東方奇跡録   作:夢原 つきよ

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黒子「更新が遅れた理由を一言でどうぞ。」

忙しかった。あと弾幕勝負書けない。

紫原「捻り潰すよ?」


それではどうぞ!


5:桜舞うこの場所で 後編

 

 

 

 

 

 

 

私ーーーー魂魄 妖夢は、その時もいつもと変わらなく過ごしていた。

ここの掃除が終われば、幽々子様のご飯の支度、その後は剣の稽古。

掃き集めたゴミをまとめ、台所へ向かおうとしたその時だった。

 

 

 

 

ざり。

 

 

 

あの長い長い階段の方から、足音が聞こえた。

反射的に私は腰の剣に手をかけて身構える。

 

 

 

「ーーーー何者だ!」

 

直感的に、幻想郷の者ではないことを私は感じていた。もっと異質な……強者の『気』を、感じたのだ。

 

そして現れたのは。

 

 

「………………。」

 

声を発しない、紫色の髪で表情を隠した、巨体の男だった。

 

 

 

 

つかの間、私と男は動かず対峙していた。

男は動く気配を見せなかった。髪で隠れたその顔を、距離と高さからして私が見ることは難しい。

「……ならば此方からいくまでだ!」

刀を振り下ろし、弾幕をけしかける。

すると男は少し顔を上げたかと思うとーーーー

 

 

 

 

 

瞬間的な速さで弾幕を全て避けた。

「な…………⁈」

私は一瞬、その超人的な動きに怯んだが、すぐさま次の攻撃へ移る。

しかしそれが男に当たることはない。

それどころか、どんどんと間合いを詰めて来ている。

そうこうしているうちに、男が私のふところまで距離を詰めてきた。

 

 

 

「……フン、甘いな。近距離なら私が有利だッ!」

私は男の肩を斬りつけた。

 

 

 

斬りつけた、筈だった。

 

 

 

 

全てがスローモーションに見えた。

 

男の姿はない。血の代わりに、ビニールの破片のようなものが空中に舞っている。

そして刀に残る、何かさっくりとした物を斬った感触。

「こ……これは……」

 

 

 

いつか幽々子様が人間界から土産として持って帰ってきたスナック菓子『まいう棒』であった。

 

 

 

(くっ……じ、じゃあ何処に……‼︎)

逃げたというのか。

私は体勢を立て直しつつ、男を探す。

上へ跳んだか、それとも……

 

 

 

 

 

 

 

 

がしぃっ!!

 

 

 

 

 

 

「にぎゃああああああああっ?⁈」

 

 

 

思わず叫んで、そのまま前へ倒れる。

いやいきなり後ろから足首掴まれたら、誰だってびっくりするだろう。

振り返ると、突っ伏した状態で角張った大きな手で私の足首を捕らえている男が、髪の分け目から目を出し、じいっ……と此方を睨んでいた。

倒れた拍子に刀を手放してしまった私に、それに抵抗する術はない。

「ひいぃぃぃああ悪霊退散っ、悪霊退散んんん‼︎」

色々と手をバタつかせ、なんとか退治を試みる。

 

 

 

と、不意に足が解放された。

 

 

「………」

 

 

もはや放心状態だった私は呆気にとられ、男に目を向ける。男は顔を伏せていた。力尽きたのか……?

「あ、あの………」

 

 

「…な………た……」

 

「………え?」

男が声を発した。ボソボソと低い声。

あまりそういう声を聞き慣れない私は聞き返してしまった。

 

 

 

 

「…なか………た……」

「……ええと、もう少し大きく言って下さ」

 

 

 

 

 

「お腹すいたぁーーーーーっっ!!!」

 

 

 

 

 

 

「……ええええええ⁈」

 

 

 

 

耳を疑った。

え、お腹すいたって言ったこの人?

そんな言葉、幽々子様からぐらいしか聞いたことがない。

男は尚も続ける。駄々っ子のように。

 

 

 

「もー起きたら知らない場所になってるし、階段めっちゃ長いし、なんかいきなり攻撃されるし、まいう棒斬られちゃうし。マジお腹すいた〜、なんでもいいから食べさせてよー。」

「え?え?いや、その……」

「ようむ〜?こんな所にいたの〜。」

 

 

 

私がしどろもどろ言っていると、家の外廊下から声がした。

 

 

 

「ご飯を作り始める時間から3分経っても台所から音がしないから探しちゃったわ。ねぇ、ご飯まだ〜?」

「ゆ、幽々子様、えーっと」

 

 

「ねぇー。」

「ようむー。」

 

 

「「お腹すいたぁ〜〜〜〜!!!」」

 

 

……双方から挟まれ、私は完全に逃げ場を失ったのだった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「……というわけなんです。」

 

妖夢さんが話し終わったと同士に、魔理沙さんがツッコミを入れた。

「いやお前が悪霊退散言っちゃダメだろ!」

「つっこむところそこですか⁈」

僕も正直少し思ったところだった。

妖夢さん、幽霊とか苦手なんだ……半分霊なのに。

 

 

 

「紫原さん……赤司様程ではないにしろ、彼もかなりの実力を持っているのね。」

「特に空腹時の敦は、食べる為ならとてつもない力を発揮するんだよ、咲夜さん。」

赤司君と咲夜さんは紫原君について色々と話している。

 

 

恐るべし、紫原君の食い意地。

 

 

 

「妖夢ちん?」

 

「はひぃっ⁈」

 

 

 

気づけば2人は食事を終えていた。幽々子さんは満足そうにお腹をさすり、お茶を飲んでいる。

紫原君は床に座っている妖夢さんの顔を覗き込むようにして立っていた。

妖夢さんはびくりと体を震わせそれに応じる。

 

 

「どうしました、紫原君?」

「うん、お礼にと思って……ハイこれ。」

 

 

そう言って紫原君が妖夢さんに差し出したのはーーーー

 

 

 

 

 

「……まいう棒?」

 

細長い袋には『めんたいこ味』と書かれている。

僕は赤司君と顔を合わせ、紫原君を見た。

彼が人にお菓子を与えることは、これ以上ない感謝、及び敬意ーーーーとにかく、親しみを込めた表現だ。

 

 

 

 

「ご馳走でした。」

紫原君は微笑んでそう言った。柔らかい表情だった。

「……いえ、こちらこそお粗末様でした!」

すくっと立ち上がり、背筋を伸ばして妖夢さんが答える。

彼女もまた、顔をほころばしていた。

 

 

 

 

 

 

「あら敦、私にもまいう棒くれない?」

「お前まだ食うのかよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな和やかな雰囲気が流れていたとき。

 

思わぬ事態が起こる。

 

「魔理沙ぁぁぁぁ!テツヤぁぁぁぁーっ!」

空からの声に、一同は一斉に振り返る。

 

 

 

ズサぁーーーーーっと砂埃を巻き上げ、紅リボンを揺らし霊夢さんがダイナミックに着地する。

 

 

 

「霊夢じゃない。どうかしたの?」

「ゼェ……ゼェ……咲夜もいたのね……友達集めは……まだ終わってないのね……?」

「ずいぶんと息が切れてるのぜ、霊夢?結界は緩まったのか?」

魔理沙が問う。

 

 

 

 

「結界が……結界が緩められないのよーーーーーーーっ!!!」

 

 

 

 

 

霊夢さんの叫び声は白玉楼に広く響き渡っていた。






次回、カエルとかカエル色とか。

なるべく……なるべく早く書きます。
誤字脱字、感想お待ちしてます!
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