Asyu-on Archive   作:非キヴォトス人のアコード

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予定では、サブタイトルに「BERSERK-Forces」の一部を引用するつもりだったのだけれどね。
ノリと勢いで御託を並べ立てていった結果、このようになってしまった。
煩雑フォックスですまない。


5.働け halycon すぐ LaLa Lee

撃たれた鳥のような優雅さは、オマエタチが思っているよりも清廉なるものである。

傷癒えぬ羽に多く抜け落ちた羽毛で雨に耐える様。

その身姿は実に醜いとヒトは断ずるだろう。

だが、オマエタチは雌伏の中で気高く二本足で立つ鳥の姿を見たではないか。

高潔な姿だとは思わないか?

 

****

 

密やかにステルス某が梯スバルと邂逅した2日後のことだ。

彼女も教練の中で気づきがあった。

 

「どうしたんですサオリ。動きが緩慢ですよ」

「す、すまない…」

 

メッキ張りの実行者たりえる実力者であるため、迷いのある動きは易く気付く。

錠前サオリよ。未だ魂を荼毘に伏し続ける者と疑念を抱き始めた者の間には、深き谷が生まれる。

残念だが、その谷だけは避けて通れぬ道だ。その谷さえ超えれば、あとに残る不要な艱難辛苦を見定められるようになる故に。

 

「何か身体に問題でも?」

「いや、問題ない………」

「それとも、あの変な音ですか?」

「!スバルも聴こえるのか…!?」

「ええ。起きている時に不意を突いて鳴るので、鬱陶しくて堪らないですよ。どうすれば鳴り止ませられるのでしょう」

「鬱陶しい、か。私には、何かは分からないが…何かを伝えようとしているように聴こえている…」

「何かを…………はは。まあ、分からないんですから…いいんじゃないですか?無視しても」

「………」

 

****

 

閑話休題しメッキ張りの真に虚無たる時間が終わったあと、ある話が上がる。

 

「謎の男が現れた…?」

「ええ。白髪で眼鏡をした、痩せた壮年男性です」

 

ステルス某が現れた旨が共有されている。

思考癖の破壊次第では、目覚めの先導者になり得るヒトをもう1人…梯スバルを見つけ出したために、予定より早くアリウスへもう一度訪れた。姿不可視に対話することへ対応しきれない程度に虚無へ身を置く者と推察し、直接の対面とした為である。

 

(もしやその男、以前聞こえてきた声の主だろうか…?いやしかし、あの音が4つになったら私達の前に現れると言っていたからな…)

 

当然その辺り認知せぬ錠前サオリは、疑念を持ち得るのは織り込み済み。またどこかで姿不可視に対話を予定している。

 

「挙句妙な歌まで歌っていました。ええ…それはもう。如何様な歌詞であったかを、どう説明したものか分からない歌です」

「そうか……」

 

 

 

「時にサオリ。『マダムを討つことがいつか叶う』という幻想を、もう一度抱きでもしていませんね?」

 

 

 

「…ない」

「はは、取り繕うのはお上手ですね相変わらず。まあともかくですね、私達はもう本来の自分に目覚める事は叶わないんですよ。無駄な事を考えるだけ、時間の…無駄ですから……」

「スバル…」

 

未だ歪んだ視座を持って揺蕩う故に、詐欺に加担していることに気付いていない。

現という虚無の演目を隷属の民として演じることを、梯スバルは嬉々として選んだわけではない。ただその自己を叩き折られて無理にもやりと選ばされただけだ。

それにもう一度気付くことが叶えば、物事をただ冷笑し否定するだけの詐欺の加担者から脱却できる。

少なくともきっかけを与えたことで、揺れ動く様子は見せているようだが。

 

「スバル先輩?」

「…ああ!マイア、どうしましたか?」

「不思議な、生物?を見つけたのですが…」

 

…『halycon』だ!

アリウスに現れる、いや発生してくれるとは!

halyconとは、邪悪な幻影への対抗と自己肯定の再促成を行うナノマシンとも良性細菌とも呼べるモノ。私は地の果てに『ZCON』の文脈(テクスト)だけを付与したために発生することはないはずなのだが、いずれにせよ良い方向へ向かう速度が上がったのは私が保証しよう。

両手に持っているhalyconを梯スバルの方へ差し向ける立木マイア。

 

「なん、なんです?これ…?」

 

初めて見る態様をおっかなびっくり観察しているようだ。

 

「とりあえず、私に危害を加えるような様子はありませんでしたよ」

「そっ、そうですか…」

 

****

 

「halyconじゃないか!もう一匹いたんだ!」

 

するとhalyconをぬいぐるみのように抱きかかえながら、燦然とした目を見せてやって来る白洲アズサ。というかこの子いつの間にhalycon見つけてるんですか?ていうかなんでそれがhalyconと分かった?

 

「こっちは黒基調なんだけど、そっちは白基調なんだな!」

「色の違う子もいるんですね?」

「え、な、なに?は、haly…con…ですか??」

「可愛いだろうスバル!マイア!」

「かわ……………はい?????」

「そうですねぇ…ふわふわ浮かんでいて楽しそうですねぇ…」

「えぇ…?」

 

微笑ましくhalyconの動向を観察する立木マイアと白洲アズサ。それに困惑の眼差しを向けるしかない梯スバル。

 

「おお、確かにこれは…」

「あ!サオリも分かってくれる!?」

「ああ。これがいわゆるカワイイモノという物なんだな」

「……はぁぁ〜…もう何が何だか分かりませんよ…」

 

そしてなんかその純粋さが逆に心配になる錠前サオリ。

兎にも角にも、これは光明だ。

望外からのhalyconの発生は、その他アリウスの少女達にも差異あれど良き方向への変化をもたらしている。

 

****

 

それは、少女達にデュンクの3つ目の音が鳴り始めたことからも分かる。

実に早い。

実に早期に決着が叶うやもしれない。

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