Asyu-on Archive 作:非キヴォトス人のアコード
さて、何らかの廃墟…その裏口の近くまで辿り着く。
“…!?”
「……これは」
辿り着くと奪還の旅団は、付近にあった底部にプロペラの付いた巨大な機甲にたじろぐ。
アツコはどこか、それにデジャヴのようなものを感じた。
「アツコ…?どうかしたか?」
「あの空飛ぶ機械の質感そのまま。あの、煩悩の塊が乗ってしまえばどこまでも飛んでいける気になってしまう機械」
「
「いやまさか…でもこれだけのものがあって気付かれていないのも、納得は出来るというか…」
「は…?なんなんです?突然巨大建造物が現れましたけど…これも『ステルス』の仕業ですか…!?」
切り札─聖女バルバラ─の最終調整を行う『保護者』も、小ロタティオンによる時間流の制御から解かれて現れたそれに困惑していらっしゃる。
「…困惑していたり考察したりしてないで!早く行きますよ!」
しかしスバルは気を引き締める役割として十二分の活躍だ。
****
それにしても。
下手な発破でもすれば、さらに瓦礫を増やしてしまいそうなほど寸前のところで保っている廃墟だ。
人数もいる。手作業である程度除去して目的の建物の裏口より突入した。
「なんや、この広い地下空間は…」
狂人の至聖所までの道中、広く天井も高い地下空間に出た。
柱の連なる巨大空間。
「……トリニティに関係があったりするのかな?」
神殿的様式の様に、ミカはふと湧いた疑問を口にする。
…アツコが、柱の刻印に気付く。
「Justina…ユスティナ?それにこの紋様…」
「ユスティナ聖徒会に関係する土地やったりでもするんか?」
「可能性だけどね。これだけだと、なんとも言えないかな」
「けど、カタコンベから来れる土地ですからねぇ。有り得へん話ではないのかもしれません」
「過去に思いを馳せるのはいいですが、日の出が近いです。早く行かないと……ん?何の音ですか?」
見上げれば白き柱がふらついている。
「…!走れ!柱が倒れてくるぞ!!」
サオリの一喝が旅団を突き動かす。
全員が無事であったが…。
「…ミカとユニオンの連中がおらん!」
「瓦礫の反対かね!?」
「そうだよー」
「怪我はないですか!」
「みんな無事だ!」
さらに揺れる巨大空間。
柱は未だ迫り来る。
「あかん、完全に塞がっとる」
「あれまぁ…みなさん!!大丈夫かいな!!」
「ともかく、そちらに戻る道が塞がっていなければ、合流地点を探しますよ」
****
「……さて、これは…まずいな?」
「偶然が重なったとはいえ、してやられたね」
「……あれは、かつてのユスティナの…」
「ともかくこれまでの聖徒会とは違います…!」
「いずれにせよ…なんとかするしかないかな?」
全身拘束具に片手にそれぞれ携える重武装。従える信徒。
聖女バルバラ。
「ミカ、好きに暴れて構わないぞ。こちらも好きにやる」
「あ、分かってるね?じゃあそうさせてもらうね!ちょっと鈍っちゃってるけど!」
比較的万全な5人。
ミカが秘めたる圧倒的パワーを駆使しつつ縦横無尽に立ち回れば、アリウスユニオン生徒会の4人は個の力が全て活かされる布陣を組み攻め入る。
…………L…………I……………
「ぐぅっ!?」
「サオリ!…思ってた以上かもね」
しかし、想定以上の苦戦を強いられる。
………A…L……IRA……………
「うわぁん!キリがないです!」
「言ってる場合じゃないよヒヨリ。時間を稼げば…」
C… AL…IRA……W……………
「もー!しつこいったら!」
CALL HIRASAWA
「……何だ?」
「この冷たい鉄の響きは…」
「…デストロイが来る」
CALL HIRASAWA!!
「おいしいところを奪っていってしまい、ヒラサワ一生の不覚です」
破滅の6本弦。
アルミニウムの進化、深化、新化によって引き起こされる猟奇的サウンドが響き渡る。
狂音のソノリティがバルバラを大きく怯ませ、そして彼女が従える信徒を壊滅させる。
「師匠!!ここで来てくれたか!!」
「かつてバイナリーデカルトだなんだと戦った時の応用です」
ロングサスティンが鳴り渡る中、男は生徒たちに言葉を授けた。
「オマエタチ、至聖所へお行きなさい。会人もいるので問題ない」
「し、しかし…!」
「…私は残ろうか?見てたと思うけど、アレ強いよ?」
「おや星の姫君。まあ、お好きにどうぞ」
「…じゃあ師匠、お願いします。私たちはあの子たちのところに行くよ」
「どうぞよろしく、アリウスユニオン」
****
“アリウスユニオンのみんな!”
「ああ、待たせたな」
「あちらはどうなっていますか?とてつもない音がしていましたけど…」
「師匠とミカがどうにかするって」
“!”
「…任せよか」
「そうやね、急ぎましょう」
そしてアリウスの少女たちと先生は、地下の至聖所へ到達した。
「こ、ここが…」
「マダムが用意しとった、至聖所…」
疚しく輝くステンドグラスの前には、磔のマイア。
その顔は仮面により窺い知れない。
「マイア…!!」
「…気を失っとるだけやな…今は」
「…早う皇女サマを…」
「お待ちしておりました、先生。 ─私の敵対者よ」
“ベアトリーチェ…!!”
『保護者』が再び舞台装置の役目を果たす時だ。