夜の王達がゼンゼロの世界に行って雨を降らせるみたいです   作:ワニさん

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出来ました!


名なき夜と雨

ナメレス「……」

(そうか……我は、負けたのか)

 

夜渡り。

幾度も刃を交え、なお進み続けた者たち。

彼らの意志と剣によって、王は討たれた。

 

ナメレス(国を守れず……何一つ、掴めず……世界を呪った我には、妥当な末路か)

身体が淡く白く光り始める。

鎧は崩れ、剣は輪郭を失い、

存在そのものが粒子へとほどけていく。

 

ナメレス(すまない……皆……)

 

腐食の海を従えたマリス。

雷鳴を纏うフルゴール。

影に溶けるカリゴと

秤を掲げるリブラ。

理解を拒むグノスター。

飢餓に苦しみ続けたエデレ。

剣を振るい続けたグラディウス。

 

ナメレス(また、共に在りたかったものだが……来世に期待するとしよう。……我に、来世があるかは知らぬが)

 

光は散り、

夜の王ナメレスは――完全に消えた。

――――――――――――――――――

ナメレス「……ん?」

 

感覚が、ある。

重さ。

呼吸。

視界。

 

ナメレス「……ここは……?」

 

声が出る。

喉が動き、言葉が形を持つ。

 

ナメレス「……なぜ、我は喋れる……封印のボロ布も無い……剣も、鎧も……全て、ある……?」

 

周囲は、黒い球体に覆われた空間。

壁でも天井でもない。

世界そのものが、丸められているかのようだった。

一歩踏み出す。

景色が、歪む。

同じ方向へ進んでいるはずなのに、

視界は唐突に書き換えられる。

 

ナメレス「……閉じた迷宮か……否……空間そのものが、再構成されている……?」

 

ズルズル、と音を立て、

大剣を引きずりながら進む。

その時。

 

エーテリアス「@ga@wdawpm!」

 

人型の化け物。

だが、かつて知るどの魔物とも異なる。

身体の内側から、紫黒の光が漏れている。

 

ナメレス「……ほう。この我に向かってくるとは……愚かな」

 

一突き。

刃は正確に、

球体状の核を貫いた。

エーテリアスは声もなく崩れ、

霧のように消え去る。

 

ナメレス「口ほどにもない……だが……」

 

周囲を見回す。

 

ナメレス「……妙だな。歩いても歩いても、同じ場所に留まらぬ……ここは……“世界の内側”に近い……」

 

空を仰ぐ。

夜ではない。

だが、昼でもない。

 

ナメレス「……仕方あるまい。一度、試してみるとしよう」

 

右手の特大剣に、淡い光を纏わせる。

――振るう。

世界が、裂けた。

裂け目の向こうから、

冷たい風が吹き込む。

湿り気を帯びた、

金属と焦げの匂いが混じる空気。

 

ナメレス「……雨、か」

 

黒い雨が降り注ぐ。

ナメレスは驚かない。

それが夜の雨であることを、知っているからだ。

 

ナメレス「……ああ。夜が、また来たる…我が呼び寄せたのかも知れぬが…」

 

雨粒が地に触れ、

青白い焔のような揺らめきが立ち上る。

それは炎ではない。

夜が世界に触れた際に生じる、当然の反応。

 

ナメレス「焼かぬ焔。壊さぬ炎。生きるものだけを、摩耗させる……」

 

建物が濡れる。

壊れず、崩れず、

ただ夜を受け入れる器として沈黙する。

 

ナメレス「……この世界は、まだ浅いな。夜を受け止めるには、形が定まっていない」

 

ナメレス「この世界……どうやら、我は――“夜の王”としてではなく、異物として目覚めたらしい」

 

遠く、空間の奥で。

何かが、微かに応えた。

雷の気配。

腐食する海の残滓。

霞と秤が、揺れる感覚。

理解を拒む知性のざわめき。

終わりのない飢餓の感情。

ナメレスは、悟る。

 

ナメレス「……来ているな……グラディウス……マリス……エデレ……カリゴ……リブラ……フルゴール……グノスター……」

 

それは呼びかけではない。

確認だ。

夜の王は、夜に存在するものを知っている。

その位置も、状態も、

完全ではなくとも――感覚として把握している。

名が、世界に引っかかる。

ナメレス

「……ふむ。この世界は、名を記録しようとするか だが、まだ夜を理解するには、もう少し……沈む必要がある」

 

そして少し感傷に浸りながら考え

 

ナメレス「ならば、見届けよう この世界が――夜を拒むか。受け入れるか あるいは……"常夜"や"深き夜"へ至るか」

 

夜の雨は降り続く。

それは終わりではない。

始まりを知る者にとって、

 これはただの通過点に過ぎない。

――――――――――――――――――

――エリー都・外縁観測区画

警告音が鳴り響く。

 

「エーテリアス損耗ログ、更新!」

「攻撃痕なし……いえ、持続的ダメージを受けています!」

 

モニターには、

黒い雨と青白い焔に包まれた建造物。

 

「炎……?温度変化、ほぼゼロ……」

「なのに、生命反応だけが削られていく……!」

 

解析官が低く告げる。

 

「……環境そのものが、攻撃判定を持っています」

「降雨型の、領域異常……?」

 

座標が表示される。

誰も、名前を口にしない。

だが全員が理解していた。

触れてはいけない場所で、

触れてはいけない夜が、降っている。

 

「……六課に、即時共有を」

「分類は?」

「――未確認災害級」

 

モニターの向こう。

名も知られぬ夜が、

静かに、世界へ染み込んでいた




いやー ナイトレインはやはり世界観好きすぎる…
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