「お前以外に誰がいる」

 

「いやぁ、オレはちょっと派手にやっただけだろ」

 

「“ちょっと”で地下施設が消し飛ぶなら、この世の大半は更地だ」

 

 淡々としてるのに会話が軽い。

 

 絶対この二人仲良しじゃん……多分、毎回黒鉄先輩が問題を起こして、白石先生の胃を痛めてるやつやん。

 

 黒鉄先輩は椅子にふんぞり返ったまま、白石先生を見上げる。

 

「で? 顧問ってことは、これからここでダベるのか?」

 

「ダベるために来たわけじゃない」

 

 白石先生の声が、ほんの少しだけ低くなった。

 

「監督しに来たんだよ」

 

「監督? お前にできんの?」

 

「お前を監督するのは、私の仕事じゃなくて罰ゲームだ」

 

「言うねぇ」

 

 黒鉄先輩が楽しそうに笑う。

 白石先生も口元だけ、ほんの一瞬緩めた──ように見えた。見えただけかもしれない。でも、たぶん本当に少し笑った。

 

 その直後、白石先生は私の方へ視線を向けた。

 

 ──雨宮星空。

 

 呼ばれていないのに、名前を呼ばれたみたいに背筋が伸びる。

 視線が刺さる。鋭いのに、感情が読めない。怖いのに、変に安心する。

 

 白石先生は淡々と言う。

 

「学園生活で困ることがあれば、私のところに来い。……必要なら、すぐ呼べ」

 

「は、はい……!」

 

 私は反射で返事をした。だけど、その言葉の端に、妙な違和感が残った。

 

 “困ることがあれば”

 “必要なら呼べ”

 

 それは普通の先生が言う言葉にも聞こえる。

 けれど白石先生の言い方は、どこか──生活指導というより、監視員のそれに近い。

 

 黒鉄先輩が、からかうように肩を揺らす。

 

「おい白石、優しいじゃねぇか。左遷されて丸くなったか?」

 

「勘違いするな」

 

 白石先生は即答し、視線だけを黒鉄先輩へ戻す。

 

「私は“仕事”でここにいる」

 

 鷹見先輩が、さりげなく口を挟む。

 

「……上層部からの指示ですか」

 

「そうだ」

 白石先生は短く頷いた。

 その頷きは、肯定というより“命令の確認”に近かった。

 

「雨宮と──」

 

 そこで一瞬だけ、白石先生の視線が部室の隅を滑る。

 まるで“そこにいるはずの存在”を数えるみたいに。

 

「狩人の現状を、正確に把握して報告する必要がある」

 

 狩人さん。

 ……監視? 報告? え? なにそれ? 

 

 黒鉄先輩は、そんな空気をぶち壊すみたいに笑った。

 

「なるほどなぁ。左遷ってのは表向きで、本当は監視役ってわけか。お前、相変わらず便利に使われてんな」

 

「うるさい」

 

 白石先生はそう言ったが、否定はしなかった。

 黒鉄先輩も、それ以上は突っ込まない。突っ込む必要がない、とでも言うみたいに。

 

 私だけが取り残されている。

 何も知らないまま、何かの中心に立たされている感覚。胸の奥が、ひどく落ち着かない。

 

「よし。自己紹介は終わったことだし、今後の話をしようか」

 

「…………あっ」

 矢井ちゃんが小さく声を漏らす。

 鷹見先輩も一瞬だけ目を逸らした。

 

「自己紹介、忘れてた」

 

 白石先生はため息を挟んだ。

「……なんだお前ら。まだ自己紹介もしてないのか」

 

 ────ー

 

「最初は私からですね。あ、雨宮さん……改めて矢井です。矢井千尋《やい ちひろ》です。知ってると思いますが一年生です。異能は刃物を生成することで、最大刃渡りは30cmほどです……よ、よろしくお願いします」

 

「うん! 千尋ちゃんよろしくね!」

 

 ハァー……やっぱり矢井ちゃん、もとい千尋ちゃんは癒しだなぁ。

 ……ん? 刃物生成? え……マジで? 

 

 可愛いからいいか。

 いや良くないか。

 

「次は私か。私の名前は鷹見沙織(たかみ さおり)だ。よろしく頼む。学年は二年。異能は直感だ。特定の物の場所や概要が大まかに分かる」

 

「はい! よろしくお願いします! 沙織先輩!」

 

「いきなり下の名前で呼ぶのか……まぁ良いが……」

 

 やっぱり沙織先輩はしっかりしていてカッコいい。

 異能も日常生活にあったら便利そうで羨ましい。これ惚れちゃう子いっぱいいるだろうなぁ。私には狩人さんがいるけど。

 

「最後はオレだな。オレの名前は黒鉄誠(くろがね まこと)だ。三年生。異能は磁力で金属を操ったりできる。一応この部の部長をやっている。改めてよろしく」

 

「はい、よろしくお願いします黒鉄先輩」

 

「おい、何故オレだけ苗字呼びなんだ」

 

 最後に黒鉄先輩。黒鉄先輩は磁力を使うらしいけど……磁力でどうやったらあんな大穴開くんだろうか……

 

 白石先生が軽く頷いた。

 

「よし。最低限皆のことは把握できたな。早速今から活動を始めたいところだが……」

 

 そう白石先生が言い終わる前に、

 

 キーンコーンカーンコーン。

 

 校内にチャイムが鳴り響いた。

 

「門限だな。今日のところは解散。雨宮は初日で疲れたと思うから、十分に休息を取れよ」

 

「は、はい!」

 

 ……やっぱり白石先生は優しい。

 しっかりした理想の大人って感じだ。

 

「なぁ雨宮、何故にオレだけ苗字呼びなんだ」

 

「黒鉄先輩。雨宮は疲れてるので、だる絡みはやめて下さい」

 

「お前らどいつもこいつも部長への敬意が欠けてるな……」

 

 沙織先輩が呆れたように息を吐く。

 そんな光景に千尋ちゃんは、困ったように小さく笑っていた。

 

 その笑顔に、私はちょっと救われる。

 

「あ、あの! 雨宮さん。一緒に帰りませんか……」

 

「うん! 喜んで一緒に帰ろ、千尋ちゃん!」

 

 私は勢いよく頷いた。

 

「私のことも、下の名前で呼んで欲しいな」

 

「えっ!? わ、わかりました……そ、星空さん……」

 

「ありがと千尋ちゃん!!」

 

 最初はどうなるかと思っていたけど、

 新しい学校生活も──案外、楽しそうだ。

 

 ────ー

 

 

 同刻。

 

 特影が持つ重要拠点のひとつ。所在地は記録上存在せず、その場所を知る者も一握りに限られている。

 

 外観は“宮”に似ていた。だが神社でも寺でもない。祈りのための場所ではなく、何かを“鎮める”ための器のように、静かにそこに在った。

 

 夜の帳が落ちる前の薄闇の中、長い回廊を進む足音が、石床に淡く響く。

 

 スーツに身を包んだ年配の男が一人。皺の刻まれた顔は老いを隠せないが、背筋は真っ直ぐで、その存在だけで空気が張り詰める。肩書きは多い。だが、ここでは名を持たない。

 

 男は、回廊の最奥で立ち止まった。

 

 そこにいたのは、少女だった。

 

 椅子に座っているわけでもない。祈っているわけでもない。ただ、そこに“居る”。

 

 ──“ミライ”。

 

 そう呼ばれている。

 

 男は深く頭を下げ、低い声で報告した。

 

「予定通り雨宮星空は学園に所属。問題なく超常現象捜査部に入部いたしました」

 

 ミライは、何の反応も示さない。

 

 驚きも、安堵も、喜びもない。

 まるでその結果を、報告される前から知っていたかのように。

 

 男は言葉を続けた。

 

「しかし、肝心の“狩人”に関しては行動が把握しきれておりません。学園内の監視網でも追跡が途切れる場面が複数確認されています」

 

 沈黙。

 

 空気が一段、冷えた。

 

 それでもミライは表情を変えない。ただ、わずかに視線が落ちる。その動きだけが、彼女が“聞いている”ことを示していた。

 

 男は喉を鳴らし、慎重に言葉を選ぶ。

 

「……捕獲時と同様、“自ら捕まることを選んだ”可能性も考えられます」

 

 ミライは、ほんの少しだけ首を傾けた。

 

「……そう」

 

 少女の声は小さい。けれど、不思議とよく通る。

 

 男は、問いかける。

 

「“想定内”、でしょうか」

 

 ミライはすぐには答えなかった。

 

 宮の奥で、どこか遠い場所の水が落ちる音がした。ぽつり、と。時間だけが流れる。

 

 やがて彼女は、ゆっくりと言った。

 

「……欠けている」

 

 男の眉が僅かに動く。

 

「何が、でしょう」

 

 ミライは視線を上げないまま、淡々と告げた。

 

「その先が」

 

 それは、独り言にも聞こえたし、命令にも聞こえた。

 

 男は息を飲み、背筋を固める。

 

「……観測不能、という意味ですか」

 

 ミライは、返事をしなかった。

 

 否定もしない。

 

 ただ、沈黙が肯定より重くのしかかる。

 

 ──未来を知っているはずの少女が、“その先”を語れない。

 

 それが何を意味するのか。

 男には分からない。分からないはずなのに、なぜか理解してしまった。

 

 これは、初めての事態だ。

 

 ミライが、初めて“知らない”という事態。

 

 男はゆっくりと頭を下げる。

 

「監視を強化します。白石にも追加の指示を」

 

 その言葉に、ミライは小さく頷いた。

 

 そして、ようやく顔を上げる。

 

 薄闇の中で、彼女の瞳だけが、やけに澄んで見えた。

 

「……遅い」

 

 男の喉が鳴る。

 

「……は」

 

 ミライは、ほんの僅かに口元を動かした。

 

 笑みではない。

 だが、それは“面白い”という感情の形に、限りなく近かった。

 

「……予定が変わる」

 

 ミライの声が、宮の静寂に沈む。

 

「私にとって、初めての不測」

 

 男は動けなかった。

 

 ここは、最も安全で、最も確実なはずの場所。

 “外れない予測”が守る、特影の中枢。

 

 なのに──

 

 ミライは、初めて、先を見失っている。

 

 そしてそれは。

 

 この世界で最も安全なはずの“未来”が、崩れ始めていることを意味していた。

 

*1
第一話に登場した化け物

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