ようこそ!地獄から地獄へ─転生先がBLEACHだなんて聞いてない!─   作:ブラックコーヒー

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虚と黒閃

 

その時は唐突に訪れた。

 

放課後、部活に何も所属していない俺は真っ直ぐに自宅へと歩いていた。

 

商店街を抜けて、閑静な住宅地を抜けて右手側に林が鬱蒼と茂るアスファルトの砂利を踏み締めて、今日は家に帰ってから何をするかなーなんて、呑気に考えている時だった。

 

──ドシィィィンン!!!

 

「うおっ!?」

 

突然背後で物凄い音を立てて落ちた音がした。

 

驚いて振り向けば、鬼のような仮面に真っ黒な祟り神ような、胸にぽっかり穴の空いた虚がいた。

 

「·······」

 

「······」

 

両者、見つめ合う事数秒。

 

「····は?」

 

「げふっ···」

 

「はぁぁあああぁぁぁぁぁ!!!?」

 

俺は一気にスタートダッシュした。

何で虚がここにいんだよ!!?

 

てか、目が合った?

あっちゃったか?

 

虚の目が弓なりに笑った気がして、バクバクする心臓の音。

 

「はぁ!?マッジでありえねぇ!!!」

 

俺が走り始めると、虚も俺を追いかけるように走り出した。

 

虚が俺を追う度に、アスファルトの地面は割れて抉られている。

 

(エグいって···!!!?)

 

ダメだ、足を止めたら絶対に潰される。

 

俺は行き着く先もゴールも見えない持久走に、絶望し始める。

 

こんな時に、呪力があればと懇願してしまう。

 

手放したかった力を、また再び手に入れたいと思うの何て自分勝手で傲慢なのだろうか。

 

せめて、黒閃だけでも撃てたらと思ってしまう。

 

「だぁ、クソっ!!」

 

俺はこのまま、コイツに食われて死ぬんだろうか。

 

こんなんで死んだら、奴が腹を抱えて笑う姿しか想像できなくて、なんだが逆に腹が立って来た。

 

(逃げたら、何か変わんのか?)

 

「はぁー、····たくよー···」

 

逃げて何かが変わんのなら、最初から逃げてない。

 

俺は足を止めて、手をぎゅっと握り拳を作る。

 

今まで呪力にこだわって、霊力だとは違うんだと自分に言い聞かせていたが、つまりあれだ···虚が見えると言う事は霊力があるのと同義なんだろう。

 

「俺、今世ではのんびり高校生活満喫して、ホワイトな企業に就職しようとしていたのに、···オマエのせいで台無しになったら、恨むからな」

 

使える保証は何処にも無い。

 

だが、今は行けると確信している。

 

バチバチと霊力が俺の周りで音を立てる。

あぁ、久しぶりだな···、この感覚。

 

「·····、黒···閃!!!」

 

握った拳の周りに、黒い光が現れる。

俺は虚目掛けて一気にアスファルトを蹴り上げた。

 

虚の体にめり込む感触は、やがて虚の体を貫いた。

「ぎゃあア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」と響く断末魔と共に、サラサラと消えて行く体。

 

「·····、ごめんな」

 

消えて行く虚の姿を見ながら、出たのは謝罪だった。

俺は魂葬してやれない。

ある意味、虚も呪霊も同じような物なのかもしれない。

種類は違うけど。

 

「はぁ、···疲れた」

 

てか、今日は色々あり過ぎだろう。

黒崎一護と朽木ルキア。

それから虚と鬼ごっこ。

 

も、帰ろ···。

俺はバキバキになったアスファルトを目視すると、逃げるようにその場を去った。

 

 

 

 

「何だ···今のは」

 

白石 要が虚に襲われている、とルキアから連絡を受けた一護はその場に急ぎ向かっていたのたが、一護が見たのは虚に向かって黒い閃光を放つ姿だった。

 

「一護、あやつは何者なのだ。教室で隣の席になったんだが、妙に変な気配がすると思えばコレだ」

 

「俺が知るかよ。大体そんな接点あんましねーんだからよ。俺が知りてぇくれーだ。それにさっきのアレ、お前が使った鬼道とか言うやつじゃねーのかよ?」

 

「いや、違う。これだけは断言できる。それに鬼道を使うにせよ、詠唱破棄など高度な事ができる者は限られている」

 

(あやつがさっき使ったアレは、いったい何なのだ?)

 

力の源は確かに霊力そのものだった。

が、違うのだ。

力の使い方その物が。

 

一方要と言えば、ただ単に霊力を呪力と同じように捉えたに過ぎなかった。

 

切羽詰まった状況での、土壇場の火事場の馬鹿力だったのだろう。

 

 

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