Asyu-on Archive   作:非キヴォトス人のアコード

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21.おやすみ これすなわちこんにちは

そう、あの人もこの人も、残念ながら詐欺の加担者から脱却出来なかった。

此度の事案が終わらなければ、PHASE-6のままだろう。

そのうちのひとりは最後にわかる。

 

****

 

「未だ暗中らしいな」

「…!?」

 

驚愕するナギサ。

無理もない、上下黒尽くめを着たトリニティでない存在がいるのだから。

 

「不安なのだろう、正義実現委員会もほとんど傍にはいないのだから」

「あ、あなたは…何者ですか…!?どうして、ここに…!?」

「ここまで来たのなら、そんなもの細かいことだろう?まあ、アンタの心労は相当なものだろうとは推察できるが、こうして『シャーレ』まで動員し、馬鹿げた茶番をする意味とは何だ」

「茶番…?」

 

そう、全ては自ら眼を遮った果ての茶番だ。

終始何に憂慮していたかは知らないが。

 

「怪しめる要因のあったアズサと浦和ハナコに対しては心中察せるが、阿慈谷ヒフミと下江コハルに対しては、部外者である私が考察しようと理解に苦しむな」

「……」

「特に阿慈谷ヒフミとは、アンタと良い関係だったらしいと聞く。それでもここまでしたのは?」

「……そう、ですね。ヒフミさんには、悪い事をしたと思います……ですが、後悔はしていません。全ては大義のため。確かに彼女との間柄だけは、守れればと思っていましたが……私は……」

「全ては、それは『ない』と。そしてその可能性が『ある』と宣言できなかったツケだ。アンタには一時退場いただく」

「それは、ない?可能性が、ある…?……っ!!??そんな、ありえません…!!」

「その理解力が最初からあれば良かったものを」

 

恐らく本来のTimeline以上の衝撃を受けるナギサ。

言い切り、錠前サオリが横へ2歩ずれると…ペストマスクの少女はアサルトライフルを構えていた。

 

****

 

アズサはナギサの回収に1人で行くと言い、ハナコが指示したセーフハウスへ進入した。

それは彼女の介入を受けてという次第。

ハナコは状況へ入る前に、黒一色を纏う見知らぬ存在が味方として参戦することを共有されてはいたが、それでも驚嘆の限りである。

 

「あなたが…」

「アリウスユニオンの錠前サオリだ、よろしく頼む。目標は確保した」

「1時間くらいはこのまま気を失っているはず」

「…で、ではアズサちゃん、ここからは敵の誘導をお願いできますか?」

 

平静を保とうとするのは見事かな。

 

「了解。これで、まだどこかにいる『本当のトリニティの裏切り者』に嘘の情報が流れるはず…?ハナコの仮説通りなら、分校派も襲撃を急ぐに違いない」

「はい。私の推測通りなら、まだ分かっていないことも少しはあるものの…それにはっきりした証拠も無い状態ですが、『本当の裏切り者』については、個人的には確証がありますし」

「ところでサオリ、分校派の兵力はどのくらいって見てる?」

「すまんが詳細は分からん。しかしお前も備えはずいぶん前からしてきたようだから、どれほどの相手だったとしてもかなり時間は稼げるはず。このために毎晩、学園周辺にトラップやら塹壕やらを作っておいたようだしな。そこに誘導しつつ、ゲリラ戦で時間を稼いでくれ。私もそれを活用させてもらいつつ迎撃する」

「うん、ハナコは後でまた、合流地点で会おう。サオリも最終地点で」

「はい、また後ほど!」

「了解した」

 

****

 

分校派は踏み入る。そこにターゲットはいない。

 

「…先客があったか。あの情報が本当だったとは。周辺を捜索しろ、出来るだけ静かに。『タービン』がいるはずだ!彼女を早く探し叩く!」

『こちらチームⅣ、奇襲に遭遇!』

「…まさか!」

『“タービン”です!“タービン”からの奇襲です!』

「あちらから仕掛けてきた!?何が起きている!!」

 

 

 

『学園でできた仲間が共に動いてくれた、たったそれだけのこと』

「…白洲アズサ……!」

『目標は私が先に貰った』

「……」

『ちなみに元からの仲間も1人動き出してる、逃げるなら今のうち』

 

奪取された通信機からの声は途絶える。

状況判断を迫られる分校派の指揮官役。

 

「奴らのうち1人か……」

「……退却しますか?」

「いや。彼女らのうち1人が来るとしても、正義実現委員会は絶対に動かないはず。気にせず行くぞ!」

 

****

 

分校派がアズサを追う。別館へ入る姿を確認し、突入していく。

さらに曰く、「スクワッド」から増援を送った旨があったという。

「スクワッド」…ステルス某は彼女らにそんな指示をしろ、など言っていないと言おう。

バリケードのある方と入っていった開いている方…開いている方にトラップがあると読み、バリケードを突き破った。

 

「だと思った」

 

残念、そしてお見事かな。

 

 

 

「……手こずらせてくれたじゃないか」

「…相当減りましたね、さすがはアズサちゃん。サオリさんも良い助力をしてくれているようです」

「うん」

 

そうしてこの先は行き止まり…体育館。

アズサとハナコが誘き寄せた先に、コハルとヒフミ、先生も待機していた。

 

“じゃあ、補習授業部…行こうか”

 

****

 

見事現在いる敵部隊を殲滅した。

 

「……では、難所をひとつ乗り越えたところで、次のフェーズに移りましょうか。この後アリウスの増援部隊が到着するでしょう、ですが私たちは時間を稼ぐだけで大丈夫です」

 

正義実現委員会への連絡を取り付け、部隊が到着するまでの間時間を稼ぐ算段のようだ。

ティーパーティーの傘下にある正義実現委員会が動くとすれば、それはティーパーティーの身辺に問題が生じた時。定期連絡などもあると思われ、ハスミらにナギサの身に何かがあったことにも気付いたはずだろう。

そしてコハルからも連絡を入れている。

これだけ要因がある…状況確認のために動くには、そう時間はかからない。

 

「ここで良かったか?」

“君が、アズサの言っていた?”

「ああ、錠前サオリだ」

 

さらにはサオリも合流、時間を稼ぐには十分である。

はずではあった。

 

「…!?増援部隊が、こんなに早く…!?」

「ざっと中隊単位だ。分校派の半数近くかも」

 

これだけの人数が平然とトリニティの敷地に入り、そしてどうやら正義実現委員会も動く気配がない。

それは仕方ないことなのだろう。

 

「あれ、サオリもいるじゃん。久しぶりだね?」

「ミカ…」

 

此度の分岐においても、聖園ミカは暗躍しているのだから。

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