Asyu-on Archive   作:非キヴォトス人のアコード

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インタラクティブライブにて展開されるストーリーから引用がありますので、その点ご留意ください。


2.古き氷牢を消す鍵を取れ

不意に訪れた1音。

 

残響するその音は、少女らに何かを伝えようとしている。

 

「…!?………なに…?これ…」

「ミサキも聴こえたか…?」

「えへへ…私も聴こえました…!だけど、そこまで嫌ではないですねぇ…」

「(なんだか…思い出せそうで思い出せない、ナニカを感じる音だね?)」

 

地の果ての子らの一部に届く残響。

 

「これはもしかして…タービンと何か関係が…?」

((((最近アズサが言い出した『タービン』ってなんなんだろう…))))

 

****

 

『何も慌てることはない。寧ろ慌てる様子がないならば、それは良い兆候だ』

 

白洲アズサがトリニティへ転入する前のアリウススクワッド、その5人に聴こえ始める声。それは姿不可視のまま伝わる。

 

「うわぁん!今度は変な幻聴が聞こえます!」

『慌てるなァ…』

「い、いや、普通はヒヨリの反応が普通だろう…!?」

『それはその通り、失礼』

 

その中で不思議な程に冷静さを保つ秤アツコが、即座に状況を把握する。

 

「(ねぇサオリ?この声私達の反応に返してくれてない?)」

『手話の少女よ、私はキミ達と姿不可視のまま会話をすることが可能ということだけ理解してくれればいい。そして先程聴こえた音を覚えているか?それの正体を私は知っている。あれは元来ヒトが聴こえていた‘デュンク’という旋律の一部だ。そしてそれに‘アン’の旋律で応答することで成る‘デュンク・アン’の旋律の元、かつての人々はヒトらしく美しく生きていた』

「どういう御伽話…?」

 

戒野ミサキは怪訝そうにしつつも、音色について言及する声へ耳を傾ける。

 

『しかしいつしか、アリウスに生きる者達に聴こえるデュンクは聴こえなくなり、それと共に応答のアンも止んでしまった。キミたちがアリウスの歴史として教えられ、疑う事もせず信じている過去の出来事、‘第一回公会議’の直後以来だ』

「(…何となく話は見えたよ。私達のことを誰かが内戦するように仕向けたり、巡り巡っていつ来るかもわからない来たる戦いに向けての訓練の日々へ誘導している、ってことかな?)」

『私は前者については何も知見がない人間故に回答できない。しかし後者については、その解釈で良い』

 

秤アツコは早々と解を出し、そして直後に身も魂も虚無に染まっている戒野ミサキは反射のように投げ返す。

 

「……だから何をしろって?何をしても無意味でしょ…」

と、不意を突いてカットインしたかの道化師。私は呼んだ覚えがない。

 

****

 

あれは幻影なのだろうか…古聖堂の方に道化師の巨人がいる。

 

【オォイ?何が無意味だって?(喜)他人に言われてから動くばかりで自分から動く気もないお前みたいなのが(楽)話の結論を出すんじゃねぇよぉ(怒)】

「は?なにアンタ…」

 

ミサキに対しての指摘をした後、突然あの道化師の知る由がない私のことを比較に出した。

 

【そこのアズサってのはあの教義があるとしてもぉ(哀)それがその日一日最善尽くさぬ理由にならないって考えを(喜)自分で導き出して生きてるのになアハー↑ハー(楽)】

「な、何で知って…?初対面なんだから知らないはず!」

【アハハハァ?ともかくアズサァお前は凄い奴だぞぉ?(哀)オォイミサキとかいうの!(楽)お前他人がどんな生き方だろうと(喜)自分の生き方だけが正しいだの抜かすんじゃねえだろうなぁ?(怒)虚しい全ては無意味という感情に永劫浸っていたいんだよなぁ?(哀)だったら一つの抵抗もせずそこに居る仲間との縁も切って(楽)一人で野垂れ死ねばいいじゃないかぁ(怒)何でまだそいつらに後ろ髪引かれて生き続けてるんだ?(喜)】

 

あまりの剣幕となさ過ぎる掴みどころに、ミサキは困惑と動揺を隠す余裕がない。

 

「え…?野垂れ…??後ろ髪…???………それは……その…」

「うわぁん!ミサキちゃんがすごい勢いで詰められてます!辛いですよねぇ!苦しいですよねぇ!」

 

そして天の声はあの道化師とも会話できるようだ。

 

『まあ落ち着いて道化師。‘ZCONITE’は存在していないが、彼女らを操る‘アヨカヨ’的立ち位置の者がまだ健在。そうした思考であるのもやむないことだ。そしてその‘アヨカヨ’的立ち位置の者を打ち倒すのに、デュンク・アンの旋律を応用するんだ』

【アァ!(楽)久しぶりじゃないかお前(喜)つまりあの厄災な概念的石だのすっ飛ばして(哀)上手いことやるってことかぁ?(怒)面白いこと思い付くもんだ!(喜)】

 

そして先刻より聴こえ始めた天の声が、本題を切り出した。

 

『ともかく‘アリウススクワッド’、よく聞いてくれ。これから時を経ていく程に、デュンクがさらに聴こえてくる様になる。合わせて4つの音が聴こえるようになった時、私はもう一度アリウスへ現れる。君達含めたアリウスの子らの‘全き人格の回復’を成す為に』

「もう一度!?もしかしてこの声は、私に『タービン』を教えてくれた人なのか!?」

((((あ、出た…タービン…))))

 

****

 

ともかく、だ。

もう一度アリウスに現れると宣言した「タービンは回る」という言葉を私に授けてくれたあの壮年の男。

そしてその男から出た新しいキーワード『全き人格の回復』。

私なりの解釈だがこれは、ただ他者に与えられた考え方だけを盲信せず自身で取捨選択した考え方で生きる事…それを成す事こそ本当のヒトである、あるいはそれを成す事でヒトらしさを取り戻せるということの標語なのかもしれない。

今のアリウスのみんなには難しい課題かもしれない。だがそれは、いつかアリウスの外で生きることを選択すれば必要な事になると思う。

だから私は尋ねるのだ。

 

「ねぇ!そのデュンクが聴きやすくなるような行動だったりはある?」

『以前の通り答えは‘タービンは回る’。ご新規の4人に分かりやすく言えば、‘オマエがオマエたる証明’をするということだ。オマエであることを証明する行動、言説、嗜好、思想。全てに対して本当に自分が望んで行っているのかという疑念を持てなければ、それはオマエではない』

 

男にとってのわかりやすいは、私以外の4人にとっては少々難しかったらしい。それをサオリは隠さず表した。

 

「いや…む、難しいぞ……今の私に対しての疑念、と言われてもだな…」

『その答えを急げとは言わない。急かず手抜かず、各々のリアルを見出すということを始めてくれればいい。さすれば残り3つの音も鳴り始めるだろう、健闘を祈る』

 

そう残してから、こちらからに対しての返答は来なかった。




ここまでの2話以降は不定期更新です。
とっととエデン条約編に行きたいですが書きたい部分が多すぎる。
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