Asyu-on Archive 作:非キヴォトス人のアコード
カシミールの王さえ火を絶やすのだ。
強制された艱難辛苦など叩き折りたまえ。
カオスの空は瀕死の花にも愛を注ぐ故に。
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補習授業部が、狂気の常人によるいない敵に対した介入に気付いたのは、試験前日の夜であった。
試験時刻的にも今から向かわねばならないことは明白。
アズサ、コハル両名にも補習授業部の悪意に満ちた真実が知らされた後、一同はゲヘナの指定ポイントへ向かう強行軍を開始した。
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ゲヘナの生徒は深夜であろうと狂人ぶる。
獣と形容するのも烏滸がましい態様で。
そのゲヘナの生徒らを、補習授業部一同は掃討しながら行軍する。
コハル、ヒフミがはぐれるトラブルもありながら、どうにか5人とも試験会場へとたどり着いた。
わざわざ自ら状況を複雑怪奇にしていることにも気付かず、試験用紙も準備されている。
意味深な音声もご用意されている辺り、何かはあるのだろうが。
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やはり、その何かはあった。
第2次特別学力試験 結果
ハナコ:試験用紙紛失(不合格)
アズサ:試験用紙紛失(不合格)
コハル:試験用紙紛失(不合格)
ヒフミ:試験用紙紛失(不合格)
結論から言えば、彼女らはしてやられた。
試験に臨もうとした時、仕組まれていたボワファイが起こる。
その魔性の発破は、試験用紙を跡形もなく消し去った。
この茶番、狂気の沙汰でも筆舌しがたい。
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その後先生によって発覚したのは、ナギサもミカも会えずじまいの行方知らずいうこと。
こうもなれば、最早原点回帰しかあるまい。
第3次特別学力試験までに、90点という合格ラインへ向けて。
駆け抜ける。
ハナコもここまで来ればもう今は走るのみ。
コハルもどれだけ高望みしていようと遮二無二に走るのみ。
アズサも自らの望む立ち姿のためひたすらに走るのみ。
ヒフミも憧れに疑念を持たれたという悲しみを持てど走るのみ。
押し付けられた艱難辛苦を行く少女たち。
それでも、どうにか仕上げた。試験前日までに、どうにか仕上げたのだ。
「ついに明日、ですね…」
「はい…」
「………」
「ま、まさかまた急に、色々変わったりしないよね?」
今のところは問題なし。
試験範囲と合格ラインも以前通り、今回は試験会場と時間も問題なし。
しかし気になることといえば、本館が第3次試験2日前より不自然なほど静かであること。
ハナコは念には念をと、晩は学園の電子掲示板を見ておくという。
「は、ハナコちゃんも寝た方が…」
「ふふっ、私は大丈夫です。それに、私にはこれくらいしか…」
「そっ、そんなことはありません!ハナコちゃんがすごく丁寧に勉強を教えてくれたおかげで、私もアズサちゃんもコハルちゃんも、すっごく成績が上がって…!」
「それは、皆さんが頑張ったからですよ。何日もろくに睡眠を取れなかったのに、とても頑張ったと思います」
“……うん、きっと大丈夫”
「うぅ…もう寝て明日に備えるしかないの?」
「休むのも戦略のうちだ」
コハルはまだ不安そうではあるが、事実として模擬試験では全員合格ラインに乗る回があった。
ならば、なせるものを行えば問題ない。
「いよいよ明日…私たちの運命が決まります」
「うん。必ず合格する」
「わ、私も!絶対に負けないんだから!」
「そ、そうですね。泣いても笑ってもあと1回です。頑張りましょう」
「はい。ここまでしっかり頑張ってきたのですから、あとは最後まで最善を尽くすだけです」
“…今までの頑張りを信じよう”
各々が決意を込めて先生に返事をする。
最後の特別学力試験まで、あと1日である。
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ハナコは勘付いていた懸案を確かめに出た。
学園の使われていない校舎にて、アズサともう1人の少女による会合が行なわれている。
共に黒いマオカラーチックな上着と、アズサは黒のロングスカート、もう1人は黒のスラックスという着こなしであった。
「アズサ、日程を変えなければならない」
「…?」
「『彼女ら』が明日の午前に合わせて動いているという情報がヒヨリから送られてきた。私たちもそのタイミングで介入を開始する。明日の午前中は、約束の場所で待機してくれ」
「ま、待ってサオリ、明日は……」
「何か問題があるんだな?話してくれ」
「……実は端的に言うと…ナギサに疑いをかけられて、退学をかけた学力試験をさせられている…その最後の試験が明日で…このままだと、トリニティにいられなくなる…」
言い出せず申し訳ない、と言いたげな顔をしている。
「その様子…アズサ、そういうのはもっと早く言え…」
「ごめん…」
「…………すまないが予定通り動いてほしい、こちらも手筈通りに抜かりなくやる。私たち、アリウスユニオンがきっかけで生まれてしまった『彼女ら』によって起きるトリニティの大きな変化を、ハードランディングにさせないために。トリニティティーパーティーのホスト、桐藤ナギサのヘイローを破壊させないために。……改めてだが、そのためにアズサにも協力してほしい」
「……うん」
「お前の実力は信頼している。必ずやれるさ」
「…分かった。準備しておく」
そうして立ち去ろうとするアズサへ、錠前サオリは声をかける。
「アズサ、忘れていないんだろう?『全き人格の回復』…」
「うん……全てが最終的に無意味だったとしても、最期までオマエはオマエである……あの時から、一度だって忘れたことはない」
「何より、いつだってタービンは回っているから大丈夫だᓀ‸ᓂ」
「……ふ、変わらないな」
「………」
ハナコはとてつもない事態と、アズサの根幹の一端に触れることとなった。