夜の王達がゼンゼロの世界に行って雨を降らせるみたいです   作:ワニさん

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外界に降りしきる夜の雨

闇が凝固したような空間に、夜の王たちが集う。

零号ホロウ、六大ホロウ、各地の深淵より、彼らは等しく“夜”として存在していた。

 

ナメレス「皆の者 来たな…」

 

ナメレスは静かに告げる。

 

ナメレス「夜を外に出してみよう」

 

マリスが低く応じる。

 

マリス「……ホロウの外を対象にするのですか」

 

ナメレス「そうだ」

 

エデレが周囲を見回す。

 

エデレ「影響は拡張される。世界が耐えられるかは未知数でございます」

 

ナメレスは肩をすくめるように言った。

 

ナメレス「夜は我らにとって息を吸うことと同じだ。耐えるかどうかなど、我らの知るところではない」

 

グラディウスが一歩前に出る。

三つ首、三つ尻尾。赤い毛並みの巨狼は、鎖に繋がれた大剣を口で咥えている。

 

グラディウス「ナメレス様 我も共に同行してもよろしいでしょうか」

 

ナメレス「任せる」

 

ナメレスはそれだけ言い、他の夜の王たちを残して外界へ向かった。

 

 

街の日常

 

昼下がりの街は、いつも通りだった。

 

「今日の配達、遅いな」

「まあいいさ、天気もいいし」

 

子供たちが走り、商人が笑い、人々は“何も疑わない”。

 

――その空が、落ちた。

 

「……え?」

 

誰かがそう呟いた瞬間、昼は消えた。

光は奪われ、青い焔を纏った雨が降り始める。

 

「な、なんだこれ!?」

「夜……? いや、まだ昼だろ!?」

 

青い雨に触れた皮膚が灼け、悲鳴が街を満たす。

 

――少し前:6課 会議室

 

柳が端末を操作しながら言う。

 

柳「現時点で確認されている異常は、すべてホロウ内部です」

 

雅は頷く。

 

雅「今回も、ホロウ災害の変異と考えるのが妥当と考える」

 

悠真が腕を組む。

 

悠真「……ホロウ外まで影響するなら、とっくに警報が鳴ってるはずだ」

 

蒼角が首を傾げる。

 

蒼角「じゃあ外は大丈夫ってこと?」

 

雅「そのはずだ」

 

――その直後、警報が鳴った。

 

《速報:市街地にて未確認現象発生》

 

画面には、暗闇と青い雨。

 

柳の表情が凍る。

 

柳「え?…なぜ…外に夜が…想定が、外れた?…」

 

雅が即座に立ち上がる。

 

雅「全員、出撃だ。今すぐ!」

 

 

到着した時、街はすでに“終わっていた”。

 

瓦礫。

串刺しの遺体。

青く濡れた路面。

 

蒼角が声を失う。

 

蒼角「……ひどい、あんまりだよ…蒼角……こんなの……」

 

悠真が歯を食いしばる。

 

悠真「……遅かった」

 

ナメレスは、まだ生きていた市民を短剣で貫き、無造作に投げ捨てた。

 

雅「……やめろ!」

 

その前に、赤い影が動く。

 

三つ首の狼――グラディウス。

口に咥えた大剣が閃き、雅の斬撃を弾き返す。

 

蒼角「な、なにあれ!? 三つ首!? 剣くわえてる!?」

 

柳「……ナメレスを守っている……?」

 

グラディウス『貴様ら如きにナメレス様へ攻撃が届くと思ったら大間違いだ 我が指1本触れさせやせぬ…』

 

頭の内側に、声が響く。

 

グラディウス『我はナメレス様の忠狼……あの時より、主を護る存在』

 

悠真「……今、頭に直接……?」

 

蒼角「しゃべった!? オオカミが!?」

 

「ナメレス……なぜホロウの外に出られるのですか」

 

「貴様は零号ホロウに存在していたはずだ!」

 

ナメレスは淡々と答える。

 

ナメレス「出られぬ理由があるか?」

 

悠真「……制約とか、封印とか…それこそなぜあの零号ホロウを抜けれた……」

 

ナメレス「そんなものが、我に意味を持つと思うか?」

 

ナメレスは短剣を回しながら続ける。

 

ナメレス「ただやりたくなったから外出しただけだ。貴様らは暇だから外出をする時止める者はいるか?」

 

夜が終わる

 

青い雨が止み、焔が消える。

昼が、何事もなかったかのように戻る。

 

柳「……なぜ、こんなことを」

 

雅「何のために、ここまで……」

 

ナメレスは静かに言った。

 

ナメレス「貴様らは息をする時に、“息をなぜするかの理由”を考えながら息をするか?考えないであろう 我にとって夜を起こすのは息をするほど当たり前の事だ」

 

その問いだけを残し、

ナメレスとグラディウスは夜と共に消えた。

 

 

取り残された6課

 

蒼角が震える声で言う。

 

蒼角「……ボス……」

 

柳は目を伏せる。

 

柳「……私たちの予測ミスです」

 

雅は拳を握りしめる。

 

雅「……ホロウ内だけだと、決めつけた」

 

悠真「……その判断で、守れなかった」

 

街に残るのは、静寂と死。

そして、名も知らぬ“夜”という災厄の痕跡だけだった。




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