シカバネは明日を夢見るか   作:第四東高等学校デビルハンター部

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第三話 狼・ハナビ・ハンコ押し

「どちら様で・・・?」

 

「……真白ヒナです。よろしくお願いします」

軽く頭を下げるヒナ。

 

「契約している悪魔は、狼、骨折、吐き気、寄生虫、鏡、迷宮、深海です」

ヒナの口から発せられる無数の悪魔の名前に気圧される呪鬼。

 

狼の悪魔。最古の悪魔として文献に名が残る偉大な悪魔であり、現世で500年生きながらえている。今では公安の地下収容施設に監禁されており、優秀なデビルハンターが契約する悪魔として名高い。

 

契約者に呼ばれると、青い毛を持つ巨大な狼として現れ、指示された命令に従う。

呼び出す者を狼が気に入るかも従うかどうかの判断基準だそうだ。

狐の悪魔と同時期に確認された悪魔で、義兄弟の契りを交わしているとかなんとやら。

 

「で、こいつは何の悪魔だったんですか?」

ヒナが街にのしかかるスクラップの山を指差す。

 

「車の悪魔だな。能力を見るまで何の悪魔かはわからなかったが、見た目を変えて再び現世に現れたようだ」

月宮が崩れた街を見ながら言った。

 

悪魔は現世で死ぬと地獄に現れ、地獄で死ぬと再び現世に舞い戻ってくる。

地獄には「超越者」と呼ばれる悪魔が存在しているという噂もあるが、真偽は不明である。

 

地獄からの生還者がいないためだ。

地獄、それは即ち悪魔の巣窟。地獄で生き延びる実力のある悪魔だけがそこにとどまり続ける。

 

人間が存在していい場所ではない。

 

現世と隔絶された異様異質の空間。この世と物理法則がかけ離れている可能性だってあるのだ。

◇  ◇  ◇

 

「呪鬼くんはまだわからないと思うけど……」

本部庁舎への帰り道で水上が呪鬼に話しかける。

 

「悪魔の被害って、何があると思う?」

 

しばらく考える呪鬼。

 

「建物が壊れたり、それこそ死ぬ人が出たり。あとは復旧の費用とかもかかりますよね」

「大正解!でも、そのうちの一つ、建物の破壊は、その4割が公安のデビルハンターによるものなんだ」

 

「え?そうなんですか?」

 

目を丸くする呪鬼。

 

「オブラートに包んで言うと、公安は法律と悪魔の間で板挟みなんだよ」

 

「ふ~む」

 

「だから、書類の整理を手伝ってもらいます!」

水上が笑顔でそう言った。

 

◇  ◇  ◇

 

流れるような手つきでハンコを押していく月宮。

 

「すごい……もう手が見えない」

呪鬼がぼそっと呟く。

 

「新人にしてこれを見れた呪鬼くんはすごいよ。とても特別だ」

「そうなんですか?」

 

「これを拝みに隊長室に来る隊員も少なくないんだよ」

 

噓だろ。

 

人のハンコ押してるところ見て何が楽しいんだ。

癒しでもなんでもない。というか月宮さんの瞳には今命宿ってないわ。

 

なんなん?Tiktokでも撮るんか?

 

#高速ハンコ押し

 

需要ねぇ~

 

「でも、ここに来たのはTiktokを撮るつもりで来たんじゃないんだ」

 

そりゃそうだわな。

 

「3課から移動してきた、ヒナちゃんのお姉ちゃんがいるはずなんだけど……」

 

その時、資料が並べてある資料室の中から轟音が響く。

 

「すみませ~ん!」

隊長室の扉を開けて、金髪でロングの女性が姿を現す。

 

「あ、新人さん。真白ハナビです~。よろしくお願いします!」

「よろしくお願いします……」

 

頭を下げる呪鬼。

 

「てか!本棚倒しちゃったんで!手伝ってください!」

 

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