Asyu-on Archive 作:非キヴォトス人のアコード
vanitas vanitatum. et omnia vanitas.
日本語へ訳すとすれば『空の空、一切は空である』…仏教的に言えば『色即是空』に近しい語とも言えよう。
しかして、そうまでして空虚なる己を貫き通したオマエに何が残るのか。
隣接次元へ至るまでに成すべきと建てた灯台を如何様にするのか。
そうあれかしとすることで何があるのか。
地の果ての子らよ、そこから始めてみようじゃないか。
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(まるで空から落ちた蜘蛛の糸…ただなぜだかそれは糸というには、剛強な綱のように硬く撓みないもののように見えてしまう。マダムと同じ大人でありながら、不思議な程に嘘偽りない言葉をくれたと思える…)
平時に戻った秤アツコの思索は、かの声の劇薬的救済法を信用すべきかどうかに多くを割かれている。
こと現在のアリウスにおいて、そのような救済・保護など口にする事…ひいては思案することさえ己の身を危険に晒す行為である。
しかし彼女達には、それがヒトのあるべき姿などと思っていただきなくはない。
「……姫?」
仮面により表情不可視も思考へとリソースを割く様子に、戒野ミサキが伺いの声をかける。
「昨日のアレについて?」
「(うん、そうだね)」
「……………そう」
諦観の果てに傀儡のように立つその人にとって、引っ掛かりを感じつつもあの言葉で大きくは揺り動かされることがなかった。
(…この教練を、私が行っている指導を疑うことをしてみろ…と、言われても………………分からん…)
「…サオリ、いつもより動きに迷いがあるけど…?」
逆に、かの言葉により揺れ動き始めたのが錠前サオリである。
来るべき日の為と言われるままに、我が身へ他の少女達へメッキを施し続けているが…暗中ながらも己の行動を省み始めたように見受けられる。
「む…すまん…」
「昨日のことですよね…?でもああ言って、後から私達に酷いことをするかもしれませんよねぇ…?苦しいことが待っているかもしれませんよねぇ!」
「ヒヨリ、それは悲観的過ぎるよ。彼もそう考えてしまう自分を疑わないといけないと言っていただろう」
「うわぁん!そう言われるとそんな気もします!気を付けますね!今のうちにしたいこともしまくっちゃいます!」
悲観主義が少々変容した結果傲慢さを会得している槌永ヒヨリは、無意識に事態への参画をする程度には意外と余裕のある様子である。
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「さて、今回の件をご説明くださいますか?」
その頃探究者の会合が、最新参者を除いた4組にて催行されていた。
「ゲマトリアは互いに協力すれど互いの探究に対しては不干渉かつ立場は対等であることが一種不文律であったはず。何故それを加入後即座に破るような者を招いたのでしょうね?」
「ヒラサワさんの件ですか…クックック…。その件は、彼を招いた私が責を貰い受けましょうか…」
黒服の振る舞いが、画面前の先生諸君が知るようものではないのは確かである。ナニがナニでどうなってか、随分と気に入られてしまって少々憤慨してしまうところだ。
「らしくありませんね黒服。随分と執心というか…彼を崇拝するように心酔しているようですが?」
「クックック…降って湧いた探究の新基軸が、あまりにも私達に無かったものでしたからね…あのモノの見方は、逆に学ばされるばかりなのですよ」
「かの者の肩を持つわけではありませんが、私としても彼に内包された『
「まあそういうこった!」
「この件は釘を刺しておくが、私としても音楽という芸術を持ち得るかの男は興味深い。貴女も貴女の計算する通りの作品を作れば良いだろう」
「はあ、そうですか…ともかく不要な干渉をさせぬようお願いします」
気に入られてるの黒服だけじゃなくてヨヨヨ。奏でる用務員も探求対象にされていてヨヨヨ。
ともかくベアトリーチェにとって、彼らに対しての信用値を落とすに足る会合ではあっただろう。
それぞれの事が終わり翌日、少女達に聴こえる音が2つになった。
「ヒラサワがベアトリーチェ以外のゲマトリア勢に好かれ過ぎ」だって?
ちょっとナニなのは分かってるんですけど、本編開始前とはいえ『ゲマトリアに付いてくれた先生』のような存在が現れたように3人ないし4人は見ると勝手な解釈をしておりまして…なにより参考概念が「ゲマトリアに入ったヒラサワ」略して「ゲマ沢」なのでその辺り納得いかない方はすみません。