東方奇跡録 作:夢原 つきよ
「あかいやかたとエンペラー」とお読みください。
正直、この小説は赤司様とレミリアのやりとりが書きたくて書き始めたので、作者のテンションが若干暴走気味の話となっています。ゆえに、細かいところが曖昧かもしれない。お許しを。
赤司様の言うことはー?(ぜったーい!)
僕はどうやら、とんでもない所へ来てしまったようだ。
赤司 征十郎はそう思った。
彼は現在、とある建物の中にいる。
謎の白い光に包まれた後、目を開けた時には仲間たちの姿はなく、1人大きな道に立っていた彼がその道を歩き続けて辿り着いたのがこの場所であった。
紅く染まった、豪邸のような出で立ちに立派な門が備え付けられているその建物の前に、門番らしきチャイナ服の女性が立っていたのだが……
「ぐぅ……ムニャ……」
仁王立ちで爆睡状態だった。
一応、起こす事を試みようと声をかけると
「もぅ食べられない……」
と、どこぞの小学生かというような寝言が帰ってきたので、自分で門を開き、中に入った次第である。
館内は静けさで満たされていた。
灯りはなく、大広間と上へ続く階段、豪華なシャンデリアもその沈黙を守り続けている。その様子に、彼は何か不穏なものを感じた。
意を決して1歩、足を踏み入れる。
ーーーーーーーカツンッ!
その足元に、突如鋭利なナイフが突き刺さった。
「‼」
彼は驚き、それでも冷静を保った瞳で階段の方へ目を向け呼びかける。
「誰かいるのか?」
すると、階段の手すりに、ナイフをかまえて金の懐中時計を持つ、メイド姿の女性が顕現した。
その険しい表情からして、歓迎されていないことは確かなようだ。
「来客にナイフを投げつけるのが、ここの礼儀なのかい?」
「黙りなさい。」
女性は冷たく言い放った。
「あなたが誰であろうと、紅魔館とお嬢様を守るのが私の役目。おとなしくーーーーー死になさい‼︎」
女性がそう言った刹那、彼には何百ものナイフが向かってきていた。
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私ーーーーー十六夜 咲夜は、唖然とした。
確かに私は自分の能力『時間を操る程度の能力』で時を止め、侵入者を確実に仕留められるほどのナイフを投げつけたはずだった。
なのに、能力を解除した瞬間、そのナイフはすべて…………彼を外し、床に刺さっていた。
「なっ…………⁈」
そして、先ほどいた場所から階段のすぐ下に移動している彼を見て、目を疑った。
「いつ移動したというの……⁈」
「あなたがナイフを投げる前……と言えばいいかな?」
余裕の笑みを浮かべ答える侵入者。
その様子に私は思った。
この者は只者ではないと。
「僕の『天帝の眼』があれば、この空間全体を予知し、相手の動きを予想して動くことも可能だ。そして……」
いつの間に取ったのか、私のナイフ一本を手に持ち、彼は言った。
「……相手に攻撃することもね。」
突然飛んできたナイフに私は慌て、咄嗟に時間を止めた。
「くっ……!」
敵に反撃の隙を見せてしまうとは、なんたる不覚。
私はぎりっ、と歯ぎしりした。
(……大丈夫。彼が投げたのはたったの1本。こっちにいってしまえば!)
たんっと地面を蹴って、左の方へ駆け出す。
再び能力を解除し、不意打ちをかけるのだ!
後ろで彼の投げたナイフが階段の手すりに当たる音が響く。
走っていた体を止め、ナイフを構えようとした時。
ガツッ!
……心臓が止まるかと思った。
私は手に持っていたナイフを落とす。カラン、と乾いた音がした。
恐る恐る視線を横に移すと、壁に煙を立てて突き刺さったナイフが見えた。
あと少し私が左にずれていたら、確実にそれは私に命中していたことだろう。
「も……持っていたのは1本のはずじゃ……」
仮に2本だったとしても、私がどの方向に逃げるかなんて、時を止めた後の私の動きを計算したとしても、当たる確率はかなり低いはずだ。
「ナイフを1本隠し持つこと自体は難しくない。けれど確かに、瞬間移動ができるあなたの動きを読むのは簡単ではなかったよ。」
彼は私に近づいてきて言った。私はまだ動けずにいた。
「じゃあ、なんで……」
「まぁ、たいしたことは何も。両手でナイフを投げてはいたけど投げ方からしてあなたは右利き。右利きの人は左右のどちらかに逃げようとする際、左を選ぶ確率が高いと言われている。それが咄嗟の判断であるならなおのこと。それに賭けただけの話だ。」
……完璧だ。
無意識の領域まで読まれていては、もうなす術がない。
勝敗はすでに明らかなものとなっていた。
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「両者とも、そこまでよ。」
鋭く声が響き渡ると、それまで暗かった大広間に灯りがともった。
赤司と咲夜は声のする階段に目を向ける。
そこには紫色の髪に帽子をかぶり、背中にはコウモリのような羽を生やした少女が立っていた。
「お、お譲様……!」
咲夜は自分の主の登場に動揺を隠せないでいる。
「物音がすると思って来てみたら、これはどういうことかしら。」
少女は上からゆっくりと周りを見回し、そして赤司と目が合う。
「……あら?」
「……おや。」
2人はそう声を溢すと、お互いを見つめあった。
咲夜はどぎまぎしながら、何が起こるのかその状況をただ見ることしかできない。
(ふむ……この幼さにしてこのオーラ、もの言い、たたずまい……ここの長と見て間違いなさそうだ。完璧な容姿にその瞳、僕には劣るにしろ、かなりのカリスマ性を感じる。)
(咲夜と戦えるほどの力、切れる頭脳、なかなかのルックス……そしてすべての者を黙らせられそうなこの尋常じゃない威圧感。相当のカリスマ性を持っているわね……私には及ばないけれど。)
2人がお互いをこのように思案し合っていることなど知る由もない。
しばらく沈黙は続き、やがて2人は知的な笑みを浮かべ口を開いた。
「僕は、赤司 征十郎。」
「レミリア・スカーレットよ。」
突然醸し出される2人だけの世界に、ようやく動けるようになったメイドは
「……??」
困惑気味にその様子を見守っていた。
昨日も書きましたが、少し投稿はストップします。
でも頑張って執筆します。
よろしければ感想など書いてもらえると執筆速度が上がる……かもしれない。多分。
今回は緊迫な雰囲気だったので、次回はうさぎ達が癒します。