Asyu-on Archive 作:非キヴォトス人のアコード
すべてよし、それでよし。
すべてよし、これでよし。
オマエがそうあると宣言することが出来れば、完全なヒトとして生まれ不完全なヒトへ成長したオマエは再び完全なヒトへ戻ることが叶う。
しかし忘れるな、いつでも悪のメソッドはオマエをもう一度不完全なヒトにしようと嘯いてくる。
オマエの中にある神のメソッドは、いつでも天才であるのだから。
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教え込まれた諦観を自らも育て続けることを止められず苦悩する者。
アリウススクワッドが新たな嚮導者の下で覇を唱える様を偶然見てしまった梯スバルにとって、それは一種のカタストロフであった。
ステルス某含めた6人へアサルトライフルを構え追及する。
「はっきりと言いましょう、今のあなた達は私からすれば正気じゃない…何がどうなればマダム追放など再び掲げられるんですか、アリウススクワッド!!」
「…は?イカれてんのはアンタの方でしょ…いつまで囚われてるつもりなのさ!私達も、アンタだって!!」
「やめなさい」
戒野ミサキがロケットランチャーを構えたところへ静止をかける。この少女のカタルシスは極端に振り切れている…うまく制御しなければならない。
「なんで止めんのさ!?」
「オマエも彼女の側だったことを忘れるな」
「っ!………分かった…」
「よろしい」
武器を下ろす戒野ミサキ。ともかく煩わしいが、再び講釈垂れる時間を取るしかない。
とはいえ私は不親切なので、耳の痛い説法しか説くことはない。
「さて、あなたは何故それ程に詐欺に加担し続けることに固執するのでしょうか?」
「詐欺…?何の話です…」
「永遠の淑女と名乗りながら実のところはただの幼稚な大人が行う、低俗極まりない自己実現の為にアリウスの民を否定し続ける、精神・肉体双方にて繰り広げられる無差別虐殺行為のことです。あなたはそれを肯定して、加担し続けている」
「ハハ、何を言うかと思えば………アリウス内戦を止め、私達を導いてくれている方なんですよ…!それだけの事をしたなら…従う方がいいでしょう!?不条理だとか何だとか分かってますよ!!だから!!」
「やかましい」
「っ!?」
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平坦でありながら氷のように鋭い圧が5文字に詰まっていた。
思わず私も、スクワッドのみんなも背筋を張ってしまう。
「分かっているのならあとは、宇宙総動員によるオマエという記憶の喚起に灯る微かな光が、この世の明かりの源であると認めるだけだ」
「微かな光…?明かりの源…??」
「他人に言われたことの前に、自分の意思が第一であるべきってことだ!」
私もスバルにあるべき自分とは何かのヒントを伝える。
だけど私の言葉では凡庸なことしか言えない…それでも、アリウスの未来を良くしたいという思いを諦める理由にはならない。
「自分の意思とか言われても、分かりませんよアズサ…!」
「それもまたやむない。オマエは覚醒の途上の始まりに触れただけ」
「私達が本来の自分である為には、マダムに従うのはやはり違う…のかもしれん。私は…他の者に何と言われようとやるぞ」
「っ!?サオリ…やはりあなたもあの時から…」
スバルはまだ、取り戻す時ではないみたい。
私達が、みんなを先導しないといけないようだ。
「分かりました……だったらやれるものなら、やって見せてくださいよ!……私は忠告しましたからね…」
構えを解き、立ち去っていく。
振り向きざまの顔は、私達への憤りや羨望など余りある感情が混沌と混ざり込んでいた。
きっとスバルも、その日1日を諦めないヒトになれると思う。
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「さて、『保護者』は私の来訪にとうの前より気付いているはずです。今のうちにデュンク・アンを成立させましょう」
1、2、3、4と再び聴こえ始めるデュンクの旋律。
応答の旋律アンは3、1、4、2と奏でること。
性質の違う『透き通りし青い声』が5つ重なる。
「デュンク・アンが成立した…だが少女達よ、悪く思うな。私は1つ言っていなかったことがある」
「言っていなかったことですかぁ…?」
不安を顔に出す槌永ヒヨリ。
しかし安心せよ、何も問題はない。
「デュンク・アンは2つある。一方の旋律は安寧と創造の旋律だが、この旋律は怒りと破壊の旋律だ」
「何故、怒りと破壊を?」
当然疑問は出るだろう、秤アツコが尋ねてくる。
「勿論訳がある。オマエタチが長い間抑圧されてきた、真に向けるべき対象への怒りを思い出してもらうためだ。対象は先刻オマエタチに伝えた通りだが、かの善意の保護者を装う者こそオマエタチの思考と判断を狂わせるトリックであり元凶だ。私はかつて、今回に似た件のために多くの時間を費やしたことがある。その時も隙を突き、この旋律を奏でたことがある…今回はその応用だ。さあ抑圧された怒りを思い出し、今こそマダムとやらを焼き払ってしまおうじゃないか」
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そうしていれば、舞台装置は向こうから待ちかねてやって来る。
「漸く尻尾を見せてくれましたね、ヒラサワさん…」
『保護者』のお出ましだ。