夜の王達がゼンゼロの世界に行って雨を降らせるみたいです   作:ワニさん

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お待たせしましたー 時間開けてしまい申し訳ありません


日常・観測・6課からの依頼と模擬戦

朝は静かに始まっていた。

 

ナムは布団の中で目を開け、天井を見つめる。

壁の微かなひびや、遠くで鳴る機械の音。

夜の世界には存在しなかった日常の音が、ゆっくりと意識に入り込む。

 

ナム(……朝か)

 

夜の世界では、時間は停滞するか断絶する。

ここでは否応なく進む。

 

身体を起こす。筋肉が軋み、関節がわずかに遅れて応える。

 

ナム(脆い……だが、これも生の証)

 

階下から物音が聞こえてくる。

最初に目を覚まして動き出したのは、アキラだった。

 

アキラ「おはよう」

 

低く落ち着いた声。無駄な動きがなく、周囲を把握している。

 

ナム「……早いな」

 

アキラ「習慣だよ。朝のほうが頭が冴える」

 

ナムは頷く。警戒心を必要としない空間、しかし周囲を観察する。

 

ナム(……良い距離感だ)

 

しばらくして――

二階から、ドタドタと足音が響いた。

 

リン「……んん……」

 

眠そうな声。

 

リン「お兄ちゃーん……?」

 

リンだった。

 

アキラ「起きた?」

 

リン「うー……まだ半分夢……」

 

階段を下りてくるリンは、完全に寝起きだ。

髪は跳ね、目は半開き。ナムを見て一瞬止まる。

 

リン「あ」

 

次の瞬間、ぱっと笑顔になる。

 

リン「おはよ、ナム!」

 

ナム「……おはよう」

 

リン「昨日はあんなにぶっ倒れてたのに、もう立ってるじゃん」

 

ナム「最低限はな」

 

リン「最低限が高そうなんだよねぇ」

 

リンは欠伸をしながら椅子に座る。

 

ナム(……この者は)

 

警戒心は薄い。だが無知ではない。

信頼を置く相手を、直感で選ぶ者。

 

 

三人で簡素な朝食を取る。

リンは食べながら話す。

 

リン「今日は特に予定ないよね?」

 

アキラ「店番中心だ」

 

とアキラが答える。

 

アキラ「ナムも、無理しなくていい。慣れるのが先だ」

 

ナム「了解した」

 

リン「だからその言い方!」

 

リンが突っ込む。

 

リン「もっとこう……『わかった』とかさ」

 

ナム「……努力する」

 

ナムは静かに答える。

 

リンは満足そうに頷いた。

 

リン「よし」

 

朝食後、リンが軽い調子で声をかける。

 

リン「ね、ナム」

 

ナム「何だ」

 

リン「その……武器」

 

ナムの視線が背後に向く。大剣や短剣が布に包まれ、存在を抑えられている。

 

リン「今日は店番でしょ?でかい剣とかはさ、自室に置いておいてくれると助かるなーって」

 

ナムは即座に理解する。

これは排除ではなく、生活上の判断だ。

 

ナム「……承知した」

 

アキラも補足する。

 

アキラ「不安なら、すぐ手の届く場所でいい。ただ、店に出す必要はないかな」

 

ナム「理解した」

 

リンは満足そうに笑った。

 

リン「助かる!常連さんビビらせたくないし」

 

ナムは少し考えた後に答える。

 

ナム「……では、今日は持たぬ」

 

リン「よし!」

 

 

昼下がり、店のシャッター前に一台の車が停まり、制服姿の6課課長・雅が降り立った。

 

店の扉を開け、店内を一瞥する。カウンター越しに座るナムに目を止めた。

 

「邪魔するぞ……その者は誰だ?」

 

アキラは肩の力を抜き、自然体で答える。

 

アキラ

「ああ、この人はナム。今日からここで生活しつつ、ちょっと手伝ってもらうことになった」

 

リンも笑顔で付け加える。

 

リン

「そうそう!自己紹介してナム!」

 

ナムは静かに頭を下げ、落ち着いた声で自己紹介する。

 

ナム

「ナム。生活場と職探しをしており、力尽きて倒れたところをこの2人に拾われた」

 

雅はナムの動きと態度を見極める。

 

雅「そうか」

 

雅は二人に視線を戻し、依頼の内容を告げる。

 

「貴様らに依頼だ。内容は零号ホロウでの調査。案内役と戦闘員が欲しい」

 

アキラ

「なるほど。案内役は僕らに任せる感じだね?」

 

「その通りだ。だが戦闘員は不足している。二人の人脈から推薦できる者がいれば、まず試してほしい」

 

アキラは頷き、端末で確認を取る。

 

アキラ

「……すまない。どの陣営も手一杯のようだ」

 

リンがふと思い出したように口を開く。

 

リン

「そういえばナムって、大剣と短剣持ってたよね?戦える?」

 

ナムは静かに頷く。

 

ナム

「可能だ。ただし、主導は握らぬ」

 

雅は眉をひそめる。ナムの実力も性格も未知である。

 

「……なるほど。だが、貴様のような者をそのまま零号ホロウに任せるわけにはいかぬ。今回の依頼水準に耐えうるか、HIAにて試させてもらう」

 

アキラとリンは顔を見合わせる。零号ホロウは夜の雨の影響が残る危険な場所だ。ほんの一瞬、躊躇が浮かぶ。

 

リン

「夜の雨が残ってる場所だよね…ちょっと怖いかも」

 

アキラ

「だがHIAなら安全だ。テストとして問題ない」

 

雅は軽く頷き、臨時許可証を渡す。

 

「武器を持って移動するのは不審者扱いされるからな、これで通してもらえるだろう…夜、HIAに来い」

 

ナムは静かに受け取り、二人に小さく会釈する。

 

ナム

「了承した」

 

アキラは肩の力を抜き、リンもにっこり笑った。

 

リン

「よし、これで準備万端だね!」

 

夜。ナム、アキラ、リンの三人はHIAに到着した。

普段とは違う静けさに、ナムは視線を巡らせる。

 

ナム「……ここが、HIAか」

 

まだ慣れない人間の身体に夜の力は宿していないが、空間の情報を鋭く拾う。

 

アキラはナムの横に立ち、軽く声をかける。

 

アキラ「そうここがHIAそしてここの街はルミナスクエア HIAはここから中に入る。準備はいいか?」

 

リンは手を振って元気よく応える。

 

リン「さぁ、ナム。面白いよ、ここ!」

 

施設内に足を踏み入れた瞬間、低く力強い声が響く。

 

雅「来たか――」

 

三人が振り返ると、奥から雅が歩み寄ってきた。

 

アキラが柔らかく言葉を添える。

 

アキラ「雅さん先に来てたんですね またせましたか?」

 

雅「いや 私も今来たところだ」

 

アキラ「ナムはこの施設は初めてですね」

 

雅「そうか初めてか…そこの者すまない」

 

HIAの職員がササッと現れる

 

「雅さんが直々にとは わかりました!この方に施設の利用方法説明しますね!」

 

そして職員がナムを連れて各施設の説明と使用方法を教える

 

ナム「なるほど…」

 

リンは笑顔でナムを見つめる。

 

リン「さぁ、準備はいい?ここからが本番だよ!」

 

雅は軽く頷き、周囲を見回してから説明を始める。

 

雅「よし。今回、貴様の実力を確認する。三本勝負を行う。

 一戦目は平面での基本動作確認。

 二戦目は市街地を想定したホロウ内での戦闘。

 三戦目は零号ホロウを模した環境での応用。

 戦闘の目的は貴様が今回の依頼水準に耐えられるかを測ることだ。

 全力を尽くすが、死に至らせる意図はない」

 

ナムは静かに頷く。

 

ナム「承知した」

 

アキラも準備を整え、ナムの横で軽く言葉を添える。

 

アキラ「大丈夫、慣れない身体でも無理はしなくていい」

 

リンは手を握って元気よく。

 

リン「さぁ、ナム、楽しもう!」

 

雅は深く息を吐き、三人に視線を向ける。

 

雅「では始めるぞ――貴様の実力を確認する」

 

そして2人にはVR空間に入っていく

 

1戦目:平面

ナムはまだ身体に慣れておらず、踏み込み不足や刃の逸らしがある。

雅はその動きに違和感を覚える。

致命打を避ける動きもあれば、ナメレスらしい瞬間もある。

 

雅(……ナメレスか?いや違う……半分くらいは似ているが…)

 

ナムも自分の身体にまだ慣れていないことを感じていた。

 

ナム「……動きが硬い……」

 

アキラとリンは外で観戦している。

 

アキラ(……雅さん、ナムについていけてる……すごい)

 

リン(ほんと、全然主導握ってないって言ったのに……!)

 

2戦目:ホロウ市街地想定

瓦礫と障害物の中で攻防。

ナムの動きは夜の王を思わせる瞬間が増えるが、迷いも出る。

致命打は避けられる。

 

雅(……五分五分か……ナメレスか?いや?違う……)

 

ナムも障害物に慣れておらず、跳躍や刃の制御で小さなミスが出る。

 

外で見ているアキラとリンは目を輝かせる。

 

アキラ(ナムさん、反撃までできてる!)

 

リン(ほんとにすごい……!)

 

3戦目:零号ホロウ想定

侵食領域。ナムの動きは夜の王を思わせる完璧な瞬間が増える。

雅の攻撃に跳躍と短剣で受け流し、大剣で斬り返す。

身体の遅れや踏み込み不足で致命打にはならないが、最後の一瞬、ナメレスの動きを完全に再現。

 

雅が横薙ぎに刀を振るう瞬間、ナムは跳躍で刀の上に乗り、更に短剣で両足首を切り、踏んで立てないようにする。

短剣は心臓部分寸止め、大剣は首部分寸止めで――

 

ナム「勝負ありだ」

 

雅は嗚咽まじりに苦悶の声を漏らし、膝をつく。

 

外で観戦していたアキラとリンは声を揃えて拍手。

 

アキラ「すごい……完全に食らいついてる……!」

 

リン「主導握らないとか嘘でしょ! ナム、めちゃくちゃ強いじゃん!」

 

ナムは淡々と頷く。

 

ナム「すまぬな…9今の今までもっと別の強者と戦っていたからな…」(この身体に慣れれば、さらに精度は上がろう)

 

雅は膝をついたまま短く呼吸を整え、内心を整理する。

 

雅(……この者……動きや間合い、受け流し方……あの夜の王…ナメレスという人物を思わせる瞬間がある……だが完璧ではない……いや、十分すぎる。今回の依頼には任せても問題なかろう)

 

雅「……その動きは、どこで身につけた?」

 

ナムは自然体で答える。

 

ナム「自然に身についた」

 

雅は半信半疑ながらも頷き、同行を許可する。

アキラとリンは満面の笑みでナムを褒めちぎる。

 

アキラ「これで案内も戦闘も任せられるね」

 

リン「もっと自信持ちなよ!」

 

ナムは静かに頷く。

 

ナム「……了承した」

 




成人式と色々重なり2~3日ほど遅れてしまいました すみません
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