シカバネは明日を夢見るか 作:第四東高等学校デビルハンター部
デビルハンターの朝は早い。
本部庁舎に6時に出勤、職務の基本は見回り、悪魔処理、それか事務作業。
今日は3課から異動になったデビルハンターが二人、新しく来るらしい。
慣れないスーツの袖に腕を通す。
小さな鏡の前で髪を整える。
玄関の扉を開ける。
明るい陽光に、思わず目を細めた。
バス停へ向かう。いつもの道、いつもの風景。
しばらく待って、バスに乗り込む。
窓の外を、景色が流れていく。
止まったバス停で、喫茶店を眺める。
紫の髪の少女が、花に水やりをしていた。
本部庁舎に到着する。
階段を駆け上がり、4課のオフィスの扉を開ける。
すると、先輩達がせわしなく動き回っていた。
「……何してるんですか?」
水上に尋ねる呪鬼。
「新人歓迎会の準備だよ。盛大にお迎えしないとね」
腕を組んで頷く水上。
「あ、そう言えば、昨日の話って……」
その声は、轟音によってかき消された。
本部庁舎から2kmも離れない所には高層ビル群がある。
50階立てを優に超えるビルが平然と立ち並ぶ光景は、正に日本の中心、東京。
「悪魔……」
誰かがそう呟いた。
◇ ◇ ◇
「七本木に悪魔だ!急げ!」
月宮の一声で一斉に部隊が動き出す。
一糸乱れぬその動きは、まさに軍隊アリ。
「これが、5課…」
思わず息を吞む呪鬼。
「何ぼさっとしてる。行くぞ」
月宮の声に驚く呪鬼。直ぐに部隊の後ろについていく。
「車を手配しろ!乗れなかった奴は足だ!」
呪鬼は庁舎の前に止められていた車に水上と共に乗り込む。
運転手は月宮だ。
エンジンを吹かす音がする。
60年前のクラシックカーは、月宮の愛車だ。
高速を突っ走る公安の車両。
「今回の悪魔について分かっている事は?」
水上が月宮に尋ねる。
「巨大な人型をした悪魔だ、体はスクラップの様なものでできているらしい」
「ゴミの悪魔ですかね?」
「まだ分からないが、それに近いだろう」
すると、車が何の前触れもなく宙に浮いた。
「え、え、えええ!?」
「後輩!撃て!」
運転席の月宮から、拳銃を渡される呪鬼。
「へっ?」
噓だろおいおい。
拳銃なんて持ったこともない一般人に撃てって…
「弾丸」
口が勝手に動き、気付けば弾丸は悪魔目掛けて突き進んでいた。
弾丸が空を切り、風の音が街に響く。
着弾。
刹那。
爆発。
弾丸は悪魔を貫通し悪魔は内側から爆発していく。
スクラップが剝がれ、むき出しになった腹部には、巨大な口があった。
口を大きく開け、月宮の愛車に向かってビームを放とうとする悪魔。
「【連顎】」
体長が10mほどの狼が悪魔の背後に現れ、大きく跳躍。
悪魔の頭部に勢い良く嚙みついた。
スクラップと青い血が飛び散る。
高く浮いた車が一気に重力に従い始める。
高さは目測15mほど。
勢い良く車は地面に落下し、爆発した。
高速道路に黒煙が立ち昇る。
先程の狼に乗ってそこにやってきたのは、水色の髪で、左頬に大きな傷跡を持つ女だった。
「間に合わなかったか」
感情を感じさせない声で女が呟いた。
「おらぁ!」
スクラップを押しのけ、月宮が姿を現す。
そしてゆっくりとはい出てきた水上と呪鬼。
呪鬼は、女を見てぽろりと呟く。
「どちら様で……?」