Asyu-on Archive 作:非キヴォトス人のアコード
24.道の砂が聞く 無言の星の歌
砂塵を舞い上げて語る、夢は確かと。
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…百合園セイア…?
ああ、そうだよ。君を待っていたんだ、アリウス分校所属『白洲アズサ』。
…?『アリウスユニオン所属』だけど…。
…夢で見たシーンと少し違うね…いや、『予知夢』のようなものを見ていたんだ。それと少し違ったということだよ。時々、そういう夢を見るんだ。後で現実になってしまう夢、それ以外にも色々な夢をね。
つまり、これから私が何をするのかも分かってる、と?
ああ、私のヘイローを壊しに来たんだろう?
そんなことしない…どうしてそんなことをする必要がある?
な、なんだって…?
聞かせてくれ、そんなことが『ない』と思えば、こういうふうに起こらないかもしれないのに。見た夢が『起きる』と思うから起こってしまうとは、思わないのか?
……彼と同じことを言うんだね。
…?
いや、なんでもないさ…………質問に答えると、無意味と思っているから、だろうか。
『全ては虚しいものである』…アリウスが好きな言葉だったね。同じことだ。未来が見える私にとって、足掻くことは無意味。『死』というものが、キヴォトスにおいて見えにくい概念であることは確かだ。
それでもやはり私たちは生きているのだし、ともすれば『死』が隣り合わせでないなんてことはあり得ない。『ヘイローを壊す』…つまり誰かが、私の死を願っている。
そして君は、その意思がなかったとしても、この秘密の部屋まで他の誰にも気づかれずに侵入してきた。ここまでのことが出来てしまうのだから、やはり足掻いても無駄さ…君の立場からだってそう思うはずだよ、白洲アズサ?
…ただ、私はこの子にいざなわれただけ。
それは……?
halycon、ヒトの為に働いてくれる不思議な子だ。この子がここに来るべきと道を指し示してくれた。
ともかく私は、人殺しをしにここまで来た覚えはない。
…そんな、こんなことがあるのかい?『予知夢』が、ひとつも意味を成していないじゃないか…例えば『ヘイローを壊す方法』を教えられたりは…。
昔習った。でもそれをするための道具なんて何ひとつ持って来ていない。
それに、そんなことを『習う』のが『学校』じゃないことも習った。
……やはり、彼が言っていたのは本当だったんだね。
私に助言を貰わなくても、何ひとつ問題ないらしい。
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不意に居眠りしてしまった先生は、そんな情景を見ていたような気がする。
エデン条約に関わる案件以外にも、様々な事柄に奔走していた故に。
さて、ここまでに解決されていないことを整理しよう。
それは、百合園セイアが襲撃されたことについてだ。
彼女が襲撃され、居室が爆破されたのは午前3時のことだったという。
その後、現場へ最初に辿り着いたのは「救護騎士団」蒼森ミネ。彼女はその状況を確認したのち、すぐにティーパーティーへその旨を報告。
ティーパーティーは混乱しながらも、情報の隠蔽工作と犯人捜索へ動いた。
しかしその騒動に紛れるようにして、蒼森ミネはセイアの遺体と共に行方をくらました。
ここまでが、ティーパーティーサイドの事態の見え方である。
実際は「百合園セイアの遺体」という情報はフェイクであった。
蒼森ミネは、「ヘイローが破壊された」という偽の情報を流しつつ、百合園セイアを安全な場所へ秘密裏に移送したのだ。
「ヘイローが破壊された」ともなれば、情報を看破しない以上狙われるはずもない。彼女を守るためには、最善の方法だったのかもしれない。
まあ、それによって起きた結果だけ見ると、桐藤ナギサが蒙昧の霧から抜け出せなくなったり、聖園ミカが誤った信念で突き進み切ってしまったのだが。
そして現在、蒼森ミネと百合園セイアは誰も知らぬ場所に身を隠しており、かつ未だ百合園セイアは目覚めていない。
爆破によって負った傷は癒えているようだが、未だ眠りの中にあり、蒼森ミネにも原因不明の状況だという。
おおよそここまでが、百合園セイアの襲撃された状況と現状であろう。
果たしてそんなポストモーテムをしていた先生と歌住サクラコの元に、浦和ハナコが姿を見せる。
彼女が退学の意思を取り下げ、自身の意思で歩み始めることを決めたきっかけの話から、またも「ばかですねー」な話に繋がったりしつつ…。
「セイアちゃんの襲撃事件、その話に戻りましょうか。本当の最初の目撃者は、アズサちゃんだったようです……セイアちゃんの部屋が爆破されたのは夜中の3時です。しかし、アズサちゃんがその部屋に入ったのは夜中の2時半頃。ここには、約30分の空白があります。事件の目撃者、つまりアズサちゃんはセイアちゃんと一緒に30分、そのお部屋にいたんです」
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これは冒頭の続きである。
「halyconが何を伝えようとしているのかは分からないけど、私はここにいるべきだと思う」
「…何故そう思うんだい?」
「多分、知恵の木を枯らさないため」
そう言って瞬刻、その星は降ってきた。
爆発するタイミングを合わせて投げ込まれた爆弾。その後に侵入する襲撃者。
致命にはならずも、セイアはその身に傷を負った。
「来た…!知恵を貸して!どうするべき?」
「ミネを、呼んでくれ。あとは、彼女に、託せ…」
「…何故、あなたがいるんですか…!」
邂逅する、仲を違えた者たち。
ただ見据える招かれた守護者、歪む顔で睨む招かれざる侵入者。
「迎撃する」
そして襲撃者を追いやった後に、蒼森ミネへ顛末を託したのだ。
「その後については、第3次特別学力試験の直前にハナコから教えられてようやく知った。まだ意識を取り戻せていないということを…」
さらに、襲撃者が何者かについても語った。
「襲撃者は、アリウスの分校派の生徒『梯スバル』。分校派の指揮を主だって取ってるのも、彼女だと思う」