夜の王達がゼンゼロの世界に行って雨を降らせるみたいです 作:ワニさん
街から、夜の力が消え去った。
昼の光が血濡れた人間をかすかに照らす。
街並みは夜の跡点々と残した。
人々は怯えながらも立ち上がり、互いに声を掛け合い、身を隠す。
六課の隊列が、瓦礫の間で街の惨状を見渡す。
柳は隊員の動きを補正し、悠真は路地を警戒、蒼角は指示に従い位置を維持する。
戦闘は終わり、ナメレスとグラディウスは去った。
六課は、街の惨状と人々の動きを観察するしかない。
柳「……夜の王たち、やりたい放題でした……」
悠真「僕たちじゃ到底止められなかった……」
蒼角「……次に備えるためにも…次はあいつを倒せるくらい強くならなくちゃ…」
雅「1度ならず2度敗れる…星見家は…3度同じ過ちなぞしない…」
人々の恐怖と必死の抵抗の跡が映る。
六課は沈黙のまま、その光景を見つめていた。
夜の王会議
空間の奥に雷の気配、腐食する海の残滓、揺れる影と秤。
夜の王たちが集結した。
ナメレス「全員揃ったか。各自、夜を意図的に引き起こした結果を報告せよ」
カリゴ「我はバレエツインズ と呼ばれる場所で夜を引き起こした…9人々は逃げ惑い、街は青い炎に覆われ、抵抗は僅かであった」
エデレ「郊外と呼ばれるところで夜を引き起こし、影が人々を覆い、家屋や防衛施設に混乱が生じた」
フルゴール「衛非地区と呼ばれる場で引き起こし…戦闘力を持つ者の行動は鈍り、人々は混乱し適応が遅れた」
グノスター「スコット前哨基地と呼ばれる場所で引き起こした防衛の硬い拠点だが、夜の影響により兵員の統制が乱れつつある」
リブラ「H.A.N.Dと呼ばれる場所で引き起こした監視網が夜により撹乱され、情報伝達が途絶した局所もある」
マリス「ポートエルピスと呼ばれる港湾区域に夜を展開した。船舶の動きは止まり、港町は恐怖に沈んだ」
ナメレス「我とグラディウスはルミナスクエアと呼ばれる街に夜を引き起こした。人々は青い炎の影に逃げ惑い、街は混乱の極みに達した」
(グラディウスは静かに頷き、報告を任せる)
ナメレス
「そして 人々の反応を観測する限り、都市の構造、心理まで理解できた 次は、人間としてこの世界に降り、渡りながら直接感じることでより精緻な観測を行う」
瞬間、会議場に緊張が走る。
全員が一斉に反応した。
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グラディウスが険しい顔で体を引き締める
グラディウス「いくら主人であろうとも……それは感化できませぬ!
我は忠狼、主人を守る存在である。たとえ観測のためだとしても、死に直結する行為を容認することなど……断じてありえません!」
マリス「理解できぬ。我々は夜の王として選ばれた! それを放棄するとは、王の品位を踏みにじる行為だ!」
カリゴ「人間化すれば、夜を受けた瞬間に死ぬ可能性がある 人の身でも夜の器として認められれば何の影響もン愛かもしれないがそれはごく稀だ。なぜ無謀なことをする!」
リブラ「王としての器を汚すぞ! その覚悟がお前の品位を落とす!」
フルゴール「聞けぬ、聞けぬぞ! 観測を理由に自ら危険に身を投じるなど、王として軽率極まりない!」
グノスター「我らの存在意義を忘れたか? 王としての責務を放棄するなど、到底容認できぬ!」
ナメレスは落ち着いて語る
ナメレス「我は夜の王としての器に相応しい。だが、人間として夜を受ければ死ぬかもしれぬ。それも夜の定めである 我は夜の王にふさわしくなかったという運命…死ぬなら、それも夜の裁き。我は、自ら観測する道を選ぶ」
会議場に重い沈黙が落ちる。
全員が真っ向から否定したはずの王たちは、ナメレスの覚悟を前に、強制はできないことを悟る。
グラディウスは膝を折り、リブラは短く頷き、フルゴールは険しい表情のまま黙した。
ナメレスはリブラに頼み、身体を人間として再構成してもらう。
夜の力は大半失われるが、戦闘力は依然として健在 そしてナメレスとしての夜の力はナメレスの背負っている特大剣に宿すこととなった。
リブラ「可能だ。ただし王としての力は大半封印される そこで その対策として貴様のその夜の光を宿すことのできるその大剣 それに貴様の夜の力を埋め込むことにした…目立たぬよういざというときに背中からいつものように抜けば顕現するようにしておいた…だがそれは人の身 人間の身には大きな代償が伴うかもしれぬぞ…そして…余計なものを入れたが…気休めだが貴様が持っている夜の王の大ルーンを埋め込んでおいた、多少の緩和になるといいが…夜の雨に打たれても無事かどうかは我でもわからぬ…こちら側では人の身でも王たる素質の器の持ち主であることを祈るだけだ…」
ナメレス「フッ…いらぬ心配だな…構わぬ。さぁ…やってもらおう…」
光が身体を包み、呼吸は浅く、体温は重くのしかかる。
五感は敏感に反応し、腕は二本 鞘に納められた短剣と大剣 そして自身のナメレスとしての夜の力が宿った今は不可視の特大剣が背中に背負われる そして自身の夜の王の力が身体からは消え去った
ナメレス「ほう…」(これが、人の感覚……)(これで街の反応を直接観測できる……)
新しい名前を口にする。
ナメレス「さて、行くとしよう 貴様ら 我がおらぬ間でも夜を頼むぞ……名は、ナムとする では 出るぞ しばしの別れだ」
慣れない身体で街の路地を歩いていたナムは、うまいこと身体を動かせず力尽きて倒れる。
青い炎の残滓が街を照らし、路地には静かなざわめきが残る。
兄妹の声が近づく。
アキラ「何だ……倒れてる?」
リン「このままじゃ危ない! 運ぼう」
ナムは意識朦朧としながらも、静かに目を開ける。
ナム「……ここは……」
リン「大丈夫? 起きられる?」
アキラ「しっかりして、ここで休んでくれ…」
ナム「……ありがたい……」
リン「名前言える?」
ナム「ナムだ…」
アキラ「大剣と短剣などを持ってるから調査員かい?」
ナム「いや…違うな」
リン「家は?住んでる場所はどこ?」
ナム「無い…」
アキラ「無い?」
ナム「こちらに来たばかりでな…生活場と職を探している間に力尽きた…」
リン「なるほどねぇ…その風貌なのに…珍しいなぁ…ちょっと待っててね お兄ちゃんちょっと来て」
そして二人は後ろを向いて小声で話し始める
リン「お兄ちゃん ちょうど最近ボンプにはできないことしようとしてたよね?」
アキラ「ちょ、リン……」
リン「ちょうど空き部屋一個あるしそこで住まわせれば何とかなるでしょ?生活場と職場ちょうど探ってるしこっちも今人手も欲しかったしWinWinだよ?それにこのままだとまたあの真っ暗なやつ来るかもだし?」
アキラ「確かにそうだけど…」
リン「それにあたしたちがあっち行ってる時も人がいれば一応毎日ここも回せるよ?しかも大剣と短剣も持ってるってことは戦闘もできるって感じかもじゃない?それならあたし達がホロウ行く時にも護衛みたいな感じにもできるよ?」
アキラ「確かに…それならお客さんがいつ来ても大丈夫には…こっちもホロウの出入りはしやすくもなる…よし分かった…こっちで雇おう…」
リン「やったぁ」
話が終わったようでナムに向き直る
リン「よし 生活場と職場を与えましょう~!」
ナム「助かる…この恩は返す……」
アキラ「感謝は仕事で返してもらうよ?」
ナム「了承した。」
リン「よし!じゃあその格好だとちょっと浮いちゃうから お兄ちゃん!着替え貸してあげて!」
アキラ「はいよ」
深夜 屋上から街を見下ろす。
灯り、微かな人の声、揺れる影。
ナム「(夜は止めぬ。自力では起こせぬが、観測は続ける)(人が選ぶ余地を残してこそ、意思は浮かぶ)」
背中に宿した夜が特大剣が微かに応え、街は静かだが揺れる。
ナム――夜の王であり、今は人――
街に溶け込み、観測を続ける。
はい 今回人になる話でした 違和感すごいかもですけど目を瞑ってください