東方奇跡録 作:夢原 つきよ
携帯圏外とか怖いよね。
そしていよいよ幻想郷へ!
「……だぁーーーーっ‼︎どこだよここ⁈」
ついに青峰君が叫び出した。
「うるさいのだよ青峰!全く……」
緑間君が諌めるものの、その口調は明らかに不機嫌なようだ。
無理もない。僕らは駅に向かって歩き続け、10分足らずで着くはずの駅にいまだたどり着けずにいた。
「そもそもお前たちがくっちゃべりながら歩くから道を間違えるのだよ!」
「いえ、緑間君。道はあってるはずですよ。」
なんせ、どうということはない一本道なのだ。迷子になれという方が難しい。
「あ〜もうお腹すいた〜……。」
「どのくらい歩いたッスかね?俺もう疲れたッス……」
紫原君は盛大に腹の虫を鳴かし、黄瀬君も歩くこと自体に音をあげていた。
「……ね、ねぇ、皆。なんかおかしいよ、コレ。」
桃井さんが歩みを止め、携帯の画面を凝視しながらつぶやいた。
「どうかしましたか、桃井さん?」
「だってほら!」
ぱっ、と画面を見せられた僕は、確かにそのおかしさに気づいた。時計は先ほど7人が集まった時と1分たりとも進んでおらず、圏外と表示されていた。
「え、時間進んでないじゃないスか‼︎」
「はぁー?んなもん、さつきの携帯が壊れただけだろ。」
黄瀬君と青峰君が桃井さんの携帯を覗き込んで言った。
「……いや、お前たちも確認してみろ。」
赤司君が皆に言う。
その手には桃井さんと同じく、止まった時計と圏外の携帯があった。
「……皆、ダメみたいですね。」
僕らは輪になって携帯は見つめていた。そのどれもに、圏外マークがついている。
「いよいよこれはヤバいっスよね……?」
「これでは道を調べることもできなさそうだな。ちなみにテツヤ、この辺りで電波が入りにくいエリアは?」
「人は多いですが、特に繋がりにくいところはなかったですよ。赤司君。」
僕の返事を聞き、ふむ、と思案顔になる赤司君。
僕もなんとか解決策を見いだしたいところだったが、そうするにはあまりにも情報が少なすぎる。なす術がなさそうだ。
「……てゆーかよ。周りに人、いなくね?」
「「……え?」」
ひゅう、と風が吹いた。
確かに青峰君の言う通り、人で溢れかえっている街並みは閑散とし、僕ら以外に人影はない。
と言うより、街は街でもそこは普段歩いて見ている僕でさえ初めて見る、未知の領域になっていた。
「あちゃー。これ完全に迷子じゃん。」
「な、バカな!ラッキーアイテムを持っているこの俺が迷子なんてありえないのだよ。」
「今日のアイテムってなんなんスか?」
「おもちゃのピストル2丁だ。」
「なんでそんなもん出してくるんスかおは朝……。」
ラッキーアイテムのおもちゃのピストルを手に持ちドヤ顔の緑間君を、呆れたように見る黄瀬君。この危機的状況にのんびりしすぎじゃないですか2人とも……。
「もう、2人とも!そんなこと言ってる場合じゃないでしょ?」
あ、桃井さんに怒られた。
「えーどうすんだよテツ、この辺りお前が一番詳しいだろ。なんとなく見覚えあるとかねぇの?」
「残念ながら全く。……おや?」
ふと、視線の先に。
その場にはあまりにも不釣り合いなうっそうとした茂みに、細い道が目についた。
……これは何だろう?
「何でしょう、これ……?」
僕の指指した方に、今度は全員の視線が注がれた。
「えーなんか、すごい周りとアンバランスじゃない?」と紫原君。
「ほんとだ。どこに繋がってるんだろ?」と桃井さん。
「もうこれ以上は迷いたくないのだよ。」と緑間君。
「うわ、ほっそ。これって人通れるんスかね?」と黄瀬君。
「人1人がギリギリといったところだろうな……。こんなところがあったのか。」と赤司君。
「もしかしたら駅に繋がってんじゃね?これ。」
そして青峰君が、嬉々とした表情で足早にそこへ近づいて足を踏み入れる。
その時だった。
「「ーーーーーつ⁈」」
突然その道から白い光が発せられ、僕らはまぶしくて目を瞑った。
その直前、微かに浮かび上がる人影のようなものが一瞬見えた気がしたが、白い光は勢いを増し、僕らを包み込むように広がっていった。
いやぁーさすが、アホ峰君。期待を裏切らない。
次回、あの2人が喧嘩しつつ登場です。