東方奇跡録 作:夢原 つきよ
連日投稿していましたが、今日書いたものを明日あげたら少し止まります。
ちまちま電車とかで執筆出来れば……。
お気に入り登録が一件になっていて飛び上るほどに喜びました。
ありがとうございます。
どうやら黒子君が目を覚ましたようです。
それではどうぞ!
「……うぅ……。」
ふわりと暖かな風が僕の頬を撫でた。
「…………。」
意識がまだはっきりしないまま、顔を上げてみる。
透き通るような蒼い空、白い雲、広々とした林の中。
辺りを見回しても、いるのは僕ーーーー黒子 テツヤ、ただ一人。
「ここ……どこだろう……?」
誰にともなくつぶやいた言葉は、風とともに明後日の方向へと消えていくようだった。
「とりあえず、誰か見つけないとですよね。」
それは、皆然り、他人然り。
自分の身に起こったことは置いておいて(お約束として自分の頬をつねってみたら痛かったので、夢でないことはわかった)、まずは『ここはどこであるのか』把握しなければならない。まぁ、どこから来たとか、どうやってここに来たとかは……適当にごまかそう。信じてもらえないだろうし。
「………というか、僕自身、あまり驚いてもないんですよね。」
性格と言ってしまえばそれまでだが……のどかな雰囲気を醸し出しているこの場所に、何故だか胸がざわつくのだ。
それはちょうど、試合前の緊張感に静かに胸が高鳴るように。
なんて思ったりしながら道を歩いていると、何やら建物らしきものが見えてきた。
「あれは……あ、神社みたいだ。」
鳥居をくぐり、賽銭箱の前に立つ。
「えーと、『博麗神社』か。境内も掃除されてるみたいだし、これは期待が」
「まぁりさァァァァァァァァッ!!!!!」
けたたましい怒鳴り声とともに、衝撃音を響かせて、突如周りには砂埃が巻き上がった。
「今日という今日は‼︎お賽銭よこしなさいよこのバカ魔法使い‼︎」
「お賽銭お賽銭うるさいんだよこのサボり巫女‼︎」
……え、と。状況を飲み込めない。一人ゲホゲホむせている僕に気づかず、空から降りて来た2人の少女は言い争いを始めた。
一人は紅い巫女服に、大きな紅いリボンで髪を結って、手にはたまぐしを握っている。
対してもう一人は白黒の魔女服でとんがり帽子からは若干ウェーブのかかる金髪をのぞかせ、浮遊する箒にまたがっている。
言っている言葉はわかるし、人ではあるはずだ。普通の人間ではなさそうだが……。
「こうなったら、弾幕勝負だ!いくぜ霊夢!」
「ちっ、しょうがないわね、あんたなんか一発でーーーー」
「あ、あの、すみません。」
失礼を承知で、僕は2人の少女に声をかけた。
「「え??」」
不意を突かれたような表情でくるりと振り返ると
「「うわぁぁぁぁぁぁぁっ⁈」」
と、先ほどまでのテンションそのままで驚かれた。
あぁ、やっぱり僕、ここでも影が薄いのか……少しばかり、肩を落とす。
「あ、あなた、いつからそこに?」
声を裏返し気味に、紅い巫女が聞いてきた。
「お2人が空から降りてくる少し前ぐらいです。」
「全然気づかなかったぜ……。」
今度は魔女服の少女が不思議そうにつぶやき、僕に近づいてきた。
「ふーん、外来人なんて久しぶりだな。名前はなんて言うんだ?」
「(外来人……?)黒子です。黒子 テツヤと言います。」
「そっか。私は霧雨 魔理沙。魔法使いだぜ!」
ビシっ!と親指を自分へ差し向けてポーズをとる魔理沙さん。
「で、こっちは博麗 霊夢。この神社のサボり巫女だぜ。」
「サボりは余計よっ、サボりは!」
霊夢さんは魔理沙さんにたてつき、ふんっと腕を組んで魔理沙さんから顔を背けた。拗ねてしまったようだ。
「で、テツヤ。お前、どうやって幻想郷に入ったの?」
「え?」
魔理沙さんからの問いに、僕は一瞬、言葉を返せなかった。……『幻想郷』とか聞こえたけど、それはここの土地の名前なのだろうか?
「結界を緩めてたりはしてないんだろ、霊夢?」
「ええ。となると、やっぱ紫あたりの仕業かしら。でもなんのために?」
「あの、ちょっといいですか?」
聞きなれないワードか飛び交い、堪らず僕はまたもや2人の会話を遮ることとなった。
「ここって一体、どんな場所なんですか?幻想郷ってどういう意味なんです?」
僕の質問に霊夢さんは「ああ。」と反応した後、
「まぁ、ここじゃなんだからとりあえず上がって。あ、是非是非お賽銭も入れていってね。魔理沙は帰れ。そしてお賽銭を持ってこい。」
「まぁまぁ、また今度持ってくるから。今はテツヤの話を聞くのが先だぜ。面白そうだし!」
こうして僕はお賽銭箱にそっとお金を入れて、博麗神社の中へと入っていった。
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「……で、つまり友達7人でこの幻想郷に入って、離れ離れになってしまった、てことよね。」
僕の話を霊夢さんは綺麗に要約し、納得してくれた。
幻想郷ーーーーーーそれは日本の山奥に存在するとされる、結界で隔離された土地のこと。霊夢さんがつくる博麗大結界で隔離された幻想郷の中には、外の世界では「空想の生き物」とされている妖怪・妖精・神霊やそこで混じりながら暮らす人間など「幻想の生き物」が棲んでいる。
「その不自然な道も気になるぜ。そこに足を踏み入れたのがきっかけで、テツヤ達はこっちにとばされてきたんだな?」
「はい。」
僕の返事を聞くや、霊夢さんは腕を組んで唸った。
「うーん……とりあえずその7人を早いとこ見つけた方がいいわ。普通の人間にとって、この幻想郷に居続けることは危険よ。」
「それは、さっきお2人が言っていた『弾幕勝負』と関係があるんですか?」
ずっと気になっていたことを口にすると、「御名答。」と霊夢さんが微笑む。魔理沙さんが続けた。
「ここは、だいたいの揉め事は弾幕勝負で解決する、実力が全ての世界なんだぜ。人食い妖怪なんかもいるし、力がない奴は生き残れない。」
魔理沙さんの言葉は、一つひとつ僕の心に染み込んでいく。
そして、あの林の中を歩いていて感じた胸の高鳴りを思い出した。
実力が全てのこの世界。
力のない者は生き残れない。
「……それなら、心配はいらないと思います。」
しばらく下を向いていた僕が顔を上げて言った。
魔理沙さんと霊夢さんは虚をつかれたようで「へ?」と声を溢す。そんな2人に僕は笑顔でこう言った。
「実力主義なのは、バスケの世界も同じですから。」と。
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「よーしっ、いい度胸だぜ、テツヤ!私は気に入った!じゃ早速行こうぜ!」
魔理沙さんがガバッと立ち上がり言った。
その勢いの良さに押されつつ、つられるように僕も腰をあげる。
「はぁ……なら、私は結界緩めないとね、メンドくさ……。」
やれやれと霊夢さんも立ち上がる。
「お手間をかけさせてすみません、霊夢さん。」
「ん、平気よテツヤ。そんなわけで私は一緒に行けないけれど。魔理沙もいるし大丈夫そうね。あとお賽銭ありがとう。」
お賽銭のお礼もまじえつつ霊夢さんは言う。腕を組んで難しい表情を浮かべていた顔は、今は晴れやかに見える。……お賽銭効果かな?
「ということで魔理沙。お賽銭は今度でいいから、テツヤの友達探しを手伝ってきなさい。」
「言われなくてもそのつもりだぜ。最近は異変もなかったし、久々にワクワクしてるんだぜ!」
元気よく外へと飛び出す魔理沙さんに続いて僕も靴を履いて外に出る。
「じゃあ、行ってらっしゃい。気をつけて。」
「いろいろありがとうございました、霊夢さん。」
お互いに別れの挨拶を交わし、僕と魔理沙さんは博麗神社を後にした。
次回、時を(止めて)かける少女と、厨二病。
戦います。
戦えます。
きっと厨二病は幻想郷最強になれると思います。