Asyu-on Archive 作:非キヴォトス人のアコード
「シスターフッド…!?っ、浦和ハナコ…!」
「まあ、ちょっとした約束をしたので」
そうして、発破して現れる修道女たち。
「けほっ、今日も平和と安寧が、みなさんと共にありますように…けほっ」
「えーと、すみません、お邪魔します…」
「シスターフッド、これまでの慣習に反することではありますが…ティーパーティーの内紛に、介入させていただきます。聖園ミカさん、他のティーパーティーメンバーへの傷害教唆及び傷害未遂で、あなたの身柄を確保します」
歌住サクラコ、伊落マリー、若葉ヒナタという主要人物の言の葉と共に集結した。
「……あはっ。流石にシスターフッドと戦うのは初めてだなー。なるほど、これが切り札ってこと?…浦和ハナコ、どうやってシスターフッドを動かしたの?シスターたちと仲が良かったのは知ってる。でもあの子たちが何の得も無く動くはずが無い…ねえ、
ハナコは必要のないことと、答えることはない。
興味は尽きない様子のミカだが、その顔色は遊びをようやく捨てたようである。
「さて、片付けないといけない相手が一気に増えちゃったなぁ。まあどうせホストになったら、大聖堂も掃除しようと思ってたところだったし…うん、一気にやれるチャンスだって考えることにしようかな」
あくまでも戦う意思を見せる姿に、戦況を読めないほど愚かではないだろうとハナコは問う。
しかし揺らぐことは残念ながらない。
もう行くところまで行くしかない、そう誤った覚悟をしている故に。
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さあ、行くところまで行ってしまった。
つまるところはシャーレの先生の介入を許したことが、自身の敗因であったと回顧するミカ。
だが、そもそも最初の失態と思っていたセイアの殺害など『ない』のだ。
これについてを…アズサが語り始めた。
「ずっと、偽装していたんだ。襲撃の犯人が見つからなかったから、安全のためにということで、トリニティの外にいるとのことだ」
「……セイアちゃんが、無事……?」
「うん。傷の治りが悪くて、まだ目は覚めていないらしいが…救護騎士団の団長が、すぐそばで守ってくれている」
「ミネ団長が…?」
「そしてなにより……これは本当かどうか疑ってくれて構わないが…」
「…そっか、生きてたんだ……」
銃を下ろすミカ…降参を表明した。
ミカは最後に、アリウスを知る者に問い掛ける。
「アズサちゃん、サオリ。どうしてあなたたちは強い憎しみを持っているはずなのに…そんなに自分を保ってるの?」
「憎しみという形で他者に依存して生きたところで、その後はどうなる?ただ、私はそれは違うと思っているだけだから」
「かつての生徒がきっかけの、自分に直接関係のないはずの復讐を果たしたところで、その後はどうなる?私たちは偶然それを教えてもらえて、知れただけだ」
「…もし、今のトリニティの生徒に悪意を向けられたら?」
「今は分かり合える人と巡り会えればいい。人は全てを拾おうなんて大層なことは、そうできないから」
「…分校派の子たちとは、どうするの?次はあの子も出てくるよ。それに、ユニオン派でも分かるはず…et omnia vanitas…」
「ああ、分かっている…だか、それでも最後まで足掻いてみせる」
「うん。それに共に歩めると信じるのは、さっきの言葉と矛盾はしないと思う」
「…そっか」
その後、聖園ミカは正義実現委員会に連行されていった。
“ミカの味方でもある”…あの言葉は嬉しかった、そう残して。
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だが、終わるにはまだ早い。
まだ第3次特別学力試験は残っている。
駆け抜けた深夜の後、最後の追い込みをしなければ。
第3次特別学力試験
ハナコ:100点
アズサ:97点
コハル:91点
ヒフミ:94点
補習授業部という茶番は、完全なる成果を以て完結した。
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ごきげんよう。
再びお会いできて光栄であります。
いいや。この夢の中において最も招かれざる客だよ、キミは。
キミのおかげで、ここまでもう何もかもおかしいのだからね。
そのお言葉は褒め言葉として受け取りましょう。恣意的に。
…しかしだね、確かにここまでは私の予知とは違う道を歩んでいても、形を変えて彼女たちはトリニティを襲撃するのは確かだろう。
キミが言っていた「定理」とやらを変えようとそれは揺るがない。
ええ、各個人のゲームチェンジは各個人ごとに行わなければならないですから。
私からすれば、それが出来る者たちがいただけでも既に私にとっては十分な成果であり、その光はまさしくBEACONとなって輝きを放ち続けている。
それこそ、私の見出した「崇高」でありますから。
キミは……本当に何が望みなんだい。
生徒という態様のままに望む姿を完遂できることこそ、キヴォトスにおいて望ましい。
その生き方を、キヴォトス外のヒトにおいても行えるか。
救済、保護など口にする気はなく、ヒトが新たなPhaseに至る過程を見出したいだけなのです。
…ともかくまだ残った火はあるんだ。キミはそれをどうする?
あとはゲームチェンジを待つのみです。
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あり得ぬ分隊は集う。
「準備してください、みんな」
「ああ、やっと始まるんか…?この苦しみと苦虫噛むような辛さの先にあるものを、やっと見れる…」
「…ええ、でも大丈夫。苦しいなら、生きてるってことです」
「………」
「んんと…王女が手話使っとるけど、ええと…」
「あの子はどうしてる、って?気になりますか、王女」
「………」
「どうでもいいでしょう、結局遅かれ早かれこうなってます」
「その辺りにしておいてください」
「………」
「黒い雲…明日は雨ですかね」
「はあ、雨かいな。水を差すとはこのことやな」
(……アズサ、サオリ、ミサキ、ヒヨリにアツコ。どれだけ足掻こうと、結末は変わりませんよ。あなた達の体は覚えている。じきに思い出しますよ、真実を……曰く)
全ては虚しい。どこまで行こうとも、全ては虚しいものだ。
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地の果てに少女は帰還する。
「お疲れ、サッちゃん」
「ああ、ありがとう」
「で?アズサはどうだった?」
「色々と面倒事に巻き込まれていたようだ。だが状況は解決している」
「それでもトリニティでたくさん学べてるんですね?いいことですねぇ、なんだか嬉しいですねぇ…」
「さて、次の段階に行くぞ。エデン条約調印式は確実に彼女らが来る」
「…変わらなかったあいつらね」
「そういう言い方は駄目だよミサキ。もしかしたら、私たちがあちら側だったかもしれないんだから」
「もしそうなってたらと思うと…辛いですねぇ、苦しいですねぇ…でも理解はできてしまう私もいます…」
「その通り、突如選択肢があると唱えられれば、彼女たちのようになることが残念ながら通常です」
「…師匠!報告が遅くなり申し訳ない」
「いえ。サオリ、潜入の方ご足労かけました。時期が来るまで普段通り、学びたいものを究めつつお過ごしください」
「わかった」
(スバル。全ては無意味なのかもしれんが、生まれ持って体が持ち得ているものはあるんだ。じきに思い出せる、真実を……それこそ)
全き人格の回復。