世界めぐるNo. 1チーム   作:龍牙

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逸れもののウルフ

朝の日差しを浴びて目を覚ますと、俺は近くにあったカロリーメイトを手に取る。

 

「あー……アイツらはまだ寝てるだろうしな」

 

その点、学生じゃない連中が羨ましいと思う。朝飯くらい用意してやろうかとも思うが、それはそれ。自分で用意してもらおうかと思う。

アルバイト先兼住み込み先のテガソードの里から出ると本日も朝から憂鬱な気分を感じながら、彼「新庄 コウヤ」は学校への登校である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

「ダルイ……」

 

いっそ、高校を中退してこのまま、喫茶店テガソードの里の店員として働こうと思ったが、そこは父と……こちらはどうでもいいが戸籍上の母親に反対された為にバイトと言う形だ。

 

さて、コウヤは転生者でありガチャと言う形で様々な世界の人や物を呼び出す力と、金のテガソード(テガソードの意思がない変身アイテムとしての)とゴジュウウルフのリングだ。

 

高校進学を機に義理の母親とその連れ子の妹との関係の悪化を理由に父親に相談して、一人暮らしを始めた。

今は住み込みのアルバイトとして生活するテガソードの里がガチャで呼び出した者達の住む場所でもあり、コウヤの住み込みのアルバイト先でもある。

 

(……リリィに買い物を頼まれてるけど、学校帰りで良いのか? まあ、黙ってれば文句なしの美少女の看板娘コンビ目当ての客で割と何時も客入りは良いからな)

 

そんなことを考えながら、校門前を通り過ぎようとした時、

 

「あっ! 待って、コウ!」

 

誰かに話しかけられたが無視して先に進もうとすると、そう呼び止められる。

 

「話がしたいの! 私の気持ちと向き合ってほしい!」

 

(……なんで俺がお前の都合に付き合ってやらなきゃならないんだ?)

 

呼び止められたが故に足を止めて一瞥したが、相変わらずの相手に心の中でため息を吐く。視線は冷たさを帯びているのは間違いないだろうな、とも思う。

 

まあ、誰が、どれが、きっかけかなど今更ながら分からないが、結局のところ転生特典であるゴジュウウルフの力が入るまでの間、中学時代を喧嘩で明け暮れた挙句、「孤高の狼王」などと言う文字通りの厨二な渾名で不良界隈から呼ばれる事となった身の上としては、目の前の女はとうの昔にドブに捨てた関係の一つだ。

 

「……何だ、人間の言葉が理解できなかったのか? 二度と俺に関わるな、そう言っただろうが」

 

吐き捨てるようにそう言い放ってからその場を離れようとする。

態々、捨てた物が戻ってくるなど、怪談の中だけにして欲しい。

 

「えっとー、コウ君だっけ? 私、静っちの親友の黒澤桃って言うんだけどさ」

 

そこで今まで話に入ってこなかったもう1人が苛立った様に口を開く。

 

「って言うか、アンタさ! 何なのその態度! 静っちは真剣なんだけど!」

 

「私のこと以外にも色々あったのは知ってるけど、過去のことだし前を見よ? 今度私と一緒に映画観に行こうよ。きっと気分も晴れるよ」

 

(煩い……)

 

そう言えば静とか言ったか、この女は。

 

「友達思いなのは結構だが、俺にとってはもう捨てた関係なんだよ。捨てた物を拾ってこられても迷惑なのを理解しろよ」

 

……本当にこの女は大人しくて善良な風を装ってナチュラルに人を見下してくるやつだと思う。

そもそも、「友達になってあげる」とかどれほど自分が上という考えが頭にあるんだか。

 

「ホント、女だからって殴らないだけで調子乗るなよ」

 

冷たくそう切り捨てる。本当にこの女は何様のつもりだろうか。

過去の事? お前もその過去の一部だろうが。気も晴れる……反吐が出る程度には嫌ってる女と一緒に居る時点で気分がいいわけがないのも理解する頭ないのか、こいつは。

 

視界の隅では親友という女に抱きしめられていい子とか言われてる嫌な女を視界に収める。

 

本当に自然に他人を踏み台にして人に取り入るのが上手い女だな。

あれか、一度うまく利用出来たやつにまた会ったから良い子ちゃんアピールでもする気か。成功すればいい子ちゃん扱いされて、失敗しても俺を悪者にして人から同情を引ける。本当に善人の皮を被った計算高い碌でもない女だな。

 

そうだろう……だってコイツは。その中で一度も俺の疑惑を否定していない。少なくともこの女が関わってる話で、俺が無実だと知っているはずの人間が、だ。

 

「昔の事なんてどうでもいいじゃん!」

 

「その昔の事を今だに否定もしていない奴の何を信じれば良いのか、俺には分からねぇよ」

 

はっきりと、もう一度言ってやろう。

 

「あの日、お前を守った筈なのに冤罪をかけられてひどい言葉をぶつけられた人間の気持ちがお前に理解できるか? それを利用して益を得た人間が信じていた、笑えないジャークだな? 裏切り者のもう一度を信じるほど、俺は馬鹿じゃ無いんだよ」

 

自然と殺気が出てしまったのか、萎縮する2人の女。だけど構わない。せめて、千束やリリィ達の様に力尽くで叩きのめしてから、信用しろと言ってこい。

 

……あー、うん。お互いにゴジュウジャーの力を使えば分からないけど、普通に喧嘩が強いだけの高校生が、元エージェントや元スパイに勝てるわけがないからね。……いや、ホント、無理矢理叩きのめされて、信用させられたっていうかね。

 

本当に、朝から最悪の始まりだな。

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