エリートトレーナーたち   作:倉咲杏ト

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3.ウサギのノート

 一、セーブはこまめにすること

 二、こころざすこと

 三、終わらせること

 

 ボロボロのノート1ページ目にそう書かれている、各所黒ずんでくしゃくしゃで、字も雑だ。

 表紙には「名前:ウサギ」という文字が見える。

 彼女はそれをバックにしまい、ヒオウギシティを後にし20番道路へ旅立つ。

 少し寂しげな表情をちらつかせながら、一歩一歩進む。青いツインテールとバックを揺らし土を、草を、橋を踏む。

 舞う紅葉に満ちた自然はガサガサ音を立てながら、時折ウサギの顔に葉を当てる。

 坂を下りると幼稚園児達が辺りを駆け巡り、それを保育士が見守る。

「ねえ! どうしてめあかいの?」

「な、なんでもないよ、それじゃ」

 突然幼稚園児に話しかけられる、ウサギはそれに対して目を丸くする。

 赤いのはまぶたではなく目の色。

 顔を赤くしながら走って逃げる、その子供が保育士に怒られるのを見ずに。

 

 

 

 タチワキシティのとあるホテルのとある個室、窓からは海が永遠と広がって、空は黒を塗りたくっていた。

「セーブせずに切りたい……」

 これはゲームではなく現実、そんなの超能力でもない限り無理。

 サングラスで目は見えないが、なんとなく不機嫌なのが伝わる。

 個室でソーダを吸いながら、携帯でブログをチェック。

 とり天をガツガツ食べた後は、デザートに杏仁豆腐をたいらげる。

 口元が緩んだ所で、ソーダが入ったコップは底を見せた。

 次にSNSサイトを開き、どうでもいい事を好きなだけ呟き閉じる。

 不意に窓に顔を向け自分の目を見る、少し悲しい表情になりカーテンを閉めた。

 

 

 

 午前十時頃、曇り。

 この町北部には映画館、ポケウッドがある。

 タチワキシティにほぼ同じくらい広く、今日も多くの客で賑わって、ウサギもその中の一人だ。

 彼女が目的とする映画はとある裁判を題材をしたもので、注目されてる男優のキョウヘイ出演となっている。

 上映時間は一般的な二時間、最後まで見た観客は蜘蛛の子を散らすように映画館を後にする中、ウサギは映画館に居座っていた。

「上手くできてたなぁあの作品、私も物語作ってみたい」

 さっきの作品のパンフレットを両手で持ちながら、赤い目を光らせる。

 観客が出る流れはじょじょに入る流れへと変わり、彼女はもう一作品見る事を決めた。

 題名は「青い瞳の少女」

 

 

 

 ザーザーと雨が降る昼下がり、静かなこの町に人が歩く以外の音をもたらしている。

 また彼女は何かを踏んで前に進む。

 目的地はポケモンジム、ポケモンジムとは勝つとジムバッジが貰え、8個集めるとその地域のポケモンリーグに挑戦する資格を得る事ができる。

 が、今回に限ってライブハウスとしても経営してる場所で、彼女の目的はそっち。

 看板には豪快に『タチワキシティ ポケモンジム リーダーホミカ ポイズンライフ ポイズンライブ!』と書かれている。

 入口を潜り抜け多くの階段をおりる、進む度に豪快な歌声や楽器が音の強さを増す。

 もう一つの扉を開けると、そこから音楽の波が彼女を通り抜けた。

「すごい! これがライブハウスというものなのね……!」

 後方の空席に座り、一緒に騒ぐ。演出が入り更に盛り上がりを見せ、ラストスパートの雰囲気を漂わせる。

 最後の演出が終わり、歓声も最高潮に達していた。

 真ん中の白い女の子が『これにて物語、完結!』と言い全ての項目を終えた。

 ライブハウスを出ると、そこには雲の間から日差しが差し込んで、ウサギを出迎えるようだった。

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