一、セーブはこまめにすること
二、こころざすこと
三、終わらせること
ボロボロのノート1ページ目にそう書かれている、各所黒ずんでくしゃくしゃで、字も雑だ。
表紙には「名前:ウサギ」という文字が見える。
彼女はそれをバックにしまい、ヒオウギシティを後にし20番道路へ旅立つ。
少し寂しげな表情をちらつかせながら、一歩一歩進む。青いツインテールとバックを揺らし土を、草を、橋を踏む。
舞う紅葉に満ちた自然はガサガサ音を立てながら、時折ウサギの顔に葉を当てる。
坂を下りると幼稚園児達が辺りを駆け巡り、それを保育士が見守る。
「ねえ! どうしてめあかいの?」
「な、なんでもないよ、それじゃ」
突然幼稚園児に話しかけられる、ウサギはそれに対して目を丸くする。
赤いのはまぶたではなく目の色。
顔を赤くしながら走って逃げる、その子供が保育士に怒られるのを見ずに。
タチワキシティのとあるホテルのとある個室、窓からは海が永遠と広がって、空は黒を塗りたくっていた。
「セーブせずに切りたい……」
これはゲームではなく現実、そんなの超能力でもない限り無理。
サングラスで目は見えないが、なんとなく不機嫌なのが伝わる。
個室でソーダを吸いながら、携帯でブログをチェック。
とり天をガツガツ食べた後は、デザートに杏仁豆腐をたいらげる。
口元が緩んだ所で、ソーダが入ったコップは底を見せた。
次にSNSサイトを開き、どうでもいい事を好きなだけ呟き閉じる。
不意に窓に顔を向け自分の目を見る、少し悲しい表情になりカーテンを閉めた。
午前十時頃、曇り。
この町北部には映画館、ポケウッドがある。
タチワキシティにほぼ同じくらい広く、今日も多くの客で賑わって、ウサギもその中の一人だ。
彼女が目的とする映画はとある裁判を題材をしたもので、注目されてる男優のキョウヘイ出演となっている。
上映時間は一般的な二時間、最後まで見た観客は蜘蛛の子を散らすように映画館を後にする中、ウサギは映画館に居座っていた。
「上手くできてたなぁあの作品、私も物語作ってみたい」
さっきの作品のパンフレットを両手で持ちながら、赤い目を光らせる。
観客が出る流れはじょじょに入る流れへと変わり、彼女はもう一作品見る事を決めた。
題名は「青い瞳の少女」
ザーザーと雨が降る昼下がり、静かなこの町に人が歩く以外の音をもたらしている。
また彼女は何かを踏んで前に進む。
目的地はポケモンジム、ポケモンジムとは勝つとジムバッジが貰え、8個集めるとその地域のポケモンリーグに挑戦する資格を得る事ができる。
が、今回に限ってライブハウスとしても経営してる場所で、彼女の目的はそっち。
看板には豪快に『タチワキシティ ポケモンジム リーダーホミカ ポイズンライフ ポイズンライブ!』と書かれている。
入口を潜り抜け多くの階段をおりる、進む度に豪快な歌声や楽器が音の強さを増す。
もう一つの扉を開けると、そこから音楽の波が彼女を通り抜けた。
「すごい! これがライブハウスというものなのね……!」
後方の空席に座り、一緒に騒ぐ。演出が入り更に盛り上がりを見せ、ラストスパートの雰囲気を漂わせる。
最後の演出が終わり、歓声も最高潮に達していた。
真ん中の白い女の子が『これにて物語、完結!』と言い全ての項目を終えた。
ライブハウスを出ると、そこには雲の間から日差しが差し込んで、ウサギを出迎えるようだった。