Asyu-on Archive 作:非キヴォトス人のアコード
『盲信』より始まった歪んだ自己へ『疑念』を持ち、『確信』を得て『再獲得』を成す。
現在の『TIMELINE』に残った『PHASE』をこの四つの段階で移行し、その後は新たな『Timeline』に移動するだけである…さすれば氷牢はいとも容易く崩れ去り、本当の意味でのアリウスの少女達となる事が叶う。
私が確信を持ってそう言おう。
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「あ、まただ…なんなのコレ…」
「昨日より増えたな…?」
私がデュンクと呼ぶ旋律。ただ4つの音階の違う音が順になるだけの変哲もないもの。
しかしそれは、アナタが途轍もない存在であると思い出させるには十分なのだ。
この度2つ目が呼び起こされた。正直に言えば、彼女達は想定よりも早く2つ目を思い出したと言える。
「(何か前よりも、思い出さないといけないものがあるって伝えてくる感じが強くなってる気がする)」
「思い出さないといけないものですかぁ…?そ、それはもしかして…姫ちゃんの食べ物を隠れて少し貰っちゃったことですかぁ…!?ちゃんと懺悔しま…うわぁん!アズサちゃんの視線が痛いですねぇ!」
「またやったのかヒヨリ」
手話の少女が示した直感は正しい。
少女達が必要と擦り込まれた怒りの感情。遥か過去のアリウスの少女達が、学園統合に対しての反発により迫害を受けるに至った第一回公会議。そしてそれによって成ったトリニティ総合学園。そのトリニティに対して、彼女達は憎悪という妖刀を鍛錬し続けている。
しかし刀を鍛える前に、オマエのその狂わされた思考癖を破壊するのが先だ。
歪みに満ちた思考癖を、怒りを以て破壊してしまおうじゃないか。
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「何かありましたか、アリウススクワッド」
いけない、『保護者』だ。
慈悲の涙を流すアリウスの少女達の『保護者』だ。
「っ!いえ、何も問題は」
「ならば良いです。vanitas vanitatum. et omnia vanitas…貴女達に必要な事は何度でもお伝えしましょう。サオリ、変わらずにお願いしますよ」
「はい、マダム…」
どうやらデュンク・アンによる定理の変換作業に気付いている様子は、今のところない。
少女達を恐れおののかせる悲劇が訪れる前に、解決策を持って現れた救済の善行者と崇め奉られる者。
だが『保護者』こそがその悲劇を作り上げる者と、アリウスの子らは知らない。
何故『保護者』と呼ぶかって?既に彼女は画面前のオマエタチが知るよりも、随分早く舞台装置に成り下がっているからだ。
『ZCON』という
永遠の淑女などというふざけた名で呼んでやる道理は、最早一つもない。
(しかし、どのようにしてネズミが入り込んだのでしょうね。十中八九あの最新参が、この状況を観測しているはずなのですが…何故掴めないのでしょうか…)
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どこにも聴こえぬ、聴かせぬように奏でられるハーモニカ。拠り所なき精神を必死に守る為、秘匿の上で行う趣味の一環。
「…はぁ。懲りないね私も」
奏者は梯スバル。
錠前サオリと共に、少女達へのメッキ加工を行う者だ。
「……え…?楽器の音…?」
アリウスにいつ以来に響いたか分からない弦楽器の音。梯スバルはそれへ惹かれていざなわれる。
いつか陽を仰いで
消えた星が見えた日は
地の果てに預けたあの
地図の歌を歌おう
“ボクはキミだから”と…
“ボクはキミだから”と…
「…」
抽象の極地の詩に、自ずと自己を投影する。
地の果てに預けた地図の歌。
自身が望んだものは何であったか。
「……まあ、それでも…」
「それでも?」
ステルス某気配なしに接近。
「うわぁっ!急に来ないでください!」
「失礼」
「…ふぅー、びっくりしたぁ……えっと、あなたは何者ですか…?」
「ヒトの目覚めを励起させる者とだけ」
「……はあ…?…あれ、どこに!」
瞬間目を離しただけで男は立ち去っている。
その後、この少女にもデュンクは聴こえ始める。