シカバネは明日を夢見るか   作:第四東高等学校デビルハンター部

2 / 3
第二話 朝・新人・連顎

デビルハンターの朝は早い。

本部庁舎に6時に出勤、職務の基本は見回り、悪魔処理、それか事務作業。

 

今日は3課から異動になったデビルハンターが二人、新しく来るらしい。

 

慣れないスーツの袖に腕を通す。

小さな鏡の前で髪を整える。

 

玄関の扉を開ける。

 

明るい陽光に、思わず目を細めた。

 

バス停へ向かう。いつもの道、いつもの風景。

 

しばらく待って、バスに乗り込む。

 

窓の外を、景色が流れていく。

 

止まったバス停で、喫茶店を眺める。

紫の髪の少女が、花に水やりをしていた。

 

本部庁舎に到着する。

 

階段を駆け上がり、4課のオフィスの扉を開ける。

 

すると、先輩達がせわしなく動き回っていた。

 

「……何してるんですか?」

 

水上に尋ねる呪鬼。

 

「新人歓迎会の準備だよ。盛大にお迎えしないとね」

 

腕を組んで頷く水上。

 

「あ、そう言えば、昨日の話って……」

その声は、轟音によってかき消された。

 

本部庁舎から2kmも離れない所には高層ビル群がある。

50階立てを優に超えるビルが平然と立ち並ぶ光景は、正に日本の中心、東京。

 

「悪魔……」

 

誰かがそう呟いた。

 

◇  ◇  ◇

 

「七本木に悪魔だ!急げ!」

 

月宮の一声で一斉に部隊が動き出す。

一糸乱れぬその動きは、まさに軍隊アリ。

 

「これが、5課…」

 

思わず息を吞む呪鬼。

 

「何ぼさっとしてる。行くぞ」

 

月宮の声に驚く呪鬼。直ぐに部隊の後ろについていく。

 

「車を手配しろ!乗れなかった奴は足だ!」

 

呪鬼は庁舎の前に止められていた車に水上と共に乗り込む。

運転手は月宮だ。

 

エンジンを吹かす音がする。

 

60年前のクラシックカーは、月宮の愛車だ。

高速を突っ走る公安の車両。

 

「今回の悪魔について分かっている事は?」

 

水上が月宮に尋ねる。

 

「巨大な人型をした悪魔だ、体はスクラップの様なものでできているらしい」

「ゴミの悪魔ですかね?」

 

「まだ分からないが、それに近いだろう」

 

すると、車が何の前触れもなく宙に浮いた。

 

「え、え、えええ!?」

「後輩!撃て!」

 

運転席の月宮から、拳銃を渡される呪鬼。

 

「へっ?」

 

噓だろおいおい。

拳銃なんて持ったこともない一般人に撃てって…

 

「弾丸」

 

口が勝手に動き、気付けば弾丸は悪魔目掛けて突き進んでいた。

 

弾丸が空を切り、風の音が街に響く。

 

着弾。

 

刹那。

 

爆発。

 

弾丸は悪魔を貫通し悪魔は内側から爆発していく。

 

スクラップが剝がれ、むき出しになった腹部には、巨大な口があった。

口を大きく開け、月宮の愛車に向かってビームを放とうとする悪魔。

 

「【連顎】」

 

体長が10mほどの狼が悪魔の背後に現れ、大きく跳躍。

悪魔の頭部に勢い良く嚙みついた。

 

スクラップと青い血が飛び散る。

 

高く浮いた車が一気に重力に従い始める。

高さは目測15mほど。

 

勢い良く車は地面に落下し、爆発した。

 

高速道路に黒煙が立ち昇る。

 

先程の狼に乗ってそこにやってきたのは、水色の髪で、左頬に大きな傷跡を持つ女だった。

 

「間に合わなかったか」

 

感情を感じさせない声で女が呟いた。

 

「おらぁ!」

 

スクラップを押しのけ、月宮が姿を現す。

そしてゆっくりとはい出てきた水上と呪鬼。

 

呪鬼は、女を見てぽろりと呟く。

 

「どちら様で……?」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。